実は前後編で、前編と後編でタイトルが違うのはヴァンガードでは常識です(例題:櫂の戦い→戦いの果てに…)
では、どうぞ。
蓮子達は博麗神社から『人間の里』に向かい、その人間の里から更に『魔法の森』と呼ばれる森の方面に向かい、その森の入り口にあると言うカードショップ香霖堂へと歩いていた。
道中は麟が守っていた事もあり妖怪に襲われる事も無く、そのまま数十分程で香霖堂の目の前まで来た。
「これが香霖堂………何だが思ったより小さな店ね。
カードショップって確かフリースペースみたいなのがあって其処でカードゲームをやるってイメージがあったんだけど」
「フリースペースならちゃんと店外と店内の両方に完備されてますよ。
店内フリースペースは確かに小さいですが、この裏手の店外フリースペースはかなり広くて香霖堂主催の大会は雨さえ降らなければ店外で、雨が降ったら少し窮屈ですが店内でやりますし、ブースターパックの品揃えは一部を除けば此処が随一で、人里からも近いので利用客も多いんですよ」
「そうなんだ。
店の外観だけじゃ価値は測れないって言う言葉は本当にあったのね〜」
蓮子達は麟から香霖堂の説明を受けて耳を澄ませると、確かに裏手からはワイワイと声が聞こえて来ており、更に店の中にも微かに声があり、見た目以上に賑わいがある店だと言うのが分かった。
そんなこんなで香霖堂の賑わい振りに驚きつつ店の中へ入ると、中には骨董品………と言うより、珍しい物からガラクタまで色んな物が置かれ、隅っこの方にテーブル四つのフリースペースがやっとあり其処で計16人のヴァンガードファイターがファイトしていて、レジの方を見るとヴァンガードのブースターパックの箱が幾つも置かれており、更にカードのシングル売りまでやっており品揃えは良いと言う言葉に嘘偽り無しだった。
「おや、麟かい。
いらっしゃい………後ろの二人は誰かな?」
「こんにちは、霖之助さん。
この二人は外来人で、ヴァンガードの事を学びに来て貰ったんです」
するとレジの奥からブースターパックの補充から戻って来たのか、店主らしき人物が現れ麟と話をしていた。
すると店主らしき人物は蓮子達を見て関心が湧いたのか、二人の下に来て話し掛けてくる。
「へえ、外来人とは珍しい。
初めまして、僕は『森近霖之助』、この香霖堂の店主で、『幻想郷ヴァンガードファイト普及協会』………幻想郷でヴァンガードの良さを広め、皆が正しいルールの下でヴァンガードを楽しめる様にする組織の一員さ、よろしく頼むよ」
「ほうほう………では、私も名乗るとしましょうか!
私は、頭脳明晰スポーツ万能、才色兼備なパーフェクト美少女にしてコワモt「はいはい、一旦お黙蓮子『コツンッ!』ったい‼︎」
霖之助の挨拶に対して蓮子は何時もの名乗り上げをしようとした所、メリーが話が拗れると判断してグーで軽く蓮子の頭を叩きそれを制止し、メリーの方が改めて挨拶をする。
「初めまして、私はマエリベリー・ハーンと言います。
私の事は気軽にメリーと呼んで下さい。
こっちは親友の宇佐見蓮子と言って、私達が活動するサークル秘封倶楽部の部長をしているんです、よろしくお願いします」
「は、はあ、蓮子とメリーと言うのか、よろしく頼むよ。(………このメリーと言う子、似ている………)」
メリーの挨拶で二人の名を知った霖之助は挨拶を返し、温和な表情で二人を見ている………しかし、霖之助は同時にメリーに対し、とある人物と良く似ていると感じ、心の底でその部分を気に留めつつ表情に出さないようにし、会話を続ける。
「で、ヴァンガードを学びに来たと言う事はもうデッキは持っているんだね?
なら、自由にフリースペースを使ってくれて構わないよ」
「あ、それと霖之助さん。
一応二人のデッキの確認をお願い出来ますか?
