秘封先導鉄   作:”蒼龍”

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皆様こんばんはです、第90話目更新です。
今回から前回の後書きに書いた通り幕間の話になります。
そして2、3話の予定が早速崩れそうです(土下座)
今回のタイトルの意味は……本編へどうぞ。


幕間「動き出すモノ」
第90話「気絶、欠勤、お話開始」


蓮子とメリーは、互いに抱き寄せ合っていた実空間への帰還から時間が少し経過してから漸く落ち着き、皆の方へと行き話し始めていた。

 

「ごめんなさい、今回私がかなり迷惑を」

 

「んにゃ、別に迷惑とか感じてないしフレのピンチに盾が駆け付けるのは当然の事なのでメリーは気にしなくても良いぞ。

それに俺達は仲間であり友だ、お前が消えちまうのは俺達も深い悲しみに襲われる」

 

「今回みたいなのがあればまた私らも助けに行くさ。

だからさ、ごめんじゃなくてありがとうって言ってくれたら私らも嬉しいぜ」

 

「そうですね」

 

「うんうん」

 

メリーはファンタズマの面々、そして魔理沙に真っ先に謝るが、それぞれ友人であり仲間であるから今回の件の様な事態には駆け付け必ず助けに入ると応え、メリーの心は温まり迷惑を掛けてしまったという悲観の表情は自然と消え、メリーらしい笑みが浮かびまた皆を見る。

 

「……うん、皆ありがとう……!」

 

「良かったわねメリー、皆良い友達で」

 

「うん、うん!」

 

そしてメリーは心からの礼を口にし、彼女の笑顔がブロントさん達にも影響して同じく笑みを浮かべ、メリーは本当にこの幻想郷で良い友人に恵まれたと思いつつ、蓮子と共にこの友人達との日常を大事にしたいと更に思う様になった。

それを少し離れて見ていたレミリア、輝夜、霊華も笑みが溢れていた。

 

「ふっ、私も足を運んだ甲斐があったな」

 

「そうね、私も永琳が掛けた分の迷惑への贖罪以上のが見れて気分が良いわ。

……友達、か……今居るその友人を大切になさい、今を生き、生を謳歌する少女達」

 

「輝夜ちゃんそんな事言うとオバちゃんっぽいわよ、もっと楽になさいな「悪かったわね、私は貴女よりもずっと年上だからオバちゃんっぽいわ」あ、おこ、おこなの?

ごめんして♪」

 

三人の救援組は三者三様の反応(霊華は輝夜にちょっかいを掛ける)をし、その心温まる光景を目に焼き付け、心の中では共通の考え……この光景を守る事への貢献が出来て満足であると思っていた。

その一方でブライト……『シャドウ』は既に鳥居の前に立ち、蓮子とメリー達が笑い合う光景を見届け、その場から去ろうとしていた。

それに気付いた蓮子とメリーは『シャドウ』の下へ走り呼び止める。

 

「待ちなさいよ」

 

「……何だ、殴りに来たのか?」

 

「今は違うわよ……」

 

2人はムスッとした表情で『シャドウ』を見て、対する『シャドウ』は流す様に2人を見ていた……汗が異様に吹き出ていながら。

 

「……アンタの事はムカつくし今でもぶっ飛ばしたランキングNo.1、これには変わりないわ。

でも……」

 

「でも貴方は、今回蓮子に私を助ける方法を教えた様ね。

自分の目的の為って理由はあるけど。

でも……理由はどうあれ助けて貰った事には変わりないから…………」

 

『一応、ありがとう』

 

蓮子とメリーは『シャドウ』を未だにムカつく相手とし、更に自分らを助けた理由も自分の目的の為であるがそれでも助けて貰った事実は変わらない為、一応と前置きをしながら2人同時に礼を言う。

『シャドウ』はそれを聞き何を思ったのかは心空間では無い為本人にしか分からない……が、瞳を少し閉じ再び開き2人を見るその視線は何故か何時もの仏頂面に似合ったキツイ物では無く、その仏頂面には似合わない優しめの物に変わっていた。

 

「……そうか。

なら、こちらも受け取って置こう…………そうだ、マエリベリー・ハーン、お前にこれを渡しておく」

 

