秘封先導鉄   作:”蒼龍”

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皆様お任せ致しました、第96話目更新です。
令和元年になっても頑張ります。
今回は会話回、ファイト描写は一切無いです。
そしていよいよ100話目に近付いて来ました……が、スペシャル回みたいなのは予定してないですw

では、本編へどうぞ。


第96話「ブライト、お仕事Now」

メリーとブライトのファイトが終わり、皆がファイトにより示されたブライトの頑なな態度にある程度納得した後、メリー達はそれぞれの客室へと行き其処で一夜を過ごした。

ブライトもまた部屋へと戻り、一夜……と言うより数時間仮眠をとり、まだ夜が明けない内に(霊華によって自室から運ばれた)荷物は全て収納クリスタルに入れ部屋を出で玄関口より庭へと出る。

 

「…………一宿二飯の恩義、感謝する」

 

ブライトは去る前に振り返り紅魔館の中に居る者達全てに対して感謝の言葉を一言静かに述べると門に手を掛け、開いて外へと出る。

すると門の横には美鈴が寝て……否、目を閉じながらブライトが外へ出るのを察知しているも止めず、それに気付いたブライトは頭を下げて無言の礼をし前を見る。

すると其処に魔理沙とオリオンが立っていて、ジッとブライトを見ていた。

 

「なんだ、起きてたか」

 

「皆が寝てる内に黙って行くなんざ、マジで失礼な奴だよなお前」

 

「一言声を掛けてもバチは当たらんと思うが?」

 

魔理沙とオリオンは黙って出て行こうとしたブライトに呆れつつ近付き、遠回しに一言掛けて行けと言いブライトの反応を待つ。

するとブライトは2人にも頭を下げて無言の礼をし、そのまま2人の間を抜けてその場を去ろうとした。

 

「次は何時会えるんだ?」

 

すると魔理沙は何時会えるのかと振り向かずにブライトに話し掛け、ブライトは次の情報を与えに来る時は何時なのかと解釈し、少し考えながら振り返らずに答え出す。

 

「そうだな……マエリベリー・ハーンがあのGユニットを使える様になった時だな。

そしたら必ず情報を言いに来る」

 

「それって何時だよ?」

 

「さあな?

だが、恐らく近々である事は違いないだろう。

マエリベリー・ハーンも宇佐見蓮子も俺の予想を上回って成長しているからな…………では、また会おう」

 

ブライトはメリーに渡したほぼ白紙のGユニットが使える様になったらと曖昧に答え、しかしそれが予想で近々だと付け加えながらその場を去る。

この会話の中でブライトは、間違い無く蓮子とメリーの実力を認めつつ、自身の予想を上回る……つまりはかなりの期待を寄せていると話し、それを本人達にファイトをした時に分析の様に言っているパターンのみしか言っていない。

その為魔理沙とオリオンはそれ以上は何も言わなかったものも素直じゃない不器用な奴だと思い、その小さくなって行く背中をやっと振り返って見送り出し、そして見えなくなるまでその場に留まった。

 

「……バーカ」

 

魔理沙は様々な感情を込めて、既に見えなくなったブライトに対してバカと一言言い、そのまま紅魔館の中へと入って行く。

すると玄関口の前にアリスと、出不精でこんな場所にすら滅多に来ないパチュリーも居り魔理沙を地下の図書館へと無言で招き始める。

魔理沙(とついでにオリオン)は何事かと思いその後を付いて行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後の朝7:00、ブライトは収納した荷物を寮の自室に元通りに置いたり洗濯機に入れたりなどした後、普及協会本部の自分の仕事部屋へと向かいドアを開ける。

すると其処には山の様に積まれた書類に、仕事机の前で素敵な笑顔で立つ橙が居た。

 

「おはようブライト君、病欠明けの出勤ご苦労様〜♪」

 

「あー、昨日は済まなかった。

溜まった分は見回りの時間までには終わらせる」

 

