とある男の憑依体験   作:minesama

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なんかシリアス()を5000字ぐらい書いたところで正気に戻って全削除。何をとち狂ってたんだろう俺は……。


4.ネタバレ:犯人は脱ぎ女 (改)

 みこっちゃんの尋問から一夜明けた今日、俺達は風紀委員としての白井の随伴で水穂機構病院に来ている。

 虚空爆破(グラビトン)事件の犯人が取調べ中に意識を失って病院に搬送されたと連絡が来たのだ。

 これだけ聞くと警備員(アンチスキル)がやらかしたように聞こえるけど何の事は無い、幻想御手(レベルアッパー)の副作用が出ただけだ。

 まあそんな事分かるのは俺と幻想御手の製作者、後は白井とみこっちゃんも恐らくそうだろうと考えてるみたいだ。

 

 当然何も知らない病院の人間にとっては原因不明、そんな患者がこの病院含めていたる学区で何人も運び込まれている異常事態だ。

 病院関係者は白井に事情をアレコレ聞かれていたが芳しい返答を返す事ができない。

 そんな手に余る患者をどうにかしようと、病院は専門家である()を呼んだのだ。

 

「お待たせしました」

 

 ついに出たな、幻想御手編の黒幕――、

 

「水穂機構病院院長から招聘を受けました――」

 

 

    脱  ぎ  女  !!

 

 

 

第四話 ネタバレ:犯人は脱ぎ女

 

 

 

 ――脱ぎ女、それは学園都市の都市伝説の一つとして語られるモノ。

 

 謂わく、親切に道を教えてあげると脱ぎだす。

 謂わく、相対したのが女性だとその人も脱ぎ女になる。

 謂わく、正気に戻すには頭にパンツを被せるしかない。

 

 その伝説に語られるのがこの女――

 

「では改めて自己紹介だ。木山春生(きやまはるみ)、大脳生理学を研究している。専攻はAIM拡散力場だ」

 

(みこっちゃん、こいつがその脱ぎ女だぜ。あと幻想御手の犯人)

 

(アンタちょっと黙っててくんない?)

 

 むう、何だよ何だよ。そりゃ誇張したけど脱ぎ女なのも犯人なのも本当なのにな。まあ実演が見れなきゃ信じるわきゃないか。

 あれ、でも原作じゃ初登場時にみこっちゃん達の前で暑いからって服を脱ごうとしてたような。

 ……あー、そういやあの時はみこっちゃんが上条さんに雷(物理)を落としてこの辺り一帯停電してたからだったな。昨日俺が幻想御手の情報漏らしたせいで微妙に歴史が変わったのか。

 ふむ、そうなると学園都市のセキュリティはきちんと働いているわけだ。となるとインちゃんはセキュリティを突破して学園都市に入れたのかな?

 万が一インちゃんが学園都市に入れなくて上条さんに会えなかったら、科学と魔術が交差しないわけでしてそうなると――。

 

 …………うん、考えるのやめよう。多分原作崩壊とかしないよ、アレイえもんが何とかしてくれてるはずさ☆

 

 あ、ちなみに今は病院から茶店に移動している。おっと佐天の家の事じゃないぜ?

 

「何か、寒くないか?」

 

「悪寒がしたような……」

 

「ちょっと冷房効きすぎのようですわね」

 

 ……俺の秘めた力が彼女達に炸裂したのは置いといて。

 みこっちゃん達は予定通り木山に幻想御手の事を相談した。

 ただ原作とちょっと違うのは既に幻想御手の現物が確保されてる事だ。

 ん、みこっちゃんそわそわしてるな、お花摘みにでも行きたいのか?

 

「ふむ、既に現物を確保しているわけか」

 

「ええ、生憎現物は持っていませんので後ほどお送りしたいと」

 

「んー、しかし聴覚しか使用しないものではその現象は困難だよ。学習装置(テスタメント)と言う特殊な装置はあるが、それも五感を使用して脳に電気的信号を送り込むものだからな。調べては見るが、あまり期待はしないでくれ」

 

「で、でも実際に使たって言ってた人が昏睡状態になってるのよ!!」

 

 お、おお? どうしたみこっちゃん、急に立ち上がって声を荒げて。どうどう。

 

「……ぁ、す、すいません大声を出して」

 

「……君はそれを使用した人間と面識があるのか。すまない、私の話し方に配慮が足りなかったな」

 

「お、お姉様? それはわたくし初耳なんですが……? んま、まさかあの殿方の事ですの!?」

 

「ち、違うわよ! 何であの馬鹿が出てくるのよ!!」

 

「いーえ、以前から言おうと思っていましたが――」

 

 あーあ、白井のお小言が始まっちまったよ。みこっちゃん何やってんだ、……って俺の事か。自惚れじゃ無けりゃやっぱ、心配してくれてんのか。――くうううぅぅぅ、ちくしょう目と鼻から汗が出やがるぜ! 

