吉良吉影はゼロから始めたい   作:憂鬱な者

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第10話:吉良吉影は犬が嫌い -前半-

レムを抱え、彼は玄関まで走った

 

 

玄関に着くと、そこにはラムがいた

 

「!?レム!!一体どうして…!!」

 

「呪いだ…

今日の昼ごろ、村で犬に手を噛まれた

あの犬が魔獣というものの可能性がある

術はもう発動している様だ…助けるにはその犬を始末するしかない」

 

「…その証拠はあるの?」

 

「それ以外に考えられない

わたしを疑っているのか…?」

 

「そういうわけじゃないけど…」

 

「とにかく衰弱が激しい…

もって朝日が昇るまでか…」

 

そう呟くと彼は彼女にレムを預けた

 

「え、ちょっと!!

まさか…1人で行くつもりじゃ…!!」

 

「…わたしは平和な生活を何より望んでいる

それを脅かすものは何者だろうと生かしてはおけない…

それに…その娘とはそれなりに付き合いがあるからね…

死ぬとわかっていて見殺しには出来ないよ…

それに、君も死なれたら困るだろう?」

 

「…わかったわ

ラムも行く」

 

そう言うと彼女はレムを抱えて部屋に向かった

 

「後で行くから、無理はしないで

…レムはラムの大切な妹

ラムには助ける義務があるもの」

 

「…好きにするといい」

 

そう言い、彼は村に向かって走って行った

 

 

 

 

「…この騒ぎ、やはり思った通りだ」

 

村に着くが、あちこちで人が話し合っていた

 

とりあえず、彼は話を聞いてみた

 

「何があった?」

 

「あ、あんたは確かあの屋敷の…

村の子供達がいなくなったんだ

多分、森の方に行ってしまったのかもしれない…

いや、魔獣に連れ去られてしまったのかもしれない」

 

(やはり遅かったか…)

 

そこにラムもようやく到着した

 

「はぁ…はぁ…どうしたの?」

 

「村の子供達も連れていかれた可能性がある」

 

「そんな…早く助けないと!」

 

「待て、焦ってはいけない…

こんな時こそ、落ち着いて状況を把握し、冷静に対処しなくてはダメだ

闇雲に行っても返り討ちにあう可能性が高い

視界が悪い上に、何よりこの森は魔獣のテリトリーだ

圧倒的にこっちが不利だ

慎重に行くんだ…」

 

「…わかったわ」

 

そう言うと、2人とも呼吸を整え

森に足を踏み入れた

 

 

「見て、結界が壊されてるわ」

 

「結界?あの石がそうか…

だが、これはあの魔獣を踏み入れさせない為のものじゃあないのか?

魔獣が壊したとは考え難い」

 

「…そうね、誰かがやったのかもしれないわ」

 

(まさか、新手の暗殺者…だろうか…)

 

 

「吉良、レムを噛んだ奴に特徴はある?」

 

「そうだな…頭の一部が禿げていたぐらいだな…」

 

「そう…」

 

しばらく進んで行くと、開けた所に出た

 

 

「!吉良、あそこ!」

 

彼女が指差した所を見ると、子供達が倒れていた

 

「大丈夫だ、息はあるし正常だ…

だが、何故こんなところに…」

 

「誰かが置いた…可能性があるわ」

 

「…ん?

待て、1人いないぞ…!

あの犬を抱えていた娘だ!」

 

すると、1人の少女が口を開いた

 

「森の…奥に連れて行かれてた…」

 

「森の奥だと…

魔獣の住処じゃないか…」

 

彼は一瞬考え込み

ラムに言った

 

「わたしはもう1人の娘を助けてくる…

君はこっちの子供達を非難させておいてくれ…」

 

「え、1人で行くつもり!?」

 

「子供達を放置するわけにはいかないだろう

レムを助ける代わりに子供達を見捨てる気か?」

 

「う…

わ…わかったわ…気をつけて…」

 

「頼んだ…」

(やれやれ…厄介なことになった…)

 

そう言い、彼1人森の奥に行った

 

 

(しかし妙だな…

ここは魔獣の住処のはず…それなのに一向に現れる気配が無い…

だが、それは逆に厄介だ…

わたしはあの犬を始末しなくてはならない

まさか…何か企んでいるのか…?)

 

草を掻き分けながら進んで行くと、少しだけ開けた場所を見つけた

 

そこには倒れた丸太があり

その影に人の足が見えた

 

「むっ…」

(あれは子供の足…あの娘か…

だが、この状況…

明らかに罠だ…迂闊に近付けない…

この吉良吉影の勘に間違いがなければ、近付いた瞬間襲われる…

ゆっくり、周りを回って確認するか…)

 

彼は木の影から影に移動し

少女の顔が見える場所まで移動した

 

(気配は無い…助けに行くか…)

 

呼吸を整え、姿勢を低くし

足音を立てずに素早く近付いた

 

「よし…息はある…

早くここから離れるか…」

 

そう呟き

少女に手を伸ばした瞬間

 

彼の背後から草が揺れる音がした

 

「やはり来たか…

だが、わたしをナメるなッ!!」

 

振り向くと同時に、魔獣が飛びついてきた

 

「キラークイーンッ!!」

 

ボギャアア!!

 

キラークイーンを出すや否や

キラークイーンの膝蹴りが魔獣の顎を砕いた

 

「…わたしは犬が嫌いだ…

『あの時』…あの犬さえいなければ『重ちー』とかいうガキと会わずに済んだ…

そうすれば、クソったれ仗助や承太郎達に会うことも無かった…

あの日以来、わたしは犬が嫌いだ…」

 

血を吐き、痙攣する魔獣を見下ろす

 

だが、膝蹴りの音につられる様に

あちこちから無数の魔獣が現れた

 

そして、彼の前にはあの時の子犬もいた

 

「…こいつら

待ち伏せしていたのか…

そして、あの禿げ犬…

あの目…彼奴が『犯人』であり『頭』か…」

 

少女を丸太に寄りかからせ、一歩前に出ると

上着のボタンを外し

スタンドのエネルギーを滾らせた

 

「このクソ犬どもッ…!!

わたしの平穏を乱すものは何であろうと生かしてはおけない…!!

今夜11時までに…安心して熟睡できる様…

全員、木っ端微塵に消し飛ばしてやるッ!!」




今更ですが
別の部のジョジョネタとか使ったりします
ジョジョはネタの宝庫ですよね

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