オリ主と衛宮士郎との友情ルート   作:コガイ

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各々のマスター

 三人で学校に登校し、何事も無く昼休みの時間帯になった。遠坂の提案で学校に張られてある結界の起点をもう一度、別々に行動して調べることになり、今はその途中なのだが……

 衛宮の奴、間桐に逸早く気づかれてしまった。

 ワカメは俺の存在には気づいてないらしく、衛宮以外に注意を向けずに話を持ちかけていた。

 その話を聞く限りではワカメは聖杯戦争に嫌々参加させられたらしく、あまり乗り気ではないらしい。あくまでもあいつの言葉を鵜呑みにすればそういう事になる。だが、そんなモン信じられない。今行われているのは戦争だ。相手を騙すというのは上等な手段だ。

 と考えていたりしていたら衛宮が拉致られた。別に拘束された訳でもないし、ついて来いとだけ言われただけだ。それにしても、衛宮(あいつ)、もう少し警戒しろよな。

 ここで俺がついて行ってもいいが、それだと遠坂に何言われるか分かんないし、学校をサボる事になり色々面倒なので、ジアナに携帯で電話して衛宮の後を追いかけさせよう。

 しかしまあ、遠坂に何て話そうか……

 

 =====

 

 私は今、間桐邸の前居ます。なにやら、ソウタが電話で「衛宮拉致られた。追跡よろ」という、本当はもう少し真剣な感じで言っていましたが、そんな連絡を受け士郎君の家をセイバーに任せ、言われた通り彼を探し出し、後を追いました。

 その彼ともう一人の男、慎二君を追いかけていると、間桐邸に入って行くところを目撃しました。ならば、侵入するだけですが……嫌な感じがしますね。

 前回の聖杯戦争でも思いましたが間桐に関してはは嫌悪感しか覚えません。魔術にしてもそうですが、やはりあの男が一番……。

 

 間桐家にはすんなりと入る事ができました。衰退しているとはいえ、ここまでとは思いませんでした。

 しかし、懸念すべきではそこではなくあの男。間桐臓硯。間桐の実質的権力者。昔は平和主義者と聞きましたが今ではその面影すらありません。自分の周りにいる者は全て手駒、またはただの玩具としか見ていないような男。本来ならばここ(間桐邸)の何処かにいる筈ですが、その気配は見当たりません。あの二人の話を盗み聞きするならば今がチャンスです。

 窓が少なく、薄暗い廊下をくぐり抜けると、二人はリビングと思われる場所に入っていきます。しかし、その二人とは別に違う気配が感じ取れます。おそらく、サーヴァントでしょう。シンジ君がライダーだと言っていたので間違いありせん。

 そこから、自分の意思とは関係なく聖杯戦争に参加してしまった事。自分は学校の結界を張った犯人ではない事。戦う気はなくシロウ君とは協力関係を結びたいという事。リンだけは倒したいという事。シンジ君はそんな事を話していました。

 しかし、私は変だと思っていました。戦いたくないのであればリンともそうせずにすればよいものを倒すと言ったところ。そもそも、戦う気がないのであれば辞退すれば済む話です。それを態々、参加権である令呪を持ち続けているのはおかしな話です。

 ですが、士郎君と戦いたくないというのは、嘘ではないようですが……

 

「呵っ呵っ呵っ。なにやら客が来たと思えばお前さんもおったか。」

「っ!」

 

 色々と考え事をしていたら、今、一番会いたくない人に会ってしまいました。

 

「間桐……臓硯。」

「そう睨むな。儂はすでに隠居した身。何かしようとは思わん。」

「では、前回の聖杯戦争についてはどう説明するつもりですか。」

「あれは単なる自滅じゃよ。力を扱えきれんかっただけの事。」

 

 嘘ですね。そうなるように仕掛けたのは貴方だというのに。

 

「それで、貴方は私に何をするつもりですか。」

「いや、単なる様子見よ。本来ならば孫が客を連れて来たのを見守るつもりじゃったのだが……」

 

 本当にそんな事を思っていたのでしょうか。

 

「ならば、私は見逃してくれると?」

「儂が当主ならばそんな事はさせんと言いたいところじゃが、良い。見逃してやろう。」

「そう言ってくれるならば、去りましょう。」

 

 色々と言いたいですが、ここは素直になりましょう。シロウ君達も話は終わったようですし。

 

「言っときますけど、シロウ君に何かしようものであれば……」

「心配にはおよばぬ。」

 

 そうは言ってますが、実際の所どうでしょうか。しかし、ここは黙って身を引く事にします。

 ただ、最後に見せた、あの薄汚い笑みが脳裏に焼き付いてしまったのが腹が立ちますが。

 

 ーーーーー

 

「あれ、ジアナさん?」

「すみません、マスター。勝手ながら後を付けさせていただきました。」

「えっ?マス」

「シャラップ。」

 

 臓硯から離れた後、私は門前でシロウ君を待っていて、そして今、シロウ君が間桐邸から出て来ました。……ライダーと呼ばれた女性を連れて。

 

「……。」

「……。」

 

 私はすぐさま、シロウ君とライダーの間に割って入り、彼女に殺意を込めながら睨みます。そして、しばらくの沈黙が続いてきます。

 

「ま、待ってくださいジアナさん。そいつはただ俺を見送ってくれただけでジアナさんが考えている事は……」

 

 ですが、士郎君の発言によってソレは崩れました。

 

「ええ、分かっていますよ。彼女がまだ私達と戦う気は無い事は。」

 

 彼は今にも戦闘を始めると危惧したのでしょう。しかし、その気は毛頭もありません。そうなってしまえば私は確実に()()()()()()()()

