IS×ACE COMBAT X ≪転入生はエースパイロット≫   作:初月

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第8話 ラウラとグリフィス 前編

本国に調査を依頼してはみたがまったく情報が出てこない。

オーレリアは人不足だというのに……。

部下が無能なのかオーレリアの防諜が優秀なのか悩むところだ。

 

まあいい。もう少し待つか。

 

そして奴が本物かどうかを見極めたい。が、トーナメントまで私闘は禁止されてしまった。

理不尽な状況に少し策を巡らせた私はあることに気が付く。

トーナメント……トーナメントがあるじゃないか!

 

私は共闘を苦手としてはいる。しかし、奴が私が思っているほどの状況把握能力を持つならば問題あるまい。

 

では申込用紙をもらってくるとするか。

 

 

 ◇

 

 

私が模擬空戦を終えてIS学園の校舎へと向かう途中。

 

 

……なぜだか何かの紙を持ったラウラに待ち伏せされていた。

 

紙の大きさは学年別トーナメントの申込用紙に似ている。

 

 

……まさかペアを組めというのか?

 

そこまで出てきたとき、ラウラが声をかけてきた。

 

「おい、お前。私とペアを組め」

 

早速命令形かよ。とりあえずそこは置いといてペアか。

そこまで問題があるわけじゃないからいいか。

ただ不安な点があるといえば私のIS乗りとしての実力くらいである。

 

「別に構わないよ。ただし、そこまで期待しないでね」

 

「そうか。申込用紙はこちらで出しておく」

 

「了解」

 

一時的とはいえコンビを組む間柄としてはかなり不自然な会話が流れた。

 

 

これには何らかの目的があるかもしれないな。

 

まあもしもの時はそのまま肯定してしまえばいいか。

 

 

こうして軍人コンビか結成された。二人とも任務を抱えているのは言うまでもない。

 

ちなみに絡んでいるのは思想や陰謀ではなく私情である。

 

 

……そういえば訓練とか私闘禁止になっちゃったしどうしよう。

このままだと最悪ラウラの足を引っ張る結果で終わりそうな気もする。

 

だが気にするほどではない、か。

 

まあいいや、サァ行くか。

 

 

 ◇

 

結局あれ以降射撃訓練ぐらいしか出来なかった。

 

機動訓練は機体と体に負荷がかかるからという理由で禁止されてしまった。

 

 

全然万全じゃないけどもうトーナメント当日なんだという事実が重くのしかかっていた。

 

まあペアがラウラだから何とかなるかな。

そんな楽観的な考えもしてみたが、やはり戦うなら万全でありたいものだ。

 

…まあ優勝したら一夏と付き合わなければいけないらしく、それは回避したいから万全じゃなくて正解なのかもしれないが。

 

回避できなかったら千冬さんに殺されかねない…。

いくらなんでも年齢差が開きすぎだ。

 

 

観客席はほぼ満席。2年以上も相当数居るようだ。

 

 

招待席には……オーレリア空軍副司令官のユジーンがいる。あとは開発局のファルコ1か。

 

ファルコ1のやつ、珍しいことに出撃任務を逃れたらしい。

うらやましい。

それとも新人が使えるようになったのか。

まあ、どちらにしてもうらやましい。

 

ちなみにオーレリア空軍では人員が少なすぎて総司令以外は結構実戦に出ることが多い。もちろん兼任している人も多数いる。

それでも人が足りないのだ。

 

 

着替えを早く終わらせたせいで暇な私はほかに知り合いは居ないかとモニターを眺めていた。

 

ユジーンは緊張してるな。それに比べてファルコ1はのびのびしてる。

……普通逆じゃないのか。

 

そんなことを思いつつくつろいでいるとトーナメント表が出てきた。

 

 

私・ラウラペアと織斑・デュノアペアが一回戦で戦うはめになるらしい。

 

負傷後のことは軽く耳にはさんだくらいだが因縁の対決だ。

 

