TALES OF CRYING ―女神の涙と黒い翼― 作:ILY
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深術のエキスパートとして育てられた孤児の集団。
その中心的活動を担う精鋭にして、同時に味方同士の監視者でもある七人の
人数が多いのは裏切りや命令違反を冒そうとしたメンバーが飛びぬけた実力を持っていても複数人で対処し、従わせる為。
各自がセブンクローバーズとしてそれぞれ識別名称を持っているがあくまでコードネームであり、成立してからそれほどの年月が経過していない為、本人の能力と名前が一致している者が多いが『
また、全員が自身の最も得意な一属性の使用に特化している。
『
名前:フレット
武器:
特化属性:雷
才能:並外れた身体能力
戦う事に喜びを見出し、誰よりも危険な少年。
術士としての素質もさることながら、近接戦闘のみでも正規の騎士を圧倒する年齢不相応の身体能力を持つ。
実力はともかくとして性格面に多大な問題があり、命令の有無に関わらず単独行動が多い。
また、戦いそのものに喜びを見出す性格ゆえに強敵との戦いをわざと引き延ばしたり、見逃す事もある。
それ故に実力とは反比例して仲間からの信頼は薄い。
巨大な鉤爪の形をした彼の武器は、雷以外の属性のディープスを貯める機能を排することで雷属性の使用効率を格段に上げている。
この武器では通常の方法で他の属性を使用することは出来ない。
多少の傷を負っていたとはいえラークとすら互角に切り結ぶ身体能力を持ち、優れた術士でありながら七人の中では唯一好んで接近戦闘を行う。そのラークにも筋力やスピードでこそ劣るものの、雷属性の爆発を上乗せした技の威力で上回り、用途に応じた術を使いこなす事で高い防御能力を得ていたリアトリスの障壁も、武器と深術両方の特性を併せ持った攻撃で粉々にした。
その実力は紛れも無く七人中最強である。
『
名前:バルロ
武器:
特化属性:地
才能:観察と経験による弱点の看破
子供達を鍛え上げた全員の師であり、統制者でもある老人。
元は軍人で、岩で殴られる恐怖をもって全ての子供をコントロールしている。
この人間なくしてスプラウツは集団として機能しない。スプラウツの中心と言っても過言ではない人物。
他のクローバーズと比べると突出した戦闘能力を持っている訳ではないが、全員の弱点を熟知し裏切りを想定して身内との戦いに特化している為、直接戦った場合クローバーズ全員を打倒しうる手段を用意している。
拳を『握る』ことをトリガーとして一定の間合いに岩を形成し、腕の動きと連動させる手甲を武器として使っており、自分から離れた間合いに居る相手を『殴る』事が出来る。
これは、単純ながらも強力な接近戦の手段で、敵との間合いを空ける事に優れている。
また打撃が発生する箇所と拳の間には何も無い為、正確に間合いを把握していない相手には壁などで遮断する事も難しい。
現実主義者で自分がとうに『
『
名前:セルフィー
武器:鞭、
特化属性:火
才能:感知
燃える様な赤い髪の少女。
感情的で激し易く『
彼女はディープスの位置を正確に把握することに長けており、
放り投げた赤い鉱石を核にして詠唱無しで術を開始し、術が相手に届くまでの間も
自分と同等以上の感知の才能を持ったリアトリスを激しく敵視し、またリアトリスの側も防御に特化した自分のスタイルと正反対の彼女の戦い方を危険視している。
◎
単独で彼女が戦闘を行う場合、接近戦が不得手な彼女がそれをカバーする為に使用する切り札。
手持ちの炎熱鉱石の大半を空中にばら撒き、それを「触れると爆発する赤い光の珠」に変換する事で自分の周囲全体を守る領域を作り出す。
性質上、ほぼ全ての炎熱鉱石を消費してしまうため一度の戦闘で使えるのは一度が限界。
一見、珠同士に隙間があるため壁としては機能しないように見えるが、陣の内部は全て彼女の『感知』の範囲内であり小さな異変でも即座に反応してセルフィー自身が爆発を起こす事が出来る。その為ラークのスピードを以てしても突破するのは難しく、相手が強力な深術で一点突破を狙ってきても外縁部だけを爆発させる事で衝撃を半減されてしまう。
