マジでこりゃ無いと自分で思いました。
何がヤバイのかは本編をどうぞ。
香霖堂の裏手のフリースペースにて、先程の大盛り上がりだったファイトの興奮がやっと冷め、周りのファイター達は自分のテーブルに戻り、各々の相手と再びファイトをしていた(因みに霖之助はカード購入をする客が来たので店内に行っている)。
「いや〜、此処の人達のテンション凄かったわね〜」
「ええ。
最後の方なんて大会の空気みたいになっていたわ………」
「皆それだけ蓮子のファイトに惹かれたって事だよ。
全く、私の方が先輩なのに途中から周りの声が聞こえなくなり掛けてたし、本当にヴァンガードへの情熱と引き、そしてイメージ力は誰にも負けてなかったぜ」
ファイトを終えて、蓮子とメリーは改めて魔理沙と会話し、蓮子のイメージ力とヴァンガードに対する情熱の高さを聞いたメリーはこれを心の内で同意し、更に『ブラスター・ブレード』………蓮子が分身と呼んだ白き騎士にライドする前までは正に初心者らしい雰囲気であったが、ライドした後は魔理沙の言っているそれを見せつけていて、あのユニットがあの時蓮子の支えになったのでは無いかと推察する。
「………さて、次はメリーがファイトする番なんだが……麟、お前ちゃんと初心者に優しいファイトが出来るか?」
「うっ…………それは…………」
そんな中、魔理沙がメリーと麟のファイトを口にするが、それに対し麟は何故か歯切れの悪い返事が返す。
その様子から、どうやら麟はティーチングファイトが苦手らしく上手く初心者に合わせてファイトが出来ないと言うのが伝わる。
「うーむ、こうなれば私が2連続ティーチングをするしか無いのか………………あっ、あれは!」
『?』
魔理沙が悩みながら周りを見渡していた所、その魔理沙は何かを見つけたのかフリースペースと店の表と繋ぐ角まで走り、其処にはメイド服を着た10代後半に見える銀髪ボブカットの少女が居て魔理沙と何かを話し合っており、最初はメイド服の少女は微妙な表情を浮かべていたが、魔理沙に何度も頼み込まれているせいか途中で折れたと言わんとばかりに溜め息を吐いて魔理沙の後に付いて来た。
「お待たせ!
ティーチングファイトの相手を用意して来たぜ!」
「はぁ、まさか休憩がてらにを香霖堂に寄ってみたら、フリースペースがいつもより賑やかだったから見に来たらティーチングをやらせられるなんて思わなかったわ…………貴女がティーチング相手のマエリベリー・ハーンね?
私は『十六夜咲夜』よ」
「あ、はい。
私がマエリベリー・ハーン、メリーって呼んで下さい」
魔理沙が連れて来た少女、咲夜はどうやら香霖堂に休憩ついでに来たらしく、其処を魔理沙に発見されて今に至るらしい。
これにはメリーも苦笑し、早めにティーチングファイトを終わらせないと不味いと思い始め、デッキケースを出す。
「そう言えば咲夜さん、そちらに居るメリーさんのご友人の蓮子さん、彼女は今さっき魔理沙に勝ったんですよ。
それも、ブラスター・ブレードや
「うわぁぁぁぁぁ麟⁉︎
私が負けたのは言わないでくれって⁉︎」
「えっ、ブラスター・ブレード………?
貴女、蓮子と言うのね?
本当にブラスター・ブレードを?」
「えっ?
あー、うん」
すると麟が先程のファイトを咲夜に教え、ブラスター・ブレードの事も言うとそれを咲夜が直接蓮子に確認し、蓮子が答える。
「後………(ゴニョゴニョ)」
「………あら、それは良い事を聞いたわ」
更に麟は何かを咲夜に耳打ちし、それを聞いた咲夜は何か嬉しそう………と言うより、新しい玩具を見つけた悪い人の様な笑みを見せ、メリーはそれに一瞬身をすくめてしまう。
すると蓮子がメリーの隣に座り、メリーをいつでも庇う体勢に入る。
「大丈夫よ、別に取って食べようなんて思っていないわ。
それより貴女、珍しいクランを持っているらしいわね?