「そうして欲しいよ〜。

ついでに私の昨日回された君の仕事分の愚痴を全て聞いて貰うからね〜♪」

 

橙はブライトに対して節々に棘を感じさせる言葉を投げかけると言葉が刺さった当の本人は冷や汗を掻きながら昨日の病欠を謝り見回り時間が始まる10:30までに終わらせようと机に向かい、棚から判子を取り出して山の様に積まれた書類と格闘を始める。

その間に橙はブライトに昨日回された余計な仕事で溜まったストレスを愚痴としてブライトにぶつけ始め、更に絶対に聞けと言うオーラを出しながら隣の椅子に座り共に書類確認をして行く。

ブライトはこれも全部自分が巻いた種、自業自得だと自分に言い聞かせて橙の愚痴を聞き、且つ溜まった書類を片付けるべく心を無にして作業を進め始めて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………それで私は君が本来やるべき仕事をやらされて尻尾や爪、髪の手入れをやる時間が無かった上に藍様には君に回す筈の追加の仕事まで回されて本当に辛くて辛くて大変だったのよ〜。

それもこれも全部君が休んだ所為なんだから責任取って見回りの時間に私に何か奢りなさいよ〜?

じゃないとアンタをこの爪でズタズタに引き裂いてやるからね〜、分かったかなこのおバカ‼︎」

 

「承認承認承認承認否認承認保留承認否認否認否認否認承認承認承認否認!

終わった〜…………分かった、見回りの時に一緒に回るぞ。

そしたらマタタビでも団子でもレアカードでも奢るよ」

 

橙のストレス発散を兼ねた怒りの感情を込めに込められた愚痴を延々と聞かされながら3時間、ブライトは山の様に積まれた書類を確認し判子を押し終えたり連絡書類にサインをしたりなどを奢る約束をしながら終える(なお橙は愚痴りながら書類の山をブライト以上のスピードで処理している)。

 

「…………にしても今日は溜まってたとは言え一段と否認する書類が多かったな。

特に最後のこれは何だ?

『普及協会会長代行として尽力された藍様を讃える為に藍様の銅像や藍様の資料集、更には藍様の写真館や藍様のドキュメンタリーやちょっとセクシーなグラビア特集を作ろう』とか舐めてんのか?」

 

しかし普段よりも何やら予算関係や人員関係などで否認の判を押す企画書類が異様に多く、更に最後に至っては藍のプライバシーなど度外視な変な企画書類があり、それを見てブライトはヴァンガード普及協会の職務を遂行しているとは言い難く侮蔑の感情を込めて吐き捨てる。

 

「へぇ〜それじっくり聞かせて〜、私ソイツにお礼参りする仕事が増えたから(#^ω^)」

 

橙もそれをブライトから聞きつつ誰が企画したか書類を確認し、見回りの時間までにその企画者にお礼参り(処刑執行)をしに行った。

その後普及協会本部に1人の人物の悲鳴が木霊し、後日その人物は引っ掻き傷だらけの上『私は普及協会本部職員としての職務を怠慢しました』と書かれたプラカードを首から下げ、泣きながら仕事をするのはまた別の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ではブライト、及び橙はこれより見回りを行なって来ます」

 

それから30分後、ブライトと橙は勤務ボードの自身の欄を出勤から見回りに変え普及協会本部から外に出て、見回りルートである人間の里へと転移し赴く。

それから少し歩くとブライトを見た子供達が集まって来てワイワイと話し掛け出す。

 

「ブライトお兄ちゃん、もう病気は治ったの!」

 

「お兄ちゃん元気で良かった〜。

またデッキを見てよ、何処か悪いか一緒に考えよ!」

 

「あ、橙お姉ちゃんも一緒だ〜。

お兄ちゃん達デートなの〜?」

 

「もしかして休んでたのは昨夜はお楽しみって奴なの?

