やはり俺の高校生活は間違っている   作:のらネコ

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とうも、のらネコです。更新遅くてすいません。
最近はなかなかいい感じで書けてきていると思います。思い上がりでしょうか思い上がりですねすいません。それについて、感想をまたいただけるとありがたいです。
それでは、『彼女の恩返し』早弓視点、どぞ。


彼女から見た彼

平塚先生...ありがとうございます...おかげであのことを思い出さなくて済みました...

でも...いつかは。その時が来たら、少なくとも彼には、あのことを話さなきゃいけないだろうな...なんとなくそんな感じがしていた。否、彼に話してみたいとさえ思った。彼の、『あの瞳』になら。

仮に、あのことを彼に話したら、どう思うだろうか。やはり、安い同情を買うことになるのだろうか。それとも、あのお姉さんのように、親友の柚木のように、こんな私のわがままを受け止めてくれるのだろうか、私の過去を、私の弱いところを。

そう考えていながらも。いつか話さなきゃいけないことはわかっていても。話してみたいとさえ思っていても、今はまだその時ではない気がしている。考えと気持ちが矛盾している...いや、彼に話してみたいというのは、本当のことだなんだけれど、今それを話してしまえば、彼との今の関係が崩れ、これからの可能性まで、失われてしまうようで、とても怖くてそれができない。という感じ。それに、今はまだ、このまま、彼のことを知りたい、正確には彼の『過去』を知りたい。なぜ彼は、あんなにも優しいのに、悪い噂が流れ、クラスではいつも独りなのだろうか。その根底にある理由を、私は知りたかった。

 

     ***

 

部室を出て、昇降口へと向かう途中、小町さんに引き留められた。

 

小町「実弥さん実弥さん、依頼のことで、小町、すっごくイイコト思い付いたんですよ!」

 

 

 

 

 

彼女の言う、『すっごくイイコト』とは、お泊まりのお誘いだった。ただ、それだけじゃなく、『彼に本を返すこと』、『本を借りたお礼をすること』、『男性恐怖症の克服』と、彼女の言う通り、イイコト、なのは間違いないのだけど、私のお母さんがそれを許してくれるだろうか...でも、小町さんの家に泊まると言うことは、きっと、私は小町さんと同じ部屋で睡眠をとることになるだろう。だとしたら、彼について色々聞くことができるんじゃないか?そう思った途端、私の指は「電話→お母さん」を選択し、コールしていた。

 

するとお母さんは、「小町さんとお話してみたい」と言い出し、小町さんと電話をかわることに。小町さんは、とても楽しそうにお母さんと話している。小町さんは電話をしながら、相手には見えていないのに派手な身ぶり手振りで応えている。その行動がいちいち愛らしくて、比企谷くんが結いさんに『ヒッキーシスコンすぎっ!!!』って言われるほど小町さんが大好きなのも、納得できる。私もこんな妹欲しかったなぁ...あ、でも私が比企谷くんと結婚したら小町さんは私の義妹.........

ううう、違う違う、そういうことじゃない...

っと、私がそんなこと考えてるうちに小町さんから電話が返ってきた。そしてお母さんは私に、「小町さんって子、とっても可愛い子なのね!なんか昔の実弥に似てるわね~」と、私と同じ感想を抱いていた。後半は違うけど。それから、「小町さんに迷惑をかけないように、楽しんできなさい!」と意外にも快く承諾してくれた。

それから、私は小町さんに、条件として『私と比企谷くんを何があっても2人っきりにだけはしない』というのを提示し、それをのんでもらった上で、改めて私は小町さんのお誘いを快諾した。

 

     ***

 

自転車の後ろに乗せた小町さんにナビゲートされるがままに比企谷宅に向かって全速力で走る。普段は2人乗りなんてしないから意外とキツかった...あ、いや、小町さんが重いとかそういうわけじゃなくてですね...て誰に弁解してるの私...

そうこうしてるうちに比企谷宅にとうちゃーーく。私が頑張った甲斐あってか、まだ比企谷くんは帰ってきていなようだ。

 

 

さっそくお家に上がらせてもらい、小町さんのご両親に挨拶を...

 

 

 

誰もいない...そのことを小町さんに訊ねると、「小町の両親は共働きで、帰ってくるのは朝方になりまーす!」と言われた。親御さんがいない...あのことを思い出してしまう...あの時も、母親が買い物に出掛けて...ううん、大丈夫。私には小町さんがずっといてくれるはずだから。何も怖がることはない。さぁ、すぐに夕飯の準備に取りかからなきゃ!

 

準備しはじめて、10分くらい経ったとき。

 

「たで~ま~」

 

ッ!!!ご両親は朝まで帰ってこないから、この声の主は...そう考えた時、私は自分の体が強張るのを感じた。手が動かない...力が入らないのではなく、力が入りすぎていて動かない。そういう感じの症状に陥った。もしかしたら彼でも無理なのかな...もしそうなら私はどうすれb...

 

『しーーーーーーーー!』コソッ

 

小町さんは私に向かって、片目を瞑りながら唇の前に右手の人差し指をたて、『静かに!』のジェスチャーで黙ることを要求してくる。そんな小町さんを見た瞬間に、体の硬直が解けた。それから私は小町さんに向かって頷き返すと、小町さんはウインクしてくれた。ほんとかわいいなぁ...

