吉良吉影はゼロから始めたい   作:憂鬱な者

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第4話:キラークイーン(危険な女王)

二人が睨み合い、緊迫した空気が張り詰める

 

「…『キラークイーン』というのね、それは」

 

「君はわたしにとって『いて欲しくない存在』であり…

社会にとっても『危険な存在』だ…

現に君は彼女を殺そうとした、その時点で君はわたしの『敵』だ…

生かしておいても君は諦めるような人間じゃあないだろう

いつ殺されるかわかったもんじゃあない…

だから、君はここで『始末』されなくてはいけない

わたしのこの『キラークイーン』にね…」

 

「貴方のそれは『精霊』なのかしら?

それとも『使い魔』といったところ?」

 

「これは『スタンド』と呼ばれている…

まぁ、君に教えたところで意味は無いのだが…

ところで君…殺し屋か何かの様だが?

君について…君の関係していることについて聞いておきたいな…

始末する前に…情報を集めておきたい

殺し屋は君一人というわけではないだろう?

他にも何人か、同じやつがいるんじゃあないのか?」

 

「フフ…そんなに簡単に教えると思うのかしら?」

 

「そうか…じゃあ君には消えてもらうだけだ…」

 

彼が言い終わる瞬間、彼女は彼に目にも留まらぬ速さで切り掛かる

 

(速い…!!)

「しばッ!!」

 

キラークイーンがパンチのラッシュを叩き込み、退けさせはしたが

ナイフで防ぎ切られた

 

「なかなか速いのね、貴方のスタンド」

 

(この女…ただものじゃあないな)

 

「貴方はなかなか楽しめそうね」

 

そう言い、彼女は彼の周囲を高速で飛び回り始めた

 

(速い!!目で追えない!!)

 

瞬間、彼の背後から切り掛かって来た

 

「くっ…!!」

 

紙一重でキラークイーンの腕で防いだが

 

再び背後から襲われ、肩を切られた

 

「ぐ…!!」

 

体勢が崩れた瞬間、今度は左から襲って来た

 

「…!!キラークイーン!!」

 

ギリギリでキラークイーンの交差させた腕で受け止める

 

「うふふ…ナイフは一つだけじゃないのよ?」

 

そう言い、彼女は懐から2本目のナイフを取り出し

彼の腹を目掛けて切りかかる

 

「くっ…!!」

 

キラークイーンの膝蹴りで何とか防いだが

今度は二刀流の連撃を仕掛けて来た

 

「うぐ…!!」

(速い!!仗助のクレイジー・D程ではないが、防ぐのでやっとだ!!

わたしのキラークイーンは格闘戦に向いていない…

何とかしなくては…!!)

 

「ほらほら、それだけかしら〜?」

 

彼女の連撃を何とか防ぐが、少しずつ押される

 

「くっ…!!

野郎ォ————ッ!!」

 

切り掛かる瞬間を狙ってナイフを2本とも弾き飛ばし

彼女の腹にパンチを一撃打ち込み、壁まで吹っ飛ばした

 

「ふぅ…なんて速いやつだ…」

 

一息つき、顔の汗を拭う

 

「うふふ…今の凄い効いたわ〜」

 

破れた壁の向こうから現れる

 

「ちっ…」

(キラークイーンのパンチを食らったのに立てるとは…

なんてタフな女だ…

だが…『距離』は取れた!!)

 

彼女が3本目のナイフを取り出し、ゆっくり歩いて来る

 

「…君のおかげでわたしは勝てそうだよ…」

 

「?それはつまり、貴方には何か勝てる策でもあるというのかしら?」

 

「あぁ…そうだよ…

『血』…こんなにいっぱい出てるだろう…?」

 

そう言い、彼は溢れ出る血を手で掬う

 

「しばッ!!」

 

すると、彼はキラークイーンでその血を高速で彼女に向かって飛ばした

 

「!!」

 

彼女はナイフで振り払ったが

血の一部が彼女の左肩に『貫入』した

 

「まさか…仗助の奴に学ばされるとはな…」

 

「血を高速で飛ばして刃物のようにしたのね…

これが貴方の秘策なのかしら?」

 

彼女がそう聞くと、彼はネクタイを締め直しながら答えた

 

「あぁ…これがわたしの策であり…

そして…君はもう『始末』されている…」

 

