IS×ACE COMBAT X ≪転入生はエースパイロット≫   作:初月

31 / 37
今回もオリジナル。
おかげで楯無さんの出番はもう少しあとです。

※7/10 アリスの機体名を変更しました。

2014/7/25 一部追記
2014/8/4 1・2組合同授業から一年合同授業に変更しました。


第24話 転校生の本気 前編 

一体上層部は何を考えているんだ。

 

ドイツ軍少佐であるラウラは転校生のことそっちのけでそう思っていた。

 

部下であるクラリッサから告げられたのはメアリーがオーレリア軍の機密にふれかねないような人物であるという報告と、同時に軍属であることを示す資料であった。

 

そしてそのオーレリア軍は今の女尊男卑の世の中で男女平等を訴えることを利用し戦力の拡大をはかっているというのは有名な話。

 

早い話女尊男卑を揺るがしかねない織斑一夏を暗殺してもおかしくはないのだ。

 

だがそのことを報告したら情報の口外を禁止され監視を命令されただけで、情報ごともみ消されかけている。

腐りきっているのか、何か意図があるのかはわからないが一夏の近くに不安要素を置くこと自体をしたくないのに排除できないのが怒りとして表れていた。

 

 

彼女がその他社会的に攻撃を行うことが出来れば状況は変わるのかもしれないが、戦闘に特化して製造されたモデルであるラウラはもどかしい思いをするだけであった。

 

だがこの教室にはその変化に気づく者はいなかった。

いや、気づく前にラウラが去ったという方が正しいのかもしれない。

 

次の時間は専用機持ちの生徒同士での模擬戦観察。

のんきにしているものも数名いるが、彼女たちに時間的余裕はないのだ。

 

 

 ◇

 

3限目。

 

1年合同の専用機持ちによる模擬戦が始まろうとしていた。

 

全て2対2の形で行われるもので、

最初が私・一夏vsリンさん・転校生。

次が篠ノ之・ラウラvsシャル・オルコット

という順番である。

 

夏休み明けということもあり、最初授業にはしないのかもしれない。

まあこのおかげで専用機持ちは夏休みの間もあまり休んでいられないのだがISに乗るまで基本空にいた私には関係のない話だった。

 

なぜか私が一夏と組む羽目になったのだが多分千冬さんの差し金だろう。

そして負けると昼食を奢らなければいけないなんていう話が出ているのだが夏休み明けであり、また銀行に行っていない私の財布はすでに悲鳴を上げていた。

そのことを一夏に告げると「ああ、いいぜ。」と気前良く全額引き受けてくれたので多分私に損はない。

 

と思いたかったんだけどちょっと空気が重くなっているのは一夏の朴念神によるところが大きいのだろう。

おかげでさっきからずっと睨まれている。

 

・・・はぁ、問題はあまり作りたく無いのだが。

 

内心そんなことを思いながら試合開始までの残り時間を確認した。

 

今回の対戦カードは一夏と私の高燃費ペアにリンさんと妹(多分)のペア。

リンさんの視線は辛いがunknownであるアリス・ヘイズの機体性能及び戦法を確認するにはいい機会だろう。

 

そう思ったときアリーナにブザーが鳴り響いた。

 

開幕瞬間加速で突撃する白式。

最初はミサイル戦を展開するつもりだったがこれでは一夏がただ自滅するだけなのでファルシオンを展開し全ブースターを使って甲龍へと突撃した。

 

斬撃に移れる姿勢で目標へ突進する機体を左右に揺らす。

 

目標はこちらに龍砲を向けつつ白式へと近接武器を投げた。

瞬間加速終了直後に飛来したそれは白式の装甲を抉った。

 

対するこちらだがサイドブースターを使って龍砲を全回避していた。

おかげで早速弾幕状態だがむしろこちらのほうが避け易い。

ファルシオンについている銃で攻撃しながらミサイルを斉射した。

 

それでも8発だが、驚かせるには十分だったようで目標は後退しながらの回避をこころみ始めた。

 

この行動で軽く減速した目標に白式が突撃を敢行し、雪片弐型による斬撃を行う。

できれば雪羅で弾幕を張りながら零落白夜を使って突っ込んで欲しかったのだがそこは見逃そう。

 

それに斬撃の直後に速射モードの龍砲による反撃を行っているところを見ると三次元機動がまだ上手くはない一夏の判断は間違ってもいなかったのかもしれない。

 

まあそんなことはどうでもいい。

 

今の私がやるのはアリスのデータ入手だ。

 

こちらへの牽制をすっかり忘れていた甲龍をいいことに速射ライフルと背部のミサイルによる支援を行っていた白・灰・水色の迷彩柄の四脚型ISへと突撃する。

 

直後機体データがコアネットワークから流れてきた。

機体名はホワイトフォート。

多種多様な装備を持つ汎用型ISで、イメージインターフェイスを6種以上の武器の火気管制に利用しているという第二.五世代型に近い第三世代試験機だ。

 

まあ私の機体もイメージインターフェイスは機動制御に利用しているため第二.五世代型に近いので人のことだけを言っても居られないが。

 

