IS×ACE COMBAT X ≪転入生はエースパイロット≫   作:初月

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2014/09/21 一部追記
2015/07/21 一部改稿
2015/07/18 一部改稿&修正


第5話 Frist fight

司令部からの通信を確認したあと時間を確認したら0400だったので格納庫へ行ってみることにした。

 

事実確認等は後程行うことにしよう。

 

 

……あとシャルの件だが空軍の機密扱いで本国に一応流した。彼女には申し訳ないが、タイミング的に報告しない訳にはいかない状況だ。

 

 

IS学園はとてつもなく広いが所詮は軍港と変わらない程度、流石にもう迷いはしない。

 

そんなことを思いつつ廊下を歩いているとふとモノレールが見えた。ふととはいってもパイロットなので距離的に言えば普通の人なら見えにくいだろう。

 

 

しかしIS学園付近から出ていくあの赤いモノレール、かなり古い車両を使ってるな。金がないのか物持ちがいいのか正直わからない。

 

 

そんな他愛の無いことを考えながら人の少ない学園を歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

まだ朝日が出て間もない頃、第三格納庫につくと私の愛機のRafale Mが置いてあった。

 

 

他に航空機がない状況から察するに、いつの間にかファルコ1やグリフィス5は帰っていたようだ。

 

ちなみに第一格納庫や第二格納庫にはIS学園の直掩や付近の哨戒を行う戦闘機が置いてある。

機種はF-35やF-15の改造型だった。あとF-22も何機かあったな。

F-3がいないのは気になるがなんらかの事情があるんだろう。

 

……F-35に乗りたいなぁ。

 

いや、ただでさえオーレリアの財政は厳しいんだ。あまり欲を出すべきではないか。

……今回の作戦目標がF-35を持ってたら堂々と盗んでやろう。

 

 

 

そんな考えが沸き起こってきたので良心が働いているうちに私は第一、第二格納庫をあとにした。

 

 

 

で、私は今第三格納庫にいる。

 

 

飛行許可は先ほどとってきたのでこれから上がろうと愛機に近づいた。

 

すると私の機体を整備していた女性整備士が話しかけてきた。確かオーレリアから連れてきた整備士のはずだ。

 

 

「……あなたの機体、とても良い使いかた、してる……」

 

どうやら無口なようだった。なんで私の周りには個性的な技術者がくるんだろうか?

 

そんな疑問を棚に上げて話は続ける。

 

「褒められるのはうれしいかな」

 

「…そう。……ただ……無茶もさせ過ぎてる……」

 

私はムスっとした。褒めたと思ったら苦情か。まあそう言われても仕方のない飛び方をしている自覚はある。

 

だがこちらの気持ちを無視して話は進んでいく。

 

「……でも……無茶しても……出来る限りはフォローしてやる……。思いっきり飛んできてね……」

 

 

……何が言いたいんだ、こいつ。

 

そう思ったが一応了承することにした。

 

「そ、そうですか。分かりました」

 

「あと……飛びやすいように少し改造しておいた…感想聞かせてほしい……」

 

そ、そういうことか。

 

一応頷いておいた。

 

 

若干不安な気持ちになりつつタラップをのぼり乗り込んだ。

座りなれたシートに何故だか落ち着くコクピット。

 

まるで家に帰ったかのようだった。

 

 

深呼吸をしつつ計器を確認するとあることに気が付く。

ただでさえ機動性上昇のカスタムのついていた私の機体にある機能が増えていた。

 

それはエンジン出力をAとBで変えられるようになっていたこと。これのおかげで超機動のバリエーションがふえ……ミサイル回避しやすくなったな。

 

 

これに関してはもう少し時間のあるときにテストをするとしよう。

そう思いつつヘルメットをかぶった。

 

 

しかし暇である。いっそのこと学園上空でアクロバットでもやってやろうか。

などと変なことを思いつき、そして私がそれを実行に移し着陸後に司令と千冬さんから怒られたのは言うまでもない。

 

 

 ◇

 

放課後。

 

私は朝の残り時間で軽い試験を済ませたのでみんなと一緒にアリーナで操縦訓練を行うためにすでに出ていた。

 

朝の試験で分かったことは昨日エンジンオーバーヒートさせたことでIS側で勝手に予備動力の常時展開と替えエンジンのロックが解除されたくらいだ。

 

 

そのときの表示だが―――

 

「[実績]エンジンブレイカーを解除しました」

 

ってなってた。多分こいつのOSにゲーム大好きなやつが関わっているのだろう。

公式のものであんまりふざけたことをするなよ、と思いつつ溜息を吐く。だが子ども心がくすぐられたのか実績の内容は全て確認し、一部はクリアしてしまった。

 

……案外やる気を出すのにはいいのかもしれない。

 

 

あとQAAMとSAAMはある程度なら自動補給してくれるようになった。

 

そしてウェポンベイみたいな形の盾が追加され、頭に機首を縦に切ったみたいな形をした防弾板が追加されていた。

 

 

ほかにもありそうだがそこら辺は後々確認していくことにした。

 

 

