※ウチのブリテン親子は2人仲良くキャラが原型留めておりませんのでご注意ください&予めご了承ください。
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オレはモードレッド…元叛逆の騎士だ。復讐・嫉妬・反抗心の塊で、眩しい父上を追うように円卓の騎士となった。でも、私は何処にも居場所が無かった。口では笑い飛ばしていたが、心は泣いていた。
「あ、おはよう!父上!」
「おはよう、モードレッド。いい朝ですね」
カムランで死に別れた父上とこのカルデアで再会した時…オレはどう対応していいか…本当は分からなかった。が、いつものように冷たく対応する父上を見て、オレもそれに倣った。
だが…マスターはそれを許さなかった。
(回想)
「モードレッド、お前。父親と随分仲悪いじゃねーか?ん?」
「マスターに何の関係があんだよ!オレは父上に拒絶された!不貞の息子として!円卓の騎士として!それ以上に理由あるかよ!」
マスターのお節介焼きがあの日だけは最高にムカついた。だから、斬りつけるぞ!という勢いであいつに反抗した。だが、マスターはそれでも食い下がらなかった。
「たとえ不貞だろうが何だろうがよ!家族だろうが!お前も!あの獅子王も!頭湧いてるんじゃねぇのか!」
「何が言いたい──」
「ここはカルデアだ!そして俺は(一応)ここの城主だ!ここではアルトリアに王なんて箔は付けさせるもんか!今がその時だろ!親子が向き合って話すんだ……俺から目ぇ背けんじゃねぇ!」
「───るせぇ!あぁ!ウゼェんだよ!」
オレは怒りのあまりクラレントを突き立てた。が、マスターはそれをまな板で受け止めた。
「───大切なまな板が使えなくなったろうが」
「それはテメェがまな板で受け止めたからだろ!?まな板───ぶふぉっ」
まな板で受け止めた…という行為がツボに入り、オレは笑ってしまった。だってよ!一瞬父上のあの胸で剣を受け止めるイメージがチラついて…!
「ハハハハハハハハ!負けたぜマスター、いいぜ!その席、座ってやる!」
「死んでいったまな板の分まで頑張れよ」
「テメェはまな板に拘り過ぎだ!」
食堂
約束の時間より少し早く席に着いているとちょうどの時間で父上が到着し、円卓の騎士達が金魚の糞のようにゾロゾロついて来た。
向かい合う形になって座ったオレ達の間になるように座ったマスターが口を開いた。
「今日呼び出したのは他でもない。お前らのギスギスした雰囲気を改善する為に対話が必要な行為だと判断したからだ」
「………」
緊張してガッチガチのオレを見た騎士達が一斉に罵ってきた。『叛逆者にかけてやる情けは無い』『そもそも分かり合う理由など必要無い』と。だが、マスターは帰ろうとする彼らを睨み付けた。
「お前ら、言いたい事はそれだけか?」
「マスターも考え直してください。奴は円卓を崩壊に導いた───」
「だが、円卓が崩壊しても代わりは居るだろ?それより王の心を理解しようとしなかったお前らの所為でブリテンが崩壊したんだろうが。あ?」
「───貴様」
ガウェインが怒りの形相でマスターを睨む。しかし、マスターは冷ややかだった。
「対話が嫌なら出て行ってもいい。だが、お前はその瞬間に負け犬になる。『真実に向き合えない愚かな男』としてな!」
「──言ったな!」
彼は躊躇せず聖剣を抜いてマスターに振り下ろした。が、意外にもそれを防いだのは父上のロンだった。
「ガウェイン卿…これは私も望んだ事です。頼むから邪魔しないでください……」
「───ッ」
ガウェインは素直に剣を収めてくれた。オレもクラレントをテーブルに立て掛けてから座った。無意識に立て掛けた剣を抜いてマスターを守ろうとしていたらしい。
「先ほどはすまなかった。お詫びしよう」
「いえ、事実は事実です」
「王…」
父上は眉すら動かさずそう言った。どこか機械的で、型に嵌ろうとする話し方だ。これじゃあダメだ。どうやっても事務的な答えしか…。
「父上…かなり前、オレ言ったよな?『オレはお前の息子だ。オレにも王位継承の権利がある』と」
「えぇ、それに対し私は『貴女にその器はありません』と返しました」
「あぁそうだ。オレはあの日に狂ってしまった。今まで母上から父親だと教えられたあんたの背中をオレは眩しく感じた…どんなに手を伸ばしても……背伸びしてもジャンプしても…!父上には絶対届かない…!」
今まで目を背け続け…或いは憎悪の対象として見ていた父上の顔を、今度は一切全てを捨てて見つめていた。
「でも…唯一繋がっていたのは……この浅ましい体から流れる血だけだったんだ。それで充分…それで充分なんだとオレは必死に満足しようとした……でも出来なかった!」
気押されているのか、円卓の騎士達は一切喋らず話を聞いていた。反論しようものなら暴言を吐いてこの気持ちを何処かへ霧散出来ただろう…だが、それが出来ず湧き上がる想いが次々と口から漏れ出ていた。
「だからオレは子供みたいに…縋り付くようにあの言葉を言った!決してあのクソババァに唆されたからじゃねぇ!オレは……オレは………!」
あぁクソッ!感情をコントロール出来ない!拳でテーブルを叩いても全然発散出来ねぇ!これほどまでにオレ自身の憎しみをウザったいと思った事は無い!
