オリ主と衛宮士郎との友情ルート   作:コガイ

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反論

 「ただいま、遠坂。」

 

 衛宮邸の玄関の扉を家主が開け挨拶をする。

 

「おかえり……待って、なんでそんな大人数で帰ってきてるの?ここに来たら来たで誰もいないし、貴方達何してたのかしら?」

 

 奥から遠坂が来て質問をした。玄関にいるのは、俺とジアナ、衛宮、セイバーの四人だ。

 

「実は…」

「学校の結界が発動されました。」

「っ!!」

 

 衛宮が話そうとしたが、ジアナに邪魔をされる。

 

「とりあえず、話は私たちが上がってからにできませんか?寝かせたい人もいるので。」

 

 ジアナが言っている寝かせたい人は俺の事だ。気分は少し治ってきてはいるのだが、まだ、頭がガンガンして、しっかりと立っていられない。

 

「…!ええ、いいわ。ジアナは創太を寝かせて。説明は士郎とセイバーから聞くから。」

「分かりました。」

「……ちょっと…まってくれ。」

 

 まだ、寝るわけにはいかない。

 

「ソウタ、貴方は無理しなくても構いませんよ。」

「だったら知ってるのか?あいつらがどこへ行ったのかを。」

 

 ジアナははっとして、衛宮とセイバーの方を見る。

 

「私は解りません。突然、呼び出されたもので・・・すみません。」

「俺もです。その時は創太に教室へ突き飛ばされたので詳細は見てません。」

 

 二人とも同じ様な答えを返す。

 

「だったら、あいつらの行き先を知っているのは俺だけになるな。」

「それであれば、寝室に運んでから話を聞きます。」

 

 ああ、そう来たか。だが、こっちとしても休む訳にはいかない。今夜にでも行動を起こさないかもしれないんだ。休んでる暇なんて無い。

 

「いや、俺も一緒に説明する。意地でもな。」

「ですが・・・解りました。それで貴方の気が済むのであれば。」

「サンキューな。皆、そういう訳だから俺も参加させてもらう。」

「創太、本当に大丈夫なのか?」

 

 衛宮が心配しながら言う。大丈夫だ、もんだゲフンゲフン

 

「ああ。別に体を動かす訳でも無いんだ。さて、そろそろ居間に行って状況説明と今後の行動について話し合おうじゃないか。」

「・・・そうだな。」

 

 まだ納得がいかないようだが、こっちとしては関係ない。どちらにしても、今夜に行動しないといけない。さもなくばあいつがどう出てくるか分かったもんじゃねえ。

 

 

 

 

「…と言う訳なんだ。」

 

 遠坂が学校を早退して出ていってから、間桐が撤退するまでの状況を話した衛宮。

 

「その後はジアナさんが来て、創太は結界の影響で気分が悪いって言って…」

「ああなってるって事ね。」

 

 全員が一斉にこちらを向いた。

 

「うるせえ。」

 

 確かに壁にもたれて、すっげえ顔がやつれてるけど。

 

「後始末の方は私が教会の方に連絡して置きました。学校の人達は倒れてはいましたが命に別状は無く栄養失調という事でしばらくは入院するそうです。」

「ふーん。となると、学校はその間休校になりそうね。今までの状況は分かったわ。で、創太が言ってた慎二の居場所だけど…」

 

 ここからが本題だ。

 

「貴方、本当に分かってるんでしょうね。」

「大体だけどな。衛宮、ここら一帯が描かれた地図を持って来てくれないか?」

「ああ、分かった。」

 

 衛宮が一旦部屋から出て、数分が経ち、地図を持って戻ってくる。

 

「これでいいか?」

「十分だ。」

 

 そう言って、俺は衛宮から地図を手渡してもらい、机の上にそれを展げる。

 

「いいか、まずここがさっき間桐とライダーが居た学校だ。」

 

 学校に指を置き、場所を再確認させる。

 

「そして、俺はあいつらが飛ぶ方向を見た。それが大体この方向だ。」

 

 置いていた指をなぞり、新都に運ぶ。

 

「つまり、あいつらは新都の何処かにいるのね。」

「いや、もう少し限定できると思う。」

 

 遠坂の発言に俺は少し訂正を加える。

 

「飛んで行った方向、その一直線上の辺りが一番可能性が高い。

 もちろん、途中で進路を変えた可能性もあるが、流石に反対にまではこないだろう。

 まず、そこら辺を捜して、居なかったら範囲を広げていく。それが俺の考えだ。」

「成る程。創太の意見はもっともね。私もそれに賛成するわ。士郎はどう思う?」

「俺も異論は無い。」

「なら、今夜にでも行動をしよう。間桐がいつまでも待ってるわけが無いし、放っておくと何をしでかすか分からないからな。」

「待ってください。」

 

 俺の主張にジアナが異を唱える。

 

