秘封先導鉄   作:”蒼龍”

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タイトルが何か不穏な気配がしますが第63話目更新です。
今回はファイト回前半、うーむこれは……と言った感じがするかも?
では、本編へどうぞ。


第63話「逆鱗」

レミリアとブライトはデッキ……それも黒いデッキケースでは無く、白いデッキケースから取り出したデッキをシャッフルし、ファイトの準備を進める。

レミリアはこのデッキこそが魔理沙がファイトしたデッキであり、藍の言う『メサイア』のカードがあるデッキであると悟り、戦略は魔理沙から聞いた通りの自軍呪縛(ロック)解呪(アンロック)を得意とするのだと考えてた。

それを知らない汚い忍者、聖、依姫はどんなファイトになるのか結果がどうあれ見ようとしていた。

そしてシャッフルを終え、初期手札を引き直しFVを構え準備が完了するとブライトが口を開く。

 

「…………一つ言い忘れていた、どんな結果になったにしろ俺から聞いた話、此処での出来事は絶対に宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンには言うな、でなければファイトは受けられない」

 

「何、何故あの二人に言わない必要があるのだ?

そんな事は私の勝手「未来の可能性全てが失われてもか?」…………何だと?」

 

「…………」

 

ブライトは何故か蓮子とメリーに此処での出来事や話した事は言わない様に要求し、更に話せば全ての未来の可能性が失われると言い、レミリアを含めたこの会長室に来た全員が驚き、表情を険しくする。

 

「……それは、あの二人を手に掛けると言う意味か?」

 

「手に掛けない。

が、あの二人のみならず俺を含めたこの場にいる全員や幻想郷、月、外の世界も全ての可能性が失われる。

そう、お前の従者や友人のみならず、妹のフランドール・スカーレットの可能性も全て。

それを避けたいならば二人には絶対に言うな……」

 

レミリアはブライトの言葉を蓮子とメリーを手に掛けると解釈し話すも、ブライトはそれを否定した上で規模は幻想郷のみならず、月や外の世界にまで及ぶと話し二人への口外をさせようとしない。

しかもその目は何処か確信に満ち、またそれが真実であるとも語っていた。

そしてそれは、魔理沙に語った蓮子とメリーには話すなな、二人に厄災が降り掛かると同義であるとも。

レミリアは藍や橙の反応を見るが、二人はそれに反論せず黙っており、否定も肯定もせずあくまで傍観していた。

その反応から、この青年の言葉は否定する材料も逆も見当たらず、全てはレミリアの判断に委ねられる。

 

「…………二人に話せば、フランの未来の可能性まで消える。

その言葉に嘘偽り無いか?」

 

「悪魔の契約書にサインしても良い」

 

「……………………良いだろう、嘘と発覚した場合その首を貰い受ける」

 

レミリアは考えた末に蓮子とメリーに口外しない選択を取り、ブライトから情報を絞り出そうと決め込む。

当のブライトもその返答に納得しFVに手を掛ける。

 

『スタンドアップ・THE・ヴァンガード!』

 

「『フルバウ・ブレイブ』!」

 

「『ネオンメサイア』!」

 

そしてスタンドアップ宣言をし、FVを表返す。

レミリアはフルバウ・ブレイブ、そしてブライトは輝針城で見せた使用クランである〈リンクジョーカー〉、そして『メサイア』の名を持つユニットだった。

 

「〈リンクジョーカー〉か…………にしても、『メサイア』か。

八雲会長の言う通りメサイアの先導者とやらになってやがるみたいだな」

 

「その様ですね」

 

「それにしても…………あのユニット、〈リンクジョーカー〉としては考えられない美しさですね……」

 

汚い忍者、依姫は藍の言葉が事実であったと確認し、ネオンメサイアをマジマジ見た聖は他の〈リンクジョーカー〉とは違う白く、また美しい姿に少し見とれ、永琳は一度永遠亭でファイトした際に見ていた為やはりこのユニットかと思っていた。

 

「先攻は俺、ドロー。

『アスリープ・メサイア』にライド!