 

横にいた箒さんに睨まれている気がするのは気にしないでおこう。

裏切り者のような扱いをされてるのだろう。

 

私だって思うところはあるのだが、仕事だ。気にしないでもらいたいところである。

 

 

2番目だがもうハンガーへ向かうことにするか。

ラウラもそのうち来るだろう。

 

 

 

 ◇

 

 

1番目の試合が終わり私達の番がきた。

 

 

ちなみに既に出撃は済ませており、スタート地点で対峙しているところである。

 

「一戦目で当たるとはな。待つ手間が省けたというものだ」

 

ラウラよ、どれだけの因縁を持っているんだ?まあ俺には関係ないけどさ。

 

「そりゃなによりだ。こっちも同じ気持ちだぜ」

 

そして一夏も相当な敵意を抱いているらしい。隙を見せそうだな。

まあこの点がラウラにも当てはまってしまうのが現状であるのだが…。

 

 

二人の短い決意表明が終わった瞬間にカウントダウンが始まった。

 

これ絶対狙ってやってるだろ。

それとも二人が上手く時間を見てやったのか。

まあそんなことはどーでもいいや。

 

そして0になった瞬間

 

「「叩きのめす!」」

 

とラウラと一夏が同時に叫んだ。

 

一夏はエネルギーソードを振り回しラウラに突撃もとい特攻をしてくる。

 

もちろんAICが発動し、一夏は足止めを食らう。

敵の武装くらい把握せい。

 

そう突っ込みそうになったが背後を狙われると不味いのでシャルにM61を撃った。

 

牽制なのでいともたやすく回避される。

しかしラウラがレールカノンを展開するのには十分だった。

 

そのことに気づいたシャルが咄嗟にアサルトライフルをラウラの頭目がけて発射。

 

照準を狂わせるには十分だったようでレールカノンによる射撃は一夏から少し外れた。

少しくらいはシールドエネルギーを削れただろう。

 

 

…だが射撃は照準を狂わせる以上の効果を持っていたようだ。

反射神経で後ろへ回避しようとしてAICを解除してしまった。流石に目の前の着弾にはビビったか。

 

「逃がさない!」という声とともにシャルがマシンガンを展開した。

 

そこからマシンガンの雨が降るだろうと思った私はAM-1をシャルへ向け撃った。

 

すると後方から一夏の突撃が入ったのでオーバーシュートしてQAAMを全弾発射した。

…ここまで綺麗なオーバーシュートって中々できない、と思えるほど綺麗にオーバーシュートが決まった。

やはり一夏は未熟だ。

機動に警戒の甘さが見て取れる。

 

大体は失速して追撃しそこなったり速度落としたところを狙い撃ちされたりだったりする。

なお最高速の低い機体で全速力で逃げると最高速の速い機体は勝手に前に出てきてくれる模様。

 

 

余りにも近距離すぎて一夏にQAAMが3発命中。ある意味超近距離でのミサイル回避が当人の精神状態次第なのはISの小さな弱点か。

 

何だか険しい顔をしたので相当シールドエネルギーを削れたようだ。

これでシャルから聞いた一夏の単一能力、零落白夜の発動回数を抑えられる。

 

一夏はラウラの方向へ離脱を図った。

やはり因縁の相手と戦いたいのだろうか?

 

シャルはラウラと交戦中のようだから一夏はこっちに引き付けておこうか。

 

そう思いTLSを一夏に向け照射、腕に兵装があったことに驚いたのか回避が間に合わず命中した。

だが流石ISというべきだろう。

 

1秒ほど照射されたものの落ちることはなかった。

 

機動でTLSを振り切った一夏。

だがやはりその機動は甘い。

 

「俺にもその程度の予測ならできる」

 

そう言った瞬間にTLSを当てる最中に置きミサイルとして放ったSAAMが一夏の機体へと吸い込まれていった。

 

 

