何だ………これ………前にも見たような…………
「矢田桃矢……それが君の名前?」
「あぁ……」
「いい名前だね。大丈夫、私が絶対にここから出してあげるから」
「…………………」
何だ………何で…………あの人が……………
「お願い!小太郎さん!もうやめて!」
「うるさい!あいつは俺の実験のモルモットだ!邪魔をするな!」
バチンッ!!!
! あの男……!
その男の顔がはっきりうつった。
柳沢ァァァァァァァァ!!!!!!!!!!
「!………………夢か…………………………」
俺は夢から覚め、状況を確認するため辺りを見回した。見回した限り病院だ。
「今のは……………………まさか…………彼奴が近くに……………………」
俺はさっきまで見ていた夢の中で出てきたあの男を思い出した。彼奴が…………あの人を…………
「大丈夫ですか?」
突然、俺の横からタコが出てきた。
「何だお前か…………………俺は………一体……何でこんなところに?」
「あの時君はイトナ君の触手で腹部を貫かれてしまったのです。申し訳ございません………先生の不注意です……」
タコが謝っているようだったがどうでも良かった。俺は腹を見るとそこには包帯が巻かれていた。
そしてベットの横を見ると、姉が眠りながら俺の右手を両手で握っていた。
「矢田………」
「はい。矢田さんは、治療が終わった後、ずっと貴方を見ていてくれたんです」
「そうか…………」
「では、私はこの辺で、食べ物を置いておいたので。お大事に」
俺は頷くとタコは病室を出て行った。
部屋に残ったのは俺と姉だけだ。
「ぅぅん……………ん?」
!
突然、姉が目を覚ました………
「神威君…!」
「!?」
目覚めたと同時に俺は姉に泣きながら抱きつかれた。
「グスッ…良かった…!目が覚めて…!!心配したんだから…!!」
「ふぎ………ぎ…………」
く…苦しい………首が………
「グスッ…………本当に………よかった……」
「おい………大袈裟な……」
「何が大袈裟よ!!危うく出血多量で死んじゃうところだったんだから!!」
そう言うと姉は更に力を入れてきた……………絞まる…………
「いや…………分かったから…………離れて…………」
………………………
言っても離れねぇ…
ギュゥゥゥゥ!!!!
「!?」
「しばらく………このままでいさせて……」
…苦しい…
その後30分以上抱きつかれて流石に首が絞まりそうだった…………
〜
「落ち着いたか?」
「うん…」
あれから矢田は落ち着きを取り戻すと神威は矢田を椅子に座らせた。
「………おい………そこにいる奴ら…出てこい」
「あははは〜……バレちゃったか♪」
するとドア付近から寺坂組以外のE組の皆が現れた。
「いやいやお二人さん実にいい雰囲気でしたよ?」
そう言うとカルマは矢田が神威に抱きついている写真を見せた。
「…ッチ………」
「ちょ////カルマ君!!!」
「それより、神威大丈夫か?腹の傷」
そう磯貝が聞くと神威は腹に手を当てた。
「………あぁ。別に支障はねぇ…」
「支障がなくてもしばらくは安静にしてなさいよ。それで傷が開いたら元も子もないんだから」
「そうか…」
「おお?速水が神威を心配してるなんて珍しいな!!」
「うっさいわね岡島!」
「おやおや?凛香も神威に惚れちゃったの〜?」
「違うって言ってんでしょうが!!!私は唯 神威が来ないと殺せんせーを殺せる確率が下がると思っただけだから!!!」
「お〜!生ツンデレはいいものだね〜」
「やめて!」
ガタンッ!!
「皆さま!ここは病院ですのでもう少しお静かにッ!!」
「「「す…すいません…」」」
看護婦さんに注意された後、E組の皆は帰って行き、部屋の中はまた矢田と神威だけになった。
「もう〜…皆ったら…」
「…」
すると矢田は荷物をまとめると
「じゃあ明日の朝また来るから、安静にしててよ」
「ん…」
そう言い病室を出て行った。
(こういう時も…あったな………)
あの時と同じように…俺は一年の頃は何週間か入院してたっけな………
「ゴホッゴホッゴホッ!!」
症状が和らぎ治った時は出てそのあとすぐにぶり返す…入っては出て入っては出ての繰り返し……
マスクだの点滴だの、入院するたびにやっていた。
あの時………どうして俺は……………