『シャドウ』は礼を受け取った後、何か思い出したかの様に懐から銀枠のヴァンガードのカード……Gユニットを裏面のまま4枚メリーに手渡す。

蓮子はそれは『アークセイバー・ドラゴン』みたく、メリーのデッキ強化に繋がる物と思い感心していたと同時に(蓮子的に)良い事思い付いたと言った表情を浮かべていた。

 

「へぇ〜Gユニット4枚、私の時より多めにカード渡すんだ〜。

へぇ〜、ふぅ〜ん?」

 

「アークセイバーは幻想郷に1枚しか無いんだ、仕方無いだろう。

それに餞別がまだ欲しいならマエリベリー・ハーン同様渡すぞ…………あの修正力を『あの場だけ』でも退けたんだからな」

 

「いやいやアンタ、私を卑しんぼみたいに言わないでよやっぱムカつく…………は?

あの場だけでも?」

 

メリーにカードを渡した枚数が多いを少しちょっかいネタに使えると思った蓮子は早速使ってみるが、逆に自分を卑しんぼ扱いしながらカードが欲しいならやると嫌味全開で言い、蓮子は矢張りコイツは殴らねばならないと思い右手に力を込める……が、此処で気になる一言が嫌味混じりで出た為それを聞く。

すると魔理沙達もその会話を聞いており、同じ一言が気になった為『シャドウ』に近寄って来る。

……この間にも『シャドウ』の汗は更に出て頬を流れ、徐々に息が荒くなって来ていたが。

 

「おい、あの場だけでもってどう言う意味だよ⁉︎

アレでもう修正力は消えて終わりなんだろ⁉︎」

 

「はぁ、そうじゃない、修正力は一旦消えたに過ぎない。

時間が経てばまたマエリベリー・ハーンに介入し今回の様な事態を引き起こそうとするだろう。

それを今度はマエリベリー・ハーンが自らの意思のみで跳ね除けなければ完全に解決したとは言わない、今回やったのは運命の刻への対処としてマエリベリー・ハーンの目覚めだ……」

 

「……そうか、だからアンタは後はメリー次第、修正力も今は諦める、次こそは、なんだ……(となるともう今回の手段は使えなくなるわね、本当にメリーの意思でアレを……運命の修正力を名乗るだけあって形成された人格の意思、直接ファイトして心空間でああやられたから分かる、アレは『ドス黒くて強い』。

それをメリーだけでか……私に後出来るのはメリー信じる事だけか)」

 

『シャドウ』の口からまだ修正力の介入は完全には解決していないと聞き、蓮子はもう今回の手段は対策されてしまう可能性が高く使えない、メリーを信じる事だけと考え始め、当のメリーはゾッとするが蓮子達のお陰で自分は目覚め、更に今度は自分の強い意思で跳ね除けると言う具体的な解決策……自分の意思次第でどうにかなると聞き、もうあんな事にならない様に、蓮子達にもう心配掛けさせない様に今度介入されたら絶対に跳ね除けると心に固く誓いながら『シャドウ』を見ていた。

すると蓮子達や魔理沙達は『シャドウ』の様子が今立っているのすらやっとな状態の様に見えてしまい、何が突然如何したのかと思い始めていた。

 

「っておもえ、、何かすっごい量の汗が出て何やらふいんき(何故かry)が可笑しい不具合があるんだが?」

 

「しかも息も荒いしアンタ、大丈夫なのか?」

 

「何でも、無い。

兎も角、後はマエリベリー・ハーン次第だ。

そしてマエリベリー・ハーン、そのGユニット……うぐっ『ドサッ!』」

 

『シャドウ』の明らかに可笑しな様子にブロントさんと魔理沙が大丈夫かと聞くが、それを大丈夫と言い張りメリーに更に話を付け加えようとした……が、『シャドウ』の視界は急に真っ暗となり、足から力が抜けその場に倒れて気絶してしまう。

 

「…………おいィィィィィィィィィィィィィィィ!!!?」

 

突然気絶し倒れた『シャドウ』に対し、全員一瞬沈黙し、直後にブロントさんがいの一番に驚きの余り奇声を上げ、その真夜中の博麗神社にブロントさんの叫び声が木霊した。

 

「ちょ、ちょっとアンタしっかりなさいよ⁉︎

…………返事がない、意識完全にプッツンしてますわこれは……」

 

