秘封先導鉄   作:”蒼龍”

83 / 105
皆様お待たせしました、第82話更新です。
次回いつ更新出来るか分からなくなった為この話を出来るだけ早めに出しました。



第82話「運命」

「ではこれより、ファンタズムカップ妖怪の山予選の表彰、及び閉会式を執り行う!

この台に立てなかったチームはそれぞれ良く頑張った!

諸君らのファイトはしかとこの目に刻んだ、来年もまた本選への意欲、良質なファイトを我々に見せて欲しい‼︎

では表彰、第3位、チームアンタッチャブル!

3位入賞おめでとう、そして今年は残念だったな。

2位、チーム山陽!

入賞おめでとう、そして惜しかったな。

チームアンタッチャブル、チーム山陽はこれにめげず来年もまた挑戦して欲しい。

そして第1位、チームファンタズマ‼︎

予選突破おめでとう、その力を本選でも遺憾無く発揮し、この場に居る者達の想いを背負い悔い無くファイトして欲しい‼︎」

 

『パチパチパチパチパチパチパチパチ!』

 

ファンタズムカップ妖怪の山予選が閉幕し、表彰式と閉会式が執り行われ3位と2位までのチーム、そして表彰台に上がれずともこの予選で数多くのファイトを見せた全チームに労いの言葉が掛けられ、そして第1位のチームファンタズマには予選通過を祝福する言葉と、この場に居る全ファイターの想いを背負い本選を戦い抜く様にと労いと誓いの言葉が贈られ、温かい拍手が上がる中で閉会式も滞りなく進み、予選は完全に閉会となった。

 

「改めて皆、予選突破お疲れ〜‼︎

いや〜最後ブロントさんが負けるってハプニングがあったけど、無事に終わったわね!」

 

「うむ、終わり良ければそれで良しと言う霊的な名台詞があるから今回はそれで良いだろうな。

そして予選でこんなハプニングがあったとなれば本選は更なる大波乱があると学者で無くとも分かる予測が立ったのでチームはより一層気を引き締めてファイトをすると言う教訓が生きるな」

 

「はい!

皆さん、油断せずに本選も頑張りましょう!」

 

閉会式直後、菫子の号令により全員にあった緊張が解けそれぞれ労いの言葉を掛け合い、更にブロントさんが負けたと言う事実も受け止めて本選でもより一層油断せず、全力を尽くしてファイトをする様にと3人の心の中で決意が生まれたのであった。

そしてその敗北したブロントさん本人は、何故敗北したのかを見直し、何が悪かったのかを振り返りもう2度同じ事が起きない様にと心掛けたのだった。

 

「…………あれ、そう言えば蓮子とメリーは?

メリー本人は私に表彰状を渡して何処か行ったみたいだけど?」

 

「そう言えば居ませんね…………探しますか?」

 

「うむ、一応探して2人だけの話しかけ辛いふいんき(何故か変換出来ない)を醸し出してたらそっと見守るべきだろうが、そうでないなら喜びを分かち合うべきだろうな。

なのでとんずらを使ってきょうきょと探すべきそうすべき!

とんずらぁ‼︎」

 

菫子はふと蓮子とメリーが居ない事に気が付き、2人がどこに行ったのか気になったのか鱗も探すか提案し、ブロントさんも2人に労いの言葉を掛けるべくとんずらを使い手早く探し始める。

しかし2人だけの会話をする雰囲気だった場合は見守るとして周りを探し始めたのだった。

 

 

時刻は夕暮れ時、所代わりメリー……否、メリー本人の意識が無くなり、しかし何故か自我を感じさせ動き話すメリーの身体は鼻唄を歌いながら妖怪の山の一角……地平線に沈む夕日を一望出来る場所に立ち、瞳を閉じながらじっとしていた。

 

「〜〜〜〜♪〜〜♪

〜〜〜〜〜♪〜〜〜〜♪

〜〜〜♪

〜〜〜♪〜〜〜〜♪」

 

「…………メリー」

 

丁度鼻唄を歌うメリーの身体……メリーらしき者の後ろに蓮子が現れ、話しかける。

その声はやや悲しげな、しかしはっきりとした強い意志を感じさせる物で、その声を聞いたメリーらしき者は鼻唄を止め、蓮子の方を向く。

 

「あら蓮子、早かったわね。

皆と祝勝会とかあるんじゃないのかしら?」

 

「メリーこそ、こんなトコに来て鼻唄を歌ってどうしたのよ?