海賊版だった場合は取り替えないといけませんので」
「………あっ、そうか。
このデッキはアイツが忍ばせた物だから正規品かどうかも怪しい物だったわ」
「あ〜、確かに…………海賊版を使ったら何だかその普及協会って所から罰則が来そうだし、チェックして貰いましょう」
霖之助からフリースペース使用の許可を貰いフリースペースに行こうとした瞬間、麟が二人のデッキを霖之助に改めてチェックして貰う事を提案し、二人はそれに対して正規品かどうかについて失念していた事を改めて知り、霖之助にデッキを渡した。
「ふむ、少し待っててくれ。
直ぐに終わるから」
そう言って霖之助は2つのケースからそれぞれデッキを取り出し、専用のスキャナーに掛けて正規品かどうかのチェックを始める。
すると霖之助は、蓮子のデッキの中に『ブラスター・ブレード』などが入っていた事に驚き、別の機械でカード登録を調べて他の誰かが使っていたかの盗難チェックもして、そちらにも引っ掛からず蓮子のデッキは正規品で且つ盗難された物ではない事が証明される。
一方のメリーのカードは1枚1枚が幻想郷ヴァンガードファイト普及協会の一員である霖之助すら見た事の無いクランのカードであり、此方に関しても念入りにチェックして海賊版か否かを確かめる。
そして結果はメリーのカードも全てが正規品で、問題無く使える物と証明された。
「はい、二人のカードはかなり珍しい物だったから念入りにチェックしたけど、何方も正規品で盗難された物では無いと証明されたよ。
これで二人は問題無くヴァンガードファイトが出来るよ」
「あ、ありがとうございました!
ふう、これで私達は何のお咎めも無く幻想郷で過ごせるわ……」
チェックが無事に終わり、そのまま店外のフリースペースに向かう蓮子達。
更に霖之助も、幾らメリーのカードら海賊版では無いとは言え全く見た事の無いクランなので興味が湧き、彼女らに付いて行き店外フリースペースの空いている席を利用させる。
すると店外フリースペースの1つのテーブルに座っていた少女………黒い服の上に白エプロンをし、如何にも魔法使いな白リボンが付いた黒い三角帽と箒を所持した金髪の少女が麟達に近付く。
「よお、麟にこーりん!
そっちの二人は新しいお客さんかい?」
「あ、魔理沙。
丁度良かったわ、今からこの人達………外の世界から来た二人とヴァンガードファイトをしようと思っていたのよ」
「ほうほう、外来人か。
私は普通の魔法使い『霧雨魔理沙』、魔理沙って呼んでくれよ!」
麟達に近付いた活発そうな少女、魔理沙は自己紹介を簡素にして来たので蓮子達もそれに習い自己紹介を返す。
「魔法使い………まあ、麟が目の前で魔法陣を展開したし、妖怪が居るって言われたらもう驚かないわ。
私はパーフェ「コホン!」…………宇佐見蓮子、蓮子って呼んでよ」
「私はマエリベリー・ハーン、気軽にメリーって呼んでね」
「ほうほう蓮子にメリーか、宜しくな!
で、今からヴァンガードファイトをするんだろ?
だったらどっちか私とファイトしてくれよ、答えは聞いてない!」
蓮子とメリーは魔理沙に自己紹介すると、その魔理沙がヴァンガードファイトをしてくれと(しかも強制YES)要求して来る。
蓮子とメリーとしては今改めてヴァンガードを学び、幻想郷で帰れるその時まで過ごす為にもって来いなのだが、肝心のどっちがファイトをするのかを先に決めて置かなければならず、蓮子は此処は公平にジャンケンをしようとする。
「あー、ちょっと待ってて。
メリー、ジャンケンして魔理沙と「私は一旦観戦するから蓮子は魔理沙とファイトしてて」ファイトするよってメリーさん⁉︎」
「私はもう蓮子よりも先にファイトをした事があるから、次は蓮子の番よ。
それに、蓮子も意外とヴァンガードしたくてウズウズしてるでしょ?
なら尚更、魔理沙とファイトしてよ」
「………まあメリーがそう言うなら」
しかし、メリーが蓮子にファイトを譲られたお返しに魔理沙とのファイトを譲り、当のメリーは観戦する事となる。
因みに今現在、魔理沙の目の前が唯一空いて居る席であり、他の人は付き添いかファイト待ちで控えの椅子に座って居る状況である。
そうして魔理沙と蓮子がファイトをする事となり、蓮子が座ると魔理沙が声を掛けて来る。
「私の相手は蓮子か。
じゃあちょっと確認するが、ヴァンガードのルールは何処まで知ってる?」
「えっ?
確か………最初のグレード0は基本トリガー以外、ライドにコール、ダメージ6点、ブーストとかのアイコンスキル、後はトリガーチェックかな?」
「成る程、基本ルールは大体知ってるって訳か。
じゃあ、後は応用系になるが知らない物が出て来たらジャンジャン言ってくれよ。
私が分かりやすく解説してやるから。
それと………」
魔理沙が蓮子にヴァンガードのルール確認をし、他の知らない部分を教えると言って蓮子もまだビギナーズラックだと知り気軽にファイト出来ると思う。
しかし魔理沙はその後に何かを言おうと少しダンマリして来る。
それに対して蓮子は何かと思い黙って準備しながら聞く。
「このゲームはイメージが重要なのは知ってるよな?
