七月十八日、晴れ。
世間を騒がせた連続
連続
犯人はいじめられっ子で、助けてくれない(実際は手が回らないだけ)風紀委員を逆恨みして狙った犯行。同情は出来なくも無いけど手段も目的も全部狂ってる典型的な例だ。
最終的には口を滑らした所をみっこちゃんがお説教&鉄拳制裁、その後捕縛。
まあ直前の死人が出るレベルの爆発を上条さんが防いで近くに居たみこっちゃん、初春、幼女を助けて死傷者0だったからそれで済んだんだけどな。
死人出てたら社会的に人生オワタだったろうし、それ所かみこっちゃん達に何かあったら白井辺りに物理的に人生を強制終了させられただろう。
つーか俺も犯人を呪い殺したと思う、そんな能力無いけど怒りで目覚めた新たな能力()で呪い殺すわ、うん。
犯人は上条さんに泣いて感謝しとけや。と言うか祀れ。
(とまあ、それぐらいみこっちゃんを大事に思ってるからそろそろ許していただけないでしょうか?)
(気持ち悪いので大事とか言わないでくれます? ほんと気持ち悪いんで)
大事な事なので二度おっしゃられたんですね分かります。
……結局今日一日は俺が話しかけても無視されるか、たまに反応があっても今の様に盛大な毒舌で返されるだけだった。
ほんと反省してます、すいませんでした……。
第三話 僕はプライドが少ない
話し相手が居ないと言うのは地味にきつい。
みこっちゃんの背後霊になる前は社交的って訳じゃなかったけど、毎日職場の人とは話すし家に居れば家族と何気ない会話したり暇な時はネット仲間とスカイプで会話したりと、まあそれなりに他人とは会話することがあった。
それが今や唯一の話し相手であるみこっちゃんにさえ昨日はほぼ無視され、さらに日が明けて十九日になった今日は完全に無視されて凄い辛い。
人間にとって一番の恐怖は孤独と言うけれど身をもって感じることになるとは……。
……あー何か俺の撒き散らす負のオーラでみこっちゃんとか周囲の人間がぶるってるな。
ふむ、絶望と悲しみで新たな能力()が発現したのか。
おお、なんて事だ! 図らずも俺は幻の
さすがはオリ主たる俺だ(驚愕)
――やべぇ、凹み過ぎて思考がおかしくなってきた。いや、素でも考えそうなのは否定できないけど。
そんなくだらない事よりみこっちゃんのご機嫌を取る方法を思いつかんかねこの頭は。
……何も思いつかん。つーか昨日から思いつく限りの褒め言葉やら謝罪の言葉でご機嫌取ろうとしたけど完全に無駄だったし。
このまま無視されたままだったらどうしよう。
(みこっちゃーん、俺が悪かったよ、もう許してくれよ……)
結局は無駄だって分かってるけどこうやって謝るしかない訳で……おや、みこっちゃんのようすが……。
(ほんとに悪いと思ってる?)
(お、思ってます! 反省してます! マグマ溜まりよりも深く! この通りです!!)
頭を地面にこすり付けて土下座する。いやまあ、幽霊だから地面には触れられないんだけどな、そこは気分の問題だ。
(いや、この通りって言われても私アンタの姿見えないし)
(そういやそうか。ん、って事は俺のイケメン顔も見れてないわけか。人生損してるな)
(……やっぱ許すのやめようかしら)
鳴介は嬉しくなると、ついふざけちゃうんだ♪
……必死に謝り通してなんとか許してもらいました。
(そういやアンタはなんか知らないの?)
(うん、何が?)
(
まあこの手の物に有りがちな副作用もばっちり内蔵していて、使用して数日の内に必ず昏睡状態に陥るって寸法だ。
しっかし、俺が凹んでる間に大分イベントが進行してたみたいだな。……うーん、どうするべきか。そりゃ細かい所以外は全部知ってるけど。
俺が教えたことで未来が変化するのも怖いし、何より統括理事長のアレイスターが
ただ、アレイスターはみこっちゃん自身はあんまり監視してなさそうだけど。原作の第三次大戦で幻想殺し捕獲部隊をみこっちゃんがぶっ潰した時、何にも対応してなかったし。
まあそれ所じゃ無かったって可能性も有るか。
うん、やっぱ怖いから念の為音楽ファイルだって事は黙って――
(で、どうなのよ?)
(え? ああ、そんな名前の音楽ファイルは聞いた事無いな)
(えっ?)
(えっ?)
えっ?
(何で音楽ファイルの話……って、アンタ何か知ってるの?)
み、みこっちゃん怖えええぇぇぇ!!