 

「貴女はライダーでしたね。マスターの見送りはもう結構です。ですから、主人の元へ帰ってください。」

 

 ライダーに帰るように促します。多少、相手を騙すような言葉も入れてはみましたが、あの老人が慎二君に何も言わないとは限りません。臓現は私の諸事情を知っているはずですから。

 

「ええ、では私はここまでとさせていただきます。」

 

 そう言って彼女は間桐邸の中へと戻って行きました。

 

「ジアナさん、ありがとうございます。」

「礼はソウタに言ってください。」

「でも、ジアナさんはここまで来てくれました。それにお礼を言うのは筋だと思います。」

「当たり前のことをしたまでです。」

 

 やはり、士郎君は良い人ですね。世界中の人が彼のようならば聖杯戦争なんていう物も無くなるでしょう。……ただ、一つ欠点がありますが。

 

「では、私達も帰りましょうか。」

「はい。えっと……」

 

 なにやら、戸惑っていますね。まあ、きっとこの事でしょう。

 

「私が何故ここまで来たか、ですよね。シロウ君が聞きたい事は。」

「はい、そうです。ジアナさんに気づかれる事、俺しましたか?」

「貴方が慎二君に連れていかれたと、ソウタから連絡が来まして、後を追うようにとも言われたからですよ。」

「ソウタが?」

「はい。なので私が気づいたのではなく、ソウタが目撃していたのです。」

「そうなんですか。ところで、ジアナさん。ここまで来たということはやっぱり、慎二との会話は……」

「はい。全部聞いてましたよ。」

「なら、あいつの言っていた事はどう思いますか。」

「ほとんど嘘をついているように思えました。あまり、信じない方がいいですね。」

「そう……ですか。」

 

 少し落ち込んでますね。彼にとって慎二君は友人です。それを信じてはいけない、と言われたのが原因でしょう。

 

「そろそろ、行きましょう。夕食の用意もしなくてはいけません。士郎君、アドバイスよろしくお願いします。」

「分かりました。」

 

 =====

 

 今日の授業が終わり、放課後になった。あの後、遠坂に衛宮の事を聞かれ、素直に話した。最初は「なに、敵の本拠地に行かせてんのよ!」と言われたが、敵の情報を得る為だとか、ジアナに護衛を任せたとか、なんとか言って納得させた。

 それからはジアナと夕飯の支度があるからと言って、遠坂と一旦別れて、目的地である商店街に向かった。

 だが、その途中に見たのは公園にいる衛宮……とアインツベルンの奴だった。なんで公園なんかに。確かジアナと一緒にいるはずでは……

 とにかく、非常にまずい事態になってしまった。現状もっとも警戒していた奴が衛宮と接触するとはな。けれど、今あいつはサーヴァントを連れていないようだ。一瞬で衛宮が殺されるという事はなさそうだが、油断はできない。

 二人の様子を見てみると、なにやら話をしているみたいだ。その内容は気になるが、これ以上近寄れば気づかれる可能性が高い。ならば、聴力を魔術で強化して、会話を盗み聞きしてみる。

 

「なあ、イリヤ。」

「なあに、お兄ちゃん?」

「お兄ちゃん、なんてやめてくれないか?」

「ええ、どうしてよ?」

「だって、イリヤは俺より年上なんだろ。」

「っ!なんでそれを話……」

「ジアナさんから聞いた。あの人は切嗣……」

「聖杯戦争で協力した人、でしょ。それくらい知ってるわ。」

「そうか。

 ……全部聞いたよ。イリヤが切嗣(親父)の実娘だって事も。イリヤに切嗣(親父)が必ず帰るって約束したのも。それで結局帰ってこなくてイリヤが恨んでて、俺も恨まれてるかもしれないってことも。」

「そう……。」

 

 衛宮が俺の話した事を口にすると、空気が重くなっていく。相手からすれば、目的をバラされたらな。

 

「実際どうなんだ。君は俺も親父も恨んでるのか。」

「ええ、そうよ。」

 

 やはりそうか。俺も似たような経験をした。あの夜、帰ってくると言って、両親に永遠に会えなくなってしまった事がそうだ。俺の場合はジアナの支えがあったが、イリヤにその様な存在はいたのだろうか。

 

「別に、俺は赦しを請うつもりは無い。恨まれ続けても構わない。けれども、親父は……イリヤに会おうとしてた。ある時期になると世界旅行と言って一週間ぐらい何処かへ行くんだ。そして、帰ってきた時、何というか、その、生気が無くなっていた感じがしたんだ。多分、無茶したんだと思う。きっと」

「もういい、シロウが言いたい事はわかった。けれど、私は赦すなんて事はしない。」

「イリヤ……!」

 

 説得失敗か。まあ、それは口だけじゃ難しい。解決するのであれば、気長にやるか、きっかけを作るかだが。

 

「今日はもう帰るわ。言っておくけど、まだシロウを私のサーヴァントにしてあげても良いって思ってるから。」

 

 そう言ってイリヤスフィールは帰っていった。何も起こらずに済んで良かった。令呪とかでバーサーカーを呼ばれてたらそれこそ何もできずに終わる。

 まあ、そんな事考えるよりも、衛宮だ。あの後ずっと頭を抱えている。どうやったらイリヤスフィールに納得してもらえるかとかで悩んでいるのだろう。仕方ない。俺がフォローしてやるか。




どうも作者です。
なんにも進んでねえー。サブタイが適当すぐる。

▼戦闘パートがウズウズしている。

▼作者はどうする?

▼「もう少し待っててね。」

次回!!地獄のしごき編!!来週も絶対見てくれよな。
・・・来週に投稿できたらいいな。

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