秘封先導鉄   作:”蒼龍”

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閲覧してくださる皆様、大変お待たせしました。
第57話目を更新致します。
しかし、状況的には少ししか動いてません……かも?

では、本編へどうぞ。


第57話「潜入、そして突入」

人里の外れで汚い忍者達が合流してから2時間後、集まった者達は『輝針城』が見える位置まで移動し様子を伺いながら作戦を練っていた。

……一部のメンバーは険悪な雰囲気を隠さずに、だが。

 

「では、改めて作戦を説明する。

先ずは先行部隊が突入し鬼人正邪を誘導、ファイトに持ち込んで倒しカオスブレイカーを確保する。

先行部隊は十六夜咲夜、鈴仙・優曇華院・イナバ、汚い忍者を筆頭にし三方向から突入、誘導。

本命部隊の者達は誘導した箇所に待ち伏せし挟み撃ち、合流。

以上になるが異論がある者は?」

 

「あいつがそう簡単に作戦に掛かる奴とは思えないんだが?

チートアイテムは没収されてるにしても、こっちの考えを読めない間抜けじゃない筈だぞ」

 

「その心配は要らないだろう。

何せ汚い忍者が、搦め手を心得ている者此方側に居るのだからな。

先行部隊の作戦は汚い忍者に任せる、如何なる搦め手も制限はしない。

使える手は使い尽くして貰う」

 

ブライトの作戦説明にレミリアが噛み付くが、それを汚い忍者が居るとしてスルーし、あらゆる手段を講じても良いとする指示を出しながら忍者を見やる。

すると忍者は、あらゆる手段を使っても良いと聞き少し考えた後に顎に手を当て始め、頭の中で搦め手を考え始めていた。

 

「……ふむ、汚い忍者の搦め手か。

確かにあの男の絡む手は我々吸血鬼などの力のある妖怪すら陥れる。

それを遺憾無く発揮すれば天邪鬼如き捕らえるなと容易かろうな」

 

「(お嬢様、それはフラグですよ……)」

 

レミリアがその説明を聞き、太鼓判を押すと心の中で咲夜はフラグだと指摘し、表情に出ていたら苦笑をしているだろうと言う反応を示す。

そしてこの咲夜の予想が正しいと言う事が分かるのはこの後直ぐの出来事である事を、現在この場に居る全員が知る由も無かった。

 

 

 

 

 

 

それから数分後、咲夜、鈴仙、汚い忍者はそれぞれの配置につき、潜入準備を整える。

それに合わせてブライトが通信用のクリスタルに魔力を注ぎ始め、三人に通信をし指示を出し始める。

 

「準備は万端だな?

では、作戦を開始する。

鬼人正邪の事だ、カオスブレイカーのオリジナルカードを持っていながら自分の縄張りに何も仕掛けてない事はありえん。

三人それぞれ迅速に行動し、解除可能なトラップを解除し本隊突入をスムーズにするのも忘れるな。

では潜入せよ。

尚俺以外の普及協会本部所属の者は作戦失敗時のバックアップとして待機、また潜入組は定期的通信として傍受されないこの特製クリスタルで15分毎に通信せよ、以上」

 

ブライトが遂に作戦開始の指示を出し、咲夜、鈴仙、汚い忍者は三方向から瞬時に潜入し、レミリアやブライト達本隊もいつでも突入出来る様に準備をしその時を待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから13分後、最初の定期通信まで残り2分となりブライトはクリスタルを取り出し、通信を待った。

 

「……14分経過……」

 

「咲夜達の事だ、今頃最奥にまで到達し目標を捕捉しているだろうな」

 

「それはこの最初の定期通信で分かる事よ」

 

そして15分が経過し、最初の定期通信が…………行われる事は無かった。

30秒過ぎても連絡は無く、時間には煩い汚い忍者や咲夜や鈴仙と言った規律を重んじる者からも定期通信が来ない事に皆妙な気配を感じざるを得なかった。

 

「可笑しいですね、あの御三方からの連絡が無いのは……」

 

「まさか、何かトラブルが?」

 

「慌てるな、拙達が慌てれば作戦に余計な支障をきたす。

此処は状況確認が先決だろう」

 

「……汚い忍者、定期通信の時間だ、現状を報告せよ…………汚い忍者、応答せよ…………十六夜咲夜、通信は聞こえるか?

