秘封先導鉄   作:”蒼龍”

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皆様お待たせしました、第83話目を更新です。
今回は前編で、長めの話になってます。
では、本編へどうぞ。


第83話「激突、そして困惑?」

蓮子と『シャドウ』、2人は無言のままデッキをシャッフルし、そのまま手札を入れ替残るはスタンドアップだけになる。

 

「ねぇねぇブロントさん、麟?

これ良いのやらせて?

彼が何か手立てあるならこう物理的に締めて吐き出させるとか」

 

「無駄だろうな、アイツは恐らくこうやって揉め事になるのがミエミエなのに顔を出した、つまりは蓮子と一戦交える事も織り込み済みである事は明白に明瞭の事実。

もしも何もなく手段を口にさせるのであれば、それこそさっき蓮子がOK出す以外に無かっただろうな(確信)

だから今から何をやろうと口を割らないな」

 

「そしてファイトになる今、互いに手を抜くなどあり得ないでしょう。

そう、お互いの全てをぶつけ合う……其処に一切の手抜きを加える余地は無いのです」

 

しかし菫子は、今までの経緯を聞いていても今はそれ所では無く猫の手だろうが何だろうが借りたい時の為、締め上げてでもその場で手立てを口にさせられないか他の2人に聞くと、何もなく穏便に済ませられる瞬間は蓮子が真っ先にOKを出す以外に無かったとし、またファイトになった今は蓮子と『シャドウ』は手を抜くなどあり得ないとまで予想し、このファイトを見守るしか出来なかった。

 

「…………」

 

「(確かにメリーを手早く助けたいならコイツとファイトしている余裕なんて無い。

ファイトせずにコイツの手を借りるのが1番無難な道だって分かる。

でも、それでも私はコイツの手を借りるのに蟠りを持っちゃう!

そんな蟠りを持ったままメリーを救う自信は無い……なら、1番良い方法はこうやってぶつかり合って今手を組む蟠りを消すだけ‼︎)

……さぁ、行くわよ‼︎」

 

『スタンドアップ・「THE・」ヴァンガード‼︎」

 

そうして蓮子と『シャドウ』はFVをスタンドアップさせ、ファイトを開始。

蓮子は『シャドウ』が取り出したデッキケースが黒では無く白かった事から、月で戦った時のデッキとはまた別の、恐らくサグメが言っていたクレイの生物として生まれ変わった新生〈リンクジョーカー〉を中心にした物と考えていた。

その考えは的中し、『シャドウ』のFVは『根絶者(デリーター)』では無い別のユニットだった。

 

「『ネオンメサイア』!」

 

「それがアンタのもう一つの……『道標の賢者 エルロン』!」

 

ネオンメサイア:P5000、C1

 

道標の賢者 エルロン:P5000、C1

 

『シャドウ』のFV、ネオンメサイアを見た瞬間その名と姿に反応する者が観戦者の中に居た。

それはかつて、根絶者(デリーター)と交戦経験があり、『ハーモニクス・メサイア』の覚醒を見届けた事があるブロントさんと麟だった。

 

「メサイア……⁉︎

あのユニット、まさかハーモニクス・メサイアに連なるユニットなのでは⁉︎」

 

「ハーモニクス・メサイアって何?」

 

「惑星クレイの調和と秩序の神、クレイを支えクレイの危機に目覚め力を振るう救世の神様だ!

根絶者(デリーター)が攻めて来た時に目覚め、俺達にその力を貸してたんだ!

アイツ、何故そのメサイアと同じ名を持つユニットを……?」

 

菫子はその現場に居合わせなかった為メサイアの名を聞いてもピンと来なかったが、ブロントさんの説明で何となく存在は理解し、そんな神と同じ名を持つユニットを使う『シャドウ』……偽りの名を名乗る青年に少し疑問が生まれ、このファイトを静かに見ようと考え始めていた。

そうこうしている内に2人のファイトはスピーディに進み、蓮子は『ブラスター・ブレード』にライドし、『シャドウ』はグレード3のユニット、『オルターエゴ・メサイア』にライドし攻撃をしていた。

 