その場にいた全員が首を傾げた

 

「キラークイーンにはちょっとした『特殊能力』があってね…」

 

「特殊能力?」

 

「そう…

キラークイーンの『特殊能力』…

それは…キラークイーンは触れたものはどんな物質だろうと『爆弾』に変えることができる…

何だろうと…例え『血液』だろうと…クク…」

 

「!!まさか!?」

 

彼女が自分の左肩の傷を見た瞬間

 

 

カチッ

 

 

彼女の体が爆発した

 

「これで今夜も安心して熟睡できる…」

 

彼がそう言い、呆気にとられている銀髪の少女達の方に行こうとすると

 

「…う…うっ…」

 

爆煙の中から呻き声が聞こえ

振り向く

 

「ふむ…一発では死ななかったか…

やはり、全部当てなければダメだったか…」

 

爆煙から現れたのは、肩がぐにゃぐにゃに変形した黒い服の彼女だった

 

「何が…起きて…?」

 

自分の変形した肩を見て呟く

 

「君はキラークイーンが爆弾に変えたわたしの血で爆破されたんだ…

キラークイーンは触れたものは何だろうと爆弾に変えられる…

キラークイーンの爆弾は、相手の肉体を内部から爆破するんだ

君の場合、肩の肉と骨が中でシェイクされたようだね…」

 

這い蹲る彼女の側まで歩き、持っているナイフを蹴っ飛ばす

 

「さて…君を『吹っ飛ばす』前に…君について、君の関係者について聞かせてもらおうか…?」

 

「…いいわ…教えてあげるわ

私はただの雇われた殺し屋よ…

エルザ・グランヒルテ、それが私の名前…『腸狩り』なんて呼ばれてるわ…」

 

「随分と物騒な名前じゃあないか…

腹を切って内臓を観賞するのか?気味の悪い趣味だ…」

 

「そう?…貴方も同じじゃないかしら?」

 

「…さぁ…何のことかな?」

 

彼がそう言うと彼女は猛スピードで彼から離れた

 

「…」

 

「うふふ…貴方、面白い人ね

今は一旦退いてあげるわ、またいつか会いましょう」

 

そう言い、彼女は蹴り飛ばされたナイフを拾い、窓から逃げた

 

「あ!逃げた!!

おい、おっさん!何で逃したんだよ!?」

 

金髪の少女が彼に聞く

 

「逃した…?ちょっとまて…わたしは逃してなどいない…

言っただろう?わたしは既に『始末』したと…」

 

「え?」

 

「キラークイーンは既にナイフに『触れている』…」

 

 

カチッ

 

 

「さて…『徽章』は彼女に返してやってくれないかな?」

 

「あ、あぁ…わかったよ…ほら」

 

そう言い、少女は銀髪の少女に徽章を渡す

 

「ありがとう、えっと…『吉良』さん…でしたっけ?

あの、助けてくれてありがとうございます!

何てお礼をすれば…」

 

「礼はいい…

わたしは借りを返しただけだ…」

 

「なら、返させてください!

貴方は徽章を取り戻すのを『手伝った』上、私の命を『助けて』くれました!」

 

「…」

 

「だから、何かお礼をさせてください!」

 

「なら…君の名を教えてくれないか?

まだ、わたしは君の名を聞いてない」

 

「え、そんなことでいいんですか?」

 

「君はわたしの名を知ったんだ、君も名乗るべきじゃないかな?」

 

「は、はぁ…

エミリア…私の名前は『エミリア』です…よろしくお願いします」

 

「エミリア…ふむ…良い名前じゃあないか…

それじゃあ、わたしはこれで失礼するよ…」

 

そう言い、彼は店を出ようとする

 

しかし

 

 

バタッ

 

 

扉に手をかけようとした瞬間、彼は倒れた

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

「おっさんどうした!?」

 

(しまった…血が足りない…

仗助達との闘いに続いて、ここでの闘い…随分と出血したからな…

本当に…こんな酷い一日は生涯初めてだ…)

 

彼女達が心配する中

次第に彼の意識は遠のいていった




キラークイーンは訳すと「危険な女王」になるそうです
直訳すると「殺しの女王」になります

キラークイーンってパンチのラッシュを放つ時「しばッ!!」とか言うんですね
長時間ラッシュをするなら「しばばばばばッ!!」とか言うのかな?(笑)

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