IS~女の子になった幼馴染   作:ハルナガレ

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番外編です。本編進めないで何書いてるんだと思われるかもしれませんがご了承ください


番外編
番外編 男子中学生の海(前篇)


「よっしゃー、また俺が一番だ!」

 

「くそ、二位か」

 

「パーカー着てる俺に負けんなよな一夏」

 

「うるせえ、今日は調子悪いんだよ……少し寝不足だし」

 

「運動不足なんだよ、たまには体鍛えろよ」

 

「確かにかなりなまってるなあ。たまには運動するか」

 

「そうしろそうしろ」

 

「……こ、の化け物共め」

 小島の上に寝そべりながら、俺は海に浮かびながら軽口を叩いている一夏と葵に向かって呻いた。

 

「大丈夫か弾? 体力回復したか?」

 

「無理すんなよ。体力戻ったら陸に戻ろうな」

 俺の呻き声に反応して、一夏と葵は俺に向かって声を掛けてくるが……その余裕な態度ムカつく!

 

 今日俺は一夏と葵、三人で海に遊びに来ていた。

 中学に入り最初に出来た友達で、俺と二人は気が合い学校ではよく一緒につるんでいる。本当は今日は一夏と葵の幼馴染みの鈴とも一緒に来る予定だったが、鈴は家の用事が急に出来た為来れなくなった。その為男3人というムサイ組み合わせとなったが……一名例外いるけどな。

 軽い気持ちで浜辺からこの小島まで競泳しようぜとか言うんじゃなかった。俺は泳ぎにちょっと自信あったから二人に勝負挑んだが……俺は二人に圧倒的大差をつけられて負けてしまった。空手部に入っている葵はともかく、帰宅部のくせに一夏体力ありすぎだろ!

 どんどん二人から引き離されていった為、ペース配分も考えずにスピード上げた結果、俺はこの小島に辿り着いた頃には死にかけていて、先についていた一夏と葵が沈んでいく俺を小島の上にあげた。

 その後はずっと横になり、体力も結構回復したが……俺が休んでいる間、一夏と葵の二人はまた競争しながら浜辺まで泳いでいき、再び競争しながらまたここに戻ってきた。勝負は全て葵が勝っている。葵は半袖とはいえパーカー着こんでいるのに恐ろしいスピードで泳いでやがる。……化けものかこいつは。その葵に僅差で迫ってる一夏も大概だけどな。

 

「後もう少しで浜辺まで泳ぐ体力回復する」

 一夏と葵にそう言うと、俺は目をつむり体力の回復に努める事にした。

 

 

 

 

「くそ、何でこんな雑な作りのラーメンがこんなにも美味いんだ!」

 

「全くだ! 俺ならこの店の半分以下の値段で比べるのもおこがましい程美味いラーメン作れるぞ!」

 

「一夏に葵! 気持ちはわかるが店内でそういう事は言うな!」

 あの後体力が回復した俺は、一夏と葵の二人と一緒にゆっくり浜辺まで泳いでいき、腹が減った為海の家でラーメンを食べる事にしたが……お前等大声で本音言い過ぎだ。まあ俺も雑な味付けのくせに高い料金は納得いかんが……疲れて体が冷えてたらどんなもんでも美味くなるんだよな。

 

「さてと、これからどうする? また適当に泳ぐかビーチバレーでもするか?」

 葵はラーメンを啜りながら次何をしようかと聞くが、

 

「……まあもうしばらくはゆっくりしようぜ」

 

「そうだな、俺も今疲労が来てるころだし。それに3人でバレーつってもなあ」

 俺と一夏は疲れた声で言った。流石に一夏も二往復による遠泳は疲れたようだ。まあ一夏の言う通り3人でバレーは確かに微妙だしな。鈴がいたら人数揃うが、あいにく今日はいない。

 

「そうか。じゃあ後でスイカ割りでもやろうぜ! さっき向こうの屋台でスイカ割り一式売ってたから」

 疲れている俺と一夏と違い、葵は元気がまだ有り余っているようだ。何やら笑顔でスイカを売っている屋台を指さしている。

 

「またあれやるのか? 去年やって懲りただろ。お金がもったいない」

 

「……う、いや今年は去年のようにはしないからさ。ちゃんと綺麗に割ってみせる」

 スイカ割りを提案する葵だが、一夏は露骨に嫌な顔をして反対した。一夏の返事を聞いて葵は少し顔が引きつるもスイカ割りはやりたいようだ。

 

「一夏、去年何があったんだ?」

 去年の事は知らない為、何が起きたのか興味あったので一夏に聞いてみた。

 

「去年も今日のように俺と葵、鈴の三人で海に遊びに行ったんだよ。で、その時スイカ割りもやったんだが……葵が渾身の一撃を込めて棒を振り下ろした結果、スイカが爆散した」

 は? 爆散?