私、それを今直ぐにでも見たいから早くファイトをしましょう。
勿論、あくまでティーチングだけどね」
「は、はぁ………」
「なぬ、メリーはなんか珍しいカードを持っていたのか⁉︎」
すると咲夜が蓮子達の警戒を解かせ、メリーが珍しいクランを持つと言って早くファイトをする様に促す。
対して当のメリーはまだデッキを確認しておらず、またヴァンガードの初心者で余りカードの事も分かっていないので咲夜の言っている事が微妙に理解出来ず、しかしファイトをしたいと言われたので準備を進める為にグレード0のユニットを探す。
すると、デッキを見ていなかった為に気が付かなかったが、2枚のカードのみ裏目が銀色で、他のカードとは何処か違っていた。
「ああ、そのカードはデッキから外してダメージゾーンの上にある『Gゾーン』って場所に置きなさい。
使う時になったら教えてあげるわ」
「えっ?
は、はぁ……」
それを見た咲夜はそのカードをメリーにデッキから外す様に指示し、それに従ったメリーはそのままグレード0を探す作業に戻る。
そしてそれをヴァンガードサークルに置き、手札を見て入れ替えをする………が、グレード3が引けずそのままファイトに突入する様になってしまう。
その様子をメリーの後ろから手札を確認する様に見た魔理沙は、確かにメリーの使っているデッキは自分が今まで見た事も無い全く未知のクランと判別し、目を輝かせていた。
「では、始めるわよ」
「ええ、良いですよ」
『スタンドアップ・ヴァンガード!』
そうしてメリーと咲夜のファイトが始まる。
戦いの場所はとある地方の遺跡、其処に2人の霊体が2体のユニットにそれぞれライドする。
メリーがライドしたユニット、それは紫色と言う情報から〈ダークイレギュラーズ〉や〈ペイルムーン〉、〈スパイクブラザーズ〉と同じ暗黒国家『ダークゾーン』の所属と分かるが、今までのクランと違い陰がある様には感じず、また今までのクランの特徴とも合致しない未知の存在………名を〈ギアクロニクル〉と言う。
そして、そのクランの
「『ガンナーギア・ドラコキッド』!」
「『
対して咲夜は蓮子と同じ〈ロイヤルパラディン〉で、装具に煌びやかな宝石が施されている騎士の少女にライドする。
その姿は、蓮子がライドした〈ロイヤルパラディン〉のユニット達よりも凛としていて、かなりファイト慣れしている事が分かる。
メリーはグレード3が引けなかった事を差し引いても、シャドウと初ファイトをした時よりも遥かに苦戦すると直感で理解していた。
「ジャンケン………最初は貴女のターンだけど、基本ルールは何処まで知っているかしら?」
「大体は」
「そう、なら分からない部分が出たら聞きなさい」
「は、はぁ…………ドロー、『メーザーギア・ドラゴン』にライド、ガンナーギアは先駆スキルでヴァンガードの後ろに移動してターンエンド」
メーザーギア・ドラコン:P8000、C1
咲夜にルールの事を聞かれ、彼女が今相手している初心者は一応基本ルールを覚えた人と理解し、そのままターンを進める様に促されたメリーはパワー8000の所謂『グレード1のバニラ』にライドして、返しのターンでパワー7000以下のブースト無しのアタックをシャットアウトする。
それを見て咲夜は手札を確認し、次如何に動くか決める。
「ドロー、『
ヘロイーズは左後列に移動「………あれ?」ふふっ、これはティーチングファイトよ。
後から少し応用的な動きを見せるから楽しみにして置きなさい。
次に『
ドライブチェック『
咲夜は堅実にダメージを与え、メリーがどう動くかを見極めるべく展開を観察する。
「………成る程、そう動くか」
「ティーチングらしい動き方だけど、下手したら速攻でゲームエンドになるかも………」
「……はい?」
すると経験者の魔理沙と麟が咲夜が次に取る行動を予測したらしく、速攻ゲームエンドの可能性を口にして蓮子がそれを聞き、咲夜の盤面を見る。
すると、咲夜のさばるみーが魔理沙のエッグヘルムと同じスキルを持っていた事に気付き、もしかしたら咲夜のグレード3はクリティカルが上昇する
そして咲夜とファイトをするメリーは、咲夜の盤面のユニットのスキルをダメージを受けた時点で確認し、とっくにその答えに辿り着いていたが、肝心の対処に関してはその場で思い付いていなかった。
「(うーん、こう言った咄嗟の判断は蓮子の方が感覚的に行動する分早いのよね………取り敢えず、ドローした後に考えよう)ドロー。
『スモークギア・ドラコン』にライド。
『スチームファイター アンバー』と『ブラスウイング・ドラコン』をコール」
スモークギア・ドラコン:P10000、C1
スチームファイター アンバー:P9000、C1
ブラスウイング・ドラコン:P7000、C1
次にメリーは『グレード2のバニラ』にライドし、更に手札を2枚使い左列にパワーラインを作る。
返しのターンでの防御とインターセプト、更に堅実なアタックラインを形成して順当なファイト運びをする。
これには初心者の蓮子も何となく感覚的にやる自分と違い、しっかりと計算して行動するメリーの動きでかなり勉強になり、更にこんな風に動く相手に対して自分は如何動くかを考える良い機会になっていた。
「ブラスウイングのブースト、アンバーでアタック!「ノーガード、チェック『
うっ………ガンナーギアのブースト、スモークギアでアタック!「今ドローしたさばるみーでガード」
トリガーチェック『腹時計付きのギアラビット』『醒』スタンドトリガー!