 

比企谷「小町、いるk...

 

急に喋るのをやめた比企谷くんが気になるけど、それでも私は平然を装って晩御飯を作る。

 

小町「あ、お兄ちゃん帰ってきてたんだ。おかえり。」

 

そこで隠れていた小町さんが登場。隠れていた意味は...私にはわかりません。

 

比企谷「小町、なんで早弓がうちにいるんだ?あとなんで飯作ってんの?」

 

なんか、お前はいちゃいけないみたいなニュアンスを含んでいたような...まぁ、小町さんに誘われたとはいえ、勝手に家に上がり込まれてたら嫌だよね...

 

小町「?だって、実弥さんの依頼って、こういうことでしょ?」

 

と言いながら、2階に上がっていく2人。ふぅ...なんとか最悪の状態に陥るのは避けれた...けど、声を聞いた時、体が強張ったってことは、まだ全然克服できそうにないのかな...?あとで小町さんに報告しないと。

 

     ***

 

3人で夕飯を食べる。小町さんが主体となって、会話はした。けれど、そのなかでも、私のあのことについて、2人とも触れないでいてくれた。こういう気が利くところ、すごくありがたいな~。

そして、夕飯を食べ終わったあと、小町さんがお皿を洗っていたので、手伝おうとすると、

「お兄ちゃん、本読みたがってましたよ。」

と、言われた。実を言うと、まだ怖い。けれど、そんな私に小町さんは機会を設けてくれた。その厚意を無駄にするわけにもいかない。そう私は決心し、彼から借りていた本を持って、彼のところに行く。なんか叱られに行く気分だ。

 

実弥「あ、あの。比企谷くん。これ、この前からずっと借りっぱなしだった、本。あ、ありがとね。」

 

なんとか話せた。けれど、本を渡すということは、必然的に距離が近くなる。そう、手を伸ばせば届くくらいの距離に。

本を取るときに、手に触れられたらどうしよう...そんなこと考えていた私に彼は、

 

比企谷「おう。持ってきたとこ悪いんだが、そこの机に置いていてもらっていいか?」

 

と、直接受け取らなかった。多分彼は無意識にそうしたのだろうけど、直前にあんなこと考えていた私は、これも彼の気遣いなのだと思った。

そのとき、私は不覚にも、「やっぱりあの瞳...」と呟いてしまった。彼に聞かれてたりしないよね?

 

 

それから、お皿を洗い終わった小町さんと一緒にお風呂に入る。なんとなく顔とかは小町さんと似ていると思ったけど、まさか体型まで同じとは...

 

小町「ごみいちゃん、どうでした?話しかけたとき、キョどってたりしませんでしたか?」

 

お湯に浸かりながら小町さんに聞かれた。

 

実弥「うん、どちらかというと、気遣ってくれたよ。」

 

小町「あのごみいちゃんがっ!?」

 

小町さんは湯船から飛び上がる勢いで驚いていた。いや、彼、結構そういうところ気が利くよ...?

そうして、私は小町さんと少し喋ってからお風呂から上がった。なんか、こうやって誰かと喋るの久しぶりだなぁ。柚木とは喋るけど、あまり向こうから話しかけてくれないから、なんか久しぶりにお喋りした気がする。

 

それからそれから、寝る前に色々話してもらった。彼の過去、というか、どうして彼はああなってしまったのか。

 

小町「大半のことは、奉仕部で過ごして、改善されつつあるんです。でも、これだけは、未だに直りそうにないんです...」

 

小町さんが珍しく渋面をつくり、重そうに口を開く。

 

小町「まだ、お兄ちゃんは、人からの、特に女性からの『好意』を、素直に信じられないんです。相手から好意を向けられると、疑ってしまう、逃げてしまう。そんなところがあるんです。」

 

そして、私の方を向いて、思い詰めたような表情でまた口を開く。

 

小町「そんな、そんなお兄ちゃんを、実弥さんに、変えてもらいたいんです...」

 

小町「む、無理な願いだってことはわかってます!でも、でも!お兄ちゃんを変えられるのは、実弥さんしかいないんです!小町は嫌われてもいい、だから、だから、お兄ちゃんを...!

 

泣きながらそう訴える小町さんの口を私は塞いだ。唇を押し付けて。それから小町さんを抱き締め、頭を撫でながら、私の口は勝手にこんなことを言っていた。

 

実弥「もう、そんなに無理しなくていいよ。私でよければ力になるから。頼りないかもしれないけど、私は小町さんの、『お姉ちゃん』だから...」

 

実際に血が繋がっているわけではないし、ついこの前まで面識すらなかった。けれど、ここで小町さんを突っぱねるなど、私には到底出来なかった。私がなりたかった、憧れていたあのお姉さんのように、私は小町さんに優しく微笑みかけて、眠りについた。




どうでしたか。まだこの後デートのシーンが残ってるんですが、比企谷視点とほぼ同じになりそうなので、カットします。気が変わったら書くかもしれません。
では、また次話で。

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