ネオンメサイアは先駆でヴァンガード後列に移動!」

 

ネオンメサイア:P5000、C1

アスリープ・メサイア:P8000、C1

 

「グレード1もメサイアか……ドロー。

『力戦の騎士 クローダス』にライド、フルバウは先駆でヴァンガード後列に移動し、アタック!『ブラスター ・ダーク ‘‘Diablo’’』「ダメージチェック『サクリファイス・メサイア』」

(むっ、サクリファイス・メサイア?

魔理沙の話によればあの様なユニットは居なかった筈……デッキを少し組み替えたか?)」

 

フルバウ・ブレイブ:P5000、C1

力戦の騎士 クローダス:P7000、C1

クローダスVSアスリープ・メサイア:7000+5000VS8000=ヒット

ドライブチェック『ブラスター ・ダーク ‘‘Diablo’’』

ダメージチェック『サクリファイス・メサイア』

レミリア:手札:6

ブライト:ダメージ:1

 

レミリア、ブライト共に静かな滑り出しをしアタックも1回のみで第2ターンが終わるが、レミリアはダメージチェックに出たユニットが魔理沙の話には出なかったユニットだった為、あれから少しデッキを組み変えたのだと察知し、聞き慣れないユニットには警戒心を抱く。

 

「ドロー、『アローザル・メサイア』にライド、アタック「ノーガード」ドライブチェック『重力井戸のレディバトラー』「ダメージチェック『デスフェザー・イーグル』『☆』」」

 

アローザル・メサイア:P9000、C1

アローザル・メサイアVSクローダス:9000+5000VS7000=ヒット

ドライブチェック『重力井戸のレディバトラー』

ダメージチェック『デスフェザー・イーグル』『☆』

ブライト:手札:6

レミリア:ダメージ:1

 

「静かな展開だな」

 

「ええ、互いに動く機会を伺いつつ消極的ながら攻防。

しかし、次のターン辺りから動き始めるとは思います」

 

汚い忍者はこの展開に嵐の前の静けさを感じ呟き、依姫も同じ様な事を言いながら次のレミリアのターンから展開が動くとし、永琳や聖も黙りながらも同じ意見を抱いており、次のレミリアの一手を見ようとしていた。

 

「ドロー、ライド、『血戦の騎士 ドリン』!

コール、『闇夜の乙女 マーハ』!

マーハでアタック!「ガード」

ドリンでアタック、ドライブチェック『グリム・リーパー』『☆』クリティカルトリガー、全てヴァンガードに付与!「ダメージチェック『ダークメタル・カメレオン』『綻びた世界のレディヒーラー』『治』ダメージ回復」

ターンエンド」

 

血戦の騎士 ドリン:P9000、C1

闇夜の乙女 マーハ:P9000、C1

マーハVSアローザル・メサイア:9000VS9000+5000=ガード成功

ドリンVSアローザル・メサイア:9000+5000VS9000=ヒット

ドライブチェック『グリム・リーパー』『☆』

ドリン:P14000+5000=19000、C1→2

ダメージチェック『ダークメタル・カメレオン』『綻びた世界のレディヒーラー』『治』

ブライト:手札:5 最終ダメージ:2

レミリア:手札:6

 

第3ターン、レミリアは早速ブライトに3枚目のダメージを与えようとするも、ヒールトリガーに阻まれ結局1ダメージを更に蓄積させるのみになった。

しかし、レミリアの引きから汚い忍者達は今回のファイトは熾烈を極める予感が頭を過る。

 

「ドロー。

あるべき未来の為に羽ばたけ、我が運命の翼!

ライド、『オルターエゴ・メサイア』‼︎」

 

オルターエゴ・メサイア:P11000、C1

 

「これがグレード3のメサイアか」

 

「やはり〈リンクジョーカー〉としては異質な美しさがありますね……」

 

「ほう、そのユニットが今の貴様の分身であり貴様を形作る者か…………フッ、しかし、我が眼前で運命を語るなど笑止!

運命とはこの紅魔の主、レミリア・スカーレットの手の内にあり!

