吉良吉影はゼロから始めたい   作:憂鬱な者

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第3話:徽章を巡って

2人は徽章を探しに、貧民街の盗品蔵へ行くことにした

 

 

数時間が過ぎ、日が暮れ始めてきた

 

 

「ここが盗品蔵か…

貧民街と言うだけはあるな」

 

ボロボロの建物や、所々にいる貧しい人々を見て呟く

 

「取り敢えず手分けして探そう、その方が見つけやすい

30分ほどしたらここで落ち合おう」

 

「わかりました、見つかると良いけど…」

 

「それじゃあ、わたしはあっちを探してくるよ」

 

そう言い、二手に分かれた

 

 

 

 

「ルグニカ王国…やはりここは中世ヨーロッパと同じぐらいといったところか…

だが、歴史上見たことも聞いたこともない文字や通貨ばかりだ…

…!!」

 

独り言を呟き、彼はハッと気付いた

 

「しまった…ここは盗品を売りさばいているところだったな…

ということは、取り返すには金が必要か…

だが、今わたしは持っていない…あいつも財布らしきものは持っていなかった…

『ひったくる』か…?いや、それだと…」

 

ドンッ

 

角を曲がろうとした瞬間

彼は黒い服の女性とぶつかった

 

「おっと、危ない…

怪我は無いかね、お嬢さん」

 

ふらついたが、彼は逆に倒れそうになった彼女の手を掴み、支えた

 

「あら、優しいのね…」

 

「考え事をしていたよ…すまなかったね…」

 

「こちらこそごめんなさい、少し急いでいたもので」

 

「そうか…足元に気をつけて…」

 

そう言い、彼は彼女を見送った

 

(今の女…この村のじゃあないな…それに

わたしと『同じ臭い』がしたぞ…

手を切る時期の『彼女』と同じ臭いだ…)

 

彼の顔が少し曇る

 

 

 

 

数分ほど歩き廻っていると、小さなテントを見つけた

 

「何だ、これは…?家…なのか?

少し、覗いてみるか…」

 

そう言い、テントの中に顔を入れようとする

その瞬間、彼の背後から声がした

 

「おい、おっさん

こんなところで何してんだ」

 

「…」

 

ゆっくり振り向く

 

背後にいたのは、金髪の少女だった

 

「君の家かね…?」

 

「そうだよ、何他人ん家覗いてんだ!盗る様なもんはねーぞ!!」

 

「勘違いしないでほしいな

わたしは別に何か盗む気など無い」

 

そう言いながら、彼女に手を出す

 

「それより、君が盗んだものを返してほしいのだが…?」

 

「盗んだものを返してほしい〜?」

 

「そう、君が昼頃に銀髪の少女から盗んだ『徽章』を返してほしいんだ

わたしは彼女に借りがあってね…それを返す為に必要なんだ」

 

「へっ、そう易々と返すかよ!

買ってくれるならいいぞ?」

 

(このガキ…わたしをナメてるのか?

盗んだものに金を払って取り返せだと?ふざけやがって…)

「そうか…じゃあ、少しわたしについて来てくれないか?

会わせたい人がいるんだ…」

 

「何だよ、私はロム爺の所に行かなくちゃいけないんだ」

 

「…誰だそれは?」

 

「あっちにある店の爺さんだ

そこでこの徽章の値打ちを聞くんだ

それに、今『先客』がいる」

 

(先客だと?やはり他にいたのか…)

「そうか…じゃあ後でそこに一緒に行くとするよ…

邪魔したね…」

 

そう言い、彼は急ぎ足で彼女と集合することにした

 

 

 

 

数分後

 

 

 

 

「あ、そっちはどうでした?私の方は特に何も…」

 

「急いだ方が良さそうだ、既に買い手がいるらしい

向こうに店がある、そこで交渉するそうだ」

 

「え!?急がないと!!」

 

そう言い、2人は店まで走って行った

 

 

 

 

 

しばらく走り、店に着いた

 

「はぁ…はぁ…

まだ…いるかな…?」

 

「ふぅ…体力の無さを実感したよ…

こんなのは何時以来かな…」

 

一度深呼吸し、扉を開けた

 

