吉良吉影はゼロから始めたい   作:憂鬱な者

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第6話:取り戻した自由

ロズワール邸にて

彼は自ら「雇ってほしい」と申し、ロズワール邸の従者となった

 

 

「それでは先ず、ここで働く為に制服を用意します」

 

「ふむ、執事といったところか」

 

水色の髪の少女から制服を受け取る

 

彼は着替えながら2人のメイドの少女に聞く

 

「ところで、君達の名前をまだ聞いていなかった…いいかな?」

 

「妹の『レム』です」

 

「レムの姉の『ラム』よ」

 

(水色の方がレム…ピンクの方がラムか…)

「君達は双子か…?」

 

「はい」

 

「なるほど…何を担当しているのかな?」

 

「私は掃除、洗濯、料理、裁縫など…家事全般をやってます」

 

レムが答える

 

「私はほとんどやってないわ」

 

「…」

 

ドヤ顔で答える彼女を冷たい眼で見る

 

「…ふむ、サイズはピッタリだ

そうだ、わたしの名前をまだ言っていなかったかな?

わたしの名は『吉良吉影』だ…これからよろしく頼むよ…」

 

「では吉良さん、まずは屋敷内の掃除をしますのでついてきてください」

 

着替え終わり、彼女達について行く

 

 

「ここに道具がありますから、これを使ってください

私は各部屋をやりますから、吉良さんは廊下をやってください」

 

「わかった」

 

そう言い、彼は箒や雑巾など、一通りの道具を持って行った

 

 

「さて…と、まずは箒で大きなゴミを集め…壁の埃を落とす…

次に床を拭き取る…しっかり壁と床の隅も拭かないとな…

家具の下なども見落としちゃあダメだ…

ふ〜む…窓拭きはどうするか…新聞紙があればいいのだが…」

 

あれこれ工夫するなどし、黙々と掃除を進める

 

 

数十分後

 

 

「吉良さん、掃除の程はどうですか?」

 

「ん…あぁ、順調だよ

この屋敷は広いからね…中々堪えるよ…」

 

「…凄い、床も壁も窓も全部ピカピカ…

普通は此処まで出来ないのに…」

 

周囲を見渡し、塵一つ無い廊下に感動する

 

「吉良さんは前は何をしていたんですか?」

 

「ん?ただの平凡なサラリーマンだよ」

 

「さらりーまん?」

 

「なに、几帳面なだけだよ…」

 

「そうですか…、次は庭の手入れをしますから、片付けたら玄関前に来てください」

 

「わかった」

 

 

 

 

 

「待たせてすまない」

 

「いえ、それではついて来てください」

 

そう言われ、彼女と一緒に外に出る

 

 

「それでは、吉良さんは雑草や伸びた芝を刈ってください

私は植木の手入れをしますので、終わったら手伝ってください」

 

「わかった」

 

 

黙々と芝刈りを進めながら

彼はふと、ただジッと見つめてくるラムの方を見た

 

(あいつは何をしているんだ…

手伝いもせず、偉そうに突っ立って…まぁ、放っておくか…)

 

 

数十分後

 

 

「ふぅ…やっと終わったよ…」

 

「お疲れ様です、しばらくしたら昼食の用意をしますので

それまで、休んでいてください」

 

「ありがとう…」

 

顔の汗を拭い、屋敷に戻る

 

 

 

 

彼は用意された自分の部屋に戻り、ストレッチをしていた

 

ドアをノックし、レムが入ってくる

 

「失礼します

紅茶を淹れたので、よかったらどうぞ」

 

「おぉ、ありがとう」

 

彼女はティーセットを載せたワゴンの上でカップに紅茶を淹れ

彼に渡す

 

香りを嗅ぎ、一口飲んだ

 

「…ん〜、良い紅茶じゃあないか

結構良いやつじゃないのか?いいのか、わたしに?」

 

「はい、少しだけ残って古くなってたものですから

それに、吉良さんはとても頑張ってくれましたから…

もうしばらくしたら昼食の用意ですから、来てください」

 

「あぁ、ありがとう」

 

そう言うと、彼女は出て行った

 

 

 

 

 

ティーカップを片手に、窓際の椅子に座り

彼は外を眺めていた

 

「美しいところだ…ルグニカ王国…

車など、近代的なものが無いようだから少し不便だが…

緑が多く…空気が澄んでいて、とても気持ちいい

特にここなんかは周りには何も無く…とても静かだ…

こんな良いところが今まであったかな?

杜王町も良いところだったが…ここもとても良いところだ

奥にうっすら見える山と美しい木々を見渡し…

小鳥の囀りを聴きながら美味しい紅茶を堪能する…

こんなに素晴らしいことが他にあるだろうか…?

仕事も良い…

掃除や庭の手入れ…中々新鮮でいいじゃないか…

それに、信じられないがここは、わたしが元いたところとは別の世界だろう

この世界にわたしの正体を知る者はいない…

だから、わたしはもう『川尻浩作』として振舞わなくていいんだ…

わたしが『吉良吉影』と名乗ろうが『川尻浩作』と名乗ろうが関係無い…

わたしの正体を知るもの…わたしを追うものは誰もいない…!!

ククク…クソったれ仗助や承太郎の心配は無い…

わたしは自由だ…自由になったんだ…!!

ク…クク…フフ…フハハハハハ…!!」

 

満面の笑みを浮かべ、息を殺しつつ、彼は心の底から笑った




スタンドって便利そうですよね
掃除とかに

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