さて一体何の訓練をするか迷っていると先にアリーナに出ていたセシリアさんとリンさんが模擬戦を始めるようだ。

 

ある案を思いついた私はセシリアさんらに了承を取ることにした。

 

「今から模擬戦するんだったら周りから見ててもいい?」

 

セシリアさんたちも了承してくれた。

 

他の人の機動を見れるうえにこっちも機動訓練ができる。自分でも良い案だと思うな。

 

 

「じゃあ始めるよ!」

 

とリンさんが威勢のいい声で言ったその時、後方から射撃音が聞こえた。

 

 

私は咄嗟にその方向へ振り向きM61とGAU-8を構えた。

 

不意打ちを仕掛けるとは敵意がむき出しとかいうレベルじゃないからな。

 

 

―――そしてその方向にいたのは私と一緒に入ってきた堅物さん、ラウラ・ボーデヴィッヒだった。確か特殊部隊出身だったはずだ。

 

機体はドイツ第三世代機、シュバルツェア・レーゲンか。

 

グリフィスなら勝てなくはない。

 

 

彼女の小さな笑い声が聞こえたところから見ると戦闘狂の要素も兼ね備えているようだ。

 

……正直面倒とかいうレベルじゃない。こっちの予定が乱れちゃったしこれからどうしようかなぁ……。

など、名案が出てこないか考えていると言い争いがはじまった。

 

「どーゆーつもり!いきなりぶっ放すなんていい度胸してるじゃない!」

 

「中国の甲龍に、イギリスのブルー・ティアーズか。まだデータで見たときのほうが強そうではあったな」

 

その後も言葉の応酬がしばらく続いたが私は静観することにした。

 

一人増えただけでさっきと変わらないことをしてれば大して問題はない気がしたからというだけなのだが。

 

 

しかしラウラはこちらの機体情報を知っていたのか。まあこいつに関しては……バレてはいないだろう。3日で調べ上げたとしたら恐怖とかの域を超えるからな。

やっと一次移行した段階だから今頃千冬さんあたりがデータバンクに登録しているはずだ。まあそれですら実績により色々変わるこの機体では正しいものかは分からない。

なにせ俺ですら把握してないのだから。

 

まあ困ったときは本国からのデータだけが頼りということだ。

 

 

若干性能について心配していると、隣で戦いが始まった。

 

乱戦に飛び込む気はないので、偵察行動に移ろうかと思ったとき、こちらに何かが飛んできた。

どうやらこっちもターゲットのようだ。

 

俺としてはもう少しテストをしておきたかったが攻撃されたとなってはしょうがない。

咄嗟に判断し、心の中で開戦の合図をならした。

 

グリフィス1、交戦!と

 

 

ひらりと飛んできた何かをミサイル回避の容量でかわす。

 

―――先端に何かがついていた。ワイヤーがあったあたり有線ミサイルのようなものだろうか。

 

警戒すべきだ。

そう判断すると同時に反転し武器を構える。AM-1に関しては実弾銃を使い切ってからにすることにした。

信用は大事だ。

 

大体回避の目途が付いたので私はM61とGAU-8のトリガーを引く。

 

 

しかしその攻撃は何等かのフィールドによってさえぎられてしまった。どうやらこちらの攻撃は効かないらしい。

 

実弾だから効かなかったという可能性も無くはないがHUDに

 

《警告!レールカノン発射準備中》

 

と出ているので回避に徹することにした。流石に1対3であればあのバリアの弱点も見つけられるだろう。

 

 

……まさかドイツが開発したっていう噂のECM防御じゃないよな?

あれをISにつけられてしまったらもうダメージが与えられる気がしないんだが……。

 

そんな最悪の想定が頭をよぎる。さらに悪いことにISは通常設定では全ての火器管制が機械を通して行われるため対策すら出来ないであろう。

 

さらなる情報収集のため回避に徹し始めてから気づいたがラウラは上手く私を遠ざけながらリンさんやセシリアさんと交戦しているようだ。凄い管制能力だと思う。

 

……いや、単に二人が怒り任せに突撃とかしてくるから戦いやすいだけだろうか?

 

 

まあこちらは牽制程度に攻撃を加えながら逃げることにしよう。

まだ本格的な戦いは御免だ。

 

 

またこちらに飛んできたワイヤーを避けているとリンさんが衝撃波砲と思われるものを放った。

 

砲口の形と大きさからいって単に見えないだけの砲弾だ。

 

そしてそれに対してラウラは避けようとせずあのバリアを張るモーションへ移った。

 

……あのバリアは実弾ではない攻撃も防ぐらしい。

 

 

私も少し牽制を入れる。

 

しかし低空を飛行中だったのでバリアを難なく展開されてしまった。

 

生半可な角度ではすぐに防御されるようだな。上空に行くまで待つしかないか。

 

 

……どうやら衝撃波砲が通らなかったことでリンさんに焦りが出てきてる。

 

これではラウラの勝ちは決定的だ。あれ相手に焦りがあっては回避がままならないはず。

 

 