流石は千冬さんの弟だ。ここでもう私へ攻撃を与えるのは困難と判断したのだろう。

 

零落白夜を発動させシャルの射撃に対しAICを発動していたラウラに斜め後方から突っ込んで行った。

 

追撃も少しは入ったようだが如何せん加速力が足りていなかった。

この点も報告書に記載しておくべきだろう。

 

 

 ◇

 

ここはアリーナの管制室。

巨大モニターで私と織斑先生はラウラさんのチームと織斑くんのチームの試合を見ていました。

 

「オーブリーさんとボーデヴィッヒさん、大した連携をしている訳でもないのに織斑くんやデュノアさんを撹乱してますね」

 

「ボーデヴィッヒは自分側が複数の状態での戦いを想定していない。それを理解してメアリーが援護をしているんだろう」

 

「オーブリーさんの攻撃は援護なんでしょうか?織斑くんを容赦なく攻撃しているように見えますが……」

 

「十分な援護だ。最初の一撃のような多方向からの攻撃をさせていないからな」

 

その発言の直後に無誘導と思われるミサイルがほぼ全てあたるという衝撃的な映像が流れてきました。

空中機動戦の相手の位置を予測するのはかなり大変なのに……。

 

一体オーブリーさんは何者なのでしょう?

 

そんな疑問が頭を過りました。

 

 

 ◇

 

 

一夏はラウラへ零落白夜を発動させ瞬間加速で突っ込んで行った。

 

そして正面に弾幕を張られていたラウラは回避しようとするがそのときにAICが切れて弾幕と零落白夜の直撃を受けた。

 

ラウラのシールドエネルギもやばそうだ。

 

一夏だけならAICで相手できるだろうがシャルの支援が入ると弱点を突かれかねない。

 

 

ならばシャルを足止めする以外はない。

 

そう思い俺はそこそこ近い距離でメソンカノンとエネルギーパックを展開、シャルにメソンを叩きつけた。

 

一夏は案の定ラウラへ切りかかっているから後ろは安全だ。

 

 

だが俺はシャルの装備を確認するのを忘れていた。

 

IS界にて悪名高きシールドピアスに変わっていたのだ。

ありとあらゆる装甲を打ち砕くと言われている、その武器に。

 

そしてシャルは不敵な笑みを浮かべこちらへエネルギーシールドを出しながら突撃してきた。

 

あんな代物は喰らいたくないのでメソンカノンを格納、AM-1を展開してシャルに向かい弾幕を張りながら距離をとった。多分これは俺を引き離してラウラへ向かうための陽動なのだろうが左脇腹があれな状態で喰らう気にはなれなかった。

 

進路妨害としてミサイルを放ちたいがもうミサイルが無かった。

 

妨害手段がないか考えていると反転してラウラの方へ向かっていった。

 

 

直後シャルと一夏によるラウラ総攻撃が始まった。

 

そして俺は瞬間加速を発動させラウラ援護へと向う。

 

 

よくみると一夏はシャルのアサルトライフルを構えている。

どうやらもう零落白夜を出すほどのシールドエネルギーは無いようだ。

 

そう判断した俺はAM-1を構え一夏へ撃った。

ちなみに一夏は慣れない銃器でラウラを狙うのに集中していてこちらに気づいてはいない。

 

だが俺の撃った弾丸は一夏がラウラに撃つのより少しだけ遅れた。

 

俺の一撃で一夏のシールドエネルギーが切れISが解除されたが、一夏の弾で隙を見出したシャルによるシールドピアス連打によりラウラもシールドエネルギーが無くなってしまった。

 

これはマズい。

 

 ―――そう思った瞬間、ラウラの機体に異変が起こった。




自分が設定したキャラ以外で書くのって難しい。


ちなみにメアリーは本気になったり本気を出したりすると一人称が俺になります。
ですがIS学園での生活でだんだんと丸くなっていくかも?

2/9 一部追記&修正

2015/7/23 一部改訂
2016/7/18 一部改稿

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