秘封先導鉄   作:”蒼龍”

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皆様お待たせしました、第89話目を更新です。
そしてこの章最後のお話になります。
長かった今回の章も漸く終わりを迎えます。
では、本編へどうぞ。


第89話「『おかえり(ただいま)』」

ファイトが終わり、アンティルールが発動し修正力は一切の行動が不可能となり、ただただ立っているしか出来なかった。

蓮子達はそれでも何かをやらかそうと言う気満々の修正力に警戒を解かず、輝夜や霊華もまだ能力と結界を解除しなかった。

 

「さあ、アンティルール通り私は何もしないし出来ないわ。

この後は何とする?

マエリベリー・ハーンを目覚めさせるには如何する?

目覚めさせるにしても、彼女が運命を覆す強き意志を以ってしなければ目覚める事は無い……結局は無駄足である訳よ」

 

「無駄なのか如何かは宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンが決める事、貴様が決定付ける理由など皆無だ。

それに既に方法なら宇佐見蓮子が確立している、残念だったな」

 

「おいィ、そう言えば俺達はその部分だけ聞いていない不具合があるんだが?

早くその方法を教えるべきそうすべき、死にたくないならそうすべき!

早く、早く、早くぅ〜!」

 

修正力は手段が云々と言うが、ブライトは冷めた目で方法は確立されていると話し自信満々に答えていた。

なおまだブロントさん達に明確な手段を伝えていない為何を如何するか聞かれるも、それも少し無視して蓮子に頷きあのファイトで掴んだ『他者と心が繋がる程度の能力』、博麗の巫女の最終奥義を使う様に促し、蓮子もそれに頷くとメリーの身体、修正力の前に立ち、そして………抱き付き始めた。

 

「ん????

キマシタワー⁇」

 

「違うから黙って見ている事だ」

 

輝夜はその光景に百合の花が咲き、キマシタワーが建設されたのかと思い口にするとブライトが違うとキッパリ否定し、事の顛末を見る様にと言う。

 

「……宇佐見蓮子、何をして」

 

「メリー、今……そっちに行くから『キィィィィン』」

 

すると耳鳴りに似た音が聞こえ、その直後蓮子の身体が光り始める。

その様相は正に博麗の巫女、それがそれぞれ最終奥義を使う際に現れる兆候であり、身体の光が更に強まり始めた。

 

「なっ、あれは⁉︎」

 

「……‼︎(やっぱり、蓮子は……‼︎)」

 

「バ、バカな⁉︎

宇佐見蓮子、何故お前がその力に目覚めている⁉︎

順序が逆だ、八雲紫が誕生してからしかその力は目覚めない筈⁉︎

……ま、まさか幻想郷で過ごしたこのイレギュラーの結果に、貴女もイレギュラーを発生させたと言うのか⁉︎

や、やめろ、今『此方』に来るな、運命の流れが消えてしまう、全く未知の、イレギュラー塗れの狂った未来が訪れてしまうぞ『バチィ‼︎』ぐっ⁉︎」

 

魔理沙、ブロントさんはこの蓮子の力の正体にいち早く気が付き、これから何が起きるのか大体が予想出来つつあった。

そして修正力もファイトで負ける時以上の狼狽を見せ、イレギュラー塗れの未来と言う何か途轍も無く修正力にとって不利益な物が訪れてしまうと叫び、蓮子に止める様に説得を始める。

しかし、これも何もするなのアンティに引っ掛かる為か強い電撃がメリーの身体を走り、その修正力の行為を止めさせる様に働く。

その間にも蓮子の光が遂に臨界に達し、最終奥義を使う寸前の状態になっていた。

 

「メリー……待ってて…………『夢想天生』!」

 

「や、止めろぉぉぉぉぉぉぉ⁉︎」

 

蓮子がその名、夢想天生を口にした瞬間光が2人を包み、蓮子の心が眠れるメリーの心と繋がり蓮子の意識自体が繋がった心の空間にダイブする。

そして実空間には、メリーの身体に抱き着きながらその光を放つ蓮子の身体と、瞳が虚となりうんともすんとも言わなくなったメリーの身体が残った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

繋がった心の空間にダイブし、漸く足場らしき場所に着き足をつける蓮子。

しかしその空間は、『シャドウ』……ブライトの心と繋がった時と違い光が一切無い暗闇の空間と化していた。

まるでメリーの心が闇に沈んでしまったかの様な錯覚を覚えた蓮子は辺りを見渡し、メリー自身を探し始めた。

 

「メリー……!