貴様如き矮小なる者が運命を口にするなど1000年早いわ!」

 

「……コール、『重力井戸のレディバトラー』、『ブリンクメサイア』!」

 

重力井戸のレディバトラー:P9000、C1

ブリンクメサイア:P4000、C1、『☆』

 

ブライトは次に魔理沙にも見せた今の自らの分身、オルターエゴ・メサイアをレミリアや汚い忍者達に見せ、星輝兵(スターベイダー)の様な機械的でも無ければ根絶者(デリーター)の様な禍々しさは無い、純白の美しい姿に何処か温かみを感じてすらいた。

しかし、レミリアはライド時の口上が琴線に触れたのか運命を語るなと言い放つ。

ブライトはこれをスルーし、リアガードを展開し先程のレミリアへのお返しを始める。

 

「重力井戸でマーハをアタック!「『ハウルオウル』でガード!」

ネオンメサイアのブースト、オルターエゴ・メサイアでアタック!

ブリンクメサイアのスキル、グレード3のメサイアのヴァンガードがアタックした時ソウルインし、パワー+5000を与え1枚ドローする!

合計パワーは21000だ!「張り切ってるな、そんなに私に負けるのが嫌か、怖いか?」

……ツインドライブ『デスティニー・ディーラー』『超弦理論の愛し子』『引』ドロートリガー、1枚ドロー!「……ふん『ハウルオウル』『引』ドロートリガー、こちらもドローだ」」

 

重力井戸VSドリン:9000+4000VS9000+5000=ガード成功

オルターエゴ・メサイアVSドリン:11000+5000+5000VS9000=ヒット

ツインドライブ『デスティニー・ディーラー』『超弦理論の愛し子』『引』

ブライト:手札:5→6

ダメージチェック『ハウルオウル』『引』

レミリア:手札:5→6 ダメージ:2

ブライト:最終手札:7

 

「ドロートリガーの応酬…………!

しかも何方もキッチリガード分、リアガードコール分の手札を補う形で!」

 

「マジかよ、俺とブロントがやり合った並の引きの良さかよ」

 

聖は双方がドロートリガーを引き合い、使った分の手札を補い実質ハンド消費0でこのターンを終えた事に驚き、汚い忍者はこの引き合いを自らとブロントさんがファイトした際の引きと例え、少し呆れてすらいた。

だが、レミリアの中ではこれはまだ準備運動、本番では無いのだ。

 

「さて、そろそろ身体が温まって来たな、ドロー。

此処からが我が力の全てを発揮する事となる……が、その前に貴様に一つ問いておかねばなるまい。

貴様、八雲藍会長の話では過去の関係の清算を命令されたそうだな?

故に疑問が生まれた…………貴様、数年前のあの日、魔理沙が生死の境を彷徨う事となり、霊夢が消え、貴様も居なくなった事でチーム博麗と、騎士ブロントのチームDRAK、活動拠点を同じく博麗神社とし切磋琢磨し合っていた二つのチーム、それが崩壊したあの日、貴様は命令故にファイトをしたのか、それとも、自らの意思を以ってその結果になると考えファイトをしたのか、或いは何も考えず思考放棄してファイトしたか…………答えろ、貴様には答える義務がある」

 

するとレミリアは本番になる前にブライトに一つの事を問い質す。

それはこのファイトの後汚い忍者も聞こうとしていたある種の爆弾、魔理沙が厳罰化された直後にアンティを無視し、生死の境を彷徨ってしまい、更に霊夢とブライトが居なくなった事でリーダーを含めたメンバー半分が消え、チーム博麗が実質消滅し、魔理沙も傷付いた事でそれらを守る事も止める事も何もかもが遅れたブロントさんは責任を感じ、チームDRAKを解散して武者修行の旅に出てしまったその日に、原因の一つである青年はその日に何を思い、考え、又は思考を停止させたか、或いは無理矢理従わされたのかを問う。

ブライトはその事をそろそろ聞かれると思い、いつ聞かれようともただ一つの答えを口にする用意は出来ていた為それに応える。

 