「ツインドライブ!『デスティニー・ディーラー』『超弦理論の愛し子』『引』

ドロートリガーゲット、パワーは『重力井戸のレディバトラー』に与え1枚ドロー!「ダメージチェック!『探索者(シーカー) ラヴィング・ヒーラー』『治』

ダメージ回復、パワーはブラスター・ブレードに‼︎」

『サクリファイス・メサイア』のブースト、重力井戸でアタック!「ガード‼︎」

ターンエンド!」

 

『シャドウ』:ダメージ:2 手札:6

布陣

 

重力井戸 オルターエゴ R

サクリファイス ネオンメサイア R

 

蓮子:ダメージ:2 手札:6 ソウル:0

布陣

 

ベノン ブラブレ R

ミロン エルロン R

 

以前はこの後に速攻を決められ、蓮子の惨敗で終わったがあの時と違いデッキが違ったり、蓮子の引きの良さもアップしており取り敢えずはこの段階で『シャドウ』が黒のデッキを使っても負けない様にはなっており、また白のデッキはどんな戦略を取るか不明だがその分慎重且つ攻める時は攻めてる為今は静かながら互角の勝負になっていた。

 

「私のターン!

勇気を剣に、希望を盾に進め!

ライド、『光源の探索者(シーカー) アルフレッド・エクシヴ』‼︎

エルロンのスキル、CB(カウンターブラスト)(1)を払いソウルへ移動させ、デッキからグレード2以下であるミロンをコール!

ミロンのスキル、SB(ソウルブラスト)(1)を払い1枚ドロー!

更に『救国の賢者 ベノン』をコールしてCB(カウンターブラスト)(1)、パワー6000のユニットをコール!

もう一度ミロンをコールして更にコストを払い1枚ドロー‼︎

そして今、ドロップゾーンのカードは4枚以上となったのでシークメイト発動‼︎

『せぶるみー・探索者(シーカー)』『必殺の探索者(シーカー) モドロン』、ブラスター・ブレード、モドロンを戻して、『ブラスター・ブレード・探索者(シーカー)』と双闘(レギオン)‼︎

アルフレッド・エクシヴは双闘(レギオン)中他の『探索者(シーカー)』のユニットが居るならパワー+1000、私のリアガードが5体以上居るならクリティカル+1‼︎」

 

光源の探索者(シーカー) アルフレッド・エクシヴ:P11000+1000、C1→2、双闘(レギオン)状態

救国の賢者 ベノン:P8000、C1

護国の賢者 ミロン:P6000、C1

蓮子:手札:7 ソウル:0 ダメージ:0/2

 

蓮子はアルフレッド・エクシヴにライドし、手札をミロンのスキルを使い実質消費0にしつつ双闘(レギオン)し、速攻態勢が出来上がりつつあり、更に手札に指を掛け前列にユニットをコールする。

 

「コール、『爛漫の探索者(シーカー) セルディック‼︎

バトルに移行、ミロンのブースト、ベノンで重力井戸をアタック!「ノーガード」

アルフレッド・エクシヴとブラスター・ブレード・探索者(シーカー)双闘(レギオン)アタック‼︎「完全ガード!」

ツインドライブ‼︎『未来の騎士 リュー』『☆』『探索者(シーカー) ハロウドブレス・ドラゴン』『☆』

クリティカルトリガーダブル、全てセルディックにプラスするわ‼︎

セルディック、アタック‼︎「ノーガード、ダメージチェック!『ダークメタル・カメレオン』『サクリファイス・メサイア』『綻びた世界のレディヒーラー』『治』

ヒールトリガー、ダメージ回復‼︎」

ターンエンド‼︎」

 

爛漫の探索者(シーカー) セルディック:P9000、C1

ベノンVS重力井戸:8000+6000VS9000=ヒット、退却

アルフレッド・エクシヴVSオルターエゴ:22000+6000VS11000+0=完全ガード

ツインドライブ『未来の騎士 リュー』『☆』『探索者(シーカー) ハロウドブレス・ドラゴン』『☆』

セルディック:P9000+10000=19000、C1→3

セルディックVSオルターエゴ:19000+6000+3000VS11000=ヒット

ダメージチェック『ダークメタル・カメレオン』『サクリファイス・メサイア』『綻びた世界のレディヒーラー』『治』

シャドウ:ダメージ:5→4 手札:4

蓮子:手札:8

 