ヒューヒュー!」

 

「はっはっは、こんにちは。

そうだね〜、デートと言えばデートだけど、昨日休んでお姉ちゃんに迷惑を掛けちゃったからそのお詫びのデートだよ。

それから、お兄ちゃん達はそんな関係じゃないからね〜」

 

ブライトは少年の1人に渡されたデッキを見つつ橙とデートなのかなどをやんわりと答え、子供達に一切の邪念や含みの無い笑みを向けながら親身に話をし、手に持ったデッキをじっくり見た後どのカードを抜いた方が回しやすいかを考えた後に少年に言い、デッキを返された少年も「やっぱりか〜」と口にしながら一緒のイメージを持っていたブライトに礼を言いながら談笑する。

それを横目に見ながら他の子供を相手にしていた橙は相変わらず子供に人気だなと少し苦笑をし、2人は漸く子供達から解放されて近くのお団子屋でブライトは粒餡、橙はみたらし団子を数本頼み(支払いはブライトのポケットマネー)食べ歩きをしながら見回りを再開した。

 

「ふう、やっぱり君子供ウケが良いよね〜。

そう言うトコは昔から……君が自分を僕って言ってた頃から変わらないね〜」

 

「子供は素直だし、真っ直ぐ育って欲しいからな。

その分俺も親身になってあの子達をはじめとした子達に接するのさ。

そしたら子供達から好感を得てまた接してと繰り返して、その結果こうなったってだけだよ。

大体俺なんかよりも上白沢女史や藤原の方が人気さ」

 

ブライトと橙は何か異常が無いかをチラ見しつつ子供ウケが良かった事をネタに話し、それを昔……霊夢が居て、紫が居て魔理沙と絶縁のファイトをする前の頃を思い出しながら比べて変わらないと言い、ブライトも慧音と妹紅の方が人気だとしながら子供達への接する態度や想いを話していた。

 

『…………6時の方向、巻く』

 

『おk』

 

その間ブライト、及び橙は気付いていた…………自分達が監視されている事に。

2人は無言のまま悟られない様にアイコンタクトと監視を想定した手信号(藍考案)をして互いに監視を巻く事を同意し、歩いて少し先の曲がり角でほんの少し監視が外れた瞬間ダッシュで駆け抜け、互いに人混みに紛れてながらも軽やかに、そして誰ともぶつからずに走り抜ける。

更に裏路地などを使い自分達が何処へ行ったのか痕跡を消すと、少し後に神霊廟の門下生らしき道士服を着た者達が周りをうろつき、「見失った!」「探せ!」などの叫び声を上げながら監視者達は去って行く。

ブライトと橙は裏路地で見えない位置に居つつ、橙が尻尾に鏡を包み表通りが見える様に、しかし反射した光が向こうから見えない様に映していた。

ブライトはその鏡を見て監視者達が完全に去ったのを確認し終えた後橙にアイコンタクトをし、2人は裏路地から離れて見回りに戻る。

 

「はぁ〜巻いた。

あれが報告にあった神霊廟の監視して来る連中なの?」

 

「ああ、そしてその報告通り監視してるのがモロバレな上、こんな風に直ぐに巻ける程度の腕しかないザルな監視さ。

全く、あれで真面目に監視しているのだとしたら最初から監視の心得や訓練をやり直して来いと命じたくなるよ毎度」

 

橙はブライトから報告にあった神霊廟の監視者かと確認すると、ブライトは監視の仕方等に酷評しながら肯定して呆れた雰囲気を醸し出していた。

橙は自分なら幾らブライトや魔理沙達、更に主人の藍並の実力者やであろうがそう簡単に監視してる事を気付かせない様にすると思い、ブライトと同様監視者達の初心者がやりがちなやり方などを酷評しながら欠伸を欠き余裕を見せていた。

この為2人は何ら脅威にならないとして普段通りに、しかし監視者達に見つからない様に歩くのであった。

 

「(さて、見回り前半はあと少しで終わる。

そしたら直ぐ様昨日やる筈だった報告をしなければな。

早くしなければ……ん?)あれは……」

 