 

「ちょっと強く叩きすぎたからなあ」

 遠い所を見ながら、葵が頭を掻きながら笑っているが、ちょっと待て!

 

「いや待て。何だよ爆散って!」

 

「言葉通りだよ。葵の一撃受けたスイカは細かい破片をそこらに撒き散らしながら吹き飛んだんだよ。ったく葵! 何でわざわざスイカ割るのに篠ノ之流奥義使って割るんだよ! スイカが吹き飛んで周りの人に中身がかかり、謝るの大変だっただろうが!」

 

「だってあん時はちょっと箒の事思い出してなあ……ちょっと感傷的になっててな」

 

「周りに迷惑かけるし、スイカは食べれなくなるから鈴が暴れたりと散々な目に遭ったぞ」

 

「……ははは、あ、俺ちょっとジュース買ってくるわ」

 そう言って葵は立ち上がると、ジュースを売っている売店に走って行った。

 

「逃げたな……」

 

「まあどうでもいいが、一夏の言う通りスイカ割りは無しな。爆散とかそういう以前に、3人でスイカ一玉はキツイ」

 どうせ去年何事も無く割っても、一夏達じゃ食い切れなかったと思うが、これは言ってもしょうがないだろう。

 

「しかし……せっかくの海だと言うのに、野郎3人で来るとはなあ」

 

「何だよ弾、お前俺達じゃ不満なのかよ」

 

「別に不満じゃ無いが……やっぱり女の子がいた方が華やかだろう」

 鈴が今日いないのは結構残念なんだよな。鈴は一夏に惚れているから恋とかそういうのは期待していないが、可愛いのは認める。少しお子ちゃま体系だが、男の水着姿見るよりかは遙かにマシだ。まあ約一名、そういう次元超えてる奴がいるがそいつにやらしい目でみたら殺される。

 

「そういうのは俺にはよくわからないな」

 

「あ~そうだな、お前の周りは美少女に美女ばっかりだもんな」

 一夏の姉の千冬さんは凄い美人だし、鈴もかなりの美少女。先ほど名前が出た箒って子も以前写真で見たが鈴に負けず劣らずの美少女。その姉も美女と一夏の周りは綺麗な人しかいねえ。

 

「お前の妹の蘭も可愛いだろうが。お袋さんもお客さんに大人気だし」

 

「そうかあ?」

 まあ確かに妹は可愛い! それは確かだ! わかってるじゃねえか一夏! 

 そんな事思っていたら、一夏はある方向を向くと顔をしかめて

 

「あ、あいつまた捕まりやがった」

 面倒臭そうに溜息をついた。

 

「また……ってまさか」

 一夏の言葉を聞き、嫌な予感をしながら一夏が見ている方に顔を向けると、

 

「……」

 

「だからいいじゃん、俺と遊びにいこうぜ」

 葵はナンパされていた……男に。

葵は無表情だが……付き合いが浅い俺でもわかる! あれは内心で相当怒っている!

 

「今日何度目だ一夏?」

 

「3度目。……葵は一人にさせると駄目だな」

 そう、今日海に来てからというもの、葵は単独行動させたら男からナンパされている。

 売店内の為周りに客や店員がいるが、関わりたくないのか皆顔を伏せたりしながら無視している。

「ったく、しょうがないな」

 そう言って立ち上がる一夏。事が大きくなる前に葵を救出する気なんだろう。でないと危ないからなあ……ナンパしている男が。

以前鈴が他校の不良十数人に無理やり連れ去られそうになった時、葵は鬼神の如き強さでその場にいた不良8割をなぎ倒した過去がある。残る2割は一夏とちゃっかり鈴の奴が倒してたな。

 

「ああ、俺もいく」

 俺も一夏に続く事にする。一人よりも二人の方が威嚇になるしな。そんな事思っていざ葵の所に向かおうとしたが、

 

「おばちゃん、このコーラ頂戴」

 葵は売店のおばちゃんにコーラを注文した。おいおい、何で今の状況でコーラ買うんだよ。

 目の前でナンパ行為が行われ、困っていた売店のおばちゃんも葵の注文に困惑しながらも売られている瓶コーラを取り出す。そして栓を開けようとしたら、

 