「ソウタ、まさか貴方も行くつもりですか?」

「当然だ。人を捜索するのは人手は多い方がいい。」

「なりません……!!今、貴方の身の状況を理解しているのですか!?」

 

 ジアナの叫びに全員が驚く。確かにこいつの言う事は解るこの体では、ほとんど何にもできないし、ただ身を危険に晒すだけだ。でも、

 

「だからと言って、何もしないのは嫌なんだよ。頼む、ジアナ。俺に無茶させてくれ。」

「そんな事をして死んでしまえば、貴方の両親に何を言って顔合わせすれば良いのか解りません。ソウタ、貴方はとにかく休んでください。動くのは次からでも…」

「その次が無かったらどうするんだ?」

「っ…」

 

 俺の言葉でジアナが口を止めた。

 

「お前も見ただろ?あの光景を。俺はあれを三度も見たくはない。」

 

 一度目は冬木の大災害。二度目は学校の結界。どちらも人が多く倒れて居た。そんな光景はもう散々だ。

 

「覚悟は結構だけど、創太は休むべきよ。」

 

 だが、遠坂が俺の決意を阻む。

 

「そんな体で何ができるって言うの?貴方が勝手にするのはいいけれど、こっちの足まで引っ張られるのはごめんよ。」

 

 その遠坂の発言により俺は歯を食いしばる事となる。だが、俺は諦めきれずに、どう反論しようかと考えていた。その時、

 

「そんな事言わずに創太を行かせてくれないか?」

 

 衛宮から助け舟が出された。

 

「何故ですか、シロウ君?ソウタの状態は貴方も分かっているでしょう。」

「だからこそです。俺も創太の気持ちはよく解ります。

 このまま、置いて行けばこいつは絶対に無茶して、跡をついて来ます。そうなれば、俺たちの見えない所で創太が危険な状況に置かれるかもれません。

 だったらこのままついて来てもらって、目の届く範囲に創太を置いておけばこいつも安全だと思います。」

 

 そいつは良い案だ。そう思ったが、

 

「私がここに残って創太を見張っておくという手もありますが?」

「うっ…。」

 

 あ(ー)ちゃー、それがあったか。薄々は感づいていたけれども。こうなれば、俺はもう成す術無しだ。

 衛宮はそれでも、反論しようと唸りながら考えている。

 

「……ふふっ。」

 

 おい、ジアナ。人が一所懸命に頑張ってんのに笑うのはないだろ。

 

「いいですよ。貴方の案に乗ってあげましょう。」

「「「はっ?」」」

 

 この場にいるセイバーを除いた三人が同じ声を上げた。

 

「ソウタを見張っていても隙をついて脱走しそうですし、それに心配なのはソウタだけではありませんから。」

「え、えっと…つまり?」

 

 俺が無意識に尋ねる。

 

「貴方の夜の捜索を許可すると言ったのです。ただし、私の側を離れずに。それが条件です。」

 

 まじか。本当に許してくれるとは思わなんだ。

 

「あ、えっと…ありがとな、ジアナ。」

「何がですか?私はただ、貴方の安全確保と聖杯戦争の二次被害を抑える事を同時に行うにはそうするしかないと判断したまでです。」

 

 いや、どこのツンデレだよ。なんて、口が裂けても言えない。ジアナだって、本当は俺を行かせたくない筈なんだから。

 そういえばジアナは心配なのは俺だけでは無いと言ってたけど……。うん、絶対あいつだな。ブラウニーだな。

 

「それで遠坂はさっき俺をここに残らせたかった様だけど?」

「…いいわ。さっきジアナが言った事を守ってくれさえすれば。けど、邪魔されるのだけは勘弁よ。」

「ああ、分かってる。それじゃあ話が途切れたけど、会議の続きだ。細かい事を決めていくけど……」

 

 その後は、捜す場所の振り分けやら、目標を発見した後の行動やらを決めていった。会議が終わった後、遠坂は

 

「私は一旦部屋に戻って、準備するわ。」

 

 との事。そして、その遠坂が部屋から出た瞬間に、

 

 誰かの腹の虫が鳴った。

 

「おい、誰だ?まだ晩飯の時間じゃない筈だが。」

「…悪い俺だ。」

 

 衛宮が謝りながら白状する。

 

「いや、確かにお前の方からも聞こえたけど、それよりもデカい音が聞こえたんだよな〜。」

 

 と言いながらジアナの方を見る。

 

「し、仕方ありませんよ。昼ご飯を食べ損ねたんですから。」

 

 と顔を赤らめながら衛宮を睨む。

 俺はふと横目でセイバーを見てみる。ジアナと衛宮が食べ損ねているからもしかしたらと思う。うわっ、予想通りかなり不機嫌そうだ。お前、サーヴァントだから飯食わなくてもいいだろ。

 いや、確かにマスターがあれで、魔力が十分に提供されないから、食事で補うとかそういう事だったけども、今のセイバーの顔は絶対、食べ損なった事への不満から来てる物だ。

 