俺の姿見えてないはずなのに何で的確に俺の目を見て睨み付けてるのおおおおぉぉぉぉ!!!!
(いいいいいや、おおおお俺は何もももお)
おおおお落ち着け! こ、ここで脅しに屈するなんて男としてのプライドが――
(吐け)
(はひ)
俺にプライドなんてなかったんだ……。幻想なんだ……。
もうだめだぁ……おしまいだぁ……。
風紀委員第一七七支部の床に正座する俺を、腕を組んで睨み付けるみこっちゃん。
白井はパソコンを操作する手を止めてその光景を訝しげに見ているな。
まあ傍から見ればみこっちゃんが床を見て考え事をしてるように見えなくも無いだろうからな。
(――なるほど、ね。レベルアッパーって言う名前の特殊な曲を聞いてアンタは能力が暴走した。んでそれがウェブ上のどこかにアップロードされていると)
(はひ)
もちろん俺にそんな記憶は無い。
ただもしかしたらこの世界の同姓同名の奴が実は俺の本当の憑依先で、俺が宙ぶらりんになってるのも幻想御手を使って昏睡状態だからって言うなら辻褄は合う気がする。
まあ使ったにせよそうでないにせよ、幻想御手の事説明するにはそうやって言うしかないしな。
(で、その場所は?)
(確か、どこかの音楽配信系サイトにある隠しページでダウンロード出来たと思う。詳しくは覚えてないけど、サイトのタイトルの一部分が入り口だったような……)
「はぁ……。黒子、ちょっといい?」
「え、ええ。構いませんが……?」
「前に小耳に挟んだの思い出したんだけど――」
俺から得た情報を元に適当にごまかしながら白井に指示を出すみこっちゃん。
まあこれだけ情報出せばすぐ見つかるだろ。つーか漫画の知識だからこれ以上詳しくは覚えてないし。
木山先生の事は証拠とか全く無いしな。
(……ったく、アンタは)
う、白井に指示をし終えたと思ったらまた睨みつけてきやがった。
まだなんかあんのかよ……こえーからそんな睨まないでくれよ。俺の業界じゃそんなのご褒美でも何でもないんだよ……。
10歳以上年下の女の子に睨まれて震え上がるのは情けないって分かるけど、怖いもんは怖いんだよ。
(今の状態に成った心当たりがあるなら何でそれをもっと早く言わないのよ。いつまでもそのままでいるだったの?)
はい、そのつもりでした。ぶっちゃけこの世界は俺にとってテンションアッパーになってたし、今の今まで考え付きませんでした。
さすがに声に出しては言えないけどな。
――まあよくよく考えたらみこっちゃんみたいな年頃の女の子が、霊とは言え好きでもない男に四六時中付き纏われるのは(勿論プライベートには配慮してるけど)嫌だよなぁ。
(すまん、迷惑だったよな)
ようやく気づいたのかとばかりに、みこっちゃんが大きくため息をついた。
そりゃ仕方なく一緒に居た奴が元に戻れる可能性を黙ってたら呆れるよな。……いや、嫌われたかな。
(何らしく無い事言ってんのよ。アンタの事だからどーせ馬鹿な事ばっかり考えて忘れてたんでしょ?)
はい、まったくその通りです。返す言葉もございません。……おや、みこっちゃんの様子が……?(二度目)
(アンタの事心配してる人だって居るでしょうに。――それにまあ、枯れ木も山の賑わいって言うか、退屈はしなかったし、迷惑じゃないって言うか……だからまあ反省してるなら別に私は……)
おめでとう! ツンデレは頬を染めてデレに進化した!
ふおおお、赤くなってボソボソ言うみこっちゃん超可愛い!
(お、おお!! も、もしかしてそれは愛の告白なんですか!? ラブなんですか! はっは、みこっちゃんもようやく俺の魅力に気づいたようだね!)
「黒子ー、知り合いに信用できる精神系能力者居ない? ちょっと消したい
鳴介は嬉しくなると、ついry
存在の危機を感じたので間髪入れず謝り倒しました。
――――――あっ、そういや今更だけど俺がみこっちゃんに情報を漏らしたせいでイベントフラグが幾つか折れた気がする。
まあ上条さん関連は統括理事長様がなんとかしてくれるでしょう。アレイ☆スターさん尻拭いヨロシクっす。
主人公はみこっちゃん萌え、ラブは無い。
ちなみに僕はみこっちゃんラブ、度し難いな。
上条さんは爆発しろ。みこっちゃんの責任を取れ。
インちゃんも可愛いからもう二人まとめて責任取れば良いと思う。