「あ、そのままでいいです」

 そう言って葵はおばちゃんから栓が詰まったままのコーラを受け取り、代金を支払った。

 

「何? ジュースが飲みたいの? そんなの俺が幾らでも奢ってやるよ。それにコーラよりも何倍も美味しいの飲ませてあげるよ」

 ナンパ野郎は嫌らしい顔しながら葵にさらに近づいていく。そして葵の肩に手が当たる前に、葵は買った瓶コーラを左手に持ってナンパ野郎の顔の前に突き出した。そして、

 

「ふん!」

 気合を入れた声と共に葵の右手が一閃。瓶コーラの栓がされていた辺りのガラスが、割れて吹き飛んでいった。

 

「ひ、ひいいい!」

 目の前で瓶切りを見せられた男は、顔を青くさせながら後退。炭酸が噴出しているコーラを左手に抱えた葵は、それを男の前に突き出すと、

 

「飲みます?」

 笑顔で男に言った。

 

「う、うわあああああ!」

 その笑顔にどれだけの恐怖があったのか知らんが、男は葵から悲鳴を上げて逃げて行った。

その後周りにいた野次馬達が歓声を上げるが、葵は見てただけの野次馬にふん、と葵は鼻を鳴らした後、

 

「ごめんけどおばちゃん、このコーラ処分しといて。もう一本買うから」

 売店のおばちゃんにもう一本コーラを注文した。

 

「何だ、飲めばいいじゃん勿体ない」

 俺は葵に近づいてそう言うと、葵は溜息ついておばちゃんに渡そうとしたコーラを俺の目の前に突き出した。

 

「破片が入ってるかもしれないもの飲めるわけないだろうが」

 

「なるほど」

 言われてみりゃそうだな。よかった、捨てるなら俺にくれとか言わないで。

 

「まあ聞くまでも無いが、大丈夫か?」

 いや一夏、お前の言う通り聞くまでもなく大丈夫だったと思うが?

 

「そう思うならもっと早く来いよ」

 

「すまん。気付くの遅れた」

 

「全く」

 仏頂面の葵に、一夏は苦笑しながら謝る。まあ来る前にお前がなんとかしたじゃんというツッコミは言わない方が良いか。

 

「その子の言う通りだよ。あんたはこの子の……弟さん? お姉ちゃんが強いから良かったけど、ちゃんと守ってあげないと駄目だよ」

 

「お姉ちゃん……」

 

「弟……」

 売店のおばちゃんの言葉に、顔を引きつらせる一夏と葵。その様子に俺は少し吹き出しそうになった。姉弟か……葵の方が一夏より若干だが背高いし、髪の色も同じだからそう思われたのか、もしくは一目見ても仲が良いと思われたか、どっちだろうな。

 

「はいこれサービス。良い物見せて貰ったしね」

 そう言っておばちゃんはコーラを3本俺達にタダでくれただけでなく、他の料理もタダにしてくれた。俺達はそれに感謝しながら、コーラを片手に売店を後にすることにした。

 

 

 

「良い店だったな」

 

「ああ、来年もここに来よう」

 お前等、ラーメン食ってた時はぼろくそに批判してたくせに、あっさり手のひら返したな。

 

「しかし……何で俺はこうも男からナンパされるんだろう」

 先程のナンパを思い出したのか、葵ははあ、と溜息をついた。

 

「いや、そりゃお前……鏡見ろとしか。そしてそのパーカー着てる経緯からも察するだろ」

 俺はそう言って、葵の姿を眺めていく。性別は男だが……パッと見超美少女と言って過言無じゃない姿が、そこにあった。

 モデルの中から探しても葵以上の顔を持っている奴は希少と断言できるほどの、綺麗な顔。可愛いというより美人系なため、同学年の者より年上に見える。

耳にかかる程度の長さの黒髪だが、女子として見たらベリーショートに分類されるんだろう。身長は160前半位で俺と同じ位だが、女子として見たら背が高いほうだ。葵はまだ二次性徴が始まってなく、空手で鍛えてる割には何故か筋肉が全くついてなく細い。いや、男にしては細すぎる。そのため体つきも女子みたい……というかただの貧乳の女子にしか見えないというのが同学年の男子全員の共通認識である。