また、全ての光の珠は陣を張っている範囲内なら彼女自身が任意で動かせる為、多少数が減っても陣は機能し続ける。
総じて防御すら攻撃によって補う、ただひたすら攻撃に特化した彼女の戦い方を象徴する陣。
『
名前:クロウ
武器:スローイングダガー
特化属性:闇
才能:体内に持った闇の宝珠の欠片
スプラウツを脱走する前のクロウ。
彼女はエッジ達には自分もまた子供達を管理し教育する側であった事を告げなかったが、これがクロウが脱走する事が出来、また抜けた後も執拗に追われ続ける最大の理由である。
宝珠の力を使っている状態のクロウは、術士としての資質のみで考えれば全てにおいて最高クラスの能力を所持しており、全ての術の詠唱を破棄し、『
通常時にクロウがこれらの能力を使用すると相応の負担が身体にかかる(目の色の変化はこれに因るもの)が、体内の闇の宝珠の欠片の意思=ラーヴァンを黒い巨鳥として実体化させた状態ではその負担が無くなり、上記の能力が制限なく使える様になる。
能力だけなら間違いなく最強のクローバーズであったものの、本人が人を殺す事を無意識に嫌っていた為広範囲に効果が及ぶ様な術は滅多に使用せず、黒い霧による感知を活かした情報収集や最小限の殺害に抑える暗殺等を主としていた。
自ら望んで戦いに赴く事で最強の座に位置する『
『
名前:レパート
武器:深素銃「始」
特化属性:風
才能:替えの効かない才能をもっていない、実験台として使い捨てて問題ない最低限の実力
二代目。前任者とは属性以外共通点なし。
他のメンバーと比べ成ってから日が浅く、実力的にも劣るが、それ故認められた事を喜び調子に乗りすぎている所がある。
この世界において普及していない最新鋭の武器、深素銃「始」を使用する。
これには世界の始まりに起きたとされる。六属性の圧縮によるビッグバン爆発(クロウもフレットに追い詰められた際、これと似た現象を闇属性の圧縮で強引に引き起こしている)の原理が応用されており、名前の「始」はこれと試作品で有ることに由来する。
トリガーする度に銃の内部に人工的に集束された六属性のディープスが圧縮され、それによって引き起こされた爆発のエネルギーが光弾として発射される。
一発ごとに空気中のディープスを集束して打ち出している為弾数に限りはないが、内蔵の動力には限りがあり稼働時間は最大でも20分。連射し続ければ10分ほど(本来それを考慮して二丁が渡されていた)。
強力ではあるものの六属性の力が均等に発揮される状況下でなければ使用できず、均衡を崩す温度変化に弱い等まだ問題点も多い。
レパートがこの武器の使用者に選ばれたのは、彼が辛うじてクローバーズの穴埋めが出来るギリギリの実力を持った「数人の内の一人」であった為であり、『厳岩』は彼の事を実験台の駒位にしか考えていなかった。
彼自身も識別名を持たない他の仲間とそれほど実力差が無いことは自覚しており、選ばれた事をチャンスと考え自分の実力を証明しようとする。
決して認められる事など無いのだと気付かないまま。
『
名前:ルオン
武器:
特化属性:氷
才能:『
感情の大部分を喪失した少年。
弓という単独戦闘を苦手とする武器を持ちながら、空中で正確に弓矢を操るボディバランスと素早い跳躍力を持ち、氷柱を発生させる属性技「扇氷閃」と合わせて単独行動でも十分詠唱時間を稼ぎ戦闘する能力を持つ。
術の詠唱速度・威力・弓の扱い全てにおいて安定した能力を持つもののクローバーズ全体の中では尖った能力を持たない様に見えるが、その真の脅威は「狙撃」。
感情を欠落した彼は無感情に、確実に遠距離から標的を仕留める事が出来、七人中最も遠距離での戦闘を得意とする。
クローバーズは個々としては強力な力を持つものの、我が強い者も多い為コンビネーションを欠く事も多い。しかし、ルオンはその戦闘スタイルから全員の能力を邪魔することなく彼らのサポートをする事が可能である為、噛み合った時の脅威は何倍にもなる。
特に、広範囲の索敵を行う事が出来るも殺人に抵抗を示すクロウとの相性は良く、二人が組む事で深術の破壊の痕跡を一切残さず特定の相手を消す事が出来た。
スプラウツの中では監視無しでも命令違反をせず、単独行動もこなせる貴重な人材。
