IS×ACE COMBAT X ≪転入生はエースパイロット≫   作:初月

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どーもお久しぶりです。
毎月更新心掛けてるとか言った矢先に8か月も更新が遅れたことを謝罪致します。

ここ最近色々と忙しいので次回更新も遅れると思いますがこれからもよろしくお願いいたします。


第28話 新たな任務

授業中に堂々とやってしまった居眠りのせいで放課後に千冬さんからの呼び出しをくらい、職員室を経由する羽目になったものの一夏より早く部屋に帰ることに成功した。

 

これでちょっとしたドッキリを仕掛けることが出来る。

昨晩まで同室だったものが突然知らない少女に変わっていたとなれば相当驚くに違いない。

ただ、驚いたという事実がわかればいいのでカメラの設置とかはしていないが。

 

今日からは部屋が変わるというのに部屋に幾つか私物を残してしまっていたのだ。

オーレリアに行こうとして荷物を詰め込んだまま残されていたスーツケースがあったのを利用して即日中にほとんど済ませたのだが、一部の小物がそのままとなっていた。

 

まあ軍の宿舎にいたときから置いている小さな観葉植物とラジオ付きデジタル時計、そして暇つぶしに読んでいる小説数冊だけだから大して時間はかからないだろう。

でも慢心は禁物。

 

いつも放課後は訓練に励んで夕食前くらいに帰ってくるかどうかというあいつでも休み明けくらいは休むかもしれない。

それにゆっくりやって見つかったところで面倒だ。

 

さっさと済ませてしまおう。

 

そう思い小説をまとめたとき、仕事用の携帯が震えだした。

 

送り主は…更識。

場所は保健室。

 

現場指揮官殿直々に呼び出しとは。

昼のスクランブルの件もあるし何か起きたのだろうか?

 

 

 ◇

 

「失礼します」

人通りの少ない廊下にて、そう告げて静かにドアを開けた。

 

稀なこととはいえ怪我人や病人がいることだってある保健室だ。

入るのなら病人とか怪我人を連れていない限りは慎重にするべきだと私は思っている。

ここで普通に仮眠とってる人もいるからね。

 

人が休むのを邪魔する奴は万死に値すると思っている。

 

まあ先程述べたとおりそんなことは稀だと思っいつつ入ると何ということだろう。

今日に限って寝ている奴がいた。そして同時に納得した。

…私が知る中で並ぶ者のいないほどのトラブルメイカーで何故か更識さんの膝枕で寝ていたのだ。どうせまた何かやらかしたんだろう。

 

「思ってたより遅かったわね。何かしてた?」

「引っ越しを済ませてきただけです」

「そう、それならいいわ」

 

とても小さな声での会話が続く。

 

外なら聞こえないだろうがここらへんはあまり人通りもないので十分聞こえた。

この静かさが本当に仮眠にいいのだ。

 

放課後とかによく使っている。

 

…少し余談が過ぎたな。

 

「ところでどのような用件でしょうか?」

 

早速本題を切り出した。

いくら疲れているとしても今日の模擬戦の分析とかは早いうちにしておきたい。

 

こちらの意志を察してくれてなのかどうかはわからないが、返答は早かった。

 

「わかったわ。じゃあ早速本題に入るけどここで寝てる坊やの訓練をすることになったの。超高速戦に慣れてるのって君くらいしかいないでしょ?」

「ええ」

 

即答だった。

 

他の専用機持ちたちには申し訳ないが飛行時間の時点で既に桁が違うはずだ。

そして私の場合はほとんどが戦闘機での飛行になる。

勿論これらの半数くらいは戦闘任務。当然のことながら音の壁を越えているだろう。

 

疑う余地など無かった。

 

「というわけで標的役、やってくれない?戦闘機の飛び方でいいから、ね?」

 

少し悩む。

私は明くまでもISの操縦を学びに来た代表候補性という身だ。

戦闘機乗りとしての機動をしに来たわけじゃないし、身元の判明をある程度防ぐため派手な動きも避けなければならない。

つまるところ今回の任務はかなり機動に制限がかかるということである。

 

戦闘機ならまだしもあのじゃじゃ馬とも言うべき機動性を持っているISで可能だろうか。

 

そう思った。

 

「…いいですよ。引き受けましょう」

 

だが私は受け入れた

 

IS特融の意識で操縦するというやり方自体はコフィンシステムに若干通じるところがあるため、ある程度は出来ていた。が、所詮はその程度だ。

戦闘機の飛び方を忘れずにISに慣れるには良い機会だと、そう判断した。

自分だけでは射撃や機動の訓練は出来るが回避の練習は出来ない。

 

