暗殺教室〜 穢れた少年〜   作:狂骨

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梅雨の時間

あれから数日、椚ヶ丘は雨季となり、雨が多く降っていた。

 

 

 

 

その道を矢田と神威は2人並んで歩いていた。

 

 

「〜♪」

 

「……」

 

 

何故か矢田は凄くご機嫌で隣の神威は少々不機嫌であった。

 

その理由は……

 

「おい……何で手繋いでんだ……」

 

「えー?だめ?」

 

「………恥ずかしい………しかも……なんでこんな寄り添ってんだ……」

 

「だってこうしないと神威君がはいらないじゃん」

 

「いいから離れろ…」

 

「風邪引いちゃうからだめ♪」

 

「……」

 

そう言い合いながら歩いていると前の道路で何人かが固まっていた。よく見ると同じ椚ヶ丘の制服を羽織っていた学生達だ。

その内の幾人かはE組であった。

 

 

 

 

「……ん?あれは……渚か…?」

「カエデちゃんや杉野君もいる…どうしたんだろ?」

「………状況を見る限り何かあったのか?」

「とりあえず行こ!」

2人は小走りでその場へと向かった。

 

 

 

 

 

渚side

 

 

 

僕らは今、壮絶な場を目にしていた…

 

 

 

 

 

あれは…数分前の事だ…

 

 

 

「なぁ〜茅野〜そのケーキに乗ってるイチゴくれよ〜」

「ダメ!楽しみは一番最後に残しとくの!」

 

「あははは…」

 

僕らはいつも通り下校していた。雨の降る道を歩いていると

 

 

「あ、あれって」

 

「前原じゃん!」

 

前の道を本校舎の女子生徒と相合傘をして歩いている前原くんを見つけた

 

 

 

「一緒にいるのは…確かC組の土屋果穂…」

 

「ははっ。相変わらずお盛んだな、まったく」

 

僕らがそう話していると…

 

 

 

「ほうほう『前原君、駅前で相合傘』っと」

 

 

 

……………………………何故奴が…………

 

 

 

「相変わらず生徒のゴシップに目がねーな … 殺せんせー」

 

「ヌルフフフフ…これも先生の務めですから。三学期までに生徒全員の恋話をノンフィクション小説で出す予定ですから。ちなみに第1章は『杉野君、神崎さんへの届かぬ思い』です!」

 

(キィィィィィィ!!!!出版される前に殺さねば…!!!!)

 

【殺せんせーの弱点13 下世話】

 

 

「なら、前原君のは長くなりそうだね」

 

「モテるからしょっちゅう一緒にいる女変わるしな」

 

 

スポーツ万能の行動的なイケメン。普通の学校なら成績上位でもっと人気だっただろうな。タラシは残念だけど……

 

 

僕らは2人の背中を見ながらそう思っていると

 

 

 

 

「あれ?果穂じゃん。何してんだ?」

 

「瀬尾君!!」

 

突然2人の横から生徒会員の瀬尾智也が現れ彼女は前原君を押しのけて彼の元に向かった。

 

 

「生徒会でおそくなるんじゃ…」

 

「いや、意外と早く終わってよ、ん?確かソイツ…」

 

「…!!ち…ちがうの!!そーゆー事じゃなくて!!」

 

 

僕らは近くにあった木に隠れ2人の会話の様子を伺っていた。ただ、彼女の言い分からは前原君と付き合っているのを必死に否定している気持ちがあった。でも僕らはそのまま続けた。

 

 

 

「今日タマタマ傘忘れてさ!!向こうから差してきて!」

「今朝持ってたじゃん」

「いや…!!学校に忘れてさ!!」

 

その言いように前原君は気づいたのかその子に詰め寄った。

 

「はー…そういうことね。最近あんま電話に出んのもチャリ通から電車通学に変えたのも で、新カレが忙しいから俺もキープしとこうと?」

 

 

「果穂!お前!!」

 

「ち…!!違うって!!そんなんじゃ…….」

 

 

 

その瞬間、彼女は一瞬とてつもなく恐ろしい表情を見せ、前原君に向き合った。

 

 

「あのね、自分が悪いってこと分かってるの?努力不足でE組に落とされた前原君!」

 

 

 

!!!!!!

 

 

 

「それにE組生徒は椚ヶ丘高校進めないし遅かれ早かれ私達接点無くなるじゃん」

 

「は…?」

 

「E組落ちてショックかな?と思ってさ、気遣ってハッキリ別れれば言わなかったけど言わずとも気づいて欲しかったけど、E組の頭じゃ分かんないかw」

 

 

「…!!お前な…!!自分のこと棚に上げて…

 

その言葉に前原君はイラっときたのか彼女に詰め寄ろうとした時

 

 

 

ドカ!!!!!!