扉を開けると、中には3人の男女がいた

 

「あ!さっきのおっさん!!」

 

「何じゃ?客か?」

 

「その交渉…少し待ってもらおうか…?」

 

そう言い、2人はテーブルに向かった

 

「あら、貴方は何時ぞやの…」

 

そこには、彼が少し前に会った黒い服の女性もいた

 

「まさか、君が先客だったとはね…

悪いが、徽章は彼女のものなんだ、譲ってくれないかな?」

 

「それ、私のものなんです!お願い!!」

 

「待て待て、それは商談で決めるべきだろ」

 

金髪の少女が割り込む

 

「商談…つまり、わたし達が彼女より多く金を出せばいいんだな?」

 

「まぁ、早い話がそうだな」

 

「その嬢さんは聖銀貨10枚出せると言っていたが

お前さん達は出せるのか?」

 

(まずいな…わたし達は金を持っていない…

なら、物々交換をするしかないな…)

「わたし達は金を持ち合わせていない

だが、物々交換は出来る」

 

「ほぉ、何が出せるんじゃ?」

 

巨体の老人が詰め寄る

 

「…これを出そう」

 

そう言い、彼が胸ポケットから出したのは壊れた腕時計だった

 

「これは時計というものだ

時刻を正確に刻んでくれる

壊れてはいるが、直せばそれなりの値段はするものだ

これで足りるかな?」

 

「ふぅ〜む」

 

老人が手に取り、まじまじと見る

 

「確かに、歪んでる部品を直せば動きそうじゃな

それに、珍しい素材を使っておる

中々興味深い…

良くて聖銀貨10枚といったところかのぅ」

 

「では、同じ金額を出せる訳だ…

なら、元の持ち主が買うべきじゃあないかな?」

 

黒い服の女性を見て言う

 

「…そうね、残念だわ」

 

そう言い、コップの中のミルクを飲み終える

 

「じゃあ、死んでもらうわ」

 

「!!危ない!!」

 

コップを置いた瞬間、銀髪の少女に向って光が一閃したが

 

それを彼の腕から現れた『もう一つの腕』が弾いた

 

「「「!?」」」

 

彼以外のその場にいた者達が驚きの声を上げた

 

「やはり…貴様…『殺し屋』か…」

 

「あら、気づいていたのね

それよりも…貴方のその一瞬だけ見えた『腕』は何かしら?」

 

彼女と彼の顔が僅かに険しくなった

 

「貴様…見えている…のか?

スタンド使い…ではないな?」

 

彼の体からドス黒いオーラが出る

 

「まぁいい…君がスタンド使いだろうと…そうでなかろうと…」

 

「貴方、ただの人間じゃないみたいね」

 

「…わたしの名は『吉良吉影』…年齢33歳…

自宅は杜王町北東部の別荘地体にあった…結婚はしていない…」

 

「?」

 

「仕事は『カメユーチェーン店』の社員をやっていたよ…遅くとも夜8時までには帰宅していた…

タバコは吸わない…酒は嗜む程度…

夜11時には床につき、必ず8時間は睡眠をとるようにしている…

寝る前に温かいミルクを飲み、20分ほどのストレッチで体をほぐしてから寝ると…朝までほとんど熟睡さ…

赤ん坊のように疲労やストレスを残さないで朝、眼を覚ませるんだ…

健康診断でも異常無しと言われたよ…」

 

「何を言っているのかしら?」

 

「わたしは常に『心の平穏』を願って生きている人間ということを説明しているのだよ…

勝ち負けにこだわったり、頭をかかえるような『トラブル』だとか、夜も眠れないといった『敵』をつくらない…というのが

わたしの社会に対する姿勢であり、幸福だということを知っている…

もっとも、わたしは闘ったとしても誰にも負けんがね…」

 

「…」

 

「つまり、お嬢さん…

君はわたしの平穏を妨げる『トラブル』であり『敵』というわけさ…」

 

そう言い、彼のオーラから彼の『スタンド』が現れる

 

「『キラークイーン』と、わたしはこいつを名付けて呼んでいる…

今夜もぐっすり熟睡出来るように…『君を始末させてもらう』」




吉良は私と似ているところがあるので好きなキャラです

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