 そんな葵は今日、一応男物の水着を履いてはいるが、短パンタイプの物を履いていて、葵が履いていたら女子用と言っても通用する説得力がある。そして上に……最初は着ていなかった青いパーカーを着用している。

 このパーカーだが、当初葵はパーカーなぞ着ないで、俺達と同様に上半身裸で泳ごうとしたのだが……更衣室から出て1分も経たない内に、

『ちょっとそこの貴方! 女子がなんて恰好しているの!』

 監視員をしているおばちゃんが血相変えて葵に走り出し、強引に葵にパーカーを着せてその後女子更衣室に連行し、ビキニを強制的に着けられたようだ。

『礼はいらないわ』

 監視員のおばちゃんはそう言って豪快に笑いながら去って行ったが……葵もまた同じような事態が起きるのは嫌なようで、ビキニは取ったがパーカーはずっと着用している。

 そんな事件もあってか、総合的見て、今の葵は中学生というより高校生、下手すれば大学生と勘違いされてもまあしょうがない説得力があった。……女としてだけどな。

 

「鏡って、そりゃもう幼稚園に入る前からわかってるよそういう事は。最初の1歩から女子に間違われてこんなの着ているのもな! でもな、俺がナンパする野郎に言いたいのは、俺でなくとももっと周りに沢山いるだろうが! そんな中なんでわざわざ俺を狙ってくる! 意味が解らん!」

 息を荒くしながら葵は文句を言う。まあ、確かに周りを見たら女は沢山いるし、可愛い子も沢山いる。ただそういう子達と比べても、お前の方が可愛いからなんじゃね?あ、あの子とか俺と同じ位の年だろうけど、胸がでけえな! 顔もほんわかとして可愛いし! 

 

「弾、目がやらしいぞ。少し自重しろ」

 女の子の水着姿を見ていたら、葵が半眼で俺に注意してきた。

 

「やらしくはない! 少し性的な目で見ていただけだ!」

 

「いや弾、余計悪いぞそれ」

  煩いなあ、良いだろ海に来たんだし可愛い子の水着姿見てニヤけても。というかお前等は見ても興味無いとか言うつもりか? 

 

「良いじゃねーか海に来たんだしよ。それとも何か、お前達は女の水着姿に全く興味無い、見ても全く感じないとでもいうのか?」

 

「そりゃあ……」

「いや全くは無いとは言わないが……」

 俺の言葉に葵も一夏も渋々ながら同意した。全くこのむっつりスケベ共め。

 

「だろう? あ、そういや前から聞いてみたかったんだが、葵ってどんな女が好みなんだ?」

 

「はあ? 女の好み?」

 

「そう、女の好み。女に間違われるお前でも、やっぱり女に興味あっだろ。お前の好みってちょっと興味ある」

 

「そういや俺も知らないな」

 

「ん? 一夏、お前も葵の女の好みって知らないのか?」

 

「ああ、あんまり俺達そういう話しないし」

 へえ、一夏も知らないのか。なおさら興味湧いてくるな。この見た目女子の男はどんな女が好きなのかが。

 

「一夏まで何言ってんだよ……、ああ、わかったよ! 言えばいんだろ言えば」

 

「よっしゃあ! で、葵。お前ってどういうのがタイプなんだよ」

 

「そうだなあ……やはり胸だな」

 

「は?」

 

「だから胸だよ、巨乳の人が良い。これだけは断言できる」

 

「お~、やっぱお前も男だな! そうだよなやっぱ男は巨乳好きだよな!で、他には! 他にはあるのか?」

 

「そうだな、強いて言えば後は髪が長い子が良い。そして顔はこう、大人の女性という感じの美人だとさらにいいかな。無論巨乳でも他が引き締まっているスタイルの良い女性ならもう言う事無い」

 こいつ、女みたいな顔してるくせに意外と好みに煩いんだな。そして年上好きなのか? そりゃお前の言う通りの女性がいたら最高だが、そんな女性いねーよ。

「……」

 

「……何だよ一夏、何で俺を睨んでいる」

 葵の好みを聞いたら、何故か一夏は葵を睨んでいる。

 

「いや……葵もしかして千冬姉狙っているのか?」

 

「ぶっ! 何言ってんだ一夏!」

 

「だって今のお前の話聞いたらそうなるだろうが。大人の女性で美人で髪の長い巨乳でスタイルの良い美人! 千冬姉に全て当てはまるぞ!」

 ……いや一夏、確かにお前の言う通り条件揃ってるが姉相手の躊躇いも無く美人と言ってのけるお前大概なブラコンだな。

 

「い、いや確かにそうだけどよ……千冬さんは違う! そりゃ確かにあの人俺の条件揃ってるけど、これは……」

 声を上げて否定する葵だが、後半は少し尻すぼみしていった。その様子に一夏も少し訝しみ、

 

「あ!」

 何かを思い出したのか、一夏は声を上げた後何故か微笑んだ。

 

「ま、そうだよな。納得だ。確かにそういう女性はお前の理想だよな」

 

「……うっさい」

 一夏に謝られ、葵は顔を赤くしながら顔を背けるが……いや何がどうなってんだ?