「……あの日、確かに俺は会長から命令を受け、全ての関係を清算すべく魔理沙に絶縁を持ち掛け、アンティファイトで負かせた。

だがそれを命令だったから仕方ない、その後に二つのチームが崩壊するなど考えなかったなどとは言わない、俺はそうなると分かっていた上で、自らの意思を以って行動をした。

そして考えた通りの結果が起きた、会長は予測は出来なかった魔理沙のアンティ無視も、魔理沙が死ぬ事は無いのも全てだ。

……敢えて、もう一度だけ言う。

俺はあの日、そうなると分かっていた上で自らの意思を以って行動した、それが答えだ」

 

ブライトは自らの口で、自らの意思で行動を起こし、そして今に至ると応えた。

それを聞き汚い忍者は身勝手な発言と行動により自分の唯一の楽しみであったブロントさんとの戦いを奪われ、数年間も燻る事になったと、そして全て分かってた上での事でのチーム崩壊をさせたしてブロントさんのライバルとして、一つのチームを預かる者として憤りを感じ、奥歯を強く噛み締めていた。

 

「ほうほう、そうかそうか、全ては貴様の意思、貴様自身の他者の命などの干渉は無い行動であるか、そうか………………ならば、余計に温情を掛ける道理など無いと言う訳だな‼︎」

 

それを聞いたレミリアはほんの少し笑みを浮かべた後、直ぐ様怒りに満ちた表情を見せ、吸血鬼としての殺気を全開にし場の空気を支配する。

その瞬間依姫や聖、汚い忍者は身構え、藍と橙は表情を険しくし様子を見る。

 

「会長の命を嫌々受けたならまだ会長に吸血鬼流の文句を言い魔理沙らに土下座させて許した、だが貴様自身の意思であるなら話は違う!!!

貴様は自らの手で、自らの意思で魔理沙や騎士ブロント達の想いや誇り、矜持を砕き踏み躙ったのだ!!!

それが如何なる結果を生むか知りながらだ!!!

であるなら、貴様を赦す訳には行かん、此処でそれら全ての罪をその身を以って贖わせる!!!

この紅魔が主、レミリア・スカーレットの名に懸けて…………貴様を斃す!!!

殲滅せよ、我が分身!!

ライド、『ブラスター ・ダーク ‘‘Diablo’’』ッ!!!」

 

ブラスター ・ダーク ‘‘Diablo’’:P11000、C1

 

「あれは、新しいブラスター ・ダーク!

レミリアさんの新たな力……!」

 

誇りや契約、矜持を重んじる紅魔館、特にその主であるレミリアはブライトの発言が汚い忍者以上に逆鱗に触れ、結果レミリアはその身に宿る妖怪としての、吸血鬼としての殺気を全開にさせたのだ。

そうして自らの分身たるブラスター ・ダーク ‘‘Diablo’’にライドし、イメージ世界ではその手に持つ大剣をオルターエゴ・メサイアに、リアル視点では右手の人差し指と中指でGユニットのカードを挟みながらブライトに向け、更にその瞳にはPSYクオリアの輝きを宿しながら睨み付けていた。

 

「さあ、救世主を騙る咎人よ。

我が力の全てを受け、惨たらしく地に這い蹲るが良い。

そして……自らの罪に赦しを乞い、精々私にその首を刎ねられない様に神に祈るが良い!!!」

 

「……………………」

 

レミリアは全力でブライトに命を奪うかもしれないと宣言し、全力で屠りに掛かり出す。

それに対しブライトは無言のままレミリアを見据え、更に吸血鬼の殺気に呑まれずその瞳にレミリア同様PSYクオリアの輝きを宿しながら相対し、レミリアの攻撃全てを受け切ろうとしていた。

汚い忍者達はこのファイトは間違い無く熾烈を極める、第3ターンで過ぎった予感が現実になろうとしているのを肌で感じながらファイトを再び見守っていた。




此処までの閲覧ありがとうございました。
今回は短めに切りました。
そして、この対戦カードが無事平穏に終わる筈も無く…………。
次回はもっとヒートアップする…………かも?

次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。

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