 よーし、そんなみこっちゃんにおじさんが助け舟を出してやろう。 

 

(みこっちゃん、みこっちゃん)

 

(何!? 今アンタの悪ふざけに付き合ってる場合じゃ――)

 

(俺思ったんだけど共感覚性っての使えばいけるんじゃね?)

 

 共感覚性ってのは一つの刺激で二つ以上の感覚を与える、例えば赤い色を見ると視覚で赤だと感じる意外になんとなく暖かいイメージも感じるやつの事だ。

 

(何を急に……って! そうか、その手があった!)

 

「あ、あの木山さん! ちょっと思いついた事があるんですけど!!」

 

 だから声でけぇよ。まあ白井の姑っぷりから逃げるには勢いが必要だけど。

 

「な、なんだろうか?」

 

「お姉様! まだお話は終わって――」

 

「共感覚性!! ――を利用すれば音楽プレーヤーだけでも行けると思うんですけど」

 

「……なるほど、それは盲点だったな。確かにそれならば可能性は十分ある」

 

「むう、お話はまたにしますの……」

 

 お、良かったなみこっちゃん。さすがに話が進展すれば白井も矛は収めてくれるだろと思ってたが思惑通りだったな。

 

 しっかし元々表情が乏しいとは言え、木山は何の反応も示さなかったな。

 こう一度に自分の手札が暴かれればちょっとぐらい動揺しそうなもんだが。教え子を助けるために鉄仮面でも被ってるのかね。

 まあ動揺したとしても証拠も足りないから追い詰められないし、何よりこんな街中で追い詰めるわけにも行かないからな。

 教え子のためなら何でもするって腹括っちまってるから、正体バラされたら場所なんか関係なく幻想御手の力使って暴れて逃げるだろうし。

 んー、やるなら本当に何にも無い所に呼び出して不意打ちで――。

 

 ……ってなんで俺は積極的に原作改変すること考えてんだ。やめやめ、小人閑居して不善をなすってやつだわ。

 まあ昨日の時点で大分原作介入した気がするし、みこっちゃんと上条さんが追いかけっこしてる時もちょっかい掛けたから今更っちゃ今更だけど。

 でもまあ原作通りに行ってくれるならそれに越した事はないしな。

 

「よし、その点を踏まえて調べてみよう。いや、有意義な意見が聞けた。わざわざ出向いた甲斐があったと言うものだよ」

 

「いやそんな、私は別に」

 

(だな、発案は俺だから俺が褒め称えられるべきだもんな)

 

(……感謝してるけど、そのすぐ調子に乗るところ直しなさいよ)

 

(無理)

 

「ところでさっきから気になっていたんだが、あの窓に張り付いている子達は知り合いかい?」

 

 おお、初春&佐天だ。そういや合流する筋書きだっけ。

 しかし空気を読まない子達だねこの二人、でも今の世の中それぐらいグイグイ来てくれる友達ってむしろ良いと思いますぜ?

 

 

 

 

 

 

 その後は幻想御手の再確認、昏睡状態に陥る危険性を鑑みて発見次第回収していると言う話をして終わった。

 この時佐天があからさまに動揺して飲み物を木山のスカートに零し、濡れた事でそれを脱ごうとした木山が脱ぎ女の本性を見せたので俺はみこっちゃんに「ドヤァ」と言っておいた。無視された。

 まあこの様子を見る限り佐天は無事幻想御手を手にいれられたようだな。

 昨日みこっちゃんに幻想御手の事を吐かされた分、ダウンロード出来なくなるのが早まったから不安だったんだが大丈夫だったみたいだ。

 細かくは覚えてないけど佐天が幻想御手の副作用で倒れるのは重要なフラグなはずだからな。

 

