TALES OF CRYING ―女神の涙と黒い翼―   作:ILY

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 アエスラング

 

 エッジ達の暮らす女神のいた世界。

 かつては光に満ちた空の下に、炎と水の渦巻く生物も陸地も存在しない世界だったが、イクスフェントから風、闇、地の要素が入ってきた事で陸ができ、海が生まれ、多くの生命が生まれた。

 しかし、未だに根本的な世界としての属性は変わっておらず、イクスフェントに流入していった光、火、水のディープスは常にアエスラングに引き寄せられている。それを防ぐ為、六つの宝珠が各属性のディープスの流れに干渉しており、万が一宝珠が無くなると世界は元の姿に還ってしまう。

 今の世界は六つの宝珠の内一つ――闇の宝珠アスネイシスを欠いた状態で、五つの宝珠が辛うじて流れをコントロールしている。それゆえ緩やかに均衡が崩れつつあり、大半の人間は気付いていないものの凶暴化した生物の増加や環境の変化などを招いている。

 

 

 イクスフェント

 

 御伽噺とされている、神の居た世界。

 かつての姿は一切の物が見えない程の暗闇の中で岩の間を吹き抜ける風の音だけが存在する世界だったが、アエスラングから火、光、水が入ってきた事で今のアエスラング同様生命の溢れる世界になっている。クロウの元へと渡った闇の宝珠は元々こちらの世界にあった物。

 こちらの世界もアエスラング同様に風、闇、地のディープスを引き寄せ続けている。

 本来は焔螺旋(えんらせん)と呼ばれる二本の天高く伸びる炎の様な柱でアエスラングと繋がっていたが、その繋がりはエッジ達の時代より遥かに前の時代に絶たれており、これが焔螺旋(えんらせん)の神話が風化しイクスフェントの存在と共に御伽噺となってしまった大きな要因の一つになっている。

 

 宝珠

 

 伝承に語られる世界の均衡を守る六つの珠。

 各属性の大気中のディープスが高濃度で圧縮された塊であり、アエスラングに光・火・水の宝珠、イクスフェントに闇・地・風の宝珠が置かれる事で本来のバランスに近い配置となり、互いの世界のディープスの流れを最小限に留めている。

 その為、闇の宝珠がアエスラング側に来てしまったことはそれ自体危険な状態である。

 

 通常の深術士が百人束になっても及ばない程のディープスを操る能力を秘め、その余りに強大な力が人間に渡るのを防ぐ為「シン」と呼ばれる一族が代々人の手から守り続けている。

 

 シンの一族

 

 生まれた時から宝珠と世界を守る事を宿命づけられ、その為の力を与えられた一族。

 装飾品等に加工した石を携帯し互いを認識しており、アエスラングのシンの一部はサーカスの一座として行動する事で集団として怪しまれずに行動している。

 エッジはこの石を知らずにペンダントとして身につけており、それによってラークはエッジがシンの血を引いていると気付いた。

 

 ラークの高い身体能力や治癒能力。

 リアトリスの高度な『色の水晶(クロマティッククリスタル)』の使用もシンである事に由来する能力である。

 

 『コレクトバースト』

 

 通常の意識的な集束(コレクト)が最も意識を集中させやすい手を使い、その延長をイメージして大気中のディープスをコントロールするのに対して、コレクトバーストは身体全体を集束(コレクト)状態にする事で通常の集束(コレクト)と比較にならない効率でディープスを集め続ける技術。

 使用時には全属性への干渉により、術者の周囲に虹色の光の粒子が見える。

 使える人間の限られる高度な技術であるが、その効果は大きく

◎術の準備の時間が減る事による、詠唱時間の短縮。

◎通常時の術に、更なる量のディープスを上乗せする事による術の威力の向上。

◎既に術として変換されているディープスすら分解する事による、相手の術への防御能力。(ダメージを完全に無くせる程ではない)

 が、得られる。

 しかしその分体力の消耗も大きく、使用出来る時間はそれほど長くない。使える深術士(セキュアラー)にとっては正しく切り札である。

 

色の水晶(クロマティッククリスタル)

 

 リアトリスが使用する。七色の障壁。

 通常よく使用される深術障壁と異なり、全属性(この場合派生を含まない六属性を指す)のディープスからなる。

 特殊な結合からなるディープスの最も強固な形態であり基本的に破壊する事はできない、クロウの闇の宝珠の力を用いた攻撃すら寄せ付けない程の圧倒的な防御能力を誇る。

 反面、自然には存在しない物質である為その存在は術者の集中力の乱れだけで簡単に揺らぎ、維持し続ける為に多大な体力と集中力が必要となる。

 その為、実質的に防御できる時間が短く、リアトリスは状況に応じて通常の深術障壁と使い分けている。

 

 造りだす際には通常の深術と同様に一定の詠唱時間がかかるが、壁というものの性質上急を要する事も多く、リアトリスはコレクトバーストを併用する事でよくその時間を大幅に短縮している。

 しかし、この方法は通常の『色の水晶(クロマティッククリスタル)』の使用以上に負担が大きく、通常の七、八倍程のペースで身体の消耗を引き起こしてしまう。

 

(よい)地衣(ちごろも)←New

 

 とあるモンスターから取れる、特殊な素材で作られているリョウカが身に纏っている衣にして武器。

 ディープスの集束を補助する力があり深術を扱う程ディープスの扱いに長けていないリョウカは、この補助を得て地のディープスを瞬時に集束・分散して衣を手足の様に操っている。

 全属性のディープスの集束を補助するが特に、地属性・氷属性・闇属性の使用に高い適正を持ちこれが名称の元になっている。

 

 詠唱破棄←New

 

 深術の構成「術を使用する為に必要な量のディープスの集束(コレクト)」、「集めたディープスの変換、発動」、「両者の橋渡しとして術者が集中を高める詠唱」という三つの段階の内、最低限の構成要素「集束」、「発動」のみで術を発動する技術。

 理論上はどんな術でも発動可能であるが、「変換、発動」のプロセスは単なる変換ではなく術としての一連の動きを作るプログラム行為であり、またそれに合わせ「集束」の段階も単にディープスの量を確保すれば良いというものではなくこの『動き』に最適な配置をする必要がある為、実際には「術者が瞬時に頭の中で構成可能な術、その為のディープスを確保できる術」しか発動できない。

 現実的に大半の術士が可能なのは初級程度までであり、それも何百回と身体が覚える程繰り返し使った末にようやく可能になるものである。そもそも「詠唱」自体が「集束」と「発動」の時間を少しでも短くする為に術者が言葉などでリズムを取りながら両者を平行して行う集中状態なので、それを無くすというのは並大抵の事ではない。

 

 クロウはその圧倒的なディープスの物量で闇属性の上級術すら詠唱を破棄して使っているが、しかし彼女自身は他の属性の術の詠唱破棄は使えない為、ディープスの量はともかく「瞬時に頭の中で構成出来ていない」レベルの術を使用していることになる。その為、これはクロウ自身の中に眠る闇の宝珠の意思が代替して「発動」を補助しているものと思われる(人間がほぼ構成不可能な速度で術を組み立てている為)。


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