「ちっ、面倒な……今永遠亭は閉じてしまってるから仕方無い、此奴を紅魔館へと連れて行く。

蓬莱山、貴様は八意永琳を紅魔館へと連れて来い!」

 

「分かったわ、永琳を叩き起こして来るから門は開けておきなさいよ!」

 

蓮子が『シャドウ』の頬を叩き意識の有無を確認するが、矢張り意識は無く今の時間では永遠亭は閉じて居る為永琳を外に連れ出して診察させなければならず、レミリアが直ぐ様紅魔館に運ぶ判断を下し、輝夜も永琳を起こし、紅魔館へと向かうと言いながら永遠亭に戻る。

残った蓮子達は、先ずブロントさんが『シャドウ』を運び、他が道中付いて行く形になった。

なお、蓮子達はまだ話が聞き終わっていなかった為続きを聞く為に紅魔館に泊まる事になったのは言うまでも無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後の午前9時、霊華は藍に『シャドウ』……ブライトが倒れた為今日のブライトのヴァンガード普及協会職員としての仕事は休みにする様連絡を取り、それが受理された後霊華は蓮子達チームファンタズマと魔理沙が居るブライトが眠る一室へと行きその旨を伝える。

 

「グッモーニン、藍にブラ…………『シャドウ』の坊やが倒れて仕事になんないから休みって伝えて来たわよ〜。

これで今日1日は貴女達が坊やに根掘り葉掘り話が聞けるわよ〜♪」

 

「霊華さんありがとうございます。

……にしても本当、私らにちょっかい掛けて来た奴と同一人物って思えない位寝顔が綺麗よね〜。

あの仏頂面からは想像出来ないわ」

 

蓮子達はそれを聞き色々聞いてやろうと思いつつ、蓮子達の前に現れる際の仏頂面からは想像し難い綺麗な寝顔を見て蓮子とメリーは恐らくこの穏やかな表情が素であり、仏頂面は作っている物なのだろうと思いながらその頬を蓮子は指で突いていた。

それを見て魔理沙も逆の頬を突きながら口を開く。

 

「このバカ幼馴染、倒れた原因は急激な疲労困憊による意識混濁って診断されたな。

その疲労困憊の要因は……」

 

「多分だけど、どんな方法を使ったのか知らないけど私が作り出した心空間、あの中にコイツやブロントさん達を連れて来た事でしょうね。

そう、私の能力……『他者と心が繋がる程度の能力』でしか入れない筈のあの空間にね」

 

魔理沙の『シャドウ』が倒れた原因を口にし、蓮子がそうなった要因を……『シャドウ』が倒れ、紅魔館へと運ばれて少し寝て起きた後、この部屋に来る前に皆に自分が初代博麗の巫女となる筈の者、その力を持っている事を話しその力を実際目の当たりにした者も咲夜達見ていない人達も受け止め、蓮子の力をしっかりと知った後に『シャドウ』がやった行動を口にし、本来は蓮子の力でしか入れない心空間に如何なる手段を以ってブロントさん達ごと侵入したのか不明だが、それこそが要因だと予想していた。

魔理沙達もそれを聞き、恐らくはそうであると考えていた。

こうなる前に『シャドウ』がやったのはそれしか無いのだから。

 

「それにしても我が姪がまさか博麗の巫女、しかも初代になるなんてね……世の中分からない事だらけってよく言いますなぁ〜」

 

「最も蓮子がそうなるのは『シャドウ』も言ってたらしいがメリーが紫になった後らしいからな、人間の親友2りの不幸の末にそうなるならぶっちゃけて言えば今の所そうならないで良かったな(確信)」

 

「そう、ですね。

メリーが消えてしまうのもそうですが、蓮子も全ての記憶を失って巫女の力しか残らないなんて悲し過ぎます……」

 

菫子は少し話題を振り、蓮子が初代博麗の巫女になる人間だったのを純粋に不思議がり、しかしブロントさんや麟、魔理沙と同じ気持ち……不幸な運命の末にそうなる、蓮子は記憶を失いメリーが消える、それが現実にならずに済み心の底から良かったと思っていた。

『シャドウ』の言が正しければ今はこの時の一時的だけとは言えども。

それの真偽や疑問や目的などを問い質すべく青年の目覚めを少女達は待っていた。

するとそれから直ぐ後に『シャドウ』の口から声が漏れ、意識が覚醒し始めた。

 

