秘封先導鉄   作:”蒼龍”

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皆様お待たせしました、第91話目更新です。
今回はいつもよりも短め、ですが少し情報開示がある為其処までは内容が薄くなってない筈です。
そしてタイトルからして……。
では、本編へどうぞ。


第91話「偽りの名が消える時」

蓮子は次の質問としてメリーに目配せをして懐からGユニット4枚、『シャドウ』が渡した物を出させて『シャドウ』に突きつける。

そのカードは、何故かイラストは真っ白く名前が空欄になり、スキルテキストも一文しか書かれてなくGユニットとしてのグレード、スキルアイコンなどの固有情報しか分からない物だった。

 

「じゃあ次、アンタがメリーに渡したカードなんだけど……何これ?

イラストも真っ白、各アイコンとギアクロのクラン名でギアドラゴン、『クロノジェット・ドラゴン』の名がある以外テキストも真っ白って明らかにファイトには使えない変なカード、こんなの渡すって嫌がらせ?」

 

「違う、それは今は使えないがいつか使える時が来る。

それが使える様になったら間違い無くマエリベリー・ハーンの力となる、だからそれを最低でも2枚、Gゾーンに入れてファイトしてくれ。

何故そうする必要があるかは……そのカードが使える様になったら明かす、必ず」

 

蓮子はこの事故カードの様な物を渡したのを嫌がらせか何かかと思いながら聞くが、『シャドウ』は違うと否定し、メリーにそれを最低でも2枚入れてファイトする様に言いGユニット2枚分を使えない枠にしろと言う。

それをする理由も今は言わず、使える様になったら明かすと言いメリーも蓮子も気分は良くならず寧ろ疑問やこの青年に今までと同じく苛立ちを覚える……が、今回の一件で『シャドウ』は自身の目的の為に意味も無い事はしない、何らかの結果に後々繋がる事をやっている、それが自分らにも益になる事と同一である場合があると知った蓮子とメリーは、取り敢えずこのカードを今後Gゾーンに入れてファイトをすると決め、それをアイコンタクトで伝え合う。

そのアイコンタクト後蓮子達は再び『シャドウ』を見やり質問を再開する。

 

「じゃあ次、アンタは何で私やメリーの……私達が知らなかった私達の運命って奴を知ってたの?

運命の修正力がメリーの中にあるのも、私が初代博麗の巫女である事も、メリーが八雲紫になる事も…………アンタはどうやって知ったのよ?」

 

「私らも疑問に思ってた。

アンタは幻想郷の住民で私の幼馴染、だけどそれだけでそんな事を知る機会も無かった筈。

けどアンタはあれこれ知り過ぎてる、私らの前から消えて何を知ったんだ、どうやって情報を得たんだよ」

 

蓮子達は自分達が知り得なかった自分達の未来……メリーは嘆きの記憶から知り、蓮子は『シャドウ』の口から知った現段階では回避した運命、それを何故『シャドウ』は知っていたのか?

魔理沙やブロントさんも『シャドウ』……ブライトは魔理沙や霊夢の幼馴染、ただそれだけで後は普通の一幻想郷人と変わらない筈なのにそれを知り、レミリアも自身の能力でも見れなかった2人の運命……修正力が介在し隠してたとレミリアが思うそれを何故知ったのか、核心部分を問い質す。

だが……。

 

「……親切なお姉さんがそれらを教えてくれて、それを阻止して欲しいと頼まれた、とだけ言おう。

それ以外は教えられない、その人との内緒話だと約束したからな」

 

親切なお姉さんに教えられたとだけ言い、それ以外は頑なに口を開こうとはしなかった。

それにより誰がブライトにそれを教えたのか、またどんな人物なのか具体的に知れずまた一つ新たな疑問が生まれてしまった。

が、これ以上この質問をしても意味が無いと蓮子達は思い、他の事を問い質し出す。

 

「分かったわ、じゃあ次、これは絶対に答えなさい。

アンタの目的、アンタは何がしたいのか、これは洗いざらい全部吐いて貰うわ。

何せ私とメリーがアンタに幻想郷に無理矢理連れて来られたのはアンタの目的の所為なんだからね!」

 

「……ああ、答えようか、俺の目的を」

 

蓮子はもう一つの核心部分、ブライトの目的を問い質し始める。

レミリア達も具体的に何かとは聞いていなかった為その具体的な部分が遂に明かされると身構える。

そして重たい空気の中青年は口を開く。

 

