「衛宮ー、ジアナー、いるかー?」
家に忘れてしまった物を取りに行き、真っ先に衛宮の家に来た俺は誰かいるかを確認する。
「よう、創太。昼食あるけど食べるか?」
「衛宮が作った飯か?」
「ああ、そうだ。」
「よっしゃ!衛宮の飯は美味いから楽しみだ!」
本当にこいつの飯はプロ並みに美味いと思っている。その辺で飲食店とかで生活出来るかもしれないな。
「俺はさっき、遠坂やセイバー、それとジアナさんと一緒に食べたからお前一人で昼食を取ることになるけど……」
「全然構わねえよ。」
「なら、良かった。」
一緒に食いたかったが、先に食べちまったなら仕方ないか。そう思いながら昼食の為に居間へ移動する。
「それじゃあ、全ての食材に感謝を込めていただきます!」
そんなどこかの四天王みたいな事を言って目の前にある料理を食べる。今日の献立は白飯、油揚げとワカメの味噌汁、カボチャの煮込み、それから焼き鮭だ。
「んー!美味い!」
「そう言ってもらえて嬉しいよ。」
米や味噌一つとっても完璧だ。だが、本人からしてみればまだまだらしい。この上があるならそれこそ神を超えるぞそれは。
ちなみにここにいるのは俺と衛宮。それにジアナとセイバーだ。
「もぐもぐ、ごっくん。それで遠坂に俺から話があるっていうのは聞いたか?」
俺は食事中にそんな事を喋る。マナーが悪い?知ったこっちゃない。
「ああ、聞いたけど、どんな話なんだ?」
「色々あるが……まずはお前の父親、衛宮切嗣さんの話だ。」
衛宮切嗣という単語を持ち出した瞬間、衛宮の顔が真剣そのものになる。セイバーは少し嫌そうにしている。切嗣さんとの良い思い出はなかったようだ。
「それは前回の聖杯戦争の参加者だっていう事か?」
「ああ、そうだが、言峰さんから聞いたのか?」
俺の質問に対し、衛宮は首を縦に振る
やはりか。あの時は寝てたから詳しいことは知らないがそこまで話していたとは。
「と言っても話すのは俺じゃなくてジアナだけどな。」
「なんでだ?」
「当事者の方が詳細に話せるだろ。というわけでジアナ頼んだ。」
厳密に言えば当事者では無いけどな。こっからはジアナに任せよう。正直言って、俺はジアナから聞いた話をあまり覚えていないというのが本音だ。
「任されました。では話をさせてもらいます。まず結果から話します。冬木の大災害、あれはキリツグによって起こったです。」
「なっ……!!」
衛宮が驚く。無理もない。自分をあの災害から救った人がその原因だと知ってしまえばな。
「ジアナさんそれはどういう……!」
「衛宮!気持ちは解るが最後まで聴け。」
「……分かった。すみませんジアナさん取り乱してしまって。」
「いえ、それを承知で喋ったようなものですから。話を続けますね。キリツグは聖杯戦争を勝ち残り聖杯を手に入れましたが、それは横取りされ世界を滅ぼせという願いをそれに託しました。仕方なく彼は
「えっ?セイバー、その話は本当か?いや、そもそも前回の戦いで切嗣と一緒だったのか?」
衛宮はそう言ってセイバーに訊ねる。
「はい。前回私はキリツグに召喚されました。そしてジアナが話している事も事実です。あの状況では仕方ありませんでした。貴方が巻き込まれたと言う大災害がその結果だとしても。」
「……。」
衛宮にとっては複雑な気持ちだろう。だけど切嗣のさんに対する気持ちはこれからも変えないで欲しいと思う。あの人だって犠牲者なのだから。
「今の話は私が直接見たものではなく、後でキリツグから聞いたものです。」
「えっ、でもジアナさんも前回の聖杯戦争に関わってたって……」
それは気になる所ではある。けれど理由はちゃんとある。
「私はソウタの両親から、その大災害が起こる前にソウタのそばに居て欲しいと頼まれました。最初、私は断りました。しかし、その戦いは自分達にしか終わらせられないと説得されて家でソウタを守ることにしました。」
「そういうことだったのか。」
衛宮は納得する。
「大災害と切嗣がどういう関係性があったのは判りました。だけど創太、一つ疑問に思ったことがある。」
「ん?なんだ?」
何故、俺に質問をしてくるんだ?今の話に俺への疑問があったか?
