IS×ACE COMBAT X ≪転入生はエースパイロット≫   作:初月

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第三章 臨界
第15話 臨海学校


クラリッサからメアリー・オーブリーについての情報が来た。

 

今回はいつもの口頭連絡ではなくメールで来たようだ。

もちろん暗号回線を使っている。

 

そして私――ラウラ・ボーデヴィッヒ――が見たのは―――

 

 

 

 ◇

 

 

 

凶星はいま海に居る。

 

 

 

…とかっこよく書きだしてはみたが続かないな。却下、却下。

 

 

まあ冒頭のとおり海にきている。

 

臨海学校とかいうやつで端的にまとめるならば海にきて色々する行事だろうか?

 

 

だが中学時代は操縦訓練に勤しんで高校も行事となると全然出ることが出来てなかった私はこういう経験が全くなく、一体何をすればいいのかわからなかった。

 

ただ泳ぐだけなら時間は潰せるだろうが同時に体力も使い果たしそうだし…。

 

 

そこまで考えてあることを思いついた。

ただただ浮いてるだけで過ごすということである。

 

今日くらいはぼけーっと空を眺めていてもいいだろう。

この任務が終わればまたあの空を駆け巡ることになるんだろうから。

 

じゃあ夕方まで沖に流されないようにプカプカ浮いてるか。

 

 

…一夏の野郎、完全に遊ばれているが放置で行こう。

 

 

 ◇

 

 

プカプカ浮くこと十数分。

 

一夏がリンさん連れてやってきた。

 

「くそ、なんで俺が殴られなきゃいけないんだ…」

 

何があったかは知らんが胸中お察し致します。

そんなことを思っているとリンさんが

「一夏!向こうのブイまで競争ね!」

と言い出した。

 

海水浴場にあるブイと言えば一種類しか思いつかないので一応

「ブイは越えるなよ!沖に流されるからな」

と注意を促し私はプカプカ浮き続ける…。

 

はぁ…。

何もないのはいいことだけど、いい加減飽きて来た。

 

 

そんなことを思い始めたので砂浜まで泳いで戻ろうかと思ったとき何故だかは知らないが溺れ掛けたリンさんを抱えた一夏がやってきた。

 

あの泳ぎ方じゃ水を飲みかねないな。

 

そう思い

「この浮き輪使って運んであげなよ」

と一夏に声をかける。

 

その後一夏は

「ありがとう」

とだけいって浮き輪にさっきまで私がしていたようにリンさんを乗せ急いで砂浜まで泳いで行った。

 

その後砂浜にゆったりと泳ぎながら戻るとビーチバレーをやっていたので私はそれを観戦したりまたプカプカ浮いたりしながら夕方までの時間をつぶしたのだった。

久しぶりの休みらしい休みだった。

 

あとかき氷おいしいです。

 

 

そういえば一夏が千冬さんの水着姿に妙に反応していたのだがまさかシスコンなのfsろうか?

だとしたら姉弟そろって(ここで記録は途切れている。ナニカサレタヨウダ)

 

 

 ◇

 

 

時は経ち夕食。

 

止まるのが旅館だけあって結構豪華な和食がでてきた。

 

和食自体は日本スキーだった母親の影響もあり幼いころから食してはきていたのだがやはり本場のは雰囲気から違うな。

どこぞの雲のキャラみたいに「じゅるるー」とか言いたくなってきたが流石に不作法なので言わないことにした。

 

さて、頂くとするか。

 

 

ちなみに隣はシャルなのだが―――

 

―――一夏の「うん、うまい!流石本わさ!」という発言を真に受けわさび全部を一口で食べるという罰ゲームに近いことをしていた。

 

…大丈夫だろうか。

そう思ってかけた

「「お、おい、シャル大丈夫か」」

という一言が一夏と完全にハモる。

 

だが流石シャルというべきだろう。

鼻をつまんで目に涙を滲ませながら

「大丈夫、風味があっておいしいよ」

と返答してきたのだった。

 

シャル強いな。

 

 

そのあとは一夏が安定の鈍感スキルを発動させて「食べさせてやろうか」という失言までしたせいでかなり騒がしくなったのだが千冬さんの

「お前たちは静かに食事も出来んのか!」

という一喝で静かになった。

 

千冬さんって教官向きな気がする。

 

そして騒動の責任を問われてしまった織斑君。少し同情したくなった。

 

 

そういえば私の部屋はどうなるんだろうか?

 

 

 ◇

 

二日目。

朝早くといってもいつもの癖で4:30に起き旅館をぼーっと歩いていると機械製のウサギミミをつけた人がなんだか妙な仕掛けを埋めていた。

 

…どっからどうみても篠ノ之博士である。

 

 

暇なのでそのままじーっと見ていたら流石に気付かれたようで、そして俺の正体にも気づいたようだ。

 

「なんでパイロットさんがこんなところにいるのかな?」

 

「それは貴女が"Operation The Dawn of a New Chronicle"に協力する交換条件として出したことについての報告とISについての勉強です」

 

「実際どのくらい進んでいるのかな?もしかして下っ端だから分からない?」

 

若干嘲笑が混ざっている発言で精神衛生を悪くしながらそれを表に出さないように答えた。

 

「詳しくはこちらの資料でご確認ください。あなたの言うように私はパイロットであって技師ではないので」

 