「す、すみません。」

 

 と謝る衛宮。

 俺はその後に提案を出してみる。

 

「今からでも軽く摘むか?」

「いえ、そもそも晩ご飯の材料すら無いと思います。」

「っ!!どういう事ですか、シロウ!!」

 

 うおっ。セイバーが突然叫ぶから全員びっくりしたじゃねーか。

 

「…えっと、セイバー?」

「はっ。突然取り乱してしまい申し訳ありません、シロウ。」

「え、いや別に…構わないというか…」

 

 うーむ。もしかしたらセイバーは生前、食いしん坊というキャラを持ち合わせていたのかもしれない。

 

「まあ、セイバーの奇行は一旦置いといて……衛宮、ジアナが言ってた事は本当か?」

 

 俺の質問に衛宮は頷く事で答える。

 

「一応、言い訳を聞こうか?」

「えーっと…晩飯と昼飯の材料調達に行こうとしたところで慎二から電話が掛かってきて、それで……」

「それであんな事になって買いに行く暇が無かったと。」

「…はい。」

「冷蔵庫の中には?」

「あるにはあるけど、それだけで作ろうとしたら難しいし、あまり残ってない。」

「……はあ。」

 

 思わず溜め息をついた。いや、それどうすんだよ。食材がないって一大事じゃねーか。

 

「どうする?」

「最善の方法はやはり、今から買いに行く事でしょうか。」

「まあ、そうなるよな。」

 

 晩飯までの時間は、後二時間ほど。かなり厳しいが、それしか策はない。

 

「それじゃあ、早目に済ませる為に三人で行くしかないか。」

 

 でないと、誰かさんが空腹で暴れ出しそうだ。

 

「いえ、食材調達は私とシロウ君の二人で行きます。」

「えっ、なんでさ。」

 

 衛宮の口癖がうつった。

 

「夜の捜索は許可をしましたが、それ以外は許可しませんから。貴方は本来、身体を動かさない方が良いのですから。」

「ちぇっ、仕方ねえな。分かったよ。元々無茶しちゃいけない身体だからな。大人しくしてるよ。」

「ええ。そうしてください。では、シロウ君行きましょう。」

「はい。じゃあ、創太、セイバー行ってくるよ。」

「いってら〜」

「お気をつけて。」

 

 

 

 

 

 

 時間は進み、深夜になる。そして、間桐を捜し出す時でもある。俺たちは今、玄関を出て門を潜ろうとしていた。

 

「作戦は分かってるよな?」

 

 その言葉に全員が頷く。

 

「よし。それじゃあ、間桐を見つけてぶっ倒すぞ。」

 

 そして、今回の作戦は開始された。

 

 

 

 

 

「くそ、なかなか見つからねえな。」

「ソウタの予想は外れていた事になりますね。私は貴方の予想通りになると踏んでいたのですが……。」

 

 多少のズレはあっても逃げた方向辺りにくると思っていたんだけどな。

 現在、俺とジアナは作戦で決めた三番目の捜索場所を捜索し終えたところだ。四番目の場所からは間桐とライダーが学校から逃げた方向とかなり差がで始める頃だ。

 あと、どうでもいいと思うが、晩飯は鍋だった。衛宮とジアナが手っ取り早い料理を考えているとそれになった。

 そして、昼飯を食べられなかった腹いせをぶつけるかのようにジアナが胃の体積以上に食べてた気がする。

 ジアナさん、あんたウチの食事の時、そんな事なかったじゃない。自分達の食費のことは考えるくせに、人の家では考えないのかい?

 ちなみに、セイバーもそれと競い合うかのようにほぼ同じ量を食べていた。

 

「まったく、あいつらは何処に居やがるんだ。」

「そんな事言ってないでさっさと次の場所へ行きますよ。言っておきますけど、見つけても私達は手を出しませんよ。貴方の身に何かあったら……」

「ああ、はいはい。分かってますよ、ジアナさん。」

 

 耳にタコができるほど言ってきやがる。それほど、俺の事を心配してくれてるのだろうが、こちとらその気はねえんだよ。

 

 

 そして、その時はやってきた。

 

 

「ソウタ、ポケットから……!」

「間桐を見つけたようだな。」

 

 ポケットの中の物が反応している。これは他の二組のどちらかが目的の奴を発見した合図だ。それは青く光り、ある方向へと指し示している。そのある方向は見つけた奴の居場所だ。

 

「行きましょう、ソウタ。」

「ああ、行くか。」

 

 間桐、俺はお前を一発ブン殴っておかねえと気が済まないからな……!




どうも、作者です。

今回はただの言い合いの回でした。あってもなくてもいいかもしれん。

色々、オリ主とジアナの設定を作っていた筈なんですけど、それを見せられずに話が進んでしまった。後で、キャラを説明する時に載せようかなと思ったけど面倒なのでその設定が日の目を見る事はないと思います。

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