「う……んん……此処は……?」

 

「やっとお目覚めだよこのバカ幼馴染、此処は紅魔館の空き部屋の1つ、アンタは何でもないって言い張った後にぶっ倒れたんだよ」

 

『シャドウ』はゆっくりと目を開き、周りを確認して赤い天井を見てこの場所の確認をしようした所で魔理沙が声を掛け、場所と倒れた状況を簡素に伝える。

すると紅魔館と魔理沙の声を聞いた瞬間ベッドから勢い良く起き上がり、周りを見て蓮子達や霊華がベッド周りを囲んでいる事を確認し、直ぐあの仏頂面になりながら手で顔を押さえていた。

恐らく今この場から離れる事が出来ず、根掘り葉掘り言う様に要求されると察したのだろうと蓮子達は思った。

 

「はぁ……倒れて今この場に居るのに藍様や橙の連絡が無いとなると、急病による欠勤扱いになったか…………今日の分の書類確認が後日に回されると思うと気が滅入るな……」

 

「…………えっ、アンタ私らに根掘り葉掘り言うの拙いな〜とか今の状況から離れなれないしくった〜とかでその仕草してんじゃないの?」

 

「そっちは倒れてこの場に居る時点でそうなると分かっているから別に如何でも良い、だが書類整理は溜まるし見回りの担当分を他の人に任せねばならんし俺が休むと橙が仕事増えたと愚痴る、それを聞いたり処理するのが面倒なんだよ」

 

しかし、この青年が何か面倒だと言う仕草はこの状況に対する物では無く、普段の生活である普及協会での書類仕事が溜まり他の人の見回り範囲を増やし、更に橙が『シャドウ』が休むと仕事が増え、それを後日当の本人に愚痴るらしくそれらを処理するのが面倒な為こんな仕草をしたのだと言う。

それを逆に言えば、この状況は倒れた時点で既に察していて色々言う様に要求される覚悟はあると『シャドウ』は口にしているのだ。

 

「ほうほう、ならこの蓮子ちゃんと大親友のメリーがレミリアさん達が来た瞬間、アンタの口から何の気兼ねも無くあーんな事やこーんな事を聞き出してやろうじゃないの〜。

覚悟は良いかしら、『シャドウ』さん?」

 

「ああ、答えられるものは答えよう」

 

蓮子はメリーと共に良い笑顔で『シャドウ』ににじり寄り、手をワキワキと動かしながら遠慮も気遣いも無く聞き出そうとし、対して『シャドウ』は答えられるものならと言い、つまりは質問によってははぐらかせられたりする場合がある事を示唆させ、その場にレミリアや咲夜達が来るのを待つ。

するとレミリアやパチュリー、フラン達は咲夜の一報で目覚めたのを知ったのか直ぐに来た。

 

「よし、集まったな。

では蓮子、メリー、此奴を問い質すのだ。

貴様も下手に隠し立てはせず洗いざらい吐くのだな」

 

「答えられるものなら答える」

 

「答えられるなら、ねぇ……アンタに隠し事する権利なんか本来無いんだけど、まぁメリーを助けてくれるのに一役買った訳だから許すわよ、不本意だけどね!

……じゃあ先ず、気絶直前に言った修正力の介在、まだあるのは本当?」

 

「間違い無い」

 

蓮子は早速気絶直前の修正力の話についての真偽を『シャドウ』に聞くと、それをはっきりと、蓮子とメリーの目を見ながら間違い無いと答えそれが事実だと2人に確信させる。

レミリアやブロントさん達もこの様子からまだメリーの件は終わり切っては無いと理解し、矢張り気絶直前に言っていたメリー次第になると思いながらジッと『シャドウ』を見ていた。

そうする中、質問はどんどん行われていく。

 




此処までの閲覧ありがとうございます。
メリーの件、まだ完全に終わってない事が判明しました。
しかし、サッカーで例えるなら延長PK戦程度の物と思って下さい(負けた代償が大きい大問題)
なお輝夜は永琳と共に帰りました。
そして倒れで欠勤し、2日分の書類仕事が確定し橙からの愚痴を聞く事になった彼とのお話は次回も続きます。

次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。

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