吉良吉影はゼロから始めたい   作:憂鬱な者

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第2話:探し物

(…しまった…気絶してしまったか…

何だ?やけに後頭部が温かいな…)

 

ゆっくりと目を開ける

 

「あ、起きたみたいだね」

 

「!?何だ!?」

 

目を覚ますと目の前にいたのは人間大の猫だった

 

彼はそれに驚き、勢いよく起き上がり

間合いをとって身構えた

 

「何だ貴様は…わたしに何をした…?」

 

「私が頼んで看病してもらってたの」

 

猫の背後から銀髪の少女が現れる

 

「貴様はあの時の…

確か『魔法使い』だとかあいつらが言っていたな…」

 

「えっと、正しくは『精霊術師』です」

 

「精霊術師…?」

(スタンド使いではないのか?)

 

「精霊術師っていうのは精霊と契約を結んだ術師のことで

魔法使いとは異なるの

精霊術師は精霊の力を借りて術を使うけど、魔法使いは自分の力を使って魔法を使うの

それで、私の精霊がこの子、『パック』って呼んでるわ」

 

手乗りサイズの大きさに戻り、彼女の手に乗る

 

(看病していたと言ったな…)

 

体のあちこちを触る

 

(傷が無くなっている…これはこの女がやったのか?

仗助のクレイジー・Dと同じか?いや、魔法というやつか…?)

 

「体、大丈夫ですか?

左肩にはガラス片が入ってて、あちこちの骨にはヒビが入ってて…

あの人たちにやられたんですか?」

 

「いや…これはちょっとした『事故』でね…

これ…君が治したのか?」

 

「あ、はい」

 

「そうか…ありがとう…と言っておくよ」

 

ゆっくり立ち上がり、服を払う

 

「ところで、あの…

その格好、他所から来たんですか?

見ない格好だけど…」

 

「わたしは『杜王町』から来たんだがね

ここはどこかな?」

 

ネクタイを締め直しながら聞く

 

「ここは『ルグニカ王国』だけど…

もりおうちょう?聞いたこと無いところ…」

 

「ルグニカ…聞いたこと無いな

それに王国だと…?」

 

「知らないのに来たんですか?」

 

「来た…というより来てしまった…といったところか」

 

ポケットに手を入れ、周りを見渡す

 

「あの…聞きたいことがあるんですけど、いいですか?」

 

「今のわたしはわからないことだらけだが?」

 

「あの、このくらいの大きさの『徽章』を持った人を知りませんか?

多分、この路地裏を通って行ったと思うけど…」

 

「…それは大切なものなのか?」

 

「はい!凄く大切なものなんです!!」

 

(ここを通った奴で怪しいのは、あの子供ぐらいか…)

「それらしいのはここを通って行ったな、何か持っていたが…

それかもしれないな」

 

「本当ですか!?

あ、でもどうやって見つければ…」

 

「…わたしが手伝おう」

 

「え?でも…」

 

「わたしは君に『助けられ』『治療』してもらった

君には借りがある…それを返すだけだ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

そう言い、2人は路地裏を出ると、聞き込みを始めた

 

 

(取り敢えず、近くをあたるか…)

 

そう心の中で呟き、目に入った店に寄る

 

(…読めん)

 

並んでる果物の札を見るが、何と書いてあるか彼には読めなかった

 

(取り敢えず、ここは八百屋の様なものか…)

「聞きたいことがあるんだが、いいかな?」

 

店の主人に聞き込みを入れる

 

「何だあんた?

答えてもいいが、うちの商品を買ってからにしてほしいな」

 

(少なくとも、円で買えるものではないな…)

「すまないが、今は急いでいてね

盗まれたものを取り返さなくちゃあいけないんだ

買うのは後にさせてもらえないかな?」

 

「そうか、じゃあ仕方ないな

この辺りで盗みをするのは、貧民街の連中ぐらいだろ」

 

「貧民街?」

 

「あぁ、ここから向こうにずっと行った所に盗品蔵ってところがある

人のものを盗んでは売りさばいて金にしてるところさ」

 

「そうか…邪魔したよ」

 

「あぁ、後で買って行ってくれよな」

 

そう言い、彼は彼女と合流しに行った

 

 

 

 

(盗んだものを売る村か…なら、なるべく急いだ方がいいな)

「犯人は盗品蔵の人間である可能性が高い様だ

売られる前に急いだ方がいいだろう」

 

「盗品蔵…うん、早く行きましょう!」

 

(ちっ…面倒だな…)




一応、吉良はアニメ版をイメージして書いてます

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