 

「すまん、話が見えないんだが? 俺にもわかるように言ってくれ」

 幼馴染み同士で解られても、おれには何がどうなってるか全く解らん。

 

「あ、すまん弾。いや、さっき言ってた葵の理想……葵の死んだ母親にそっくりだったとだけ言っておく」

 

「……りょーかい。色々納得した。じゃあもう葵の好みはわかったから次は一夏! お前はどうなんだ?」

 これ以上葵に追及するのは色々不味くなったので、一夏のタイプを聞いてみるか。

 

「そういやこのモテ大王の幼馴染みを長年やっているが、好きな女のタイプとか聞いたことないな。……予想はつくけどな」

 

「なんだ葵そのモテ大王ってのは? あ~そうだな、俺の好みねえ。考えた事無かったが……強いていえば髪は長くて年上の女性が好き、かな?」

 

「へえ、一夏も葵同様年上好きか」

 

「やはり千冬さんが基準なんだな」

 

「ば、ばか違う! 別にそうではなくてあくまで例でだな!」

 

「じゃあ一夏、胸は大きい方と小さい方、強いて言えばどっちが好きだ?」

 

「……強いて言えばなら、俺も大きい方」

 俺の質問に、一夏は少し悩んだが妙にはっきりと答えた。

 

「可愛い系と美人系なら?」

 

「美人系」

 葵の質問に、一夏は迷わず答えた。

 

「……お前、さっきの台詞まんま返すぞ! やっぱり千冬さんの事言ってんじゃねーか!」

 

「い、いや、これはあくまで強いていえば俺が好きな基準を言っているだけであって、千冬姉のことじゃない!」

 ……そうかあ? 顔を赤くして必死に否定しているお前の姿を見るとそうは思えないんだが? つうか一夏、お前の好みって葵とまんま同じなんだな。

 

「そ、それに俺にはまだ大事な好みがあるんだよ!」

 

「へえ、何だそれ?」

 

「家事炊事が出来る人。これは俺にとって何よりも優先される!」

 

「すまん一夏、確かに千冬さんじゃなかったわ」

 一夏の最後の好みを聞き、葵は真顔で一夏に謝った。……なるほど、千冬さんは出来ないんだな。

 しかし一夏の好みを考えると……頑張れ鈴! お前が目指す道は相当に険しいぞ!

 

「一夏も好みは葵とほぼ同じだったか」

 

「で、言い出しっぺのお前は?」

 

「俺? ……実は俺もお前達とほぼ同じなんだよな。年上のお姉さんが超好み。巨乳とかならマジサイコ―!」

 

「お前もかよ!」

 

「つーか三人全員同じとか……」

 つっこみ一夏に、どこか呆れる葵。いいじゃねーか葵、俺達気が合う理由が良く解ったし。

類は友を呼ぶと言うが……まさに諺の言う通りだった。

 

 

「よし、全員の好みも解ったところでいくぞ!」

 

「ん? 行くってどこに?」

 

「また泳ぎに行くのか?」

 おいおい一夏に葵、察しが悪いぞ。

 

「違う違う、俺達の好みがわかったんだ。そして今俺達がいるのは、可愛い女の子が沢山いる夏の海!」

 

「……おい弾、まさかお前」

 一夏が俺に呆れた目を向けている。横の葵も似た視線を俺に向けていく。そう、お前達が思っている事だよ。

 

「俺達もナンパしに行こうぜ! そして一夏の思い出を作ろうじゃねーか!」

 




本編の展開に煮詰まりましたのと、またシリアス展開になっていき心が重くなってきました。
さらにリアルでは主に仕事でストレスが溜まり……気分転換に番外編書いてみる事にしました。
前から書いてみたかったのもあります。
後編は少し調べる必要がありますがすぐに投稿できそうです。

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