「ふ、ふつつかものですが、よろしくおねがいします・・・」
「まぁて早弓お前は何かを勘違いしているやめろ俺はまだ間違いを犯したくないんだぁ~!」
「うふふ・・・」
「もぉ。そんなことするわけないでしょ。」
「そ、そうですよね・・・」
「ちょっと比企谷くんの趣味が知りたかっただけだよ。これで比企谷くんの部屋に入るのは二回目だね。」
「そうなるな。本棚はそことそこの二ヵ所だ。」
「と、ベッドの下の三ヵ所だね。」
「いや、さすがにそこにはなにもないから・・・」
早弓はベッドの下に顔を突っ込みながら、あれれ?などと言っている。
だから何もないって言ってるだr
「あ、なんかあったんだけど。」
ここで早弓さんの声から感情が消えました。
うそ・・・だろ・・・!?
俺は常に部屋はきれいにしてあるはずだし、ベッドの下には普段から何も置かないようにしている。
「比企谷くん、日記なんて書いてたんだね。」
日記、だと?
俺はそんなの書いた覚えがないぞ?小学校の夏休みの宿題の日記さえ書かなかった俺が、わざわざ同じことを毎日書くだなんて、そんな無意味なことをするわけないし。
ちょっと見ていい?
と聞かれたが、その本の正体がなんなのかわからないため返事をすることができない。
「いや、俺は日記なんて書いたことないからそれは俺のじゃないような気がするぞ。」
「え?でも比企谷くんのベッドの下にあったんだよ?」
誰だよわざわざ俺のベッドの下まで来て日記落としていったアホは。
「心当たりがない。いっそのこと一緒に見てみるか?」
「そうだね、ちょっと気になる。」
じゃあ、もし俺のじゃなかったら見なかったことにしよう。
ひとつ条件を加え、恐る恐るページを開く。
結論から言うと、俺のでした。
ただ、日記、ではなく俺の絵の練習帳でした。
これは中学生くらいのとき、絵をかく練習に使っていたノートだ。
確かに練習ノートの表紙にはsinceと書いてあって書き始めた月日が書かれている。
一日一ページを目標に好きな絵を描いていく。まぁ書いてたのは基本的にアニメとかのキャラだったけど。
懐かしいな。日が進むにつれて徐々に上手くなっていっているのがわかる。
「比企谷くんって、絵を描くの上手かったんだね。」
確かに絵を描くのは好きだし得意だったが、特に美術の授業などで表彰されたりはしなかった。
最近では全く描いてないな。また少しずつやっていこうかな。
「まぁ、昔は書けたかも知れないが、今となっちゃわからんな。三年前だし。」
「じゃあ、私に絵を教えて?暇なときでいいからさ。」
「お、おう。俺なんかで良ければ。」
「ありがと!前から描いてみたかったんだよね、自分の好きなキャラの絵。」
比企谷くんは何でもできてかっこいいなぁ~
と早弓は呟く。
あのぉ、お姉さん、それ、聞こえてますよ?
・・・
どうやら、意識してしまったのは俺だけだったようだ。