やはり俺の高校生活は間違っている   作:のらネコ

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彼と彼女の距離

サイゼで遅めの朝食を摂ったあと、二人が向かったのは本屋だ。

 

以前、小町に無理やりでーt(二人で買い物に行ったとき、早弓はラノベやアニメが好きだと言っていたな。

 

「どうする?分かれて各自好きなのを見ていく形にするか?」

 

「私はどちらでもいいんだけど、比企谷くんもラノベとか見たいなら一緒に行きたいなぁ~・・・なんちゃって。」

 

「そうか、俺もそう思ってたところだ。じゃあこうしようぜ。」

 

『お互いのおすすめの本を一冊、もしくは一シリーズ選ぶ。』

 

『購入後、お互いのおすすめの本を読む。』

 

『感想を言い合う。』

 

まあ、簡単に言えば、おすすめの本紹介って感じだな。

 

「いいね!私もちょうど比企谷くんのおすすめ知りたかったんだ!」

 

「そうだったのか、なら、制限時間は15分でどうだ?」

 

ルールが決まったため、各自おすすめの本を探す。

 

 

 

はずが、どちらもスタート地点から動かない。

個人的に何が一番おすすめかを熟考しているのだ。

 

(でもなぁ、早弓の好みとか全く知らんしなぁ。)

(でもなぁ、比企谷くんの好みとか全然知らないしなぁ。)

 

 

そして同じ結論に至る。両者、「自分のおすすめ」の本を選ぶことを完全に忘れている。

 

 

――――15分後――――

 

 

「これしかないよな、多分。」

「やっぱりこれかな、うん。」

 

 

「じゃあ、せーのでカバー外すか。」

「了解!」

 

「「せーのっ!」」

 

 

ででーん。

 

「私立魔法科高校の留学生っ!」

「私立魔法科高校の留学生っ!」

 

同じじゃあないですか。

 

「まさかの・・・」

 

「同じ・・・」

 

「こんなことってあるんだね!」

 

「いや、唯一知ってたのがSAOだったからな、主人公最強系&ハーレム系だと俺が知ってるのはこれかなって・・・」

 

「わ、私はハーレムとか別に好きじゃないからね!?」

 

ラノベの読みすぎだろうか、今のがツンデレのセリフにしか聞こえなかったのは。

 

「あー今ツンデレとか考えたでしょ。本当にそういうの好きじゃないからね?ハーレム好きなのは比企谷くんのほうでしょ!いっつもいっぱいかわいい女の子に囲まれて。」

 

何言ってんだこいつは。

 

何はともあれ、おすすめした本が同じという企画倒れな現象が起きてしまったため、本についていろいろ語り合った。

 

早弓の好みも若干知れたし、何より意見が合う人間としゃべるのはこんなにも面白いことだったんだな。今まで友達とかいなかったから知らなかったぜ。

 

ちなみに、俺と早弓のなかで一番意気投合したと思えた部分は、二人とも好きなキャラが東山 雫だったというところだ。

 

つっこみキャラっていいよね。※個人の感想です。

 

そんなこんなでカフェで軽い昼食を摂りつつ語りつくし、大変ご機嫌な状態で店を出た。

 

そんな中、早弓はふと足を止める。

 

「あ、お会計払ってない。」

 

「ん?会計なら払っておいたぞ?」

 

「あああああもう!今日は私が払うって言ったのに!なんで教えてくれなかったの!」

 

キレるとこそこですかそうですか。

 

「ま、まぁいいだろ、割カンした分デートの回数が増えるってことでいいんじゃないのか?」

 

デ、デート…

 

などと言いながら顔を朱に染める早弓。

もう今更じゃないか?朝だって店員の前で言ってたじゃねえか。

 

「ほら、今更そんなこと気にしてないで、帰るぞ。」

 

「そ、それもそうだね!よし、帰ろう!」

 

「んじゃ、この辺で。ノシ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んで、なんでお前はついてきてるんだ?家こっちじゃないだろ?」

 

「へ?今日は小町ちゃんの家に泊まる予定があるって小町ちゃんから聞いてない?」

 

 

・・・

 

 

おのれ小町ィ・・・

覚えてろよぉっ!


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