ブライトの時と同じなら、この空間の中にメリーの意識はある筈!

急いで見つけ出さないと‼︎

メリー‼︎」

 

この闇の空間を当ても無く走り出し、右へ左へ、上へ下へとメリーの名を叫び続けながら走り回る。

だが、何処へ行けども行けども周りは闇、闇、闇。

何も無くメリーの意識体すら居なく本当に此処にメリーが居るか不安になり始めて来ていた。

 

「い、居ない……如何言う事?

メリーの意識は眠ってしまっているから此処には来れなかったの?

……いや、それならアイツがこの方法を提示する訳が無い、多分探し方が間違っているんだ……少し考えてみよう、此処は現実空間から時間が経過しないから余裕があるわ……」

 

蓮子は探し方が間違っているのだと思い、少し考え始める。

この力は心と心が繋がる、つまり相手の心を感じ取る事が可能なのだ。

故にブライトの目的やあの悲しげな心を感じ取れたのだ。

ならばメリーの心を感じ取り、その場所に向かい事が出来る筈とも考え蓮子はメリーの心を感じ取ろうと目を閉じ、自らの心の雑音を排除し集中する。

 

「…………「れん、こ……」っ、メリー!

今、確かに感じた、聞こえた……‼︎

確か……こっち、私の勘がこっちだって告げてる!

よし、待っててメリー‼︎」

 

するとメリーの心を感じ取り、蓮子は自らの勘が告げた方向へと力一杯走り始めた。

すると、微かな光が見え始め確かに此方にメリーは居る、そう確信した。

蓮子は更に足に力を込め、その場所へと歩を進めた。

 

 

 

現実空間、ブロントさん達は蓮子達の周りに立ち、何が起きたのかブライトの口から説明を聞いていた。

そして魔理沙、ブロントさんは予想通り蓮子が博麗の巫女としての、しかも初代巫女としての力を持つ女の子だと改めて知り、菫子達(霊華以外)は愕然として居た。

 

「まさか……蓮子が……」

 

「矢張りそうだったのか……メリーが八雲紫になるなら、 蓮子は博麗の巫女へと……」

 

「……で、改めて確認するがこれは蓮子の夢想天生を使った状態で、蓮子はメリーの心と繋がりその空間へとダイブしているのだな?」

 

するとレミリアは冷静にブライトに問い掛け、そのブライトは無言のまま頷き肯定する。

そう、蓮子は夢想天生を使いメリーの心と繋がった状態なのであった。

しかしブライトはメリーの身体、修正力の方を見て何か考え始めていた。

 

「如何したんだいブライトの坊や、蓮子ちゃんは夢想天生を使ったんでしょ?

なら後は私らに出来るのは」

 

「確かに、だが…………うむ、矢張りか」

 

「やっぱり?」

 

「修正力は人格を形成した、つまりは意識があったんだ。

だが今はうんともすんとも言わない所か意識その物を感じられない。

これはつまり……修正力も心が繋がっているあの空間へとダイブしていると言う事他ならないな」

 

『…………はぁ⁈』

 

するとブライトは待つだけしか出来ない今の状態で修正力の意識すらその空間……心空間へと入り込んでいると告げ、ブロントさん達は一瞬の沈黙の後に驚きを隠せずにいた。

 

「ど、どう言う事だよ⁉︎

アイツはアンティルールで何も出来ない様になってる筈だろ⁉︎

なのに何でさも当たり前にダイブしてるんだよ⁉︎」

 

「これは藍様や四季映姫様から聞いたのだが、確かに実空間でのヴァンガードファイトのアンティルールは実空間に於いては必ず執行させる拘束力があるんだ。

だがな、精神世界とか夢の中とかではそれはまた別、そこで改めてファイトしなきゃならない可能性がある、ファイトアンティの抜け穴かもしれないと……。

これを見る限り矢張りその懸念は正しかった様だ」

 

「マジかよ……拙いぞ、修正力は改めてファイトする気なんか絶対ないぞ!

何故ならば先程のファイトで蓮子には勝てないと悟ったからだ!