「なんで切嗣の言った言葉をお前が知ってたんだ?」
「え?……ああ、あれか俺も魔法使いだからとかっていうやつか」
「そうだ。」
そういえば、ランサーから庇った時にそんな事を言ってたな。
「俺もその場にいたからだ。」
「えっ、創太もあそこに入院を……?」
「違う違う。ジアナに無理矢理連れて行かされてな。さっきの話もそこで聞いたんだよ。」
「へ、へえ。」
なんか同情された気がする。あれだろう、親を失った悲しみが拭いきれていないのに引きずり回されたのを気に掛けているんだろう。まあ、そのお陰で立ち直れたのはあるけど。
「ん?ちょっと待ってくれ。十年前にもジアナさんは聖杯戦争で戦ったと言ってたけどそんな幼いころから……」
「いや、衛宮。ジアナは不老なんだ。」
「……えっ⁉︎」
うん。その反応は当たり前だ。俺も小さい頃からいたけどなんか老けないなあと度々思っていたが本当に不老だとは思わなかった。あれだな。お前人間じゃねえ(CV:うえだ○うじ)第二弾だな。
「シロウ。彼女の体は人形なのです。」
「っ⁉︎」
おいセイバー、合ってるけど間違ってるぞ。いや間違っているというよりも勘違いさせるぞそれは。
「え、え、えっとつまり?ジアナさんは不老不死で?それで遠隔操作で操られていて?」
おいおい、尾びれ背びれをつけるな。あと後半は、どこぞの砂忍者と勘違いしてないか?
「衛宮、ちょっともちつけ。」
「えっと、そうだな餅食べなきゃな。」
やべ、面白かったから冗談を言ったらさらにややこしくなった。
「いい加減にして下さい。」
「「まそっぷ!?」」
遊んでたらジアナにチョップされた。それと同時に衛宮とハモったから、多分こいつもチョップをくらわされたんだろう。
「ちゃんと説明しますね。私のこの体はある人形師が作ったもので魂が中に入ると元々その魂が入っていた肉体と同じ形になるというものです。
といってもそれを目的として作ろうとしたら失敗作となってしまったのをソウタの両親がなんとか動くようにした物なんですけどね。それの副作用か私は老いることが無くなったのです。でも、それは見た目だけで寿命はちゃんとありますし、死ぬ条件も普通の人間と同じです。」
さらっと言っているが、第三魔法、つまり魂の物質化をちゃっかり成功したと暴露していることになる。さしずめ、ジアナは歩く第三魔法だ。
「へー……。でもなんでそんな事をしたんだ?普通に生きるならそんな事しなくてもいいだろ?」
衛宮よ、お前の普通は魔術師の普通に当てはまらないのだよ。いや、ホントまじで。魔術師は少し思考が外れてる。まあ、今回はそういう理由ではないんだけどな。
「……実を言うと十三年前、私はソウタの両親と出会った時、死にかけていました。いえ、死にかけていたのとは少し違いますね。私の本当の体はある呪いにかけられていました。時間が経つに連れて症状が悪化し、いずれ死に至るという物でした。
それを聞いた時、もうダメかと思いました。ですがあの人達は初めて会った私を助けてくれました。その時の私は魔術のまの字も解らない一般人でしたが、彼らはそれに関係ないと言わんばかりに力を惜しむ事無く魔術を使い私を死の淵から救ってくれました。その時に私は決めました。この人達に尽くすと、私が死ぬまで、例えその人達が死んで私が生き残ったとしても次の世代もその次の世代もずっと……」
衛宮はそれを聞くと納得した顔になるがセイバーはそうでは無いようだ。なぜだろう。
「すみません、理由だけをいうはずが私情まで話してしまって。」
「いや、良いですよ。ジアナさんの創太の両親への気持ちは判りましたから。」
「さ、さて話を元に戻しましょうか。」
少しジアナは照れている。さっきの話は少し恥ずかしかったのだろうか。しかし、だいぶ話が脱線してしまったな。最近説明をするといつの間にか逸れてしまう事が多いな。
「次の話は昨日のイリヤスフィールについてだ。」
話はまだまだ続く。
どうも作者です。
説明パートが多すぎて戦闘シーンが少ない。読者が段々減りそうです。
今回の話の捕捉するとこの世界線のセイバーは切嗣が聖杯を壊させた意味を知っているセイバーです。
ここまでgdgdだと失踪するまでにこの作品が終わるのかな・・・