此処、周りは木とかしか無いわよ?

それにもう時間がはっきり見える時になるわ。

そろそろ魔理沙の家に戻らないと、皆心配するわよ?」

 

蓮子とメリーらしき者は短く会話を交わし、メリーらしき者は何時ものメリーと同じ仕草、同じ表情を浮かべながら蓮子を見るも、対する蓮子は皆が心配するとしながらもその表情はやや険しく、メリーと話をする態度とはまるで違っていた。

その様子を見てメリーらしき者は、『自分がマエリベリー・バーンでは無い』事に気付かれていると察した。

 

「……いつから、マエリベリー・ハーンの意識が無く『私』になったと気付いた?」

 

「あの一瞬よ、射命丸さんとのファイトでのラストターン。

あの時メリーの雰囲気が微妙に、私位メリーと接して来て一緒に色んな場所へ行って、この幻想郷でも変わらずにいた私だったから気が付けた。

メリーは永遠亭でずっと一緒って約束をしたし、私は可笑しくなったら止めるって誓った。

それが今この時なのよ……」

 

メリーらしき者は蓮子に何時気付いたと疑問を投げかけると、蓮子はあのメリーの手が一瞬止まったあの時から気が付いて居たと話し、可笑しくなったら止める誓いの事も話しながらメリーらしき者を静かに見やる。

それから何秒、或いは何分かの沈黙の後蓮子が口を開く。

 

「……私、考えていたんだ、メリーが何故可笑しくなるのか。

トリガーは間違い無く私やメリー自身の身に危険が生じる、或いは2人の間が引き裂かれそうな事になる、幽々子さんや永琳とのやり取りでこれだと確信してる。

なら次、原因がはっきりしてるなら何故そんな事がそもそも発生するのか。

私はそれを考えて考えて、それで一つの仮説に行き着いたわ」

 

「へぇ、どんな仮説なのか聞かせて」

 

蓮子はメリーらしき者にメリーが可笑しくなるきっかけの出来事を突き付けつつ何故そんな事が起きるのか仮説と前置きしながら話し始め、メリーらしき者はそのトリガー事象を否定せず仮説を聴き始める。

するとそんな時にブロントさん達が蓮子達を見つける。

 

「あ、蓮子とメリーこんな所に居た!

2人で話してたの?

……んん、蓮子、メリー?」

 

「どうしたのですが、こんな険しい雰囲気を……」

 

「…………まさか⁉︎

おいィメリー?

お前まさか永琳とファイトした時みたく頭がおかしくなって別人みたいになってるんですかねぇ‼︎」

 

話の途中でやって来た麟とブロントさんは一触即発な険しい雰囲気でメリーが永遠亭で見せたあの状態になっているのだと察し、菫子も2人からそんな事が起きていた事を聞いていた為警戒し始める。

そんな3人を見てメリーらしき者は何時もの表情を浮かべるも、あくまで社交辞令的なものの為直ぐに表情を崩し少し冷たい笑みを浮かべた。

そんな中蓮子は仮説を話し始める。

 

「先ず皆、メリーを見て気付く特徴が一律にあった。

メリーは八雲紫って行方不明の幻想郷の管理者に瓜二つが如く似ていると。

私は最初、そんなの他人の空似程度の物。

似ていようがメリーはメリー、八雲紫は八雲紫としていた。

でもメリーは、八雲紫と同じくヴァンガードのユニットを実体化させる力を持ち、メリーと八雲紫が使える能力も結界や境界を暴き、見る眼と境界を操る程度の能力とかなり似通った物だった。