「俺の目的は二つ、一つはメサイアの先導者としての使命……この世界と惑星クレイ、両者に降り掛かる災いを払う事だ。

今この幻想郷である者達の大きな計画が密かに進められている。

それはこの幻想郷……いや、この世界とクレイに大きな影響を齎してしまう物だ。

はっきり言って〈リンクジョーカー〉が起こした異変と同規模かそれ以上の影響が出る異変の計画だ。

俺はそれを阻止する為に今まで密かに行動して来た。

宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンはそれをなす為に必要な戦力、切り札となる為幻想郷へと連れて来た。

最も、切り札となるのはその身にある運命を完全に切り抜けた後だがな」

 

「……分かってた事だけど、アンタは最初から私らを戦力にしたい、利用したいから私らに近付いた訳か。

うん、やっぱりぶっ飛ばす」

 

その口から語られた事はメサイアの先導者としての使命と、この幻想郷で何者かが大きな異変となる計画を企ていると言う物だった。

ブライトはその計画を阻止する為に蓮子とメリーを幻想郷へと連れて来た事、そしてメリーの運命を乗り越えさせる為に力を貸したのもその為だと言う物だった。

蓮子は以前心空間で自身の目的の為と聞いていた為驚く事も別に無く、だが改めて聞くと矢張り苛立ちが最高潮に達する為、前は状況が状況だった為押さえたが、今はもう感情を押さえる必要も無い為胸倉を掴んだ。

メリーも鋭い視線で居抜き、魔理沙も指を鳴らしてジリジリと躙り寄る……が、ブライトはそれらに抵抗するそぶりも見せず話を続ける。

 

「無論本来なら無関係の人間を巻き込むのはこちらとしても避けたかった。

だが、それが使命を果たし、この幻想郷に降り掛かる物を払える事に繋がり、残りの……個人的な目的も果たせるなら俺はそうすると決めた。

話を続ける、此処からは個人的な目的だがそれはメサイアの先導者としての使命を果たす事にも繋がる。

その個人的な目的とは、そのある者達、その中心人物達を止めたい、止めなければならないと思ったんだ」

 

「ふーん御大層な目的ね〜。

じゃあ聞くけどその中心人物って誰よ、そいつらの目的って何よ?

アンタが私らを巻き込んだ加害者で、その原因がそれならそいつらにも憂さ晴らししないと気が済まないわ。

早く言いなよぶっ飛ばされない内にね」

 

ブライトは個人的にその計画を進める者達の中心人物達を止めたいと話し、蓮子は更にそれが誰なのか、何をしようとしているのかを聞き出そうと右手に握り拳を作りながら問い質す。

最も蓮子としては自分やメリーを本来無関係な事に巻き込んだ目の前の人物への怒りが強く、そんな事はどうでも良くブライトやその者達を殴り倒そうとしか考えていなかった。

メリーはそんな蓮子に少し抑える様にどうどうと身振りする。

そんな中でまたブライトは口を開く。

 

「……その者達が具体的にどんな事をするかはまだ調査中だ。

だが、それがこの世界やクレイに災いを齎し、大きな影響を与えてしまうのは確定している。

クレイの調和の神メサイアが俺にそう伝え、それを止める為に俺に使命を与え、親切なお姉さんに会わせたのだからな。

そしてその中心人物は2人、はっきり言って俺は最初は信じられなかった、あの2人がと。

あの2人が異変になる計画を何故と。

…………だが、今はその2人が誰なのかは言えない。

マエリベリー・ハーンが俺の渡したGユニットが使える様になったら話す」

 

「またそれ…………アンタマジでぶっ飛ばしてやるわよ‼︎」

 

ブライトはその計画が具体的にどんな物かは知らないらしく調査中だと話し、しかしそれが二つの世界に大きな影響を与えてしまう事をメサイアから告げられ使命を与えられたと、更には親切なお姉さんなる人物に会わされたと話す。

またその2人が何故そんな事をするのか信じられないとも。

だが、肝心な2人の正体を話そうとせず、メリーが使えないGユニットが使える様になったら話すとまた言い蓮子は胸倉を掴む手の力が強まり、今にも殴り掛かろうとした。

メリーもまた蓮子と同じ様に肝心な事を口にしないブライトに怒りをの目を向け睨みつける様に見ていた……が、ブライトはそれでも口を閉ざさず、また真剣に蓮子とメリーの2人を見つめる。