耐冷弓「フレキシブルスナイプ」はルオンの作り出す低温状態に耐えられる事を最重要視して作られており、温度変化によって通常の使用と、長距離狙撃用のモードを使い分けることが出来る。
その反面で長距離狙撃時の弓としての性能が上がった為に必要とされる力も相当なものであり、ルオンやフレットの様な高い身体能力を持つ人間以外には扱えない。
事実上氷属性の適性と身体能力を併せ持ったルオン専用の武器。
『純白』
名前:ネイディール
武器:
特化属性:光
才能:多角的な空間・映像の理解、並列詠唱待機←New
クローバーズでは『
味方であっても姿を見たものが少なく、部屋にこもっている時間も長いが『
リアトリス同様、希少な光属性を最も得意とする術士。
それだけでも十分特異な才能であるが、クロウの様な例外を除いてまず不可能な中級深術「ホーリーランス」の詠唱を破棄し、咄嗟の発動をして見せる等その実力は底が知れない。
不幸な未来や現実を見せない為ならば、躊躇い無くその命を摘む程に。
彼女は光によって映像を作りだし、敵を分断したり、自身の姿を隠す「幻影」を作り出す。←New
攻撃系の術の詠唱時間そのものは平均並みであり、実は他のクローバーズと違い即座に敵を仕留める詠唱破棄は使えない。
時折見せる中級以上の術の詠唱破棄は、幻影で詠唱している所を隠してあたかも即座に使ったかの様に見せているもの。
しかし、彼女の場合この詠唱待機が他者のそれと大きく異なる。
普通ならば詠唱を完了した術一つの発動のタイミングを遅らせ任意のタイミングで放つだけのものだが、彼女の場合「一度詠唱を完了し待機に入った時点で次の術の詠唱が開始」出来、いくつもの術を詠唱待機状態にしておくことが出来る。
これにより事前に多数の術を準備しておき、幻影と合わせて敵を自分の優位な場所へと誘い込み罠にはめる様に苦しむ間も与えずに一気にとどめを刺す戦闘スタイルをとっている。
心理戦に長けており「敵が大切な人間を心配している隙に後ろから串刺しにする」、「術士が苦手な筈の近接戦闘をしている振りをして詠唱時間を確保する」等の方法を堂々と使用する。
その為、クロウが無意識に行っている「人間や仲間を傷付けない為の手加減」という唯一の欠点を最も的確に突いており、能力上の相性で彼女にとって最悪と言っていい天敵。
手にしている無数の鏡を繋ぎ合わせたかのような杖、投影杖「アサギリ」は周囲の映像をそのまま複製しネイディールの作った光のスクリーンに投影する事で彼女が「幻影」を作る効率と完成度を高める特殊な武装。これの補助を併用する事によってネイディールは空間に絵を描き足す様に自分が隠したいもの、付け加えたいものの像だけを素早く作り出す事が出来ている。
その為武器としての攻撃能力は無く、彼女以外の人間が手にしてもただの杖でしかない。
総じて対人に最も特化した能力を持ち、スプラウツが誇る最強の二人、個として完成した強さを持つ『爪雷』、術士として最高の資質を持つ『黒翼』、とは全く異なった方向性のクローバーズ最後の切り札。
その正体は、クロウがスプラウツを脱走した時に彼女を助けた少女ハク。←New
クロウとは一時期、姉妹と呼べる程の仲の良さを見せていた。
普段見せている成人女性の姿は幻影であり、万が一にもそれを悟られない様バルロは彼女をほとんど他のクローバーズと接触させておらず、また他の識別名持ちと同席している時なども多くの角度から映像を見られて見破られない様彼女は壁際に居る事が多い。
最後にクロウと別れた時、彼女の力を目の当たりにしたハクはクロウを「化け物」と拒絶していたが、彼女と同じ
「自分が信じた優しいクロウは本当だった」
「悪いのはそれを傷付ける深術士以外の人間達。だからクロウは自分の村の人間を殺した」
「今度は自分が彼女を守ろう、醜い世界から。
そうして彼女の価値観は歪んでいき、彼女の時間はその日で止まってしまった。
そう思わなければ彼女は「自分の大切な家族を、姉も同然のクロウが殺した」という事実を受け入れる事が出来なかった。
「家族もクロウも皆で一緒に暮らしたかった」という本当の願いを自分が今も変わらずに抱き続けているのだと気付かないまま、ハクは『純白』のネイディールとして殺戮を続ける。