吉良吉影はゼロから始めたい   作:憂鬱な者

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第12話:シアーハートアタックは砕けない

《コッチヲ見ロォ!!》

 

キラークイーンの左手から発射された『シアーハートアタック』が

片っ端から魔獣達を跡形も無く消し飛ばして行く

 

「何あれ…」

 

「キラークイーン第2の爆弾『シアーハートアタック』だよ…

わたしのスタンド、キラークイーンの左手から一発だけ発射出来る『自動追尾爆弾』さ…

目につく標的は片端から木っ端微塵に爆破する…」

 

髪を整えながら彼女に解説する

 

「あっちはシアーハートアタックに任せておくとして

わたし達はこっちの奴らを始末しよう…」

 

「わかったわ」

 

そう言うと彼女は魔獣達に向かって歩こうとしたところ

彼に肩を掴まれて止められた

 

「待て待て待て待て待て…

動いちゃあダメだ…」

 

「は?」

 

「シアーハートアタックは『温度』の高いものを感知して、攻撃する…

動いて体温が上がったら…

シアーハートアタックは君に向かって来るんだよ…」

 

「じゃあ、どうするのよ…」

 

「わたしに考えがある…」

 

すると彼は彼女に顔を近づけて言う

 

「君、さっき見たところ…

『風』を操ることが出来るみたいだね…

君の魔法か何かだろう…

そこで、君に協力してほしいんだが…」

 

「…はぁ、しょうがないわね…」

 

すると2人は小声で作戦を話し合うと

身構えた

 

「いいか、『同時』にやるんだぞ?」

 

「わかってるわよ」

 

そう言い、彼女が腕を振ると

彼女の腕から刃物の様に鋭い風が飛んだ

 

すると

 

「今だッ!!キラークイーン!!」

 

キラークイーンがその風を手刀で叩いた

 

風は魔獣達に向かって飛んで行き

命中した

 

すると

 

 

カチッ

 

 

命中した風が大きな爆発を生んだ

 

「『第1の爆弾』…触れたものを爆弾に変える…

『空気』+『爆発』…

キラークイーンは1つの『物体』であれば何であろうが爆弾に変えられる…

例え、空気だろうと塊にすれば爆弾に出来る…」

 

爆発は、周囲の魔獣も巻き込み

複数体同時に吹っ飛ばした

 

「とんでもない能力ね…」

 

「ぼやぼやするな、続けて撃つぞ…!!」

 

「はいはい」

 

そう言い、風を爆弾に変えては遠距離から魔獣を爆殺するという作業を繰り返した

 

 

 

 

 

 

《コッチヲ見ロッ!!》

 

カチッ

 

《コッチヲ見ロッ!!》

 

カチッ

 

《コッチヲ見ロォォォォォ!!》

 

シアーハートアタックが容赦無く魔獣達を片っ端から爆殺して行く

 

《今ノ爆発ハ人間ジャネェ〜》

 

キュルキュルとキャタピラの音を鳴らしながらじわじわと魔獣達に近寄る

 

すると魔獣の群の中からあの『子犬』が現れた

 

子犬が群の前に立つと

唸り声を上げながら体がどんどん変形して行き

他の魔獣より遥かに巨大な魔獣に変化した

 

「む、あのクソ犬…

あんなに巨大になれたのか…

まぁ、だからといってどうという事は無いがね…」

 

《コッチヲ見ロォ!!》

 

シアーハートアタックが巨大な魔獣に突撃するが

 

あっさり魔獣に踏み潰された

 

「あ!!ちょっと吉良!!

あれ!えっと…あれ!踏み潰されたわよ!?」

 

「ふ〜ん」

 

「ふ〜ん…ってちょっと!!