パワーは…………仕方無い、パワーはヴァンガードに足してアンバーをスタンド!「あら、トリガーのパワーをリアガードに回さずガード突破にしたのね『
あう…………ターンエンド」
「さて、ドロー。
『
そして『
因みにスキルでコールする事を『スペリオルコール』、スキルによるライドを『スペリオルライド』と呼ぶわ。
さて、そーどみーのスキルで『
思う様にダメージを与えられなかったメリーに咲夜は、そーどみーをコールして本来の手札消費を1枚分少なくして盤面を揃えてしまう。
更にシェリー、トレーシーはアタック時に他の
「これが応用的な動きよ。
今ある手札から最適なユニットイメージしてそれらを場に出し、必要以上の手札を使わない様にする………貴女は計算型だからこんな風に考えながらファイトをするのが1番かもね」
「………凄い展開力………」
この咲夜の少し容赦無く、またたったダメージ1枚から此処までの展開力を見せつけられ、メリーは改めて互いの間にある実力差を知り、またこれでもティーチングの為に加減していると感じ、これにはメリーも苦笑いを浮かぶてしまう。
「シェリーのブースト、トレーシーで………リアガードをアタック「えっ、リアガード⁉︎」出されたアタッカーを潰すのもこのゲームでは必要な事よ。
さて、いよいよヴァンガードのアタックよ。
チェック『
更にアンバーをトレーシーのアタックされ、阻止しようにもそのパワーは19000、15000のガード値を要求された為泣く泣くアンバーを退却させ、ミランダのアタックもスルーしてその次のそーどみーのアタックはしっかりガードする。
しかし、メリーの手札にはまだグレード3が無い上にそのグレード3は今さっきのダメージチェックで落ちてしまい、次のドローで引けるかどうかが分からなくなっており、メリーは少し不安になっていた。
「…………気を落ち着かせなさい。
これはあくまでもティーチングファイト(応用編)、負けても良いファイトなのよ?
勝たなきゃいけないファイトや大会じゃない、ただのお気楽ファイトよ。
確かに負けたら悔しいかもしれないけど、ちゃんとそれを次に生かせる練習なんだから気負う必要は無いわ…………ただ笑ってファイトをすれば良いのよ、最後まで」
「咲夜さん……」
「そうだよメリー。
もし負けたら負けたで次は勝ってやる〜って思えば良いんだし、プレッシャーを感じる必要は無いわよ!
ただ気楽にファイトして、でもって勝てたらガッツポーズ、負けたら『ああ〜負けた〜!』程度に思えば良いって!