蓮子は『シャドウ』のリアガードを減らしつつダメージもダブルクリティカル込みで3枚与えて一気に畳み掛けるも、対する『シャドウ』はダブルクリティカルでヒットしていたら更に痛手を被るアルフレッド・エクシヴのアタックのみを防ぎ、ダメージもヒールトリガーを引き当てる事で押さえ蓮子にファイトの流れを持って行かせる気は全く無く、寧ろ完全ガードでドロップする手札も計算して次から反撃に入る準備すら整えている程だった。

 

「ファイトにはその者の全てが表れる……成る程、こちらの予想を更に上回るのみならず予想の斜め上にすら行きこちらを追い立てるか……確かにこれならばマエリベリー・ハーンを救う可能性があるな……だが、実力はあっても其処に注ぐ想い、覚悟は如何なるものかな!

スタンド&ドロー、Gゾーン解放、コストは『デスティニー・ディーラー』‼︎

『スノーエレメント・ブリーザー』、ストライド・ジェネレーション‼︎

オルターエゴの超越(ストライド)スキル、CB(カウンターブラスト)(1)を払い、ネオンメサイアを呪縛(ロック)、そしてセルディックを呪縛(ロック)しヴァンガードにパワー+5000‼︎

更にコール、『ダークメタル・カメレオン』、『中性子星のレディガンナー』‼︎

レディガンナーのGB1、ダークメタルを呪縛(ロック)しベノンを呪縛(ロック)‼︎

『アレスター・メサイア』をコールしGB1、『メサイア』のヴァンガードが居るならコール時にパワー+2000とスキルを与える‼︎」

 

スノーエレメント・ブリーザー:P15000+11000+5000=31000、C1

ダークメタル・カメレオン:P7000、C1、呪縛(ロック)状態

中性子星のレディガンナー:P11000、C1

アレスター・メサイア:P9000+2000=11000、C1

『シャドウ』:ダメージ:3/4 手札:1

布陣

 

アレスター ブリーザー 中性子星

サクリファイス ネオンメサイア (【●】) ダークメタル(【●】)

【●】:呪縛(ロック)状態

 

蓮子:

布陣

 

ベノン(【●】) ブラブレ探/エクシヴ セルディック(【●】)

ミロン ミロン ミロン

 

「自分のリアガードを呪縛(ロック)して追加スキルを⁉︎

わざわざこっちに呪縛(ロック)を向けたりする為に自分の使えるリアガードの数を減らすなんて…………いや、多分呪縛(ロック)以外に何かある筈、じゃないとこのコストは重いわ!」

 

『シャドウ』は蓮子のファイトを見て自分の予想を超える実力が身に付き自分を負かそうとしているとし、しかし精神面の成長は如何なる物かと測るべく超越(ストライド)を実行する。

その動きに際したユニット達のスキルを見た蓮子、麟達は味方リアガードを使用不能状態にする呪縛(ロック)をすると言うコストを見て何かあると感じ、更にブロントさんはヴァンガードをやり、かつて『エイゼル』……呪縛(ロック)を打ち破る力を身に付けたユニットを使っていた経験からある考えに至っていた。

 

「([‘‘Я(リバース)’’ユニットの様な動きをヴァンガード、リアガード全体で行いながらスキルを発揮するあの動き…………絶対『解呪(アンロック)』スキルや呪縛(ロック)解除後に発動するスキルが無ければやる意味が無いのは明白に明瞭、何故ならばコストが重過ぎるし何よりあからさま過ぎる動きだからな。

〈リンクジョーカー〉とか『エイゼル』、『解放者(リベレイター)』を使ってた奴だとこんなのはジックリ探るまでも無く分かる。

さて、蓮子は気が付くか?)」

 

ブロントさんは『シャドウ』のユニット達を考察し、その動きから次に何をするかを予想……否、確信しながら蓮子がそれに気付き何かするかを見る為注目する。

そうした中でバトルフェイズが始まる。

 

