第98話、更新致します。
また、少しお知らせがありますので後書きにてそれをご報告します。
では、本編へどうぞ。
第98話「いざ本選へ……」
ブライトが普及協会本部へ戻り、蓮子達もレミリア達に重ねて礼を述べて紅魔館を後にしてから4日後の夜、全ての予選が2日前に終わり、それと同時に本選への参加証と開催日時の告知書がファイカにメールとして届き、それには現在の時刻から半日経った朝に開会式が神霊廟に作られた本選会場にて執り行われると書かれており、蓮子達チームファンタズマの面々は開会式までデッキ調整などの自由時間を設け、現地に改めて集合と言う予定を立てていた。
その最後の数時間、メリーは魔理沙の家で机に向かい、暗い部屋をランタン1個の明かりで灯しデッキを取り出し、崩して弄り調整しての睨めっこを繰り返していた。
「うーん、アイツに負けたの悔しいなぁ……。
バリフを3枚にして、でもそうすると…………悩ましいわね……」
ブライトとのファイトに負けてしまったのが相当悔しかったのか、メリーは4枚入れていた『スチームファイター バリフ』を三枚にし、其処からグレードバランスを整えようとしていた。
しかしそのイメージが中々浮かばず睨めっこ状態になってのエンドレスループに陥っていた。
「……でも、強くならなきゃ。
そうじゃないと私は蓮子や皆と一緒に居られない、ヴァンガードを皆と楽しめない、そんなの……「う、ふふふ、ふふふふ……」えっ、誰⁉︎」
メリーはブライトに言われた事を脳裏に浮かばせ、強くならなければと思い始めたその時、今自分以外誰も居ない筈の屋内に不気味な笑い声が響きメリーは驚きながら周りを見渡す。
が、周りには魔理沙が床に散らかしている魔導書、魔法の実験の素材、レポート、それ以外には何もない。
ただ淡いランタンの灯り暗い部屋を照らすだけで笑い声の主など居なかった。
メリーは疲れているのかと思い始め、机に視線を戻す。
「……はぁ、ダメダメ、疲れてるのね。
一旦休まないと……「そう、永遠にお休み」……えっ⁉︎」
メリーは休もうとデッキに手を伸ばした瞬間、耳元で先程の笑い声と同じ声が囁かれ、しかもそれははっきりと聞こえた上にメリーはこの声を知っていた。
そう、その声は自身の声……そしてトーンそのものは修正力のそれであると。
それに気付いた瞬間メリーの身体は真っ黒な闇の中に沈み始め、その姿をあの心空間で見た真っ黒なメリーの形をした何かが見つめていた。
「(い、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ‼︎
私は、私はまだ蓮子達と離れたくない、一緒に居たい‼︎
嫌だ、嫌だ…….いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!)「……リー、メリー、起きてよメリー!」
えっ、あ…………」
闇に呑まれかけ、必死に踠いて叫んでいたメリーだったが遂に完全に呑まれた……と思い目を閉じた瞬間蓮子の声が耳に届き、ハッと目を開けると其処は先程の魔理沙の家、デッキを弄っていた机、そして周りには魔理沙や麟、アリスと蓮子が居り、自身は机に身体を預け寝そべっていた状態だった。
「あ……あれ、私……」
「大丈夫?
貴女汗びっしょりよ?」
「それに何だか魘されてました。
悪い夢を見てしまったのですか……?」
メリーはアリスと麟に言われて初めて自分が汗に濡れている事に気が付き、自分はさっきまで寝ていて先程のは悪夢だったのだと漸く頭で理解する。
しかしよりにもよって修正力の夢など見てしまったメリーは、矢張り疲れていると言う気持ちと未だに修正力に悩まされているのだと再確認させられてしまっていた。
「……結局私は、まだ運命の修正力に悩まされて、怖がってるのね」
「メリー、もしかしてあの修正力が夢に出たの?
…………大丈夫、メリーは幻想郷に来た頃よりも確かに強くなってきてるから。
もし本当に修正力がまた干渉して来たら、今度はメリーが勝てるって!
それに、貴女は1人じゃない。
私や魔理沙やアリス、チームの皆が居る……だから怖くなんかないって!」
「蓮子……」
不安がるメリーに蓮子は励ましを幻想郷に来た頃よりも強くなったと言う言葉と共に贈り、自身の手をメリーの手に重ね優しい表情で親友を見ていた。
メリーは蓮子を、更に魔理沙達の方も見て確かに自分は1人じゃない、秘封倶楽部の活動を共にした親友が、今の幻想郷に来て出来た新たな友が居る。
そう思った途端に不安な気持ちが和らぎ、自然と笑みが溢れていた。
「……ええ、そうね。
私は1人じゃない、蓮子や魔理沙、麟、アリス、それに菫子やブロントさん、紅魔館の皆や色んな人達が一緒にいる…………ありがとう蓮子、おかげで少し楽になって来たわ」
「そうそうその調子!
いつも通りの笑顔で超安心ってね!」
「さて、そろそろ寝ようぜ。
蓮子達は明日、神霊廟支部で開かれる本選に出なきゃならないしな」
蓮子とメリーが笑顔を見せ合い、それを見てアリス達も笑みを浮かべる中魔理沙は明日の予定を切り出し、全員に寝る様に促す。
ふと蓮子が時計を見ると既に時刻は深夜2時を回り、そろそろ寝なければ明日の本選開会式までに起きられなくなってしまいかねない時間となっていた。
「うわ、本当に寝ないとヤバイわねこれ。
じゃあ寝ましょっか、メリーはどうするの?