ね、メリー?」
「蓮子………そう、よね」
しかし、ティーチングしてくれている咲夜と横でファイトを見ている蓮子の言葉で、別に負けても構わない事を改めて思い出し、肩の力が抜けてリラックスする。
更に今さっきまで自分がそんな不安になっていたのが、たった2回しかファイトせず、更に蓮子のファイトを見ていただけ、更にその顔にグーパンをしたいシャドウに教えられたにも関わらずこのカードゲームにのめり込み、いつの間にか好きになっていた所為だと実感する。
そう考えると何故自分はこんなにもヴァンガードが好きになってしまったのか…………そう考えたメリーだったが、主な理由が見当たらず、結局好きな物は好きだから仕方無いと言う考えに落ち着き、不安な表情が消えて笑顔になっていた。
「(うん、別に負けても良い…………勝てば儲け物。
気負う必要なんて何処にも無い…………なら、最後まで楽しまなきゃ損よね、蓮子……)私のターン、スタンド&ドロー!『ドクン…』
…………これは…………」
そんな風に気楽にファイトしようとしてドローした瞬間不思議と胸の鼓動が高鳴り、何かと思いカードを見た所………そのカードはグレード3のユニットであり、何故かこのユニットが手札に来るのを待っていた様な感覚と、このユニットにライドしたイメージが明確に………しかし、蓮子とブラスター・ブレードのそれとは何と無く違い、またこのカードを手にした瞬間に真っ暗な空間に居た自分にカードを中心として光に包まれたイメージも浮かんだ。
そんな不思議なイメージが浮かび、しかし何処か心地良い感覚を感じたメリーは更に肩の力が抜け、完全にリラックスした状態でファイトに臨める様になった。
「…………うん、来てくれてありがとう。
ライド、『クロノジェット・ドラゴン』‼︎」
クロノジェット・ドラゴン:P11000、C1
そしてメリーは今引いたユニット………赤いスカーフを巻き、額に欠けた渦巻きマークの様な装飾と、背中に翼を思わせるブースターと足がローラーとなっているのが特徴な青いドラゴンに………咲夜や麟、魔理沙が全く見た事も聞いた事も無い不思議なユニットにライドした。
「クロノジェット・ドラゴン………」
「『ツインメーザー・ドラゴン』をコールして、ツインメーザーでヴァンガードにアタック!「此処はガード、そーどみーでインターセプトね」
ガンナーギアのブースト、クロノジェット・ドラゴンでアタック!
ツインドライブ!『引っ込み思案のギアレイヴン』
セカンドチェック!『スチームメイデン ウルル』『治』
ヒールトリガー、パワーをクロノジェット・ドラゴンにプラスしてダメージ回復‼︎」
イメージ世界にてティルダにライドしている咲夜にローラーで全力ダッシュをし、そのままの勢いを乗せたパンチで殴りつけて壁に叩きつけるクロノジェット・ドラゴン。
リアルでもヒールトリガーの所為でダメージ差が元に戻り、咲夜もミスはしていなかった筈だったがメリーの勢いとトリガーを引き寄せる運に微妙に押され始めていると感じ、そろそろ本気を出すかと思いだしていた。
「ライド、『
更にサロメのスキル、
トレーシーをコールして、そのままサロメでアタックし、
『
ガードする、しない?「ノーガードします!」
………思い切りが良いわね貴女。『
嫌いじゃ無いんだけど、少しは警戒した方が良いわね」
「あっ………」
しかし逆転も束の間、メリーはノーガードを宣言した瞬間にダブルクリティカルを引かれてしまい、一気に4枚ものダメージを受けてしまう。
これには見ている蓮子も驚き、麟や魔理沙は勝負が決まったかと思い始める。
「シェリーのブースト、トレーシーでツインメーザーをアタック。
更にヘロイーズのブースト、トレーシーでクロノジェットをアタック「えっと、ギアレイヴンでガード、手札を1枚ドロップしてアタックはヒットしません」ターンエンド」
しかし、そのターンは咲夜が決め切れないと判断してリアガードを退却させ、そのままヴァンガードにもアタックしたが完全ガード……手札1枚と引き換えにあらゆるアタックをシャットアウトするユニットの力もあり凌ぎ切る。
しかし、油断して手痛いアタックを受けたメリーは流石にこれは負けたかなと思い始め、勝利の確率がほぼ0になったと感じて心の中で少し悔しがっていた。
「(あーあ、あのアタックを通したのは痛過ぎたなぁ。
このユニットにライドして、もしかしたら勝てるかもって思ってたんだけど、現実は甘く…………無いけど、なんか負けるのはね〜。
………うん、勝ちたい、ファイトを始めたからには勝ちたい。
蓮子みたいに熱血で直感的なファイトは出来ない………でも勝ちたい。
だって………何だかヴァンガードの事が好きになったんだから『汝の声は届いた』っ、誰⁉︎
って、この声………直接脳内、いやイメージ内に⁉︎)」
そんな中、イメージ世界で謎の声が響き、周りを見渡して声の主を探る。
すると、背後にあった竜の石像に自然と視線が向き、それを見ていた。
『我は、汝のイメージにより生まれた新たな可能性の一つ。
時空を超え、新たなる世界へと導け………唱えよ、『ストライド・ジェネレーション』と………!』
その声を一通り聞いた瞬間、イメージ世界からいつの間にか現実視点に戻り、既にドローを終えて手札にはグレード3『剛腕粉砕の
「あら、貴女既に『
「スト………ライド?」
「………まあ良いわ、
手札からグレードの合計が3以上になる様にドロップして、『
まあ、要は特殊なライドの様な物だと思えば良いわ」
するとメリーは咲夜から
「………
…………今こそ示せ、我が真に望む世界を!