 

 

前原君は瀬尾君から強烈な蹴りを浴びた!!!

 

 

 

「わっかんないかな〜?同じ高校に行かないってことは俺たちはお前に何したって後腐れ無いんだぜ!!」

 

 

 

そう言うと連れの2人も前原君を蹴りつけた

 

 

「おら!!果穂にお礼言えよ!!同じ傘に入れてもらったんだからよ!!」

 

 

 

「!!いけない!!早く止めないと!!」

 

 

 

 

その光景に僕らは見ていられなく止めるためにその場へと走り出そうとした時

 

 

「やめなさい」

 

 

突然タクシーが通りかかり、その中から理事長先生が現れた…

 

 

その後、理事長先生は前原君にハンカチを渡し、その場を去った。だけど、何故か前原君を 攻めているようだった。

 

その様子を見ていると

 

 

 

「おい」

 

 

後ろから声をかけられた。振り向くと矢田さんと神威君がいた。

 

 

「矢田さん!それに神威君!………何でそっちも相合傘…」

 

「気にするな…それより、今のは何だ?」

 

「実は…」

 

 

僕らは2人にさっきまでのことを話した。

 

「そんな…いくら何でも……!!」

 

「………」

 

話を聞いた途端、矢田さんは驚きを隠せなず神威君は黙り込んでしまった。

 

「とりあえず、アイツを助けねえと!」

 

 

そう言い僕らは前原君の元へと向かった。

 

 

「前原!!大丈夫か?!」

 

「お…お前ら…」

 

 

「ん?はぁ〜…ヤダヤダ…またE組かよ」

 

「俺たちってE組に呪われてんのかね〜」

 

 

「そんなの無視無視、早く行きましょ」

 

 

そう言うと瀬尾君達は帰ろうとし、彼女は前原君の方へ視線を向けると

 

 

「嫉妬して突っかかってくるなんて…そこまで心の汚ない人だとは思はなかった。二度と視線合わせないでよね」

 

 

「「「あははは!!!」」」

 

 

そう言いすてると彼女達は高笑いしながら帰っていった。

 

「前原!大丈夫か!?」

 

「あぁ…上手いよな…あの理事長…事を荒立てずとか言って差別も無くさず、絶妙に生徒を支配してる…」

 

 

「そんなことよりあの女…!!!マジで最悪なビッチじゃねぇーか!」

 

 

「いや…ビッチならうちのクラスにもいるんだけどな…」

 

「んー。ビッチ先生は職業のビッチだけどさっきの彼女 はそんな高尚なビッチじゃない」

 

 

「いや。別にいいんだよ。ビッチでも」

「え!?いいの!?」

 

「好きな奴なんて変わるもんだし、振りたけりゃあ振ればいい。俺もそうしてる。」

 

「中三でどんだけ達観してるのよ…」

 

前原君の理屈に岡野さんは呆れながらもタオルを渡した。

 

すると

 

神威君が瀬尾君達が歩いて行った方向へと歩いていこうとした、

 

 

「ん?おい神威、どこいこうとしてんだ?」

 

そう杉野は神威君に聞いた。次の瞬間、神威君はとんでもない一言を言い出したのだ。

 

「殺す」

 

 

 

「「「「「!!!!!!!!!!!」」」」

 

 

「いやいやいやいやいや!!!!やりすぎ!!やりすぎ!!いくらなんでも!!」

 

「そうだよ!落ち着いて!」

 

 

「……いまの女…流石にムカつく……いっそ殺してしまったほうが…」

 

「いやそこまでやる必要ないって!俺もこの通り無事だからさ!!な!?」

 

「………………………」

 

 

「そうです!!神威くん!!殺すなんてとんでもない」

 

僕らが振り向くとそこには

 

 

 

ぷくぅうううう〜〜〜!!!!!!!!!!

 

 

顔をパンパンに膨らませている殺せんせーがいた

 

 

「殺せんせー!!!膨らんでる!!膨らんでる!!!」

 

 

 

「神威くん、確かに君の気持ちは分かります。でも、そんな解決方法はよろしくありません。」

 

「じゃあどうしろと?」

 

「仕返しです。ですが殺さない程度にです。」

 

「?」

 

「要するに、理不尽な屈辱には屈辱で返すのです。君達にはそれなりの力がある。気づかれず、証拠を残さないよう標的を仕留める。それが暗殺者です。」

 

 

 

そして、殺せんせーはゲスな笑みを浮かべた。

 

 

「屈辱には屈辱を…彼女達をとびっきり恥ずかしい目に遭わせましょう…!!!」

 

 

 

 

 

こうして、僕らは大規模な仕返し作戦を行うこととなった。

 


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