 

「この場で言うべき事なのは分かる。

が、お前達がもっと力を付けてからで無いと話せないんだ。

何故ならば、それを知ったらその2人に同調している者達に狙われる可能性もあるからだ。

その2人は計画を露呈させない為に直接襲い掛かったり接触はして来ないだろうが、部下や同志にあたる者達はそうではない可能性が高い。

その計画を止める為に、そして何より自身の身を守る為にも力を付け、そのGユニットを使える様になって欲しい。

……そうすれば必ず話す、必ず」

 

ブライトはそれを知ればその2人の部下や同志に襲われる可能性のあるとし、それらから身を守る為に、またブライトが計画を止める為にも力を付け、メリーの渡されたGユニットが使える様になる様に口にする。

そしてそれを成せば話すべき事を必ず話すと言う。

長い沈黙と重たい空気が場を包み始め、数分間何も会話が成されなかった3人とそれを見守る者達。

そしてその重たい空気を先に崩したのは……蓮子とメリーの方だった。

 

「……はぁ、分かったわよ。

メリーを助けるのを手伝った分の礼としてそれを聞いてやるわよ」

 

「私も、このGユニットを2枚入れながらファイトをするわ。

けれど私達にそうさせるんだからアンタも約束して、私がこれを使える様になったらこの場で言わなかった事を話すって」

 

「約束しよう」

 

蓮子とメリーは自分達を助けるのを手伝った礼として此処で肝心な事を話さない事を許し、ブライトの要求を聞くとし、またブライトにほぼ白紙のGユニットをメリーが使える様になれば伏せた物を話す事を約束させ、その場を収めた。

ブロントさん達も蓮子とメリーがそうするなら本人達の意思を尊重するとして何も言わずに見守った。

すると次はメリーが口を開き、ある事を口にする。

 

「あ、それとアンタの本名。

蓮子は修正力から聞いてたけれど私は全く知らないし実際蓮子もアンタの口から聞いてないわ。

だからアンタの本名を今この場で教えなさい、アンタが私達の名前知ってるのに私達がちゃんと知らないなんてフェアじゃないし可笑しいわ。

これも黙る様なら今度こそ蓮子に殴らせるわよ、私を助けた分はもうさっきのでチャラになったんだから」

 

「あー確かにね〜。

で、アンタ私らに『シャドウ』って偽名で隠した本名を言うの、言わないの?」

 

メリーはどうやらブライト……『シャドウ』と名乗った青年の本名をしっかりとその口から聞き出したい考えらしく、蓮子もそれに同調して右手をポキポキと鳴らしながら本名を言うのか言わないのか迫る。

するとブライトは、蓮子が自分の名を意図せず知りもう名前を隠す偽名も意味を成さず、また修正力をあの場だけでも退けたその実力を考え、少し考える素振りをした後再び2人に視線を向ける。

 

「ブライト、それが俺の本名だ。

もう少し『シャドウ』の方で通したかったが、もう隠す意味が無いらしいからな」

 

「……そう。

宇佐見蓮子よ」

 

「マエリベリー・ハーン。

改めてよろしくね、ブライト」

 

ブライトは蓮子とメリーに自らの名を名乗り、2人は遂にムカつくアイツの本名を知り、少しシレッとした笑みを浮かべながらよろしくと言い、互いに微妙な雰囲気を醸し出す。

レミリア達やファンタズマの面々は、この3人は名前を知ろうが、ブライトの方から話すべき事を話さない限り出会う度にこの雰囲気になるだろうと思い、何か進展した様で何も変わらない事にやれやれと手を上げるのであった。




此処までの閲覧ありがとうございました。
遂にブライト、名前言っちゃいました(理由は偽名が意味を成さなくなった為)。
これはヴァンガードGの彼と色々違うって意味も込めてそうしました(色々な要因の所為でもある)
更に目的……ザックリと表面を話して中身はまだまだ語りませんでした。
が、それを語る日はもう近くになってます……。
そしてこの話を投稿した時点で2、3話の予定が完全に延びました(´・ω・`)
延びたと言っても今の所は1、2話程度なのでもう少しだけ幕間に付き合って下さい。

次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。

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