IS×ACE COMBAT X ≪転入生はエースパイロット≫   作:初月

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第12話 XB-340

<<こちらナイアッド、囮艦隊は行動を開始する>>

 

その無線とともに作戦が始まった。

 

<<スカイアイより航空隊各機へ、これより一部空域への侵入を禁止する。禁止空域はレーダーに表示させておくので確認するように>>

 

侵入禁止空域は…潜水艦隊周辺120kmのようだ。

その間潜水艦隊は無防備となる訳だが…敵に航空機がいないことを祈ろう。

 

<<グリフィス1、なんか嫌な予感がしないか?>>

 

<<それについては同感だ。俺は艦載機を積んでいると見た>>

 

あの大きさで何もついていない訳がない。

そしてその中で一番可能性としてあり得るのは艦載機だ。

 

<<艦載機か…。潜水艦隊の奴らは大丈夫なのか?>>

 

<<大丈夫だろう。艦載機を出した時点で位置が割れてしまうぞ>>

 

光学迷彩を展開した状態で発艦なんてやったらどうなるかは考えなくてもわかる。

だから発艦させるなら一時的でも光学迷彩を解かなければ無理だろう。

 

UAVなら発艦可能かもしれないが、発進させた時点でAWACSのレーダーに映って隠密行動ではなくなる。

 

<<真面目に考えればそうだな。しかし敵は出てきてくれるのか?>>

 

<<さあな>>

 

無駄足になる可能性は十分にあるということだ。

俺はこれが無駄足になって更に情報が集まることを望んでいる。

 

―――だがそんなに甘くはないと実感させられた。

 

 

<<スカイアイより航空隊各機へ!高度90000にてXB-340の出現を確認!グレイプニルより上の高度をとって目標に接近、攻撃をしかけろ!>>

 

その発言と同時に広域レーダーから潜水艦が消え始めた。

 

見事におびきだしは成功したってわけだ。

 

<<こちらナイアッド!ショックカノンにISAF海軍潜水艦ドラゴネットのミサイルが命中!よし、壊せたぞ!>>

 

おお!ショックカノンを壊せたのか。これで楽に―――

 

<<こちらオーシア海軍潜水艦N-11、XB-340よりUAVの発進を確認。何て数だ!>>

 

 ―――はならなかったようだ。

 

レーダーに機影が60ほど出てきた。

UAVの大きさから考えたとしても内部にはかなり大きなスペースがあるようだ。

そして潜水艦隊のほうへと向かっていくが既に多くの船が潜航できたらしい。

 

その直後

 

<<ナイアッドより全軍へ、数隻被弾したが潜水艦隊全艦潜水完了した!これより離脱する>>

 

と無線が入った。

 

多少被害が出たようだが潜航に問題はないくらいの軽微なものらしい。

 

 

そしてその無線が終わるころ俺たち航空隊は消えかけているXB-340を長距離ミサイルの射程内におさめた。

 

生憎短距離ミサイルしか積んでいないが、機体下部黒いから煙が出ているので光学迷彩を発動させても逃げ切れないだろう。

 

 

―――そう思った矢先赤い光が前を飛んでいたF-22を4機爆散させた。

 

 

 

<<メソンカノンだ!気をつけろ!>>

 

咄嗟に俺は叫んでいた。

 

そして叫ぶと同時に各機が散開していく。

だが、散開の遅れた何機かが犠牲になった。

 

<<メビウス1よりメビウス隊各機へ、まずメソンカノンを叩くぞ>>

 

メビウス1の無線の終了とともに突撃していく8機のF-22。かっこいいなぁ・・・。

 

…一瞬気を抜きかけたが俺もまだ動けていない味方機へ指示を出す。

 

<<グリフィス1より各機へ、メビウス隊が近づく前に光学迷彩にダメージを与えろ!>>

 

この無線で散り散りになっていた戦闘機もバラバラだがXB-340へと向かっていた。

 

だがXB-340に近づくにつれ少しづつ戦闘機の数は減って行った。

 

 

そう、俺は重要なことを言うのを忘れていたのだ。

メソンカノンへ接近するときの回避法である。

 

そしてそのことに気づいた俺は真っ先に無線でそれを言った。

 

<<メソンカノン接近時には高速を保ちながらこまめに機動をとれ!さもなくば落ちるぞ!>>

 

俺の発言が終わると多くの戦闘機が変則的な機動でXB-340へ迫って行った。

 

バレルロールをしながらいくもの、

縦旋回中に横旋回をかけたりするもの、

微妙に高度を変えながら蛇行するもの、

不規則に飛んでいくもの、

 

実に様々である。

 

 