見た感じデッキを弄ってたみたいだけど」
「えっと…………『スッスッスッスッ』あー、デッキ調整が終わってから寝てたみたいね。
うん大丈夫、また寝れるわ」
「あ、じゃあ一緒に寝ようよ。
お互い寝過ごさない為に。
で…………」
メリーはデッキ調整が終わってたらしく、そのまま蓮子と一緒にベッドに入り再び眠りについて行った。
その際蓮子と共に寝ていた為か、不思議な事に先程の様な悪夢は見ず何処か暖かな夢を見るのであった。
その内容は、ファンタズムカップ本選を最後まで勝ち抜き蓮子やブロントさん達と共に優勝を喜び、観客や対戦していた者達から拍手が贈られると言ったものであった……。
それから7時間後の午前9時、既に初夏の陽気が続き衣替えをする時期になっていて、蓮子とメリーは魔理沙の紹介の下で霖之助に夏服を作って貰い、それを着こなしながら転移魔法陣で神霊廟支部…………正確には神霊廟支部の敷地内に新たに建造されたファンタズムカップ本選会場へと魔理沙やブロントさん達ファンタズマメンバーと共に足を踏み入れていた。
「此処が会場……此処でファンタズムカップ本選が……」
「ああ、例年なら本来16チームによるトーナメント戦だったんだが、月との連盟による調整とかなんやらで今年は半分の8チームしか出場出来なかったって話だ。
けどその分選りすぐりのチームが勝ち残って此処まで来た訳だ、油断はしちゃならないぜ」
先ず開会式の為に観客席に一旦出場チームも集まる様に受付で言われ、そこへ向かう中で蓮子がボソッと呟くと、魔理沙が今年のファンタズムカップ本選の事情などを話し、それを聞いた蓮子とメリーは成る程と思いつつ選りすぐりのチームと聞き油断は出来ないと感じながら歩を進め、観客席へと辿り着く。
しかし会場内部の構造は少し変わっており、観客席の目の前には巨大なモニターがあり、何故か会場中心にあるであろう選手達のファイトフィールドが見えなくなっていた。
これらを見た2人は少し不思議がり、ブロントさんや魔理沙達を見てどんな反応をしてるか確認するとそちらも何やら不思議がっており、全員で頭に疑問符が浮かんでいた。
「あ、魔理沙に蓮子達だ、おーい!」
「ん?
ほう、フランに小悪魔!
もしかしてお前らも本選出場出来たわけ?」
「はい、メイド、執事妖精代表2人と一緒に勝ち抜いて来ましたよ」
そんな蓮子達にフランが駆け寄り、その後ろから小悪魔、更にメイド妖精と……何やら異様に巨体で執事服がその隆々な筋肉によりピチピチになり今にも破けそうな、しかし何故か破けてない世紀末に生きていそうな執事妖精が付いて来て、ファンタズムカップ本選に出ると伝えていた。
「へ、へぇ、フラン達もか……。
これは本当に油断出来ないね〜」
「そうみたいね(それにしてもこの執事妖精、世紀末覇者っぽい人(?)ね……)『あー、あー、テステステス』あ、モニターが付いたわね」
蓮子達は隣人はライバルと言うありきたりな展開が起き、更に油断ならないと思う中モニターが起動し、其処には妖怪の山で戦った射命丸文と姫海棠はたて、更に何故か月に居る筈の綿月豊姫が映っていた。
『さーて皆様長らくお待たせ致しました、間もなくファンタズムカップ本選開会式が始まります!
実況は私射命丸文、解説は妖怪の山予選で惜しくも敗退した姫海棠はたて『ちょっと文、アンタも私と同じチームだったから敗退してるでしょうが、何私だけ負けたみたいに言ってんのよ‼︎』アーアーアーキコエマセーン。
そして今年は連盟を結んだ月よりお越し頂いたゲスト、綿月豊姫さんが補足等をさせて頂きます‼︎』
『地上人の皆様、よろしくお願いしますね』
どうやら文達は実況解説、そしてゲストとして来ているらしく豊姫は礼儀正しく礼をし、その雰囲気に流され観客の殆どが礼を返していた。
『さて出場チームや観客の皆さん、何故この会場が観客席はモニター、実況席や選手達のファイト舞台と分かれているのか気になった事でしょう。
その答えは開会式の今年の本選内容の説明にて出します。
…………時間になりましたね、ではこれより開会式を始めます‼︎』
『ワァァァァァァァァァ!!!!!』
文の説明、そして時間となり開会宣言がその口から出た瞬間会場は歓声に包まれ、ボルテージが一気に上がる。
皆が待ち望んだファンタズムカップ本選がいよいよ始まる、それらから生じた盛り上がりに蓮子とメリー、更にブロントさん達やフラン達は心を躍らせていた。
「では初めに開会の言葉を神霊廟支部長、豊聡耳神子さんにお願い致します!」
文の開会式に最初に行う主催の言葉と誰がやるのかが口から出た為心躍らせていた蓮子とメリーはいきなり緊張感が溢れ出し、文の言葉を待っていたかの如くモニターの先にある選手入場口から豊聡耳神子が現れ、一直線に文の方へと向かっていた。
蓮子達は神子が一体どんな風に開会の言葉を発するのかを考えつつ、自分達を狙っていた者達の長たる人物に対し警戒心をモニター越しにではあるが抱くのであった。
今回は短めの話になりました。
次回は今回よりも早く更新が出来ますのでお楽しみに。
さてお知らせです。
実は自分、明日から少々忙しくなり小説活動所かネット、ゲームにINが非常に遅くなってしまいます。
なので誤字脱字等の修正が出来なくなります(そもそも範囲が広過ぎた為修正ががががが……)
ですが小説更新は無理せずやりますのでどうかお待ち下さいませ。
次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、ご指摘をお願い致します。
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