それにちょっと関係があるんだが………蓮子はお気に入りのユニットは居るかい?」
「うーん、私これが初ファイトだからまだお気に入りとかは分からないけど、それがどうかしたの?」
「いや、外の世界では如何か分からないけど、幻想郷のヴァンガードファイターは皆自分のフェイバリットユニットを分身、又は相棒として扱ってライドする時の口上を考えて言うんだよ、一種の意気込みとか願掛けとかそんな感じで。
まぁそんな風習があるんだ程度に思ってくれれば良いさ。
じゃあ、準備OKか?」
如何やら幻想郷のヴァンガードファイターにはフェイバリットユニットにライドする際の口上か存在するらしく、それを聞いた蓮子は確かに気合入れなどに口上を述べるのは可笑しくも無いと思い(恥ずかしくないとは言ってない)、引き直した手札を見てお気に入りのユニットを今見つけようとするがイマイチライドした際のイメージがパッとせず、ファイトしながらお気に入りのユニットを見つけようと思い、それを頭の片隅に追いやる。
「OK、準備完了!
じゃあジャンケン………負けた」
「なら、私が先攻だな。
じゃあ行くぜ!」
『スタンドアップ・ヴァンガード‼︎』
遂に蓮子の初ファイトが始まり、当の本人達に加えて観戦中のメリー、麟、霖之助も蓮子達のファイトをイメージし始めた。
舞台は聖域連合『ユナイテッド・サンクチュアリ』の一角にある騎士訓練所、其処で蓮子は霊体として降り立ち、1人の少年騎士にライドする。
「『先陣の
「『伏竜の
成る程な、蓮子は〈ロイヤルパラディン〉、仲間をコールするのに長けたクランか。
だが私のクランは〈なるかみ〉、そして軸は『
相手のリアガードを壊滅と圧倒的なパワーで相手を倒すのに特化したデッキだぜ!」
対する魔理沙は〈なるかみ〉と言うクラン(幻想郷に来る直前の道中でシャドウに教えられた部隊、組織の事)のショタ青年(魔理沙ライドの為、美少女顔になってる)で、妙に魔理沙がライドすると可愛くなってしまっていた。
が、蓮子は聞き逃さなかった。
リアガードの壊滅を得意とするクランとリアガードをコールするのに長けたクラン、つまり相性がかなり悪い組み合わせだと分かり、初ファイトでいきなりこれかと警戒心を強めた。
「まあまあ、私は初心者には優しいからそう肩に力を入れるなって。
ライド、『送り火の
リンチュウは先駆スキル、他のユニットがライドした際にソウルからリアガードサークルに移動するスキルでヴァンガードの後ろにコール!
ターンエンドだぜ!」
「そう言われても相性的に無理でしょ………ドロー。
じゃあ、『連節棍の
更に『誠実の
シンリックでカストルをアタック!
この時シンリックはヴァンガードに『
ファイルのブースト、イスバザードでアタック!
トリガーチェック『まぁるがる』『引』ゲット、ドロートリガー!」
蓮子は初ファイトの初ヴァンガードのアタックをドロートリガーで飾り、手札の枚数アドバンテージを稼ぐ。
これにはメリー達や相対する魔理沙も引きの強さに感心し、負けていられないと思い反撃を開始する。
「ドロー、『覇軍の
更に『
………宣言したな?(ニヤリ)」
「あれ?
なんかマズった?」
蓮子のノーガード宣言に魔理沙はニヤリと笑みを浮かべ、そそくさとトリガーチェックに入る。
これには経験者の麟や霖之助も知らなかったから仕方無いとし、それを横から見たメリーは蓮子がかなりやばい地雷原に突っ走ったと思い、経験者達はこれを次のファイトの教訓にして欲しいと思った。
「トリガーチェック『
パワーはローレンツフォース、クリティカルはズイタンに割り振るぜ!「初回アタックがクリティカルとか痛いって、ダメージチェック‼︎『ぐりんがる・
またまたドロートリガーゲット‼︎」引き強いな!
まあ、それでも良いさ。
先ずはリンチュウのスキル、
シンリックを退却させて、次にズイタンのスキル!
これまたヴァンガードが『
「んなっ⁉︎
シンリックが退却したのにそれのコストがほぼ帳消しですと⁉︎「ローレンツフォースでアタック‼︎」
ガ、ガード‼︎」
ダメージを2枚受け、リンチュウとズイタンのコンボに驚きながらもローレンツフォースのアタックで余計なダメージを受けない様にしっかりガードする蓮子。
更に蓮子の中で教訓として、リンチュウを見掛けたら先ずリアガードは必ず1体は序盤から退却させられる事が刻まれ、ガードするタイミングを計るのも大事なんだと学んだ。
しかし今の蓮子の行動は別段プレイミスでは無く、寧ろクリティカルトリガーを引かれた後のローレンツフォースのアタックを受けてダメージレースを広げる事がプレイミスなので此処まではまだ挽回可能である。
「さて、私はこれでターンエンドだぜ」
「蓮子、初ファイトだけど頑張って!」
「も、モチのロンだよメリー!