だが近づくにつれ何機かがUAVに喰らいつかれ空戦へ巻き込まれていく。

 

空戦に巻き込まれた戦闘機は墜ちることはないのだがUAVの物量のせいで乱戦から抜けられないようだ。

多分レッドアラートが鳴りっぱなしだろう。

精神的に大丈夫かは気になるが、俺の居るところからでは少々遠いので他の友軍機に援護を救出させることにした。

 

かくいう俺は強行突破はせずに接敵したものから落としながらXB-340へと向かっている。

 

大体ヘッドオンだから大分楽なんだけどね。

 

 

ちなみにそんなに楽に落とせるもう一つの要因はUAVが機銃1~2発で落ちるからというのもある。

いくら小さくても耐久が無いためかなり落としやすかった。

 

襲来してきたUAVの第三派にヘッドオンや急旋回して後ろをとったりなどでUAVを20機ほど葬ったころでファルコ1から茶々が入った。

 

<<グリフィス1、今日の調子はだいぶいいようだな>>

 

<<この程度、敵でもない>>

 

俺の発言があらわすようにメビウス隊やファルコ隊なども文字通りUAVを瞬殺していた。

機動もかなり悪かったからな。

 

…ファルコ1は完全に落としにかかってるから実はもう俺以上に撃墜しているのである。

 

 

しかしあんなことが言えるということはまだまだ余裕があるんだな。

そう判断した俺はファルコ1への逆襲をしかけることにした。

 

<<そんなに余裕があるんだったらUAV全部落とせば?>>

 

だが俺の反撃は裏目に出たらしく

 

<<分かった。やってやるよ>>

 

といってバーナーを吹かしながらUAVの群れへと突っ込んで行った。

 

 

調子がいいのはファルコ1なんじゃないか?

 

そんなことを思っていると正面上方でUAVが6機ほど墜落していくのが目に入る。

…調子良すぎだろ。

 

直後スカイアイから

 

<<UAVの全滅を確認、各機直ちにXB-340を攻撃せよ>>

 

という無線が入ったあとファルコ1に盾つくやつが居なくなったのは言うまでもない。

 

 

 ◇

 

 

UAVの攻撃を躱してXB-340の懐に潜り込めたのは作戦参加機のうち80%だった。

 

光学迷彩にノイズが走っているところを見るとだいぶダメージは与えたようだ。

ちなみにメソンカノンはメビウス隊の攻撃で沈黙した模様。

 

<<各機総仕上げだ。まずは光学迷彩から破壊しろ>>

 

スカイアイがそう言うとともに残存戦闘機はノイズの走っているところへ攻撃を仕掛けた。

 

何機か距離を見誤ったり光学迷彩でわからないところに突っ込んでいく。

だが、それを横目で見ながら俺は機銃とミサイルを叩き込んだ。

 

 

おかげでだろうか。

総攻撃開始から2分立つ頃には光学迷彩が完全に壊れた。

 

<<光学迷彩の破壊を確認!HUDに新しいターゲットを表示しましたので攻撃してください>>

 

…何故だか管制がクラックスに変わった。

というか、そもそもお前来てたんだ。

 

<<グリフィス1、了解。いやまて、XB-340からカタパルトが出てきたぞ!>>

 

見た目はオーシア戦争のころから水上機を発進させるために使われていた火薬式カタパルトのよう。

だが、水上機を上げるには明らかに空いたスペースが少ない。

 

どこかで見たような形をしている。

  ―――そうだ!ISのカタパルトだ!

そう気づいた俺は無線で叫んだ

 

<<IS用カタパルトだ!>>

 

<<マジかよ!おい、AWACS!指示を!>>

 

誰かがその一言を返した瞬間に混乱に陥りかけていた味方を一瞬にして落ち着かせた。

 

意外にも返答はクラックスから来た。突発的な問題には慣れているのだろうか?

 

<<グリフィス隊は直ちにカタパルトを破壊し、ISの発進を阻止してください。

それ以外の航空機はXB-340攻撃を続行してください>>

 

よし、やってやるか。

 

そう思った俺は汎用ミサイルと機銃をカタパルトへと撃ち込んだ。

するとすぐに爆発し、カタパルト落ちて行った。

 

だが、俺はここで気を抜いてしまったのだ。

 

その代償は直後の無線とともに俺たちへやってきた。

 

<<カタパルト破壊を確認しました。グリフィス隊も…カタパルト跡にアンノウンの反応あり!ISです!>>

 

そう、ISは結局出てきてしまったのだ。

 

 

直後俺が見たのは8脚の蜘蛛みたいなやつがF-15Eを何機か落としていく光景だった。

 

なんてことだ…。




7/27 修正入りました

2015/08/01 一部改稿

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