更に永遠亭で見せたあの話し方に今みたいに変わった雰囲気、それらを見て感じて私はただ似ているだけでは説明がつかない、2人の間には何かしらメリー本人すら知らない繋がりがあるんじゃないかと感じ始めた」

 

「それで?」

 

「それで私は考えた、何故似ているか、何故メリーが八雲紫の方に寄った雰囲気などをトリガー事象の中で見せるか。

……答えはまだ出ない、でも仮説は立った。

メリーは会った事の無い八雲紫に何かしら影響を与えられている。

それは幻想郷に来てから加速度的に発生し、恐らくだけど外の世界、私達が居た世界に居ても同じ事が、私が可笑しいと思わない程度の速度で起きていたと思う。

そしてメリーがこの事象が発生した際は記憶が、意識が欠落していた。

……なら今、私が話している貴女は一体誰なのか?

メリーでは無い、メリーの身体の操作、行動権がそのまま使える誰か?

この仮説の中でメリー以外にウェイトを占める誰か?

……はっきり言わせて貰うわ、メリーの身体を操ってる別の意識、貴女はもしかして幻想郷の賢者、八雲紫その人じゃないの!」

 

『なっ⁉︎』

 

蓮子は仮説を次々と並べ立て、似通っている点や同じ力を持つ事からメリーと八雲紫には何か途轍も無い繋がりがあるのかと仮定し、更にこのメリーに今起きている事象は蓮子達の世界でも起きてた可能性を告げた上でメリーの意識と記憶の欠落なども話し、其処から仮説の答えに入って行き蓮子は今、この場でメリーの身体を通して話す意識……これを八雲紫では無いのかとし、ブロントさん達はそれを聞き驚きメリーの顔を見る。

それを聞いたメリーらしき者は瞳を閉じながら笑みを浮かべ、次の言が紡がれるのを待っていた。

 

「正直この仮説は穴だらけで確証も無いし正しいとは思って無い。

でもそう考えたら全て辻褄が合ってしまうのよ。

そしてそうなるとメリーと八雲紫が何故似て、影響を与えるのかの仮説も立ってしまうわ!

そう、メリーは……『メリーは八雲紫に至る女の子』、だからこそ影響を強く受けてしまうのよ……!

メリーは今、どんどん八雲紫になりつつあって、メリーでなくなりかけて来ている。

それが今までの豹変とかに繋がる‼︎

そして八雲紫、貴女はメリーを自分に至らせる為に影響を与え続け今に至った、これが私の考えたもの全てよ‼︎

さあ聞くわ、私のこの仮説は正しいのか、違うのか‼︎」

 

「………………う、ふふふ、ふふふふ……」

 

蓮子は仮説を正しいと思って無いとしながらも辻褄が合い、また2つの可能性……八雲紫がメリーを別の場所から操っているのか、八雲紫としての自我がメリーの中に芽生えてしまったのかの違いも少し話し、だが確信として今話している者はメリーでは無いと力強く言い、メリーらしき者の言を待つ。

するとメリーらしき者がメリーの口と声を使って笑い始め、その瞳を蓮子達に向け言葉を紡ぎ出す。

 

「ふふ、正直驚いたわ。

今までそれらしいものがあったけど、でも大体のものを言い当てるとは……流石宇佐見蓮子、マエリベリー・ハーンのただ1人の、代わりのない掛け替えのない憧れ、親友。

ほんの少し貴女を過小評価していた事を謝罪し、評価を訂正するわ。

ええ、マエリベリー・ハーンが八雲紫になりつつあるのは正解、貴女達の世界に居たとしても発生し、貴女でさえ気付く事が無かったのも、幻想郷に来てしまうと言うイレギュラーから加速度的に起きていたのも、私がマエリベリー・ハーンでは無いのも正解。

