秘封先導鉄   作:”蒼龍”

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皆様お待たせしました、第75話目更新です。
タイトルが手抜きかと思われますが……何がこうなってこんなタイトルかは本編を見れば分かるかと思われます。
では、本編へどうぞ。


第75話「収集、変貌、発見」

ファイトが終わった麟は一息深呼吸を入れ、礼を言い頭を下げると皆の下に戻り、蓮子もそれに合わせて礼を言い戻る。

その麟と蓮子は両手でタッチし、ブロントさんが片手を上げると二人はその片手にハイタッチをし、メリーや菫子ともタッチをした。

 

「お疲れ様、蓮子、麟」

 

「バッチリ勝ったわ♪」

 

「はい、勝ちました」

 

互いに勝利の喜びを噛み締め合いながら話していると、対戦相手のチーム代表が蓮子達に近付き、皆に声を掛ける。

 

「いやぁ敗けた敗けた。

君ら強いね!」

 

「いやぁ、それ程でも」

 

「いやいや強いって。

さて、大会規定通り守矢コインを上げるよ。

敗けた俺達の分まで頑張ってくれよ。

じゃ!」

 

対戦相手の代表は蓮子達を強いと褒めながら守矢コインを渡し、そのまま振り向きながら蓮子達に手を振りながらその場を去って行った。

それを見送った蓮子とメリーは自分達が改めて対戦相手達にチームで勝ったのだと実感し、大型大会初参加の初陣を勝利で飾ると同時に勝った者は負けた者達の目標や大会への想いを背負う事になると言うある種の重圧を薄々ながら感じ取り、肩に力が入り出していた。

 

「蓮子、メリー、肩の力を抜くべきそうすべき。

別に誇りや命を懸けた戦いなのではないので真剣は真剣でもあくまでスポーツマンシップ的な気持ちで良いぞ。

変な力が入って全力を出せない、出しにくい!なんて事になっても相手に失礼だし何より自分が楽しめないと言う意見。

ならば此処は全力で楽しむ事で充実したファイト生活が認可される。

これが一級ファイターの心持ちでもあるぞ。

一級ファイターの気持ちを持つ→相手も自分も全力で楽しめる→ファイトを通して心が豊かになる→ライバルが増える

一級ファイターの気持ちを持たない→自分だけが楽しみ相手を思いやらない→ファイトをしても醜い心が表情に現れるだけ→ファイト相手がいなくなる

ほれこんなもん」

 

「…………そうね、確かに私達が経験した何かを賭けたりするファイトじゃないわね。

リラックスして楽しまなきゃ、あの人達やこれから私達がファイトする人に失礼ね。

ありがとうブロントさん、お陰で少しだけ肩の力が抜けたわ」

 

蓮子とメリーはブロントさんから肩の力を抜く様にとアドバイスを貰い、更にその口から全力を尽くながら大会を楽しむ事こそが自分達に負け、大会から去ったファイター達への最大の敬意であり、楽しまずに進む事は寧ろ非礼に当たると聞き二人は頷き大会を楽しむ事に力を入れる様にしようと思い始める。

それを見て麟や菫子も頷き二人に笑顔を向けていた。

 

「……ふむふむ、中々やりますなブロントさん達のチーム。

やはりあの人達とやり合うのは最後の方が良いみたいですね……となれば、これをチームメイト達に報告してブロントさん達は見掛けても無視する方針にしますか」

 

そしてファイトを見ていた人物は力量その物を見極め、蓮子達を避ける様にポイントを集めて行こうと頭の中で決め、別地点で待機しているチームメイト達の下に行き作戦を説明するべくその場から気配を悟らせずそのまま素早くその場を去る。

 

 

 

 

 

 

だが、そんな行動を初めからお見通しだったのかブロントさんは丁度蓮子達がその人物と一直線に並ぶ様に立ち、そしてその場を去った事を視線で確認した後別段蓮子達に言う必要も無い為そのまま行動を始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えーと、守矢コインは多分この辺に……あ、あったわ!」

 

その後、蓮子達は妖怪の山の中を歩き1時間が経過し、蓮子とメリー、菫子と麟、ブロントさんの3組で周囲の木の上や石の下などを探し1〜4枚単位で守矢コインを発見し入手する。

更に途中ファイターを見つけては倒し、今の所は全勝で守矢コインを獲得していた。

 

「ふぅ、中々順調に集まって来ましたね」

 

「そうね、もしかしたらお助け人もスペシャルファイターとのファイトも必要無くこのまま予選突破出来るかもね」

 

「いあ、油断するのはまだ早すぐると言う意見。

恐らくだがファイトに勝ちまくってコインを荒稼ぎしてる奴も九分九厘居る訳だしそんな奴らと俺達ファンタズマのコイン収集率を比べたら間違い無くこっちは負けるのは明白に明らか。

ならば何処かのタイミングでお助け人やスペシャルファイターを利用する手を考えないとならないだろうな。

肩の力を抜きつつ、しかし油断せず着実に現実に、だが時に大胆に。

この最初の方針は変えずこのまま行くべきそうすべき(提言)」

 