そう思いながら飛行していると案の定ワイヤーにつかまってなんだか遠くまでいってしまった。

 

 

 

次はセシリアさんの番か。そう思ったときあることに気が付く。

どうやら連携しなかったらしい。……同じ相手を狙う以上組んだ方がいいと思うのだが。

……まあいいや、バリアが上空で発動するまで待とう。

 

 

セシリアさんはまずビットで先制を与え上空へ誘導してきた。

 

ミサイルも撃ち込んでさらに上空へ誘ってくれたようだな。

 

動きも止まっているしビットのおかげでバリアも張ってる。

 

 

―――よし、今だ。

 

「ファイヤ!」

 

その声とともにAM-1とM61を発射する。気づいてこちらにバリアを向けようとしたがセシリアさんがタイミングを合わせてビットからレーザーを撃ってくれたので私の撃ったものは全弾がラウラ機へと当った。

 

 

ラウラは現状では不利と感じたのかレールカノンをセシリアへ向け撃ちこんだ。

 

ギリギリのところで直撃を回避するが、先ほどからワイヤーに繋がれっぱなしだったリンさんをセシリアさんにあて二機同時撃墜という荒業をやってのけた。

 

 

そのあと止めを刺そうとレールカノンを撃とうとしたところでセシリアさんの反撃を食らったようだ。爆発から察するにゼロ距離ミサイルかな?

 

セシリアさんは損失した部位は無いが、リンさんは衝撃波砲を一門消失したようだ。

 

二人とも気を抜いているが、センサーにラウラの反応が残っていたのでそのまま止めを刺すことにした。

 

「メソンカノン2基展開。チャージ」

 

この命令のあとに肩に二門出てきた。これ後ろに展開したまま格納できるんだな。

 

「チャージ完了を確認、ファイヤ!」

 

そうして二門の全力射撃を与えたが

      ―――バリアによって防がれていた。

 

この光景にはリンさんやセシリアさんは驚いているようだ。

 

 

 

しかしバリアのことをすっかり忘れていた。不味いな。

 

……もういい、自棄だ。

 

「メソンカノン全基展開。連続射撃モード」

 

 

そんなことをしているとターゲットされているという警告が出た。でも気にしない。

 

 

「全砲門開け!PICをマニュアルに変更」

 

そうすると私の前方に弾幕が出来た。

 

直後レールカノンが飛んできたのでPIC解除の機動で急加速をして逃げる。…動いたのがほんの3mだということはツッコんではいけない。

 

 

 

だが私は中間子砲の連射でシールドエネルギーが減っていることには気づかなかった。

 

つまりシールドエネルギーが連射を始めてから20秒ほどで1000あったシールドエネルギーが30を切ったのだ。

 

 

……なんて初歩的なミスだ。情けない。まるで新兵じゃないか。

まあISに関しては新兵同然なのだが、それでも情けないと思ってしまう。

 

 

私は回避で駄目になったエンジンを換装し、長距離用武器を全部格納して徹底的な回避機動に移った。残り30じゃどう頑張っても戦えない。せいぜいQAAMをアクティブにして後ろに撃ちまくるしかないだろう。

 

「ごめん!もう持たない!」

 

そう私は叫んで離脱を試みた。

 

 

その直後リンさんやセシリアさんがワイヤーにつかまってしまったが、ショートナイフを投げつけたりするくらいしか出来なかった。

こちらのエネルギー残量がほとんど底をついている。

絞めている場所が首でも反撃はほぼ不可能だった。

 

実弾武器の使用も考えたが、今慣れない対IS戦の回避以外に思考を使えばもれなく首つり集団の仲間入りをするだろう。

 

歯痒いが二人から三人に増えれば一人を助けるまでの時間がさらにかかるかもしれないと考えると下手に介入できない。

 

 

だが、そんな光景を傍観しないやつもいた。

 

一夏だ。

 

 

 

何を使ったのかは知らないが、アリーナのシールドを突き破り突撃してきた。バリアの弱点を伝えようとしたがそのまま飛び去ってしまった。

 

 

その後シャルも来たので今度は引き留める。

 

「おーい!シャルー!」

 

「どうしたの?メアリーさん」

 

よし、一夏とは違いちゃんと止まってくれた。

 

「ボーデヴィッヒのバリアだけど一方向しか対応できないみたい。それに発動中は動くこともできないみたいだよ」

 

「分かった。じゃあ行ってくるね!」

 

「いってらっしゃい!」

 

情報の伝達には成功した。

 

これで俺の役目は果たした

     ―――と思った瞬間後ろからレールカノンに撃たれた。

 

どうやら流れ弾のようだ。

ただなんだか左腕が痛い。

 

 

……エンジンと左側装甲がやられただけでISは小破で済んだが残り30だったので体に直接来たらしい。

絶対防御は明くまでも命を守るものであり、過信は禁物とはこういうことのことを言うのだろう。

 

 

そのことが分かった後私は赤く染まった左手を見ながら意識が遠のいていくのをそのまま感じていた。

 

 

しかし久しぶりの負傷だ。プナ基地制圧して以来初なんじゃなだろうか。


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