 うーん、酷い事考えてるのは分かってるけどこれ回避しちゃったらどうなるか分かんないしなぁ。

 大体佐天から幻想御手取り上げるって事はみこっちゃんにやらせるしかないわけ で、そんな事したら二人の関係が超絶悪化する未来しか見えん。

 勿論こいつらはみんな良い奴だからちゃんと仲直り出来るとは思うけどさ、やっぱ険悪な雰囲気になるのは見たくないじゃん? だから原作通りにするわけさ。

 はい自己弁護乙。

 

「そう言えば佐天さん、見せたい物って?」

 

「あ、えーと。ごめーん! 私用事あったんだ、また今度ね!」

 

 あからさまに怪しい態度で逃げるように、いや実際逃げてるなアレは。

 気持ちは分かるがもうちょい上手く誤魔化そうぜ。何か隠してますって全身でアピールしすぎ。

 

「はあ……?」

 

「どうしましたの?」

 

「さあ?」

 

 さらば佐天、もし話す機会があったら上手なスカート捲りの仕方を教えるから許してく――ってうおおおおお!! みこっちゃん何急に走り出して!?

 

(ど、どうしんだよ急に!?)

 

(アイツを見つけたのよ!!)

 

 ああ、みこっちゃんの上条さんレーダーは今日も健在だな。妖怪アンテナみたいなのがビンビンに立ってるわ……。

 って言うかせめて白井と初春に断り入れてから行けよな……。ほんとにこの子は……。

 

(言っても無駄だと思うけど、ここ街中だから程々になー?)

 

(分かってる!)

 

 分かってねーよ。

 

 

 

 

 

 

 勝負を挑もうとしたはずが何故か教会の案内に話をすり返られてたでござる。みこっちゃん単純可愛い、ぷーくすくす。

 

「そっか、何となく分かった。サンキュー御坂」

 

「うん、じゃあね――――ってコルァ!! ざけんじゃねーぞアンタァッ!!」

 

 あ、気づきやがった。

 んで上条さんを足止めする為に電気を纏った震脚? みたいなのをやって余波で周辺の電子機器が全滅。やっぱり分かってないじゃん……。

 ありゃ、警備ロボもぶっ壊れてる。被害総額は数百万と言ったところか。警備員(おまわり)さんこいつです。

 

「ふん、どう「ば、馬鹿やろ、逃げるぞ!!」ってちょっとおおぉぉ!?」

 

「不幸だぁーー!!」

 

 おー、みこっちゃんの手を握ったまま見事な逃げっぷりだな上条さん。

 ……あれ、こんな展開だったっけ? 何か微妙に違うような……。

 

 っと、俺が原作の乖離具合を気にしてる内に、裏路地の空き地に着いたみたいだな。

 上条さんは壁に頭つけてなんか涙目になってる。哀愁漂ってるなぁ。

 

「不幸だ、こんなのと関わったばっかりに……」

 

「こんなのって言うな!!」

 

 いやいやみこっちゃん、俺も同じ状況になったらこんなの呼ばわりすると思う。むしろまだ気を使ってるレベルだと思うぞ。

 

「だいたいオマエまだ勝負勝負言ってんのかよ。この間なんか俺に背負われて帰る羽目になってたじゃねーか……」

 

「う゛っ」

 

 ふむ、この前の事は一応気にしてるわけか。じゃあ今日はそこから攻めましょうかね、ぐふふふ。

 

(そうだぞみこっちゃん、借りを作ったままは良くないぜ?)

 

(んなっ! あれはアンタが余計な事したせいでしょうが!!)

 

(いやいや、それでも借りは借りだろ? 借りを作ったままちゃんと勝負出来るのかにゃー?)

 

(う、ううう……っ!)

 

「なあ、俺帰っていい?」

 

「だ、だめ!」

 

「はぁ、上条さん補修で出された課題やらをやらないといけないんですよ。頼むから帰してくれ」

 

「私と課題どっちが大事なのよ!!」

 

「誤解される言い方やめて!?」

 

 ふむ、課題か。よし、これを使おう。

 

(よし、みこっちゃん借りを返すために課題を手伝ってやれ)

 

(は? な、なんでそんな事……)

 

(課題が終われば決闘し放題だぜ。それに一緒に過ごせば弱点が探れるかもしれない)

 

(! そ、そうね、弱点も探れるなら私にも利益があるわよね……)

 

 やだ、この子単純……。まじちょろいんですけど。

 

「ね、ねぇ。その課題手伝ってあげても良いわよ?」

 

「……お前、今度は何企んでるんだ? つかお前中学生だろ、高校生の課題できんのかよ?」

 

 ふふ、甘くみてもらっちゃ困るな上条さん。常盤台中学は並の進学校じゃ無いんだぜ?