「中性子星、ヴァンガードをアタック!「『誠実の探索者(シーカー) シンリック』でガード!」

ブリーザーでアタックしスキル発動、Gゾーンのカードを1枚表にしてパワー+5000!「36000……ノーガード!」

トリプルドライブ!『アローザル・メサイア』『超弦理論の愛し子』『引』

ドロートリガーゲット、1枚ドローしパワーはアレスターへ!『ブリンクメサイア』『☆』

クリティカルトリガーゲット、クリティカルはヴァンガード、パワーはアレスターへ!「ダメージチェック!『ブラスター・ブレード・探索者(シーカー)』『爛漫の探索者(シーカー) セルディック』」

サクリファイスのブースト、アレスターでアタック!「ダメージチェック!『探索者(シーカー) ラヴィング・ヒーラー』『治』

ヒールトリガー、ダメージ回復‼︎」

流石に5ダメージまで行かないか……アレスターの追加スキル、アタック終了後に自身を呪縛(ロック)、その後相手か自分の後列を呪縛(ロック)、ミロンしか居ない為ヴァンガード後ろのミロンを選択!

更にサクリファイスのGB1スキル、リアガードが呪縛(ロック)された時に自身を呪縛(ロック)、そしてCC(カウンターチャージ)(1)とパワー+3000を他のユニットに与える!

そしてエンドフェイズ時に俺の呪縛(ロック)超越(ストライド)は解除され、此処でダークメタルのGB1スキル、解呪(アンロック)された時にダメージを1枚表にし、同条件でネオンメサイアのGB1スキルを発動し、ソウルへ移動させデッキからオルターエゴ・メサイアを1枚手札に加え、ターンエンド!」

 

中性子星VSアルフレッド・エクシヴ:11000VS11000+5000=ガード成功

ブリーザーVSアルフレッド・エクシヴ:31000+5000VS11000=ヒット

トリプルドライブ『アローザル・メサイア』『超弦理論の愛し子』『引』『ブリンクメサイア』『☆』

『シャドウ』:手札:4→5 ダメージ:2/4→3/4

ブリーザー:C1→2

アレスター:P11000+10000=21000

ダメージチェック『ブラスター・ブレード・探索者(シーカー)』『爛漫の探索者(シーカー) セルディック』

アレスターVSアルフレッド・エクシヴ:21000+7000VS11000=ヒット

ダメージチェック『探索者(シーカー) ラヴィング・ヒーラー』『治』

『シャドウ』:手札(エンドフェイズ時):6 ダメージ(エンドフェイズ時):3/4→4/4

蓮子:ダメージ:3/5→3/4 手札:7

布陣:ベノン、セルディック、ヴァンガード後列ミロン呪縛(ロック)状態

 

『シャドウ』は攻撃の為に手札を一気に使い蓮子を追い立て、その上でドロートリガーもあったとは言え使った手札を回復し切るだけでなく終わってみればターン開始よりも手札が1枚多く増え、更にCBコストも2枚分使っていたがこれもブロントさんや蓮子の予想通りあった解呪(アンロック)後に発動するコスト回復スキルで帳消しにし、再びターンが巡って来れば万全の状態でアタックが可能になる様に整えており、蓮子はこれらを見てこれこそが『シャドウ』の真の実力、下手をせずとも現在チームファンタズマの実力トップであるブロントさん以上、もっとすればブロントさんを超えてしまってると理解してしまう。

この事はファイトを見ている全員も肌で感じ、ジッと『シャドウ』を見つめるのであった。

 

「スタンド&ドロー‼︎(今ので分かった、コイツの本当の実力が……でも‼︎)

今度はこっちの番よ‼︎

アルフレッドをコストにGゾーン解放!

ストライド・ジェネレーション、『転生竜 ホーリースクワイヤ・ドラゴン』‼︎

ホーリースクワイヤのスキル、Gゾーンの同名カードを1枚表にしてこのターン中リアガードにパワー+2000するスキルと……『解呪(アンロック)》』を同時に発動するわ‼︎

呪縛から解放されよ、ブレイク・オブ・ジョーカー‼︎」

 

転生竜 ホーリースクワイヤ・ドラゴン:P15000+11000=26000、C1

蓮子:全リアガード:P+2000、解呪(アンロック)

 

「おお、あのGユニット解呪(アンロック)スキルがあったんだ!