麟と菫子が会話し、蓮子も同調しようと口を開く直前にブロントさんが割って入り、予測ではあるが守矢コインを荒稼ぎしているチームが居るとし、それ相手では自分達の収集スピードでは追い付こうにも限界がある為当初の予定通りお助け人を利用したり、スペシャルファイターを倒したりをしなければならないとした。

 

「そうね、勝って兜の緒を締めよって言葉もあるから油断せずに行った方が良いわね。

予定通り時期を観てお助け人やスペシャルファイターに挑みましょうか」

 

「……ええ、メリーとブロントさんの言う通りね。

油断してたら勝てるものも勝てなくなるのは世の常、このまま気を引き締めて大会を楽しまなきゃね!」

 

メリーの言葉を聞き蓮子は当初の予定を変えずこのままコインを収集し、お助け人やスペシャルファイターを利用する事を心掛ける。

菫子と麟も二人の言葉から油断せず行こうとなり更に先へ行き収集を再開する。

すると、妖怪の山の景色にそぐわないとある物を見かけてしまう。

 

「あら、これは?」

 

「紫色……いや、ピンク、ワインカラー?

の……テント?

何でこんな物が妖怪の山に?」

 

そこにあったのはあからさまに中へ入ってくれと言わんばかりの雰囲気を醸し出すテントだった。

しかも入り口付近には『困った時のお助け魔女っ娘テント』と言う思考が少し追い付かない立て看板があり、更にそれには普及協会のマークまでご丁寧にあり、明らかに大会運営関係者のものだと分かってしまった。

 

「……もしかして、お助け人ってこんな感じのに居たりするのかも?」

 

「うむ、皆の人気者で親しみやすい謙虚な普及協会のロゴマークがあるのでそれは確定的に明らかだなと言うか鬼なった。

だが余りにも露骨に中へ来いと促し過ぎてるな……」

 

「しかも微妙にコリブリカラーに近い……いやらしい……」

 

チームファンタズマの面々はこのテントに微妙な評価を下し、少し引き気味になる。

しかし、普及協会のロゴがあったり中に入ってくれと言う雰囲気があり、ほぼ間違い無く守矢コインをボーナスでくれるお助け人がこの中に居ると分かってしまい蓮子達は少し意を決して中へと入るのであった。

 

「……守矢コインの為…………お、お邪魔しまーす……」

 

「うふ、うふふふふふふふ…。

よく来たわね貴女達。

あたいはこの予選で配置されたお助け人気の一人、人呼んで美少女魔女っ娘魔梨ちゃんよ。

さぁ、守矢コインの為にこの4枚の紙から1枚選んで、其処に書かれたクイズに答えて貰うわよ……うふっうふふふふふふ……」

 

そして其処に居たのは自らを美少女魔女っ娘魔梨ちゃんと呼ぶ謎の人物…………では無く、蓮子達が良く見知る少女霧雨魔理沙であった。

普段との口調の違い、更には雰囲気そのものも違ったりと何が何だか分からない状況になっていたが、蓮子達の脳裏にはある一つの事しか思い浮かばなかった。

 

『(…………うわぁ…………何この…………何…………?)』

 

「ちょ、ちょっと、魔理沙一体どうしちゃったのよ、なんか悪いきのこでも食べちゃったの⁈(ヒソヒソ)」

 

「俺に聞いても何が何だか分からないと言う解答なのは0か100なら100なので俺に聞くなと言う意見!

てか、マジで何なんだこの劇的ビフォーアフター(悲劇)は⁉︎

絶対放送事故物だろこれは…………(ヒソヒソ)」

 

魔理沙の変貌ぶりに驚きを隠せずヒソヒソと耳打ちしながら話し、彼女に何があったのか心配し始めるチームファンタズマの面々。

しかし、そんな五人を他所に魔理沙は手に持った4枚のお題カードを目の前に突き付け、早く中の一枚を引かせようとする。

 

「さあさあ早く選ぶんだよ。

恋も決断もスパッと決める事が大事だって『魅魔様』が言ってたんだから早くしてよ、うふふふ」

 

「う、うーむ…………メリー、引いてくれ。

取り敢えず早く終わらせて此処からとんずらするべきそうすべき、頭がおかしくなって経験値ロストしたくないならそうすべき」

 

「そ、そうよね…………えい!」

 

ブロントさんがメリーに早く引かせ、此処から去ろうと提案したのをメリーは了承し、4枚のお題カードの内右から二番目を引く。

するとお題カードにはグレード4と書かれていた。

 

「うふふふ、最高難易度のグレード4を引いたわね。

じゃあお題を出すわ、『ドラゴンエンパイアの各クランから1体ずつ元々のパワーの合計が55000、名前が合計60字を超える様にLB4(リミットブレイク)を持つユニットをフルネームで答えなさい、但しブレイクライドは抜かす』。

制限時間は2分、引いた人が答えてチームメイトは答えになる事を言わず見守る様に、はいスタート!」

 