ブライトは見回りが終わった後の事を考え始め、自身が次にやるべき最優先事項を頭の中でと問え始める……そんなブライトと橙の前に道士服を着て、身分が先程の門下生達より上の帽子を被った少女が前から歩いて来ていた。

3人は何食わぬ顔で互いにすれ違い、しかし直ぐに立ち止まって互いに振り返る。

 

「まさか監視達が居るのにお前の方から接触して来るとは意外だと思ったぞ、物部布都?」

 

「ふっ、我はお主に借りがあるのだ。

それの礼を自らせぬのは神霊廟の、太子様の右腕の名が廃るのでな。

それに、お主や八雲藍殿の式相手では練度の低い監視など幾らでも片手間ついでに巻いてしまえる、そうであろう?

故に我自らがお主とついでに今日何故か共に居る橙殿の前に現れたのだ!」

 

その少女、物部布都が監視者達が張り付き、更に未来の外の世界での一件で目の前に来る可能性が低いと予想していたブライトは意外と口にし、その布都はドヤ顔でその一件の借りを返す為に現れたと口にする。

ブライトは懐にある2つのデッキの内、黒のデッキを手に取り何時でも出せる様にし、橙は爪を立てて余り感情を見せない様に布都を見やる。

 

「(うわぁ、メンド臭いタイプの相手が来たなぁ〜。

さっさと片付けようかな?)」

 

橙は内心で布都の様な直情タイプを面倒臭がり早々と片付けようと考えて足に力を込め始め、何時でもヴァンガードファイト、リアルファイト何方でも対処出来る様に両者は準備を整える。

対する布都は大きな袖で隠れてる右手を突如突き出し待ったの合図を出し、そのまま2人に近付いて行く。

 

「まぁ待つが良い。

我も借りは返すとは言ったものも今事を荒立てるのは本意ではない。

お主らもこの往来の場で喧嘩事など普及協会本部職員としては法度であろう?

ならば、此処は穏便に済まてしまうのが双方の益になる筈。

だがそちらが事を荒立てるのが望みなら我もファンタズムカップ本選出場選手の身ではあるが、そちらの要求を呑む事としようではないか」

 

「(……成る程。

布都の方から出て来たのは、あくまで自分は不本意に事を荒立ててしまい、こちらから仕掛けて来た様に仕向ける為の算段であるか。

しかも今はファンタズムカップ、特に今年のは大事な時期。

そんな中で本選出場者のその発言はいつにも増して虚偽であろうが通り兼ねない……。

こいつ、それら全てを考え本気で俺達を嵌める気だな)」

 

「(で、それに乗っかりたくないなら穏便に話し合った方が互い、と言うか私達の立場を悪くしないって脅かしてる訳か。

へぇ、豊聡耳神子支部長の右腕を自称するだけあって、直情と思わせてかなり狡猾な人だね〜。

面倒ね、本当に面倒……)」

 

布都は穏便に済ませようと口にしながら荒事は本意では無くブライト達から仕掛けて来た様に仕向けると脅かし、橙は目の前の人物は敵に回せばかなり面倒で強かな奴と認識し、先程まで抱いていた直情タイプのバカと言う第一印象を廃棄して警戒レベルを組織の幹部クラスまで引き上げる。

更にブライトは今年のこの時期での本選出場者の発言力なども考え、その笑顔の裏に潜む策士としての顔を垣間見てその頬に冷たい汗が流れていた

そうしてブライト、橙は何事も無く終わる予定だった見回りに予想外の姦計が紛れ、それに従わざるを得ない事態となり少し頭を悩ませるのであった。




此処までの閲覧ありがとうございます。
橙と彼の関係は友人以上ですが結局歳の離れてない兄妹(姉弟)と言った関係です、決してカプでは無いです(断言)
そもそも彼にカプ相手を用意してるかと言えば…………。
さて、次は布都ちゃんとのお話(強制)回です。
どんな風に着地するのかはまた次回に…………。

次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。

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