IS×ACE COMBAT X ≪転入生はエースパイロット≫ 作:初月
4か月も待たせてしまって申し訳ないです。
決して世界樹の迷宮とかACSLPをやってたからとかじゃありません。
ええ、決して。
12/26 一部改稿&追加
いつもなら昼休みであるはずの時間帯。
私は戦闘機で空にいた。
どうやら所属不明の航空隊が出現したらしいのだが、基地が騒然としていた上になんだか司令の様子もおかしかった。
で、そんな状況で出撃したところ日本国防空軍所属のF-3D 1機が僚機になった。
わけが分からん。
唯一安心できるのは僚機のパイロットは即興で普通に編隊が組めるくらいに錬度が高いということだ。
<<こちらはシリウス、司令部より伝言だ。君のコールサインは一時的にチャーリー1とする>>
唐突に入った無線に対して私はため息をついた。
何をやっているんだ、ノースポイントは。
まだ編隊を決めてから出撃したのはいいものの、こんな重要情報を飛んでから伝えるなんて混乱の元だというのに。
まあもう上がってしまった以上何かについて考えるのは後だ。
不明点から片付けなければ。
<<僚機のコールサインはチャーリー2でいいのか?>>
<<ああ、その通りだ。では哨区へと向かってくれ>>
了解、と返すとそのまま機体を傾けた。
未だにレーダーの表示には味方しか居ない。
<<チャーリー1よりチャーリー2へ、詳しい状況とかは聞いてる?>>
<<いいえ、そんなこと聞いてないわ。むしろ私が聞きたいくらい>>
挨拶ついでにつないだ無線から返ってきた声は予想を裏切った。どうやら僚機も女性らしい。
なんという偶然だろうか。少なくとも今まで味方に女性パイロットがいるという状況はあったが僚機になるというようなことはなかった。
そんな事態が起きて心が和らいだのか、返答も少し柔らかい声となった。
<<了解。何か起きる前に終わらせてしまおうか>>
<<そうね>>
そっけない返答もこの状況では信頼の証のようにも思えた。
だがそんな平和も警報により終わる。
<<ミサイル接近!ブレイク!ブレイク!>>
<<チャーリー1よりシリウスへ。敵はステルスだ>>
長距離ミサイルで後ろから狙われたのだろう。
そんなことを思いながらチャフの発射ボタンに指を置く。
旋回性能が良くても保険はかけなければならない。
パイロンから切り離された増槽が残っていた燃料を散らしながら落ちていく。
翼端から白い帯が流れ出す。
天と地が変わる。
主翼が水蒸気に包まれ白くなる。
そのときふと二発の航跡が通り過ぎていくのが見えた。
<<チャーリー1、回避成功。反転後アブレストで攻撃に移る>>
<<了解>>
機体を水平に戻しつつアフターバーナーを点けた。
直後機体は音速に入り始める。
だがレーダーどころか視界にも敵は映らなかった。
おかしい。
そう思ったのは束の間。
また警報が鳴り出す。
今度は赤外線のほうだ。
とっさにフレアを撒いてバレルロールを行った。
レーダーに映るチャーリー2は急旋回中。
やはり虚空からミサイルが撃たれてる。
ここまで来て私はふとフェンリアを思い出した。
私自身があれと戦ったのは衛星とリンクをして一時的なロックが可能になった状態のときだけ。
たしか撃墜された偵察機のパイロットの報告では突如として警報が鳴り響き、ベイルアウトした後に初めて視認できたとあった。
今の状況もこれに似ているのではないだろうか。
そう思い無線を繋ごうとしたとき、横を曳光弾の雨が駆け抜けた。
格闘戦は私の得意分野だ。
いいだろう。かかってこい、相手になってやる。
心の中で呟きながらラダーペダルに足を掛ける。
咄嗟に機体を滑らせつつ減速。
横を駆け抜けたのは少しオレンジ色に染まった虚空。
直後トリガーを押した。
銃弾が敵のエンジンノズルと思われる部分に吸い込まれていく。
そして爆炎が上がりオレンジ色の虚空は黒い姿を現し、黒い残骸となって煙を引きながら落ちていった。
<<一機撃墜。クロスして!>>
無線機に叫びつつクロス機動に入る。
機体下部を駆け抜けるF-3D。
その後ろには見覚えのある半透明のオレンジ色。
まだFCSの反応が無い中ミサイルと機関砲を同時に発射した。
瞬く間に私の若干下方で上がる爆炎。
破片が機体にあたったのか損傷した音が聞こえた。
そしてクロス機動を終えるとすぐに無線がつながった。
<<チャーリー1、燃料漏れてるわよ>>
補助翼の動作確認を終えてから右主翼を確認すると綺麗な帯を引いていた。
完全に漏れていやがる。
だが、今帰れば十分帰れるだろう。
<<了解、じゃあ帰りましょうか>>
そういうと機内で軽くため息をついた。
無茶をしたとはいえ久しぶりの空戦で燃料漏れだ。
さっきの模擬戦での敗北もあった。
腕が落ちたんじゃないだろうか。
そんな疑問が湧きあがっていた。
破片に当たるなんて運が悪いだけだと自分に言い聞かせようとしても、それは出来なかった。
◇
IS学園の飛行場に降りてからサボタージュや早着替えを駆使しつつ全力疾走をすることで五時限目に間に合うことには成功した。
だがここで大きな壁が立ちはだかる。
睡魔だ。
昼休みにスクランブルがかかってその後もほぼ全力で行動したゆえに重なった疲労と昼独特の睡魔、そしてスクランブルがかからないという安心感が見事に重なり非常に眠いのだ。
多分某携帯食料を食べたのも効いているのだろう。
1時限目にあった集会で文化祭で優勝した部活にこの学園のアイドルもといほぼ唯一の男性である一夏を強制的に編入するとかいう爆弾を指揮官さんが投げ込んでくれたおかげなのか周囲の熱気もいつも以上となっており寝たらバレるのは確実。
非常につらい。
千冬さんが担当じゃなかったら確実に寝てる。
そんな状況だ。
学園祭というものに興味はあるのだが、それはあくまで客としてである。
正直に言ってしまえば運営する側に興味は無いのだ。
皆でやれば楽しいのかもしれないが、予算等で苦労した記憶を思い出してしまって気が乗らない。
それにだ。
マスコットキャラクターもとい織斑一夏を全力で売り出したいのか出ている案は色々と、主に倫理的な面で問題のあるものばかりである。
本人が認めているなら推してもいいが、司会進行をしている彼の姿を見るととてもそうとは思えなかった。
誰であろうと蔑ろにする気はない。
そんな信念を持っている者としては、どれであろうとあまり関わりたくなかったのだ。
そんなことを思っていたからだろう。
ついに私は静かな眠りに就いてしまった。
このあとどうなったのかは言うまでもない。
学園祭の催し物を決めてるあのシーンに相当な時間がかかってしまいました。
その結果居眠りで逃げるという話に…。
やっぱり日常回って書き慣れないです。