IS×ACE COMBAT X ≪転入生はエースパイロット≫ 作:初月
僕は今いわゆる暗部で色々動く仕事をしている。
組織名は亡国機業。その中で諜報の仕事をしている。
いろんな国の秘密兵器の情報を読み漁るのは結構楽しいんだよね。
そしてその中には対ISにも使える兵器があるんだ。
そういえばなんで僕はこんなことをしているんだろう?
ああ、そうだ。思い出した。
五年前、
母さんが爆発で居なくなって、
兄さんとは逃げてる途中ではぐれたんだったっけな。
空軍で働いていた姉さんについてはどうなったかは知らない。でも兄さんが「これじゃ姉さんもだめだな……」とか言ってたな。あの口調からしてもう姉さんも居ないんだろう。
父さんについてはそもそも行方を知らない。小さいときからいなかったけど母さんに聞いたら嬉しそうな顔をしながら「待っていればかならず帰ってくるよ~」とか言ってたな。
その日僕は山奥にある崩壊した我が家から逃げる間に遭難した。でも結局オーブリーには帰れなかった。
その後聞いた情報によるとオーブリーは壊滅したらしい。
―――そう、五年前に私は家族を失った。そして帰る場所も失ったんだ。
◇
「うぅ……。ここは……どこ?」
私は目を覚ますとなんだか白い部屋にいた。
周囲の器具を見るあたり、医務室のような場所だろうか。
「あれ?どうしてここに……痛ッ!」
体を起こすと左腕が悲鳴を上げた。
そうか、残りシールドエネルギーが無い状態で食らったんだったな。
血が出ていたから肉が抉られたのかと思ったがそこまでひどい傷ではないようだ。戦闘機に乗れなくなるなんていう事態にはならないだろう。
……しっかし何て危ないところに食らってるんだ。いや、掠っただけか。
そして周囲を見回す。
すると千冬さんが立っていた。
「お前、傷は大丈夫か?」
「痛いですがこのくらいなら大丈夫でしょう。戦闘機で格闘戦やってるのに比べれば楽ですよ」
若干力強く返答した。ここで妥協してもいいのかもしれないが、そこは私のプライドが許さなかった。
「それなら大丈夫そうだな。
しかしお前が予想以上に早く起きたから骨折とかの検査は出来ていない。
だから、すまないがあと少しここにいてくれ」
そういわれて窓から外を見ているとそろそろ夕暮れという感じだった。
あの模擬戦は放課後やったから寝ていたのはせいぜい一時間といったところだろうか。
「そういえば私が被弾したあとどうなったんですか?」
「……それはお前のルームメイトから聞くといい。あとお前のISだがダメージがたまっているから学年別トーナメントに出たいのなら模擬戦は控えろ」
「了解しました」
あのあと何があったんだろうか?まあいいや、先生に言われた通りに聞くことにしよう。
「では私は仕事に戻る。検査が終わるまでは安静にしていろ」
そういうと千冬さんは去って行った。
医師(?)も居ないようだし暇である。
マニュアルとか幾つか読み込んでおきたいものがあったが、それを取りに動くのも避けるべき状況だった。
要するに暇が出来たけどやることが無いのだ。
……どうせだしまた寝ようかな。
その後朝のアクロバットや先ほどの戦闘の疲れがあることも考えて即座に寝た。
空いた時間は有効に使うべきだ。
◇
それから数時間たって私は目覚めた。
またメモが置いてある。
どうやらもう部屋に帰ってもいいらしい。
許可も出たならいい加減戻るか。
そう思ったとき、少しだけ空の一部が歪んだ気がした。このとき何故だかグレイプニルやフェンリアを思い出した。いや、直感的にそう思った。
私は自ら確認に赴きたかったが左腕のケガを負っていたので自室へと向かっていった。
飛べなくはないのだが、これ以上のダメージは戦闘機乗りとしての寿命を縮めてしまうかもしれない。
―――その直後私がこの行動に後悔することになるとは思っていなかった。
◇
私―――ラウラ・ボーデヴィッヒ―――は先ほどの模擬戦もとい挑発の相手であったメアリー・オーブリーについて調べていた。今掴んでいる情報は奴がオーレリアのオーブリー出身で、地元で名が通っている下級貴族の家系だということぐらいだ。
ちなみにこれは本国が調べた情報である。
一般人ならそこまでわかれば十分だと思うだろう。
だが実際に戦ったものとして思ったことがった。
それは奴があまりにも冷静過ぎたというところだ。
無駄撃ちを避けて避けられない箇所まで追い込んで撃つ。
もしくはわざと外させてこちらの機動を制限させる。
そんなタイミングを感情的になって飛んでいる奴らからまだまともにISを動かしたことのない奴が見つけ出したのは大問題だと思う。
長時間ISを操縦していてもあそこまで連携していない二人の間に丁度いいタイミングを見つけるのは至難の業だ。
ちなみに今調べているのは本国にいるクラリッサなどである。私も調査に参加しているといえばしているのだがここの設備では少々心もとない。
あともう一つ調べているのは奴の機体とその兵装だ。が、期待はしていない。
なぜならオーレリアはメソンカノンやSWBMの情報を完全に秘匿することに成功しているからだ。電子戦のプロがいるのは間違いないだろう。
そして我々はそのプロの足取りすらつかめていないのだ。
もしかしたら奴の戸籍情報とかも操作されているかもしれないな。
今日だけでは多分無理だろう。
「メアリー・オーブリーの調査は今日はもういい。だが今後も継続して行ってくれ」
「なぜ今日はもういいのでしょか?」
「相手を考えて奴になにか隠しているがあった場合今日中に調べ上げるのは無理だろう。それにダミーにあたる可能性もある。
急ぎ過ぎては情報を掴みきれないだろう」
「分かりました、隊長。では情報が見つかり次第順次報告いたします」
その通信を終えると私は自室へと戻って行った。これがとんでもない事実にあたるとも知らずに。
今回の出来はあまり納得できてないのでそのうち修正入れるかも。
2/9追加
2015/07/22一部改稿
ドイツの設定はノースオーシア州がベルカ公国に返還された際に、ドイツ連邦共和国へと改名したって感じです。