此処から超天才パーフェクト美少女な蓮子ちゃんが華麗なる大逆転を見せてやるわ‼︎(………とは言え、今の魔理沙の動きで本当にこっちのリアガードを簡単に薙ぎ払う事が証明されちゃった訳だし………堅実に動くか、速攻を掛けるか………)
私のターン、スタンド&ドロー!」
メリーの声援を受けて、蓮子は少し動揺しながらもそれを何時ものノリで返す………が、内心では魔理沙の動きに対して如何動けば良いのか考え倦ねており、何時も以上に悩んでいた。
しかし、それではファイトが何時まで経っても進まないので取り敢えずドローだけしてその後考えようとする………正にその時だった。
「(………あれ、此処は?)」
突如、蓮子のみに不意に魔理沙達と別のイメージが流れ込み、彼女らとは別の場所にイメージを跳ばされる。
其処は真っ暗な空間に幾つもの虹色の球体が浮かぶ不思議な空間で、気付けば其処には蓮子ともう一人………白い鎧を身に着け、同じく白い剣を携えた一人の騎士が片膝を地に付けながら居た。
「貴方は………誰?」
「………貴女が、今のマイ・ヴァンガードか?」
蓮子の問いかけに騎士は質問を返し、何とも微妙に会話が噛み合っておらず何時もふざける側の蓮子も困惑する。
が、この騎士がマイ・ヴァンガードと言う言葉を発したのでこの騎士はヴァンガードのユニット、それも今自分が使う〈ロイヤルパラディン〉の騎士かもしれないと何とか理解し、その質問に返答する。
「えっと………貴方が〈ロイヤルパラディン〉のユニットで、私の使ってるデッキに入っているなら、貴方の
「………そうですか。
一度は先導者の剣となり切れず、先代のマイ・ヴァンガードを支え切れなかった私に再び先導者の剣となる機会が訪れるとは………」
蓮子の返答に騎士は安堵の表情を浮かべ、ゆっくりと立ち上がり蓮子の前まで歩いて来る。
その騎士を間近で見た蓮子はその佇まいから歴戦の勇士たる貫禄を感じ、また以前この騎士をイメージで………シャドウからクレイの初イメージを促されたあの時に見た事を………帝国の暴竜や、世界を蝕む侵略者達と仲間と共に戦っていた事を不意に思い出していた。
「貴方、名前は何て言うの?」
「………その問いに答えましょう、マイ・ヴァンガード。
私の名は………ーーーーー」
その名を聞いた瞬間、蓮子と騎士の周りの真っ暗な空間は砕け散り、代わりに美しき青い空と草原が広がり、その青い空はまるで二人を包み込む様に何処までも広がっており、更に二人の出会いを祝福するかの様にそよ風が優しく吹き、次の瞬間蓮子はイメージ世界からリアル視点に戻された。
そして、先程ドローしたカードはイメージ世界で出会った騎士だった。
「………そう、あんたが来てくれたんだ。
なら、一緒にファイトしよう…………魔理沙、今決めたよ!
これが私のフェイバリット、そして分身よ‼︎」
「おお、ファイト中に決めたのか!
なら見せてくれよ、蓮子の分身を!」
蓮子は魔理沙に高らかに自らの分身を決めた事を宣言し、魔理沙や観戦中のメリー達、更に周りのヴァンガードファイター達もそれに興味を持ち、一旦手を止めてそれを見る。
そして、蓮子はそのユニットにライドする。
数多くの死闘を経験し、何度も世界を救い、何度も傷付きながらも立ち上がり、その度に仲間と共に強くなっていった一人の騎士に。
その騎士の名は………。
「立ち上がれ、私の分身!
ライド、『ブラスター・ブレード』‼︎」
「っ⁉︎
ブラスター………ブレード………⁈」
………光の剣士、『ブラスター・ブレード』である。
Q:何で魔理沙〈なるかみ〉なの?
A:マスター『スパーク』→弾幕はパワー(〈なるかみ〉もパワーカード多し)→石田ナオキや馬場タケルが努力家(一応魔理沙も努力家(人に見せないが))
以上の点から決定しました。
他にも魔理沙には魔女繋がりで『黒魔女』か『白魔女』、『ウィッチ』も良いかなと思ってました。
では次回、蓮子VS魔理沙の決着編です。
このまま突っ走りましょう。
キャラ設定を見たいですか?
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