ならば如何するかと言えば卑怯で忍者もドン引きする汚さで蓮子を無理矢理その空間から叩き出そうとするのは確定的に明らかなんだが⁉︎」

 

ブライトから話された藍と映姫の懸念、それが現実であり夢や精神世界では改めてファイトをしなければアンティが執行されず、更にブロントさんは修正力はもうファイトする気など無く蓮子を実力行使で叩き出す気であると予測し、しかし自分達は何も出来ない今の状況に歯痒さを感じていた。

するとブライトは……一回瞬きをした後ブロントさん達を見やった。

 

「お前達、今の状況を打開したいのだな?」

 

「当たり前だろ、私らだって蓮子とメリーの友人だ、そう思って当然だろ‼︎」

 

「ならちょっと付き合え、打開するぞ」

 

『……はい?』

 

ブライトは今の状況を打開する策があるのか、魔理沙やブロントさん達に打開するぞと告げ何をするのか皆目検討が付かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ、はっ、はっ、はっ‼︎」

 

一方その頃蓮子は、微かな光に向かって走り続けついにその光の中に入る。

すると其処には大きな鳥籠があり、その中にメリーが居た。

 

「見つけた……メリー‼︎「行かせる……ものか‼︎」

えっ『ガバァッ‼︎』きゃあ⁉︎」

 

蓮子がその鳥籠に向かおうとした瞬間、メリーの形をした真っ黒なナニカが飛び掛かり、蓮子を取り押さえ始めていた。

それも、蓮子の首を絞めながらだ。

 

「ぁぐ……アンタ……‼︎」

 

「まさか初代巫女の力が目覚めているとは想定外だった、このままマエリベリー・ハーンと接触させる訳には行かない、此処で貴様の意識を奪えば実空間でも意識を失う‼︎

さあ早く意識を遮断しろ、そして運命の流れに逆らうな‼︎」

 

ドス黒いそれ、修正力の形成された意識体とも言うべきそれは蓮子の意識を奪い取ろうとし首に掛けた手の力が更に強くなって行く。

蓮子は必死に抵抗するも振り解けず、踠いていたが徐々にその力が失われて行き意識も真っ黒に染まり始めていた。

 

「(こんな所でダメなの……嫌だ、其処にメリーが居るのに、私は……‼︎)」

 

「さあ、後少しでぇ……「俺のフレにきたぬぇ手で触れてんじゃねぇよ、メガトンパンチ‼︎」ゴハッ⁉︎」

 

すると其処に突然ブロントさんがとんずらで現れ、全力のメガトンパンチを繰り出し修正力にクリーンヒットさせその手を物理的に振り解かせてた。

蓮子は首を手で押さえながら息を吸い、意識を戻し始めた。

 

「ゲホッ、ゲホッ‼︎

はぁ……ブロント、さん⁉︎

何で此処に⁉︎」

 

「フレの危機に偶然にも通りかかって救うのはああ矢張り常に偶然にヒーローはやって来るものだなと確信した。

大丈夫か蓮子、大丈夫なら此処は俺達に任せてメリーのとこに行くべきそうすべき!」

 

「え、俺達?「やいやいやい、てめぇ女の子に何やってんだこのクロコみたいな真っ黒黒助‼︎」

え、魔理沙、皆⁈」

 

すると修正力に馬乗りになり魔理沙や麟達、見守っていた全員がその場に居て修正力を押さえ付けて居た。

蓮子は突然の自体に頭が追い付かず頭がこんがらがり始めるが、ブライトが蓮子の手を取り立たせ、その背中を鳥籠の方へと押し出した。

 

「え、アンタまで」

 

「行け、早く!

此処は俺やブロントさん達に任せろ!」

 

ブライトははっきりとした口調で蓮子に行く様に促し、対して蓮子は戸惑いながらも頷き鳥籠に向かおうとした。

 

「行かせるかぁ‼︎

運命の流れを狂わさせてなるものかぁ‼︎」

 

「それはこちらのセリフだ‼︎

運命の修正力、貴様は此処で消え去れ‼︎」

 

魔理沙達の拘束を振り解こうと修正力は物凄い鬼に匹敵する力を発揮し無理矢理蓮子を止めようとしたが、ブロントさんが背中に回り両脇に手を入れて固め、ブライトがその頭に手をやりアイアンクローの容量で押さえ付け止め始める。

するとブライトの背中の辺りに何か白い靄の様なものが現れ、それも修正力を押さえた。

その靄の正体が見えている修正力は驚き、動きが止まってしまう。

その間に蓮子は鳥籠の側に着き、中に手を伸ばしていた。

 

「メリー、迎えに来たよ‼︎

目を覚まして、一緒に帰るわよ、メリー‼︎」

 

「……蓮子…………」

 

蓮子の声を聞いたメリーは意識が戻ったのか視線を蓮子にやり見ていた。

しかし、その瞳は涙が流れ泣き過ぎたのか目元などが赤くなっていた。

 

「メリー……どうして泣いてるの?