ストライド・ジェネレーション!
『時空竜 ミステリーフレア・ドラゴン』‼︎」
時空竜 ミステリーフレア・ドラゴン:P15000+、C1
ミステリーフレアに
そして、そのままアタックして槍状の銃から閃光が迸り、サロメを飲み込んだ。
そして現実では…………メリーがお返しと言わんばかりにクリティカルトリガーを3枚(現デッキに採用されてる枚数は4枚)引き当てて、咲夜に6枚目のダメージを落とさせてそのままゲームエンドとなった。
「………あら?」
「………勝った………」
「凄いよメリー!
最初のファイトの時よりも劇的な大逆転勝利だよ!
もぉ〜、この豪運ルーキーは〜!」
「ちょ、ちょっと蓮子!
離れ、ルーキーは貴女もでしょ⁉︎」
すると横で見ていた蓮子がいきなりメリーに抱き付き、ファイトで勝った本人以上に喜んでメリーを少し恥ずかしがらせていた。
そんな仲慎ましい光景を見た咲夜はデッキを片付け、すれ違い様にメリーに「ファイトありがとう」と一声掛け、そのままその場から離れ出す。
「な、中々面白いファイトだっただろ?」
「………ええ、とても良い時間だったわ。
貴女もありがとう、魔理沙」
魔理沙がその場から去る咲夜とそんな短い会話を交わし、そのまま見送った。
どうやら魔理沙はメリーのティーチングが面白いファイトになると言って咲夜を誘った事が今の会話で分かるが、そんな会話を聞いていたのは麟だけで、蓮子とメリーはそんな事は知らずに笑い合っていたのであった。
そしてその後魔理沙はメリーにもファイトを挑み、麟と蓮子がそれを観戦する事になるがそれはまた別の話であった。
その夜、綺麗な満月が浮かぶ静寂の中。
幻想郷の一角にある巨大な洋館、『紅魔館』のバルコニーにてその月を見上げ、優雅に紅茶を口にする一人の少女………しかし、人間と違い、その背中には蝙蝠を思わせる羽が生えていて、瞳も人間としてはあり得ない程美しい紅く、少女が纏う雰囲気も見た目に不釣り合いな人を魅きつけるカリスマと呼ぶべき物があった。
この少女こそが紅魔館の主にして500年以上の時を生きる吸血鬼『レミリア・スカーレット』だった。
そんなレミリアの傍に昼間にメリーとファイトをした咲夜が立っており、2人で昼間の事を話していた。
「………お嬢様の言う通り、香霖堂で面白そうなファイターが二人現れました。
片やブラスター・ブレードを持つ宇佐見蓮子、片や未知のクラン〈ギアクロニクル〉を操るマエリベリー・ハーンと言う少女でした」
「ふふ、言った通りであろう。
幻想郷に新たな息吹が吹き込まれ、新たな未来への道が切り開かれる………それが私が見た運命だと」
「はい、お嬢様」
そんな会話を交わし、レミリアは再び紅茶を口にしてその真紅の瞳で月を見やり、まるで新しい玩具を待つかの様に、しかしそのカリスマにより妖しい魅惑を醸し出す笑みを浮かべていた。
「ふふふ、早く会ってファイトがしてみたいものだよ……宇佐見蓮子、マエリベリー・ハーン……」
そう短く呟き、レミリアは懐からヴァンガードのカードを1枚抜き、月明かりに照らし出す。
そのカードはブラスター・ブレードと浅からぬ因縁を持ち、嘗ては彼を憎み、今ではクレイを影から守護する剣となった者………… 影の騎士『ブラスター・ダーク』、その派生型のユニットであった…………。
此処までの閲覧ありがとうございました。
さて、何がやばかったのかもうお察しですね。
hai、本編の文字数が後少しで1万字に達しそうになってしまってました‼︎
実はこれには『切り所が分からない→ならば最後まで1話に収めてみよう→名称軸と超越の説明+使用で文字数がマッハ』なんて情けない背景がありました‼︎
これ、マジで教訓にして何処かで切る事を覚えないとこんな失敗例が積み重なる事に………。
と、兎も角今後はこんな事の無い様にしますのでこれからもよろしくお願いいたします‼︎
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