おめでとう、貴女の仮説は殆ど正解へ至っていたわ。

ただ一つ、この私の正体を除いて」

 

「……一つ」

 

蓮子の仮説から正解がちらほら出た事にこのメリーの身体を通して話す別人は静かに笑い、蓮子の事を少々過小評価していたとしながら信じられないメリーの現状、メリーが八雲紫になると言う衝撃的な情報、幻想郷に来てからそれが加速度的に起きこれらがイレギュラーである事などを話し、聞いていた菫子やブロントさん達を驚かせる。

そして、たった一つ、このメリーとは別人の意識の正体が間違っているとして指を立て、改めてその間違えている部分を話し始める。

 

「私の正体、それは八雲紫では無い。

正確にはマエリベリー・ハーンの中に生まれ、八雲紫が誕生した瞬間からその運命の流れを本来無意識下で働き、それを発生させる舞台装置…………謂わば運命の流れそのもの、修正力とでも言うべきものよ」

 

「運命の、修正力……!」

 

「そう、こんなイレギュラーな事態が起きなければ私はマエリベリー・ハーンと重なったままとなり、彼女が幻想郷を管理する賢者にして境界を操る妖怪になる様に無意識下で働き掛け、そしてそのまま運命の流れのままだったわ。

しかし今は、時期早計のまま彼女の意識のみならず肉体その物すら宇佐見蓮子と共に現在の幻想郷に来てしまった。

その為マエリベリー・ハーンは新たな未知の運命を歩む事となり、元々彼女に刻まれていた私と言う元々刻まれた運命との乖離が発生し、こうやって私が八雲紫の知識と記憶を取り込み、別の自我と言う形で表に出て彼女の至るべき運命を修正しようとする事態になった。

それが今までの彼女の豹変及び私の表層化、これが私の正体。

惜しかったわね、八雲紫は私とは寧ろ逆の立ち位置にいるわ」

 

メリーの身体を通して話すこの別人は運命の修正力を自称し、八雲紫の知識や記憶を持ちメリーを八雲紫へと導く為に存在しているとして淡々と情報を開示して行く。

恐らくは蓮子の仮説がほぼ的を射ていたからなのか、このイレギュラーな事態を早く修正しようとする為なのか、或いは両方の思惑があるのかは本人のみぞ知る事である。

 

「メリーが……紫様に⁉︎」

 

「マジかよ…………(メリーと八雲紫、2人があまりにも似すぐる理由は親子とか姉妹とか先祖とかそんな物では無く、いつか至る未来の自分自身だったと言う事‼︎

何故未来人のマエリベリー・ハーンが過去世界の大妖怪と同一人物なのかは時間の壁はあのスキマ妖怪には関係無いと言う事実‼︎

恐らくは俺達が知らない原初の過去の未来、マエリベリー・ハーンは八雲紫と成り過去へ渡り幻想郷を作り上げた。

この時から過去に八雲紫、未来にマエリベリー・ハーンが同時存在し、いずれ至る運命へと事象が固定化されたのかもしれにい‼︎

しかもレミリアにバレなかったのは恐らく、この修正力が何かしら干渉をしてレミリアに気付かせなかったのだろうな!

運命そのものと言うならそれ位は可能だ‼︎

ヤバイぞ、これは想像以上に厄介な事態だ……‼︎)」

 

運命の修正力から告げられた言葉に麟、菫子、ブロントさんは驚き、更にブロントさんはこれは根深く、解決しようにもどんな事をすれば良いのか分からずじっとメリーを、メリーの身体を操る運命の修正力を見るしか出来なかった。

 

「……疑問として、何故私の命に関わる事態や私とメリーの間が引き裂かれそうになれば貴女が出て来るか、これは分からなかった、これは何故?」

 

「簡単よ、マエリベリー・ハーンが八雲紫へと至る結末にはある時……そう、今みたいに私、運命の修正力が完全な干渉を果たし、マエリベリー・ハーンと宇佐見蓮子のどんな形であれ別れさせるアクションを起こす、これによりマエリベリー・ハーンと言う1人の少女は消え、八雲紫と言う妖怪が誕生する。