今までは戦闘機と同じ感覚で避けてきたが、そろそろ手段を増やすべきだと思っていたところだった。

それに訓練内容が少し変わるくらいはいいだろう。

 

本来ならついでであるべき訓練だが、生憎ついでにする気などない。

一夏には申し訳ないけど全て避けさせてもらおう。

 

まあそんな思考など軽々と見抜かれたようで

 

「私が指示したときはちゃんと機動の手を抜いてね?英雄さん」

 

と言われた。

 

まあ私は所詮標的だから当然のこと。

そう考えることにして自分の感情を抑える。

 

「機動とかで指定はありますか?」

「それは訓練前に伝えるわ。とりあえず最初の訓練では全部避けてね」

 

さらりと無茶振りをしてくる更識さん。

私だから出来ると踏んだのだろうが、若干不安になった。

 

そのときである。トラブルメーカーが目覚めたのだ。

 

「お目覚め?」

「おはよう、一夏。女の子の膝の上はどうだったかな?」

 

顔を覗き込みつつそう言った。

 

鈍感な癖にウブな一夏はやはり慌てだす。

そして咄嗟に起きようとしたのが不味かった。

 

私と一夏の頭が衝突したのだ。

かなり勢いづいていたためかなりの衝撃となって襲いかかる。

 

どうにか立っていようと踏ん張ったものの、それは叶わず私はうずくまった。

 

しかし災難は続く。

 

 

 ◇

 

情報通りなら一夏はここにいる。

そう思い、保健室のドアを勢いよく開けた。

 

「一夏!」

 

何があったのだ、と続けようとして室内の状況に気付いた。

 

微笑んでいるunknown。

unknownの膝の上で気絶している一夏。

そしてその前でうずくまるメアリー。

 

軍人の勘が告げる。

こいつは危険だと。

 

「目標を排除する!」

 

そう言うと同時にシュバルツェア・レーゲンを部分展開し、突撃した。

そして切りかかる寸前に目の前に障害物が現れる。

 

メアリーが模擬戦で使っていたガンソードだ。

 

「どうして邪魔をする!」

「色恋沙汰で殺人が起きるのを見過ごせというのか」

 

相棒が頭を抱えつつ呟いた言葉で冷静になった私は自らの過ちに気付くと同時に見知らぬ少女に土下座した。

 

「突然攻撃して済まない」

「うん、素直でよろしい」

 

少女の返答の後、私は頭をあげた。

そして新たに質問をする。

 

「では、今まで何が起こっていたのか説明してもらえないだろうか」

 

苦笑しつつ聞いたメアリーの答えで赤面したのはまた別の話。

 

 

 ◇

 

ちょっとしたひと悶着の後、訓練は明日からということを伝えられた私は新たな部屋でくつろぎつつクラックスへと電話をかけていた。

 

「そっちはどうだ?」

『何も問題ありません。いつも通りです』

 

そういつもの口調で言ってくるクラックスに安心する。

俺が居なくても大丈夫なくらいに空軍が再建されてきたということと、今まで様々な組織の侵入で荒れていたオーレリアが平和という事実に。

 

「それは良かった。無事再建も進んでるみたいだな」

『ええ、戦前の規模はまだ遠いですが来年には皆さんも休暇を取れそうです』

「そうかい。生憎とこっちは厄介事があったよ。あとで詳細送っとくからマークしといてくれ」

 

溜息を吐いてそう答えた。

 

同時に脳裏に浮かぶのは、戦前家族と共に遊んだ記憶や崩れていた家。

そして妹のエイミーと今日転入してきたアリス・ヘイズとかいう少女。

 

『大丈夫ですか?』

 

クラックスの心配する声で感傷から引き戻される。

どうにか軽口を混ぜた返答は弱弱しい言葉となって出ていく。

 

「さあな。ちょっと家族のことを思い出しちまったから今日は悪夢でも見るやもしれん」

『そうでしたか…。何か頼りになることがあれば声をかけてください』

「はは、そうだな。そんなときはお前を頼ることにするよ」

 

それじゃあ俺は早いとこ寝ることにするよ、と言って電話を切った。

 

瓜二つな顔と口調を持つ少女、アリスのおかげで幸せだった家族との思い出をどうにか脳裏に仕舞いつつ書き上げたデータを暗号化して送ると同時に泣き出す。

 

「エイミー、ケント。お前らどこに行っちまったんだ」

 

未だ行方の分からない兄妹のことを嘆いた言葉は誰にも聞きとられることなく闇夜へと消えて行った。


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