ど、どうするのよ!?」

 

すると彼は溜息をついて言った

 

「我がスタンド、キラークイーンの第2の爆弾…

シアーハートアタックは…

狙った獲物は『絶対』に仕留める…」

 

 

カチッ

 

 

スイッチ音がすると

次の瞬間、魔獣の足が爆発した

 

すると、爆煙の中から

無傷のシアーハートアタックが飛び出し

魔獣の顔面に張り付いた

 

《コッチヲ見ロッ!!》

 

ギャリギャリとキャタピラで魔獣の顔面を削りながら走り回る

 

「嘘ぉ…踏み潰されたのに全然効いてない…」

 

「シアーハートアタックは何であろうが破壊出来ないよ…

あの承太郎のスタンドにも耐えられるのだ…

あの程度の攻撃…傷一つつかないよ…」

 

すると、魔獣はシアーハートアタックを何とか振り落とすと

シアーハートアタックに奥歯で噛み付いた

 

《イデデデデ》

 

シアーハートアタックに少しずつ亀裂が走る

 

「あ、噛み砕く気!?」

 

「ふむ…

歯というのはダイヤモンド並の強度を持つと聞く…

だが、シアーハートアタックは壊れんよ…」

 

《コッチヲォ…見ロォォォォォッ!!》

 

シアーハートアタックの髑髏の目が赤く光ると

ギャリギャリとキャタピラで魔獣の奥歯を削った

 

すると、魔獣の奥歯が力に耐えきれず砕けた

 

「うわぁ…」

 

つい、彼女は自分の顎を押さえた

 

シアーハートアタックは歯から脱出すると

魔獣の喉の奥に飛び込んで行った

 

 

カチッ

 

 

スイッチ音と共に魔獣の腹が爆ぜ

そこからシアーハートアタックが彼らのそばまで飛び出てきた

 

激しい呻き声を上げながら魔獣がのたうちまわる

 

「ふむ、流石にデカいだけあって中々死なないな…」

 

すると魔獣はふらつきながら立ち上がり、彼らに背を向けた

 

「!!逃げる気か!?

そうはさせるかッ!!」

 

すると彼はキラークイーンでシアーハートアタックを掴むと

キラークイーンは大きく振りかぶった

 

「スティーヴン・ルイスのピッチングの様に

豪速球でシアーハートアタックを叩き込んでやる…」

 

そう言い、渾身の力を込め

シアーハートアタックをぶん投げた

 

 

《コ ッ チ ヲ 見 ロ オ ォ ォ ォ ォ ォ ッ ! !》

 

 

シアーハートアタックは魔獣の後頭部にめり込み

メリメリと潜り込んで行くと爆発した

 

頭部のほとんどが消し飛び

魔獣は力無く倒れた

 

すると、他の魔獣達も何処かに去って行った

 

「これで今夜も…」

 

「安心して熟睡出来る…って?」

 

「…ふん」

 

ニヤつく彼女に先を読まれ

少しムッとした

 

 

シアーハートアタックを回収し

2人は少女を連れて村に戻った

 

すると、そこには村人達が待っていた

 

「おぉ!!2人が戻って来たぞ!!」

「子供達を助けていただきありがとうございます!!」

「彼らは英雄だ!!」

「有難や、有難や」

 

村人達が2人に寄ってたかり

2人に感謝の言葉が雨霰のごとく降り注ぐ

 

(この吉良吉影…目立つことは最も嫌いなことだ…

こんな、寄ってたかってちやほやされるなど…

わたしは英雄なんかじゃあない…

ただ、自分の為にやったことなのだ…)

「悪いが、わたしは先に戻ってるよ…」

 

「え、あぁ、わかったわ」

 

そう言い、少女を彼女に預けると

1人屋敷に戻った

 

 

「目立つのは嫌いだ…

だが…悪い気分じゃあなかったな…

人助け…か…」

 

すると、彼は無意識に

少し微笑んでいた

 

 

屋敷に戻ると

彼は、レムを探した

 

「この部屋かな…?」

 

扉を開けると、ベッドにレムが寝ていた

顔を覗き込んで見ると、彼女の顔色は良く

ぐっすり眠っていた

 

「…!!」

(何だ…?

この吉良吉影、今ホッとしたのか?

また…

いや、ホッとしたのは

わたし側のものが無事だったからだ…

そうだ、そうに違いない…

わたしが他人の心配など…)

 

そう思いながら、彼は自分の部屋にもどった

 




シアーハートアタックって
全スタンド中、最硬クラスの強度なんですってね
キラークイーンってチートすぎですよね

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