IS×ACE COMBAT X ≪転入生はエースパイロット≫   作:初月

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かなり遅れてすみません。

夏休みって前半部分になにもないから完全オリジナルな話です。

2014/12/26 一部改訂

2015/08/02 一部改訂


第四章 暑さを嫌うエース
第21話 パッケージ:レイダー


7月の終わり頃。

オーレリアの季節感覚を維持していた私はなんだか不思議な気分のまま数日を過ごしていた。

 

普通なら夏→秋→冬とつづくはずなのに微妙な時期で日本に来ていたため夏→秋→夏という感覚的には異常事態になってしまったのだ。

 

そもそも私は暑いのが嫌いなので冬の代わりに夏が来るというのは地獄でしかない。

 

何度か所属基地をグリスウォール近郊の基地やモンテブリーズ基地に変えてみないかと打診はされたことがあったのだが暑いところは好きじゃないといって断った覚えもある。

 

要するに私は今すぐオーレリアに帰りたいのだが、そうはさせてくれない事情もあった。

 

臨時戦闘員に任命されてしまったので一応指揮官的な人に会いに行かなければならないのだが、その人がいないのだ。

まあIS学園の生徒でありながら最終的な防衛を一任しているような人間だからなにかあるんだろう。

 

でも空けて欲しくはなかったかな。早く涼しいオーブリーに帰りたいし。

それに一応役職を持っているので溜まっているであろう書類を片付けたいのだ。

 

そんなことを考えながら木陰に座りつつメモ帳に私のISについて書いていた。

近接戦用にIS用のPDWやコンバットナイフがあってもいいかもしれない。

TLSで代用出来なくもないが、あれではリーチが長すぎる。

 

あとAM-1がガトリング砲やらTLSやらを装備できる腕を片方使えなくしてしまうから現状ではただのハンデもしくは予備にしかなっていない。

 

考えれば沢山でてくる欠点。

これも早くオーレリアに戻って解決しておきたいものだ。

…まあこの量だと改造になりそうだけど。

 

多分適当に仕上げられただろう専用機を見てそう思った。

 

 

ああ、オーレリアに帰りたい。

 

 

そんなことばかりを考えていたからだろう。

 

自分の後方数メートルにいる人に気がつけなかった。

 

 

普通に歩いているのではなく、忍び寄ってくる。

 

敵かどうかはまだ分からないが私は相手の死角を利用して姿をくらますことにした。

どこかで狙われてもおかしくない身なのでこういうのには慣れているのだ。

 

そして丁度いい生垣を見つけたのでそこから相手を確認することにする。

 

ちなみにこんなときのために小さな双眼鏡をいつも持ち合わせている。

 

unknownは青い髪のIS学園2年生…。

 

まんま現場指揮官じゃないか。

 

武装はなし。

この距離では殴り合いはできない。

 

そう判断した私は生垣から出ることにした。

 

ただこの判断が危険だと直後に思い知ることになる。

一瞬のうちにナイフが使える距離まで縮められてしまったのだ。

 

「すぐ気を抜くのは悪い癖よ」

 

と説教まで吐かれる始末。

 

「本職なのに不甲斐ないのをみせちゃったかな」

ふと思ったものが口に出てしまうほどに動揺してしまった。

 

「いいえ、問題はないわ。

 私が近づいた時ナイフでの近接戦に対応できるようにしてるし」

 

まあ私はナイフなんて使わせないけど、と小さな声で言った現場指揮官は手に「及第」と書かれた扇子を広げた。

よく見ると鉄製の上にあまり風流というものを感じないデザインだから違うものかもしれない。

そんなことは置いておくとして結局のところ本当に司令官が敵だったら私は最低でも気絶していたということだけは確実。

もっと地上戦の訓練はしておくべきかもしれない。

 

「はぁ、私もまだまだ精進しなければいけませんね」

こんなんじゃ狙われたときに死にかねない。

 

「ふふっ、自分の実力に自惚れない子。お姉さんは嫌いじゃないわ」

そういうと司令官は去って行った。

 

そういえば更識楯無ってどう読むんだろう?

聞き逃したことを若干後悔しながら手元を確認すると名刺があった。

 

どうやら"さらしき たてなし"と読むらしい。

 

日本語のほうもまだまだなのかもしれない。あと、私のスニーキングスキルも。

 

「あ、二学期から私一夏君の部屋に行くから引越しの準備しておいてね」

 

そんな突然の発言に少し固まっていたのは言うまでもない。

 

 

 ◇

 

私がオーレリアに帰れると、涼しい場所にいけると小躍りしながら準備を進めていると携帯電話が突然鳴った。

…オーレリアのIS開発の広報担当者をやってるエリナからだ。

女尊男卑が浸透してしまった世界で、対外的対応に男性を起用すると面倒だからこその女性起用なのだが、エリナは優秀な変人であり、フェンリア復元や例の使い捨てエンジンを開発した本人でもある。

そして特別な用事がない限りは向こうから連絡がくることは基本的にない。

 

そんな奴からの連絡なので嫌な予感がするが…出ることにする。

 

『あ!メアリーちゃん、出るの少し遅いよ!』

 

「たかだか数秒の話だろ!」

 

『空戦じゃ1秒が命取りなんだ~とかいって私たちを困らせたのはどこの誰かな~?メアリーは知ってる?』

 