あらかじめ届いていた封筒を博士に渡す。

直後何等かの機械にそれを放り込むと口を開く。

 

「箒ちゃんたちに手出しをしないでね」

 

そんなことはしません、と口に出そうとしてやめた。

篠ノ之博士は身内以外には辛辣なことで有名だ。そんなお方が部外者の私に警戒心を抱くのは当たり前のことであり、気にするようなことではない。

 

…本音を言えば面倒なものには関わりたくないということである。

 

とりあえずそういうともう篠ノ之博士は何も返してこなかったので私の目的は果たされたとみるべきだろう。

所詮俺らは博士にとって"目標遂行を援助してくれる何か"に過ぎないのだ。

 

どういう風に怪しい機材を置いていくのかは気になったが博士の機嫌を損ねたくはないので俺はここを立ちさることにした。

 

 

とにかくこれで司令部からつい先日渡された重要任務クリアだ。

何のことかは軽くしか説明されていないが何だか危険な予感がしたので俺はもっと詳しく聞く気はない。

 

今俺が分かっておくべきことは"Operation The Dawn of a New Chronicle"の情報が流れたら世界は大混乱に陥るだろう、ということだけだ。

 

…暇だし潮風にでもあたっていようかな。

 

そう思った俺は部屋に戻ったのだが、そこで兎のマークが書いてある得体の知れない書類を見つけてしまったために結局砂浜まではいけなかった。

流石は“天災”の名を持つお方である。

 

 

兎マークの書類をどうにか片付けて安心していると、俺と博士が会った場所のあたりにオレンジ色のミサイルが落ちていくのが見えた。

あの怪しい装置は誘導装置だったのだろうか?

 

 

 ◇

 

「よし、専用機持ちは集まったな」

 

千冬さんの掛け声がかかる。

 

ここにいるのは俺、一夏、シャル、リン、セシリア、ラウラ、篠ノ野さんだ。

兎マークの資料によると篠ノ之さんに専用機が届くらしい。多分ここでお披露目をするのだろう。

 

まあそんなことを知っていたら怪しまれるので驚いているフリをしておくことにした。

 

そしていち早く篠ノ之さんの存在に気づいたリンさんが口を開いた。

「ちょっと待ってください。箒は専用機を持ってないでしょう」

 

「私から説明しよう。実はだな」

と千冬さんが説明を始めようとすると「やっほー」と叫びながら異常な速さで砂煙をあげながらやまを降りてくる博士の姿があった。

 

…やはり変人だったか。天才と馬鹿は本当に紙一重なのかもしれない。

 

そう思った矢先盛大なジャンプを行い「ちーちゃーん!」と叫びながら千冬さんへアタック。

そして顔を千冬さんの手で押さえられて着地。

 

「さあさあ会いたかったよちーちゃん。さあハグハグして愛を確かめ…」

千冬さんは博士が言い切る前に無理やり手に力を込めて中断させる。

なんだか博士が悶えているのだが・・・まあいいか。

 

そしてその後の

「相変わらずうるさいぞ、束」

という発言から察するに普通のテンションであれのようだ。

マジかよ…。

 

 

その後博士はいつの間にか隠れていた篠ノ之さんを発見しちょっとした失言をしたせいで木刀でぶん殴られたのだった。

 

良く考えると博士結構災難じゃないか?

因果応報だとも思うが。

 

そして他の専用機持ちに至っては引いてる。当たり前だな。

 

 

そのあと軽い自己紹介を博士がしたおかげで引いてる顔から驚愕の顔へと何人かがかわったのだが、

「さあ!空をご覧あれ!」

と言って高速でものを落とすのは非常に心臓に悪いと思う。

 

ちなみに速度の参考にする情報を述べるのなら地上にあたっていないのにもかかわらず少々遠くにあった岩が少し崩れたのか石が落ちる音が聞こえてきたということがあった。

衝撃波の干渉なのだろう。音速、超えてたんだな。

 

その後は篠ノ之さんの専用機となるらしい第四世代型IS、赤椿の説明をしていたのだが正直な話をしてしまえば余りの演出と博士の性格のおかげでポカーンとしたまま過ごしたおかげであまり覚えていない。

Rafale Gを作ったあいつらを見ていたってここまでポカーンとはしたことがないのに…。

 

そして遠くを飛ぶISを見た感想としてはかなり機動性が高いということだった。

 

 

しかし天才っていうのは変人だらけなのだろうか?

 

 

だがそこに山田先生が駆け込んでくる。

 

「た、大変です!織斑先生!」

と言っているあたり何かが起きたのだろう。

 

…私の携帯にも何か来ているかもしれないが確認しにいくほど時間は無さそうだ。

 

何故なら小さな声で千冬さんが

「匿名任務レベルA、直ちに準備を始められたし、か」

っていってたからな。多分余裕はない。

それにこのタイミングでの情報伝達だ。大方同じ事件だと思われる。

 

「テスト稼働は中止だ!お前たちにやってもらいたいことがある」

 

千冬さん独特のしっかりとした声で飛ばされた指示に従いつつ、目標はなんなのか邪推を始めた。

 

そして直後山田先生が博士に驚いたのはご愛嬌だ。




伏線回かもしれない。


11/19 修正

2015/7/24 一部改稿

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