IS×ACE COMBAT X ≪転入生はエースパイロット≫   作:初月

10 / 37
グリフィス1の回想とこれからのフラグ回


第4話 Gryphus

 

 

 

―――私には数年前まで家族がいた。親友もいた。

 

 

 

だけど、彼らは一日にしていなくなってしまった……。

 

 

 ◇

 

 

俺は、俺たちはオーブリーの空を飛んでいた。

 

 

先ほど作戦目標である爆撃機を撃墜して軽い哨戒をしていた。

 

初戦の疲れからだろう。しばし黙っていると俺の二番機であるリックが無線で話してきた。

 

<<ヒャッハー!全部叩き落としてやったぜ!楽勝だ!>>

 

全機撃墜したから結構テンションが高くなっているようだ。

 

<<グリフィス1、このまま一気に首都奪還てのはどうだ?>>

 

小さな勝利でかなり調子に乗っているな、なんて思いつつ微笑んだ。

でも突っ走ってみるのも面白そうだ。

 

<<それじゃあ首都まで一直線だ!>>

 

その先をいう前にユジーンがツッコミを入れる。

 

<<隊長、あなたまで調子に乗らないでください。もう私達には物資がないってことを忘れてませんか?>>

 

無粋にも事実を突きつけられ、少し顔が暗くなる。そんなことは分かってるんだ……。

でも俺は負けを認めたくはないので言い返す。

 

<<ユジーン、それなら敵から見れば奇襲と大差ないんじゃないか?>>

 

調子に乗りっぱなしのリックが話を入ってきた。

 

<<やつら、慌てふためいて逃げ出すに違いないぞ>>

 

随分強気だな、リック。クジ引きで決めたとはいえ二番機がリックだったのはよかったな。

 

 

 

――――――そこでユジーンから突然入った無線が私達の生死を左右していようとは当時の私は思っていなかった。

 

<<―――レーダーに反応!何かが高速で接近中……ミサイルです!>>

 

編隊が一気に真剣になった。下手すると帰る家を失ってしまうからね。

 

そしてリックが聞き返す。他のみんなも初戦で疲れているのだろうか?

 

<<なに?どこだ?どこだってんだよ、答えろユジーン!>>

 

ユジーンはその質問に冷静な声で答える。そういえば今までユジーンが慌てる姿を見たことがないな。案外すごいやつかもしれない。

 

<<―――プナ平原付近からです。ミサイルはそこから……>>

 

ユジーンが絶句した。そして隊員のあいだに嫌な予感が走る。

 

 

―――そして次の言葉で予感が確信に変わった。

 

<<グレイプニル!?>>

 

悪寒が走った。グレイプニルといえばオーレリアの戦線を瞬く間に吹き飛ばした『あるミサイル』を運用する飛行艇なのだ。

 

勿論そのことに気づいたのは隊員全員だ。

 

でも口にできたのはリックだけだったが。

 

<<おい、それってまさか……>>

 

あのお調子者のムードメーカーであるリックですらやっと声が出たという感じだ。

 

そしてみんなの予想通りの答えがユジーン返ってきた。

 

<<SWBMです!早く退避してください!>>

 

皆予想はしていたのだがやはり答えを聞くと衝撃で動けなくなっていた。

 

しかしリックは正確な判断を下した。ユジーンも焦っているのかもしれない。

 

<<どっちに行けばいいんだ!方向は!距離は!>>

 

リックも焦っている。ブナはかなり近いからだろうか。

 

そんなことを考えていると私は山脈でレーダーに探知されるのを回避したのを思い出し低空へ逃げれば大丈夫なんじゃないかという仮説が出てきたころには反射的に降下していた。

 

でも次のユジーンの発言でさらなる絶望を味わうこととなる。

 

<<駄目だ、間に合わない!>>

 

その発言が終わった後、

 

 

 ―――空が裂けた―――

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

SWBMの炸裂と時をほぼ同じくして三機が砕け散った。

 

 

そして操縦を失った一機が5秒ほどたってから爆発し、私の僚機は煙を噴いた一機のみとなってしまった。

 

 

―――私は隊長失格だ。

 

 

そんなことを思った矢先にユジーンの叫びが聞こえた。

 

<<グリフィス2!グリフィス3!―――みんな!>>

 

IFFを確認してみると生き残ったのはグリフィス5のようだった。あいつはリックの陰に隠れてはいたがムードメーカーになりそうなやつだったな。

 

 

しかし、残り2機の俺らはどうなるんだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

基地に帰ると追い打ちをかけるような情報が私に流れてきた。

 

 

  それはオーブリー攻撃の際に母親が死んだという報告だった。

 

     弟と妹は行方不明だという話だ。

 

 

 

ちなみに私たち兄弟は長女、長男、次女の順番なのだがみなあまり父にあったことがない。母親曰くちょっと特殊な仕事をしているということだったがどいういうことなのだろうか?

 

 

そんな疑問があったこともノースポイント行きを決心した理由の一つだ。

 

 

 ◇

 

俺は久しぶりに昔の夢を見た。

もう居ない仲間の夢。

俺がエースとなるきっかけの夢。

 

あと何ヶ月かすればあいつらの命日がやってくる。

一体天国で俺のことをどう思っているんだろうな。

 

 

そんなことを考えていると携帯のバイブがなった。

着信は…諜報部から?

 

まずは内容確認だ。

 

……オーレリアの暗号がかかっているな。

 

ただこれは解読機をもらってきているやつだったので手際よく解読をしていった。

 

 

その結果出てきた指令書がこれだ。

 

[グリフィス1、追加任務を伝える。

 

先日メソンカノンなどのデータが流出した。

 

ハッキングした組織は亡国機業。

ただかなり広範囲で活動しているためデータ保管場所を捕捉することができない。

そのために貴官に流出データ若しくはコピー生産品の捜索及び破壊を命令する。

 

また、データ破壊が遅れた場合IS学園が襲撃される可能性があるためIS学園外での行動は避けよ。

 

戦闘機での迎撃はノースポイント側の許可が下りた場合のみ許可する。

 

  オーレリア空軍]

 

なんて物騒な任務だ。まああんなに危ないものを変なところに流すわけにはいかないか。

 

そんなことを思いながら朝の支度を始めた。

 

 

 

  ――――――そのとき私は思いもしなかった。この任務が俺に大きくかかわっているということに…。




次は遅くなると思います。

2/9 一部修正

2015/7/21 一部改稿

2016/7/16 一部改稿

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。