アイツに何かされたの?

でも大丈夫だよ、もう迎えに来たんだから‼︎」

 

「違うの、私……見ちゃったの。

多分、1番初めの……八雲紫の嘆きの記憶を…………」

 

「えっ……?」

 

するとメリーの口から八雲紫の名が、しかも1番初めの八雲紫、蓮子はそれを聞き恐らくは1番最初にこの世に誕生した八雲紫の事だと思い、それの嘆きの記憶と言う物から何か嫌な感じがし聞き始めた。

 

「…どんな記憶だったの?」

 

「最初はただの好奇心だったの、私は好奇心からこの眼の力を強めていって、最後には八雲紫になったの…………初めは蓮子と離れ離れになって悲しかったけど、でも好奇心や優越感に浸ってた彼女(ワタシ)は妖怪として好き勝手やってたの…。

そしてある時、妖怪と人間が共存する楽園を作ろうと画策して、手頃な場所を探して居たの……そしたら、居たのよ。

本来なら其処に居ない筈の、貴女が、ボロボロで記憶も全て失って自分が誰なのか、彼女(ワタシ)が誰なのか分からない状態で………彼女(ワタシ)は嘆いた、私が好奇心に負けなければ、境界の妖怪とならなければ大切な筈の親友をそんな姿にして、自分は好き勝手やっていなかったって……」

 

「っ……」

 

蓮子は絶句した、それは正にブライトが話した最悪の状況。

蓮子とメリー、2人の未来が完全に閉ざされ、片や全てを失い巫女の力だけが残り、片や境界の妖怪として人間の少女としての自分が消え去ったと言うあの話だった。

メリーはそれを記憶として直に見てしまい、同じ様に嘆いていたのだと確信した。

 

「もう一つは、貴女が巫女としてその命を全うした後。

彼女(ワタシ)はその墓に花を手向けて、安らかに眠る様に祈ったの……でもその時、ふと私や貴女は今後どうなるのか気になったの……。

だから見たのよ、その世界の私達の近未来を、他の隣り合って触れられない極めて近く限りなく遠い世界を……そしたら、其処には嘆きしか無かったの。

彼女(ワタシ)が生まれて、私が消えたその事実は運命の流れとして固定されてしまったのよ!

そう、最期には何時も何時も何時も何時も何時もマエリベリー・ハーンは消えて、八雲紫が生まれ、貴女は……‼︎

彼女(ワタシ)は嘆いたわ、いつか生まれる私に、蓮子に、こんなくだらない、残酷な運命を課した事を…………私の所為なのよ、私が、全部私が……‼︎」

 

メリーは紫も彼女(ワタシ)と言い、自らが行った愚かな好奇心だけの行為がこの運命の流れを作った事を後悔し、嘆いていた。

その様子は正にか弱い女の子で、その記憶は確かに存在していた物だとし、更に涙で鳥籠の中を濡らし、顔を伏せ泣き崩れていた。

だが、それを聞いても蓮子は手に力を込めるのを止めず、手を伸ばしながら声を掛け出した。

 

「メリー、外を見てよ。

ブロントさん達や魔理沙達、それと『シャドウ』……ぶっ飛ばしたいアイツが直ぐ其処に居るよ」

 

「……え……?」

 

メリーは顔を上げ外を見ると其処には黒いナニカの足に噛み付く魔理沙や腕で固めるブロントさん、更にはレミリアや麟、菫子、霊華、輝夜、更にはブライト……『シャドウ』までその黒いナニカが此方に来ない様に取り押さえている姿があった。

 

「皆…………」

 

「魔理沙達はメリーが居なくなるって聞いてすっ飛んで来たのよ。

しかも情報元はアイツよ。

アイツったら貴女が消えたら自分の目的が果たせなくなるからって理由で私にこの心が繋がる空間、心空間を作り出す術を回りくどく教えたり色々やってたみたいなのよ。

全部この時の為に私達に関わってたっぽいよ、自分の目的を果たす為に。

そして皆はメリーに消えて欲しくない一心でこの場に居るのよ、心空間だから嫌でも伝わるでしょ?」

 