これなら後1回分だけだけど呪縛(ロック)が無意味になった!」

 

「ホーリースクワイヤの神秘のベールに包まれていたスキルが遂にカーテンコールして披露宴を迎えた事でアワレにも〈リンクジョーカー〉はその特性をガンメタされてしまい「強すぐる……」「こんなんじゃ勝てるわけがない」と諦めが鬼なりアイツも余裕の表情が崩れ醜い顔になって「今、解呪(アンロック)したな?」…………無い……だと……⁉︎」

 

ホーリースクワイヤのスキルにより蓮子の呪縛(ロック)され使用不能になっていた3体のリアガードが再び使用可能になり、更に左右合計ラインパワー+4000も入り菫子達は此処からいよいよ蓮子の反撃が始まると笑みや言葉を口にしていた所で、『シャドウ』は突如不気味に声を発した上に〈リンクジョーカー〉の特性をメタされたにも関わらず余裕の表情が崩れていなかった。

そして解呪(アンロック)したか如何かの確認をして来ていた。

 

「……やったわよ、それがどうした訳?」

 

「いや、オルターエゴのスキル発動条件がしっかり成されたかを確認しただけだ…………オルターエゴ・メサイアのGB2スキル発動‼︎

自分、又は相手のリアガードが解呪(アンロック)された時、SB(ソウルブラスト)(1)を払い1枚ドローする‼︎

このスキルは自ターン、相手ターン問わず発動する、よってコストを2回分払い2枚ドロー‼︎」

 

シャドウ:ソウル:3→1 手札:6→8

 

何と蓮子が発動させた解呪(アンロック)に反応し、オルターエゴ・メサイアがGB2スキルを発動させ『シャドウ』の手札が8枚に増えてしまった。

このスキルの存在は蓮子達には想定外だったらしく、『シャドウ』のガード力は手札2枚分増えた為強固となり、全員驚愕し汗が滲み出てしまっていた。

 

「そ、そんな……解呪(アンロック)した瞬間に発動する、ドロースキルですって……⁉︎」

 

「それ、まるで『星輝兵(スターベイダー) カオスブレイカー・ドラゴン』みたいなスキルじゃん!

と言うか、ターンもどっちのリアガードも関係無く発動させられるならなんで……」

 

「(や、やられた……アイツ、さっきのエンドフェイズ時にもブリーザーのスキルによってGB2になり、発動条件が揃っていたのに態々蓮子のターン、しかもホーリースクワイヤ・ドラゴンと言う蓮子の新たな切り札のスキルを逆用してGB2スキルを発動させやがった……!

呪縛(ロック)を無意味にしたと言うメタから発生する余裕や、これから切り札を使って反撃するってムードを一掃する心理戦まで嗾けて来やがった……本気だ、『シャドウ』……いやブライト‼︎

お前、このファイトに今のお前の本気を、本当の本気を出して来たのか…‼︎)」

 

ブロントさんは何とか頭を冷静にさせ先程の『シャドウ』……ブライトのやり口を分析し、こちらの反撃ムードを全て一掃し一気に劣勢の雰囲気を醸し出させる様に仕向ける心理戦まで仕掛けて来たとし、ブロントさん……否、ファイトをしてる蓮子自身や麟、菫子すら肌で感じたこの目の前の青年がこのファイトに全身全霊を、今まで自分達には見せなかった物まで使った本当の意味での本気で臨んでいると察してしまった。

そしてそんな青年が本気を出す意味もこのファイトをした理由と合わせて察してしまう……が、蓮子は最後までファイトを続けると頭を切り替え、キッと目の前の青年に鋭い視線を向けユニットに手を掛け始めた。

 

「手札が増えるのがなんだ、解呪(アンロック)を逆用がなんだ、だったらそれ全部を上から押し潰す、それだけよ‼︎

ミロンのブースト、ベノンでアタック‼︎

私のリアガードは全員パワー+2000されてるので合計18000よ‼︎「ノーガード、ダメージチェック‼︎『重力井戸のレディバトラー』」

ホーリースクワイヤ・ドラゴンで、オルターエゴ・メサイアをアタック‼︎

私は、私はメリーを助けたいのよ‼︎

だからこんなとこで足踏みする訳には行かない、アンタを必ず踏み越えてやる‼︎

いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!