「うぇ⁉︎

ドラエンのLB4で名前60字を超える⁉︎

難易度高っ‼︎」

 

そして出されたお題はLB4(ブレイクライド抜き)で且つドラエンの各クランから1体ずつ合計パワーが55000になり、更に名前が合計60字を超える様にフルネームで答えると言うヴァンガードを始めて1ヶ月半を過ぎたとは言え、蓮子やメリ

ーにとってかなり辛い内容のお題であった。

しかもチームメイトはただ見守るだけ……メリーは自力で頭の中にあるカードを的確に引き抜きながら答えるしかなく、汗を掻きながら記憶の中で見たカードを振り返っていた。

 

「さあさあ、後1分。

別に答えられなくてもコインは取られないからまぁまぁ気楽に行きましょうよ♪」

 

「メリー……!」

 

そして蓮子達が見守る中、メリーは魔理沙のカードコレクションに行き着き、その中にあるカードでLB4を持ち、元々のパワーが11000のユニットを選出して行き、残り20秒で目を開き答え始める。

 

「……『炎獄封竜 ブロケード・インフェルノ』、『古代竜 ティラノレジェンド』、『隠密魔竜 ヒャッキボーグ ‘‘Я(リバース)’’』、『修羅忍竜 ヨザクラコンゴウ』、『征天魔竜 ダンガリー ‘‘Unlimited’’』!

全てLB4を持ち合計パワーは55000、名前の合計は英文字などを入れて60字を超えたわ!」

 

「えっと、えっと…………本当だ、ドラエンで各クラン、しかも名前もパワーもきっちりお題通りよ!」

 

「…………うふふ、伸ばし文字を抜かしてもきっちり60字を超えてピッタリ55000、貴女中々やるわね〜。

大金星、大正解、おめでとうだわ!

はい、グレード4のお題を答えられたので守矢コインを最大枚数の50枚あげるわ。

頑張ってね〜♪」

 

メリーは何とか残り3秒で答え切り、魔理沙から貰える守矢コインを最大枚数貰い嬉しそうに袋を抱えながら身体を震わせる。

そしてテントから出て蓮子がメリーに抱き付き労いの言葉を掛け始める。

 

「お疲れ様メリー、良く頑張ったわね!

本当に凄いわ、お題の条件をきっちりこなしてたし何より2分以内でそれを達成……流石私の最高の相棒よ!」

 

「ありがとう蓮子!

はぁ、いつも魔理沙のカードコレクションを眺めてて良かったわぁ……お陰で答えられたからね。

魔理沙にも後で感謝しなきゃ」

 

「そうね!

…………にしても、魔理沙のあの変貌っぷりは一体…………」

 

チームファンタズマの面々は魔理沙の変貌について気になっていたが、予選通過の為に頭の隅にそれを追いやり、テントから離れて再び守矢コインやファイターを探し始めるのであった。

この予選を勝ち抜く為に……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてそれから更に時間が過ぎ、残り時間が1時間になった所で花火が上がり、残り時間が少なくなって来ているのを大会運営側が伝え始める。

蓮子達は一旦手を止め、この後どうするかを考え始める。

 

「残り1時間位、皆これからどうする?

多分隠された守矢コインは粗方私達を含めた参加者達に取られてるだろうしそろそろスペシャルファイターを探して挑戦してみる?」

 

「そうね、多分私らが予選通過するにはそれが1番だし今が最高のタイミングだと思う。

私は蓮子の意見に賛成よ」

 

「私も賛成します。

恐らく此処を逃せば予選突破が危ぶまれます」

 

「うむ、俺も反対意見はないのでよろしいぞ、全力を出してスペシャルファイターを探してハイスラ(クリ4)でボコるわ」

 

菫子、麟、ブロントさんから反対意見は出ずメリーも蓮子の意見に頷き賛成の意を示し、その案で行く事が固まり蓮子は改めて号令を掛ける。

 

「……OK、じゃあ今からスペシャルファイターを探し出して倒すわよ!

皆、行きましょう‼︎」

 

『ええ/はい/OK/おう!』

 

五人はスペシャルファイターを探し出す為妖怪の山を駆け出す。

視界の端に動く物は無いか、人の気配は無いかと細心の注意を払いながら草の根を分けて探しながら時間が1分、また1分と過ぎて行った。

そして…………。

 

「……見つけた、大会主催者側の腕章を付けた人。

貴女がスペシャルファイターね!」

 

「ふっ、いかにも……改めて自己紹介をしよう。

我が名は八坂神奈子、守矢神社に祀られし神の一柱にしてこの予選主催者及びスペシャルファイターだ!」

 

蓮子達は遂にスペシャルファイター、八坂神奈子を発見するのであった。

 




ここまでの閲覧ありがとうございました。
今回の話のタイトルはズバリチームファンタズマの行動や大きく感じた事が主となってます。
変貌……つまりはうふふ魔r(skmdy‼︎
そして次回はスペシャルファイター戦、誰が神奈子に挑むかはお楽しみに。

次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。

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