「……でも、私は、私の所為で……」

 

「それとアイツが一丁前に全て諦めて投げ出すのか、これが運命だったと言い訳して諦めるのかって言って来たのよ。

勿論私は運命だったなんて言って諦めたくなかった、だからあの黒い塊……運命の修正力とのファイトで最後まで諦めず勝って、この場を作り、此処へ来たのよ!」

 

蓮子は此処へ来た経緯、この空間の事、皆の想い、『シャドウ』が語った激励などをメリーに言い、それを聞いたメリーは初めはまだ自分の所為と言おうとしたが、皆の行動やこの空間の作用で感じるその心、想いに触れ先程とは別の涙が出始めていた。

 

「……ねえメリー?

私から貴女に聞きたいわ。

貴女はこのまま諦めるの?

運命だったなんて言って諦めて、また後悔し続けるの?

メリーは如何したいの、何がしたいの、答えて、私のたった1人の親友、マエリベリー・ハーン!」

 

「わ、私は……わた、しは…………嫌だよ、まだ蓮子と離れ離れになりたく無いわよ、あんな風に、後悔なんかしたく無いわよ……‼︎」

 

蓮子はブライトの問い掛けを自分なりに行い、メリーの口から何がしたいのか、このまま諦めてしまうのかを聞き出す。

それを聞いた蓮子は優しく笑みを浮かべながら手を伸ばし、その手を掴もうとする。

 

「なら、頑張ろうよ。

私も頑張って諦めずに此処まで来たんだから、メリーだって出来るわよ!

それにもしも1人で無理ならブロントさんや麟、魔理沙達、何より1番の親友の私が居るわよ!

一緒に貴女の苦しみを分かち合って、一緒に乗り越えてあげるわよ!」

 

「私に、出来るかな……好奇心に負けてこんな運命を作り上げちゃった私に、それが出来るかな……!」

 

「出来るわよ、だって貴女は私の親友で、秘封倶楽部のメンバーで、私のかけがえの無い大切な人なんだから‼︎」

 

メリーの不安に蓮子は出来る限り答え、自分の意志で立ち上がり、この鳥籠……恐らくは運命の牢を崩す様に促し、手を伸ばし続けた。

するとメリーの意志に反応してか鳥籠が軋み始め、辺りにヒビが入り壊れ掛けそうになっていた。

 

「うん……うん、私なら、私達なら出来るよね……‼︎

だって私達は、秘封倶楽部で親友で、ずっと一緒に居る大事な人なんだから……‼︎」

 

「そうだよ、メリーにだって出来るわよ‼︎

だからこの手を取って、この鳥籠を壊して帰りましょうよ……ねぇ、メリー‼︎」

 

「ええ……私は、貴女と一緒に居たい、離れたく無い、貴女や、友達が待つ場所に帰りたいわ……蓮子ぉ‼︎」

 

『バギィン‼︎』

 

蓮子の説得がメリーを奮い立たせ、そのメリーの意志が遂に運命の牢を崩す程の強きものとなった瞬間なのか、その瞳から後悔や懺悔が消え、未来を馳せる希望の意志が見え、そして……秘封倶楽部の2人が手を取り合った瞬間、光が一面に溢れ出し、全てを包み込んで行く。

 

「……まさか、今まで成し得なかった事象が発生するとは……良いでしょう、今は諦めます。

しかし次こそは運命の流れを修正させます、その時また覆せるか見物ですね……」

 

修正力はそんな光景を見て今までに無い事象に今は諦めると、しかし次こそはと言う呪詛に近い言葉を残し消え去った。

そうして光が消え去り、全員が実空間に戻ると、月明かりが神社を照らしてる中その手で互いを抱き寄せ、涙を流しながら笑い合う2人組の親友の姿が其処にあった。

 

「おかえり、メリー」

 

「ただいま、蓮子……」

 

2人は短く言葉を交わし、互いに互いの前から消え去る事の無かった今この時を大切にしたいと思いながら笑顔で泣き合うのであった……。




此処までの閲覧ありがとうございました。
今回の話、人によってはうーんと思うかもと思いましたが、自分の考えた話なので書きました。
そして長い章だったので少し疲れました(汗)
さて、次回から新しい章……では無く、ちょっとした次の章への準備期間となります。
要は〜.5話になります。
その話は2、3話続く予定ですが、直ぐに次の章に入るので少々お付き合い下さい。

次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘などをお願い致します。

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