 

イメージ世界にてベノンの魔法がオルターエゴ・メサイアに直撃し、残り1ダメージで勝てる様になり、ホーリースクワイヤ・ドラゴンに憑依した蓮子はオルターエゴに叫びながら突っ込んで行き、その拳を叩き込もうとした…………その時、蓮子は突如ユニットへの憑依が剥がれ、真っ白な何も無い空間に出てしまい拳が空振りしよろけてしまう。

 

「っとと!

……えっと、此処は?

イメージの中、の筈なんだけど……一体何なのよこれ?

真っ白で何も無いし、ファイト中だったのに……PSYクオリアを発動させても無いのにこんな…………あっ!」

 

事態が全く掴めず困惑する蓮子は周りを見渡しながら落ち着こうと考え始め、こうなる前にPSYクオリアを発動させていたか否かも思い出しつつ視線を泳がせる。

すると蓮子の視界に誰かの後ろ姿が映り込み、誰なのか確認すべく近付いて行った。

その後ろ姿の主は、何とさっきまでファイトをしていた『シャドウ』その人だった。

蓮子はまたこの青年が何かしたのかと思い詰め寄り始める。

 

「ちょっと、一体何なのこれ!

またアンタが何かやったんでしょ、私を元の場所、イメージに戻しなさいよ‼︎」

 

「……そうか、これが…………悪いが宇佐見蓮子、これは俺の仕業じゃない。

寧ろ俺が巻き込まれた側だ」

 

「……はい?」

 

『シャドウ』に詰め寄り胸倉を掴みながら元に戻せと要求すると、胸倉を掴んだ手を払いながらその口から出た言葉は、自分の方が巻き込まれた側と言う自分が当事者では無いと言うものだった。

これには蓮子も呆気に取られ、更に事態が飲み込めなくなってしまう。

 

「えっ、えっ?

じゃあこれ誰がやったのよ?」

 

「……はぁ、俺がやらないでお前がこの場に居て、お前がやった以外に誰がやるんだ?」

 

「え、私?

いやいやPSYクオリアを使ってないしこんな力知らないわよ」

 

そんな中で『シャドウ』はこれを蓮子がやったのだと話し始め、当の本人はその説を否定し、引き起こす要因の一つだと思われるPSYクオリアも使っていないとし、更にそれ以外でこんな事を引き起こす力も知らないと手を振りながら話す。

すると『シャドウ』はじっと蓮子を見つめながら口を更に開く。

 

「ああ、お前はまだ知らないだろうな。

お前の力は外の世界では星と月を見て時と位置が解る眼であるが、この幻想郷の中では全く別の力を発揮する事を……そう、マエリベリー・ハーンの境界を視る眼が紫様の境界を操る程度の能力に変わるようになる事を」

 

「…………えっ?

アンタ、何を言って「それを今から説明する、幸いこの空間には時間の概念が無い。

よって幾ら話していてもこの空間が消えない限り本来の時間はお前がホーリースクワイヤ・ドラゴンのアタックをした所のままだからな」…………」

 

『シャドウ』は蓮子の自身の知らない事を、蓮子の持つ眼とは別の力を彼女が持ち、メリーの力が八雲紫の能力に変わった様に幻想郷でそれは発揮されると言い始め、蓮子は訳が分からずに居たが、それをお構い無く目の前の青年は話を続けようとする。

この空間に時間の概念が無い為幾ら話しても大丈夫と、矢張りこの空間などを色々知る素振りや言動を見せながら。

それらを聞いた蓮子は『シャドウ』の事は信用ならないが、何か情報を握っているならそれを話させるべきだと思い彼の話を聞く事に対し無言の肯定をするのであった。




此処までの閲覧ありがとうございます。
前編の最後は少し分からない様な終わり方をしましたが、メリーの話を消化したので次は蓮子の話にも予想がつく様にする為にこうなりました。
『シャドウ』……ブライト……偽りの名を名乗り、蓮子達に近付いた青年は何を話すのか、お楽しみに。

時間もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。

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