貴女とこの子の離別は最終段階として定められていると言う事よ。

これよりも前に宇佐見蓮子と何かしらの形で別れたりしたら八雲紫が誕生する事象に狂いが発生し、それを修正するのが面倒になる。

だからこそ貴女も助けていた、ただそれだけよ」

 

「……そう、つまり今までのアンタの言う事も加味して逆を言えば、今貴女を止められればメリーは八雲紫にならず、私と離別する事はない、って訳ね……!」

 

此処で蓮子は一つあった疑問、何故修正力は蓮子も助けていたのかを確認すると、告げられた言葉はメリーが八雲紫になるには今の様に修正力が完全干渉している場面で蓮子との離別を引き起こせばそれが最終段階とされていて、それ以前に蓮子の身に何かしらの事が起きると運命の流れに狂いが生じ、修正が厄介になると言った。

すると蓮子は不敵な笑みを浮かべ、逆説として今の段階で止められればメリー、自分の親友が消え境界を操る妖怪になる事は無いと断言する。

その言葉を聞いた途端メリーの笑みが消え無表情となり、じっと蓮子を見つめて口を開いた。

 

「…………確かに今私を止められればこのが今八雲紫になる事は一旦止められるわ。

しかしそれには貴女だけで無くこの子の、運命の流れすら跳ね除ける程の強い意志を、最終段階で示さねばならない。

でなければ私の干渉を妨げられないから、ね。

この子にそんな期待は「出来る、だってメリーは私のたった1人の、替えようが無い親友なんだから‼︎」……そう、良かったわねマエリベリー、貴女はこんなにも親友から信頼されているのだから……でも、私を止める手段はあるのかしら?

この子の意識を覚醒させる手段は?

貴女の声をこの子に届ける方法は?

それが無いなら、今日の真夜中……2時を迎え14分経過した瞬間、決別の時が来たるわ。

……その時間、2時に博麗神社……幻想郷と外の世界の境界線、楔たる場所で待ちましょう。

止められるものなら、止めてみなさいな『ギュオン‼︎』」

 

「メリー‼︎」

 

「くっ⁉︎」

 

蓮子の逆説を否定せず、それが出来れば確かに止められると肯定しながらもそれがどんな方法を用いるのかを問い、それが無ければ2時から14分経過した瞬間に運命の刻が来て蓮子とメリーは離別してしまうとされた。

そう、蓮子が見た悪夢の一幕……アレが起きると言う事だった。

それを止められるのか試すのか、或いは無駄だとしているのか真夜中2時に博麗神社で待つと言い、その瞬間メリーの背後に中に数多くの目が蠢き、こちらを見ている空間の裂け目が発生し、メリーはその中に入って行った。

蓮子達は手を伸ばして止めようとするも、タッチ差で間に合わず空間の裂け目は閉じメリーはその場から去ってしまったのだった。

 

「間に合わなかった……いや!

まだ猶予はある‼︎

時間までにメリーの意識を目覚めさせる方法やあの修正力がのらりくらり出来ない様に出来れば……‼︎」

 

「しかし……時間を迎えさせないとか運命とかは心当たりがあるが、眠ったメリーの意識に声を届ける方法が思いつかにぃ!」

 

「時間とかは誤魔化せても、どうすれば……」

 

「無理難題とは、よく言った物です……!」

 

ワンタッチで捕まえられなかった蓮子だったが、まだ時間的猶予がある為メリーの意識を目覚めさせ、メリーに修正力を跳ね除ける意志を示させる方法を考えようとする。

ブロントさん達も共に考え始め、『運命』や『タイムリミット』に関しては誤魔化しやらが効く心当たりがあるも、肝心なメリーに声を届け目覚めさせ強い意志を示させるが思い付かず難色を示す。