ああ、こいつとは本当にやりづらい。

ちなみにエネルギー系の武器が多い俺の機体にM61A1を積めるように頼み込んで完成を1ヶ月近く遅らせたのは紛れもなく俺だ。

否定するつもりはない。

 

「知っているぞ、それは俺だ。

 そんなことはともかくお前からかけてくるとはどういう用事なんだ?」

 

『あ、まだ言ってなかったっけ。私のほうからそっちに行くから帰ってこなくていいよ』

 

どうやら俺の予感は的中してしまったようだ。

ああ、オーブリーのはずれにある自宅で過ごす夏休みが遠ざかっていく…。

 

そのときの俺は声も出さずに涙を流していたということをのちに山田先生から聞いた。

 

 

でもこれだけでは終わらない。

 

 

この電話が終わった直後、私の部屋のドアがたたかれた。

 

「オーブリーさん、いますか」

という山田先生の声。

 

オーレリアに帰省するときに持っていくはずだったトランクをベッドの上に置いたまま私はドアを開ける。

 

するとそこには

「やあ!久しぶりだねメアリーちゃん」

とつい先ほどまで電話で聞いていた声を話す人がいた。

 

悲しみが怒りに変わった俺は全力でそいつを殴り飛ばし反対側の壁へと飛んでいった。

 

 

 ◇

 

ところ変わって第1アリーナ。

ここで私は新しい機体もとい改修パッケージを装備してテスト飛行を行っていた。

 

現在装備中のパッケージ、レイダーはその名に恥じない機体となっていて、メソンカノンやM.B.S.R.が設置される場所にサブブースターを設置することによりかなりの高速・高機動になった機体である。

なお、8基のブースターの出力はマニュアル操作にすれば一つずつ調整できるが、同時に8基も操りながら腕の装備を撃つのは難易度が高すぎるのでブースターはオートにしたままだ。

 

まあこのパッケージのときはメインブースターも使い捨て可能なほど耐久力のない消耗品ではなくなっているので精神的には優しいのだが。

 

『ブースター系の動作は問題なさそうだね。じゃあ次は射撃系の武装を展開して』

 

アリーナの放送で流される指示に従い次は武装を展開した。

 

右腕にM61A1とTLS、N/MG1000-1。左腕にGAU-8、M/PDW-1L、盾型ミサイル発射機が展開される。

 

直後続々と出てくるターゲットが出てきた。

撃ちぬけということなのだろう。

 

テストなので使ったことのない右腕のN/MG1000-1と左腕のM/PDW-1Lからにした。

N/MG1000-1はただのマシンガンで、M/PDW-1Lは見た目がPDWのメソンカノンのようだ。

 

両方とも射程はそこそこで弾速も速いので近距離での機動戦とかにはちょうどいいかもしれない。

 

そう思い試しにジグザグに飛びながら撃ってみる。

 

右腕のMGはそこそこあたっているのだが、左腕のPDWは重力の影響を受けないのが災いしたのか予測照準の通りに撃ってしまうとひどい命中率になってしまった。

 

その癖して異常に消費するエネルギーのおかげでPDWは慣れるまで使い物にならないかもしれない。

 

 

まあそこらへんの文句は今管制室あたりから見ているであろう開発者にぶつけることにする。

 

『目標全部破壊確認!じゃあ次は私特製のエネルギーブレードだ!』

 

そう言われたので確認してみると、未だに使っていないレーザーブレードが、LGB-2 FALCHIONとかいうものに変わっていた。

試しに展開してみると中型のレーザーブレードが展開された。

 

ラウラのプラズマ手刀と一夏の剣の中間くらいサイズと言えばわかりやすいかもしれない。

サイズ的にファルシオンというよりサクスじゃないだろうか?

 

エリナのネーミングセンスを疑いつつLB-2を眺めているとトリガーのようなものがあることに気がつく。

なぜブレードにトリガーがついているのか考えているとまた放送が流れはじめた。

 

こんなに放送するくらいなら事前に全部言ってくれた方がよかったのでは?

ふとそんなことを思ったが直後思考する暇はなくなった。

『それガンソードだから撃ちながらザッシュザッシュ斬っちゃって!無人ロボット出すよ!』

 

突然出てくる無人ロボット。

機動性はかなり悪そうだが持っているのがミサイルなので、LGB-2についている銃で迎撃しながら突っ込んで斬りつけるといとも簡単に真っ二つに折れた。

 

まあ無人ロボットならしょうがないかな。

 

なんて燃えさかる無人ロボットの残骸を見ながら思っていると

『これでテストは終わり!感想は後で聞くから早く戻ってきてね!』

 

という放送が流れた。

 

 

まだ操作をつかみきれていないから誰かと模擬戦でもやっておきたいが、それは夏休みが終わった後でもいいだろう。

Gをあまり感じない状態での高機動だったから違和感もかなり感じた。

 

しかし…わざわざ同じ機体にしておく必要があったのかを疑いたくなるほどの性能の違いな気がしてならない。

まだIS操縦者を探していないということなのだろうか?

 

だとすると、まだ金はないんだな…。

 




祝お気に入り登録100件超。

PAの無いアーマードコアネクストと戦闘機を掛け合わせたみたいな専用機になってます。
要するに高機動・紙装甲・超高速。
多分もっと速度を求めた機体にすると戦闘機乗りであるメアリーに使いやすくなっていくはずなのでキャノンボール・ファストでは独走するかもしれません。

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