「オレは…!ただ繋がりが欲しかった!!!王位継承も!王としての器も!!そんなくだらねぇものは要らない!!!ただ…父上の息子でいたかった!!!」
「モードレッド…」
「ホントは甘えたかった!ホントは頭なでなでして欲しかった!ぎゅーって抱きしめて欲しかった!一緒に駆けっこしたかった!お父さんの夢を聞いて『カッコイイ!』って言いたかった!いっぱい褒めて欲しかった!!!!!!!!でも…父上は温もり1つくれなかった!!!オレが欲しかったのは…そんな時間だった……」
熱い…いや、これは涙か……もう止まらない…な。
「お父さん!!!」
食堂全体に響くような大声で子供のように叫んだ。ダメだ…もうこれ以上喋れねぇ……。
「話す事はそれだけか?」
「ぅ……ぅぅ……」
父上ははぁーっと息を吐いた。それは溜め息では無く…。
「私もホントはいっぱい可愛がりたかった!!!!!!」
「「王!?」」
いきなり父上は頭に載せていた王冠をぶん投げた。
「あぁああああああああああああああああああああ!!!モードレッドはズルい!私だっていっぱい褒めてあげたかった!!!キャメロットで見る星座を一緒に見上げたかった!!!ドゥン・スタリオンに乗って一緒に野原を駆け回りたかった!!!ぎゅーって抱きしめて頭ナデナデしたかった!」
不満をぶち撒け、ついでに聖槍やら鎧やらをぶん投げていく姿は完全にワガママを言う子供のそれだった。なんだ…父上も同じだったのか……。
「でも時代が許してくれなかった!!!私は守らなきゃならなかった!!!清く美しい王様でなきゃならなかった!!!部下の信頼が深まるほど真面目にならなきゃいけなかった!!!圧政なんて敷きたくなった!!!こんな槍なんか!!!こんな槍なんかぁあああああああああああああ!!!」
「王よ!落ち着い──ゴハァ!?」
「ガウェイン卿ぉおおおおおおお!!!」
感情を爆発させ槍を何度も踏ん付ける父上を離そうとしたガウェインは父上の振り回す腕が鳩尾に命中しノックアウト。円卓の騎士達から悲鳴が上がった。
「王位なんて知るかオラァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!私悪くないもん!!!周りがそうしろって言ったからやっただけだもん!!!」
「うるせぇ!!!お父さんのばかぁあああああああ!!」
感情のままのお父さんの顔を殴ってしまった。でも、父上は抵抗せずオレを抱き締めた。やっと触れた…父上の温もり……とっても暖かく優しいものだった。願いが一個叶っちまった…!
「ごめんなさいモードレッド!!!お父さん今日から王様辞めてモードレッドのお父さんになるからぁあああああああああ!!!」
「オレ…オレも2度と逆らうもんか!!!お父さん!!!お父さぁああああああああああああああん!!!」
2人で子供のように泣き噦る。マスターはその姿をホッコリしながら眺め、円卓の騎士達はバツの悪そうな顔をして眺めていた……。
(回想終了)
あれから父上は必要な時以外マントも王冠も身に付けずに出歩くようになった。王様として一応活動してくれるが、オレとの時間を大切にしてくれるようになった。あの日感情をコントロールせず叫んだおかげでオレと父上の関係は親密になった。
「モードレッド、美味しいですね」
「あぁ!マスターの作る飯は美味いからな!」
全てはあの席を作り、相手を恐れずに対話するよう促したマスターのおかげだ。
「………オレ、今幸せだよ」
「そう…、私も幸せですよ。こうして笑い合って…一緒に生活出来る…マスターに絡まれていつも酷い目に遭っていますが、とても充実しています」
「その節はゴメンよぉ…」
「いえ、私の落ち度もありますので…」
マスターの作った料理を平らげたオレ達は、空の食器を返却コーナーに戻した。あいつは、笑顔で受け取ってくれた。
以上、ウチのカルデアのブリテン親子でした。私のアカウントでも槍トリアとモードレッドは必ずセットで使っています(フレンドにはマーリンを使ってますけどね)
レモン式FGOは大体こんなノリですのでご了承ください(土下座)