そうこうしている内に陽は沈み、夜の帳が降り始め辺りは真っ暗になり始める。

辺りの暗さはブロントさんがフラッシュを使い明るくするも、考えは一向に纏まらずにいた。

 

「……思い付かない‼︎

心を読む妖怪が居るのは分かるけど、意識を繋いだりする妖怪や人なんて私分からない‼︎

でも方法はきっとある、だから諦めるわけには‼︎『ガサガサ』

っ、誰⁉︎

…………アンタは…………‼︎」

 

蓮子は頭を悩まさせ、方法が思い付かないまま1分、1秒と時間が過ぎて行きもどかしさを感じるも尚諦めず、何としても方法を見つけ出そうと頭を必死に回転させ記憶を辿りそれらしいものを見つけ出そうとする。

その矢先、蓮子達の背後の茂みから物音が聞こえ、蓮子が真っ先に振り返る。

すると、其処に居たのは…………。

 

「…………アンタに今構っている暇は無いのよ、今直ぐ消えて……『シャドウ』‼︎」

 

蓮子とメリー、2人を幻想郷に来る要因を作り、今の事態が発生した元凶ともなった青年、『シャドウ』……ブライトその人だった。

 

「お前……一体何の様だ!

まさか蓮子の邪魔をしに来たのか⁉︎」

 

「…………その逆、と言えばどうする?

白夜の騎士殿、花の魔法使い、初代秘封倶楽部会長、そして、マエリベリー・ハーンの親友」

 

「何ですって……⁈

アンタ、何の「マエリベリー・ハーンに手っ取り早く声を届けさせる方法がある、それを提示し、またその時間を稼ぐ算段も持って来た」⁉︎」

 

「これを受けるか受けないかは好きにすると良い、方法だけなら協力するしないに関わらず提示する事は約束しよう」

 

何と、青年の口からこの事態に対して協力すると言う言葉が飛び、更に蓮子達が思い付かなかった手段、及びそれを確実にする為の時間稼ぎの算段も持って来たと告げる。

この言葉に蓮子のみならず、ブロントさん達も驚愕し、じっと青年を、但し睨む様に見ていた。

 

「……時間が無い、協力するかしないか早く決めて貰おう。

2時まで後数時間しか無い、どうするか早くして貰おうか、宇佐見蓮子……」

 

「…………」

 

青年は睨まれながらも、自身の協力を受けるか否かを蓮子に答えを迫る。

その蓮子の答えは……。

 

「……ファイトしなさい、アンタは言ってたわね?

ヴァンガードファイトにはその者の全てが表れるって。

ならアンタが本気で私達に協力する気があるか、それを見極めてやる‼︎

アンタを利用するかしないかはその後決める‼︎」

 

「…良いだろう、ならばファイトだ!」

 

何とヴァンガードファイトをし、『シャドウ』が本気か否かを見極めるとしてデッキを取り出し構える。

それに応える様に『シャドウ』も白いデッキケースからカードを取り出し、ファイトテーブルを展開した。

月が登り始め、月光とブロントさんのフラッシュで辺りが照らされる中、蓮子と偽りの名を名乗る青年、2人のファイトが再び為されようとしていた。




此処までの閲覧ありがとうございます。
かなりごちゃごちゃしてましたが簡単に書くと、メリーの中には紫に至る運命が刻まれ、その運命がそのままに発生する様にメリーに働き掛けてた訳です。
しかしイレギュラーにより未知の運命の流れが発生し、それを修正する為にそれはメリーの別の自我として修正を働かせ、そして今に至るのです。
かなり複雑で矛盾が色々あると思われますが、これがこれ作品のメリーと紫の関係、そしてそうなる流れへの設定となります。

次回は蓮子VS『シャドウ』回(3回目)、出来るだけ早く更新致しますのでお待ちを……。
次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。

キャラ設定を見たいですか?

  • 見たい
  • 見たくない
  • 次を早く投稿して

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。