 

「人聞きの悪い言い方すな! 借りを返すだけよ、いつまでも借りを作ったままじゃ気持ち悪いもの。んで、課題って何やるの? 一応うち進学校だしある程度先取りはしてるから高校のでも何とかなると思うし……あ、宇宙工学系ならこの間レポートを――」

 

「す、ストーップ!! ちょっと待て、ちょっと待とうか? お前、中学生だよな? 実は飛び級の大学生じゃなくて?」

 

「はぁ? 当たり前でしょ、何言ってんの?」

 

「……常盤台中学と言う所は、結構お勉強が進んでいらっしゃるんでせうか?」

 

「ん、まあ普通の所よりは進んでると思うわよ? なんか義務教育中に世界で通用する人材にするって言ってたし」

 

「……………………えっと、課題のお手伝いお願いしてよろしいでしょうか」

 

 数秒の間にすげぇ葛藤したみたいだな。

 やっぱ中学生に宿題手伝ってくださいはプライドが邪魔して言いづらいよな、うん。

 心の痛みに耐えてよく頑張った、その判断は間違ってないぜ。

 

「?? だからやるって言ってるじゃない?」

 

(そっとしておいてやれみこっちゃん、男にも色々あるんだよ)

 

(ふ-ん?)

 

 そう、男にはプライドを捨ててもやらなきゃなんねぇ事があるんだよ……。

 

「あー、でもちょっと今日はこれから魔じゅ……人とちょっとな」

 

「むう、しょうがないわね」

 

 ふむ、魔術師って言いかけたな。さっき教会の場所聞いた事と言いインちゃんとは無事出会えたようだな。

 ……あれ、じゃあ今日から怒涛の禁書目録原作ストーリー開始かよ。結局みこっちゃんと課題やってる暇ねーじゃん。なんと言う骨折り損。

 

「それじゃあな御坂」

 

「うん、じゃねー」

 

 おうおう、凄え良い笑顔だな。まあようやくまともに相手してもらえそうだからな、このツンデレめ。

 でもなみこっちゃん、上条さん今日から魔術師達と連日デート(死闘)の約束があるんだよ。多分一緒に課題やるのはすっぽかされると思うぜ。

 

 あー、これからみこっちゃんの機嫌が最悪になるかと思うと憂鬱「あああああああーーーーーっ!!」な、なんだ?

 

(なんだなんだ、急に大声あげて?)

 

(……アイツの連絡先聞いてない…………)

 

(……うんまあ、ドンマイ?)

 

(何でアンタ言ってくれないのよおおおぉぉぉ……)

 

(……ええー、俺のせいかよ)

 

まあ結果オーライだな。心情的にはすっぽかされるよりはマシだろ、実際すっぽかされるの確定だし。

 

「はあああぁぁぁ……」

 

(まあまあみこっちゃん、そう落ち込むなって。俺が付いてるじゃん)

 

(はいはい、って……ごめん、舞い上がってアンタの事忘れてた……。早く幻想御手を何とかしないと、アンタも意識が体に戻らないのに)

 

(ああ、そりゃ別に良いよ。なる様にしかならんしさ。それにみこっちゃんが上条さんに夢中になるのも仕方ないしな、ぐふふふふ)

 

(だ、だだ誰があの馬鹿に夢中だってのよ!!!!)

 

(えー、だってみこっちゃん倒すべき強敵として上条さんを付けねらってるんでしょ? あんれー、それとも何か別の意味で考えたのかにゃーん?)

 

(ぐ……っ!)

 

(まあもしそうなら早目に素直になったほうが良いぜ? 上条さんああ見えてすげーモテモテだ(ちょっと待て)か、ら?)

 

 あれ、みこっちゃんが昨日俺を尋問したときの目つきしてるんですけど……。こ、こわひ……。

 

(アンタ、なーんか前からおかしいと思ってたのよね? まさかアイツと知り合いだって隠してたわけ? ちょっと詳しく話してみろや)

 

 教訓、口でなく思念も災いの門のようです。




主人公に何させたいのか良くわかんなくなってきた。


2013/6/7 AM5:00頃 感想での指摘により終盤一部修正

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