でも正面火力が厄介なのは事実だ。

127mm速射砲2門と対ISミサイル多数、対ISライフル2丁に25mmくらいのガトリング砲2門という恐ろしい火力を保持しているために接近すらままならないだろう。

 

だが長い武器が多いので接近戦には弱いはず。

 

そう思い一気に距離を詰める。

しかしこの判断が間違っていたことに気がついたのはこの直後である。

 

ホワイトガンナーがライフルをパージして短機関銃を展開し更に濃い弾幕を形成したのだ。

 

不意打ちだった上に至近距離だったこともあいまってガトリングや短機関銃弾数発の直撃を受ける。

 

他の機体なら大した損害ではないがレイダーは装甲を犠牲に機動性を特化した機体。

シールドエネルギーを20%ほど削られた。

 

ISとしてはかなり危ない装甲であることを露呈したが、元々戦闘機乗りだった私はあまり驚くことでもなかった。

日々進化する武器によって今では喰らったら戦闘不能といっても過言ではない。

 

そんな空を飛んでいた私にとってはあまり驚くことはなかった。

 

6種以上の武器を同時に予測射撃可能とはいえ所詮は機械の予測。

 

バレルロールを行いつつスラスターの出力を変え砲撃や銃撃を避ける。

 

続いて迫ってくるのはバレルロール終了間際に撃たれたミサイルだがサイズやその機動性から赤外線誘導の気がしたのでブースターで地面を炙り疑似フレアを作ってサイドブースターとサブブースターを利用し急上昇でミサイルの誘導範囲から離脱、直後地上に小さな爆炎が上がった。

 

やはりブースターも熱を持っているようだ。

まあ戦闘機ほどではないのだろうけど。

 

 

ふと離脱方向を見ると甲龍に押されている白式の姿があった。

 

やはりエネルギーを切らしたか。

それも半分くらい玄人向け過ぎる機体が悪いので別に問い詰める気はない。

 

だが今落とされると私一人になり少々面倒なので全速力でN/PDW-1Lを撃ちながら突っ込む。

 

後方から砲弾がかすめる音が聞こえるが、それらはすでに徹甲弾から炸裂弾へと変化していた。

おおかた甲龍への誤射を恐れたのだろう。

 

もしくは威力より命中を重視しはじめたのか。

どちらにしろ私には好都合だった。

 

速度をそのままに甲龍への直撃コースをとる。

そして武器をファルシオンを変え機動を少し後方を通るように微調整する。

 

直後腕にかなりの衝撃がかかる。

 

白式撃破に集中し過ぎていた甲龍にファルシオンが直撃したのだ。

 

こちらは音速手前までいっていたのでかなりの威力だったはず。

そのことを示すかのようにファルシオンはもがれた翼のように変形していた。

 

アリーナ壁面への衝突を避けるように旋回すると、砂煙が上がっていたから大打撃は与えられたはずだ。

だが油断は禁物。

残弾の制限がない携行型メソンカノンを撃ちこんだ。

 

直後COMが 甲龍撃破 と言った。

 

 

 ◇

 

専用機持ちの演習があると聞き、兵装試験とかをメインで行おうと思っていたのにそれをさせてくれる状況ではなくなっていた。

 

unknown、メアリー・オーブリーの存在によってだ。

 

専用機持ちでありながら少なすぎる情報から過去の情報等不明な点が多かったが、IS学園でふつうに生活している以上別に問題はないと思っていた。

 

まあ僕の姉と同じ名前で似すぎている容姿。

同一人物もしくはクローンだと即決できるレベルなんだけど、姉が乗っていたであろう機体が爆発四散する光景はこの目でみたのでクローンだと即決できだ。

 

オーレリアのIS社会への不干渉具合と頭がよかったから何らかの実験とかに作られてもおかしくはない。

 

でもそれは僕の思い違いだったよう。

 

異常ともいえるほど機動と速度だけ突き詰めた機体をかなりうまく使いこなせている。

おかげでライフルはあまり撃てなかったし12.7cm砲の射撃データもあまりとれなかった。

 

仕舞いにはミサイルの弾幕までよくわからない方法で避けられる始末だ。

 

最後やけになって張った対空弾幕はもちろんのごとくあたらなかった。

 

そして最後には体当たりに見せかけた強烈な斬撃で甲龍を吹っ飛ばして動けなくなったところに光学系武器乱射で追い打ちをかけ撃破。

 

人間にある慈悲や油断のかけらをほとんど感じることができない戦闘。

なのにIS学園で問題も起こさずに過ごしている。

ラウラ・ボーデヴィッヒとかいう試験管ベビーのように浮いているという話もない。

 

戦闘用クローンに近いがそれですらない可能性がでてきた。

 

最早異常だ。

 

でも逃げるわけにはいかない。

 

これからもっととんでもないことをやらなければ僕は生き残れないのだから。

 

そう思いつつガトリング砲と76mm砲を白式とグリフィスに撃ち始めた。




低空ミサイル避けはエスコンXのOPのミサイル避けをイメージしております。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。