…………鈴仙・優曇華院・イナバ状況を報告せよ………………応答無し、か……」

 

聖や寅丸が疑念を口にした直後に不破が余計な動揺を拡げぬ様にブライトに状況確認を促し、当の本人も同じ事を思ったのか潜入した三人に対し通信を行うが、クリスタルから出て来た映像は古いテレビの砂嵐の様な状態で誰からも応答は返って来ず、其処で何かがあったと確信し立ち上がり輝針城を見やっていた。

 

「やはり何かあったと見るべきですね……」

 

「さて、この場はどうするか指示を出して貰おうかな、普及協会の本部職員殿?」

 

依姫がブライトの横に立ち、レミリアが皮肉交じりの言葉をかけブライトが如何なる指示をを出すのかと問い質す。

するとブライトは少し目を閉じた後、再び全員を見やりながら新たな指示を出す。

 

「そうだな……囮と本隊の二つが不測の事態により形作られてしまったな。

なら、囮を使い本隊がカオスブレイカーのオリジナルカードを回収する、異論は無いな?」

 

「やはり、そうなるわね」

 

ブライトは妥当な判断を下し、囮を使い本隊がカオスブレイカーを回収する作戦に即座に切り替え、その旨をその場の全員に伝える。

全員そうなるなと言った反応を示し即座に突入しようとする。

しかし、此処でブライトは本来なら出さないであろう策とは呼べない賭けの手段を直ぐ様口にする。

その賭けの手段とは……。

 

 

 

 

 

 

 

「但し、俺達全員が囮だ」

 

『…………はっ?』

 

自分達全員を囮にすると言うものである。

 

 

 

 

 

 

 

少し時を戻し三人が潜入から12分が経過した頃、汚い忍者は道中にあったトラップを解除しながら掻い潜り、鬼人正邪が居るであろう最奥と潜入地点の中間付近まで来ていた。

しかし、この潜入速度であっても汚い忍者からすれば遅い方で、本来なら咲夜や鈴仙らと共に最奥にまで到達していてもおかしくなく、それ程までにトラップが厚く、何重にも張り巡らせているのだ。

 

「これでトラップの解除数は…………ちっ、50を越した辺りから数えるのが面倒になったな……むっ」

 

一旦立ち止まり頭を掻いていた汚い忍者はそうぼやいた直後に、向かい側の通路から何者かの気配を感じた為少し身を隠し、その気配が通路と通路の合流点に差し掛かった瞬間に苦無を構え身を乗り出すと、其処には自分同様に人差し指で銃の形を作り自分に向けて来る鈴仙と、ナイフを構えていた咲夜が居た。

 

「……大体予定だった合流点でまた会ったな。

その様子からしてそっちも大分トラップ解除に苦戦したみたいだな」

 

「そうね、咲夜と合流してからもかなりの数を解除しながら来たけど、どれもこれも厄介な物ばかりだったわ」

 

「即効性の麻痺毒を塗った吹き矢、落とし穴、警報装置、更に警備用の魔導機械達……搔い潜ったり解除したりシャットダウンさせたりと大忙しだったわ。

これならオリオンやアリス辺りを一緒に連れて来たらもっと効率良く進めたかもって感じね」

 

「だな、マーガトロイドやオリオン辺りならトラップ解除の心得があったからな……ま、今居ない奴の事を考えても時間の無駄だしこれからこの先を三人で突破して行く事を考えるのが余程効率的だ」

 

三人はそれぞれ何処か余裕を持たせた会話をしながらこの先を行く事を考えつつ合流し、先に歩を進める。

すると咲夜が何かを思い出したかの様に懐中時計を取り出し時間を見始める。

 

「咲夜?」

 

「14分経過、そろそろ定期連絡の時間よ」

 

「もうそんな時間か、なら万事順調だって連絡しとくか」

 

それから他の二人も定期通信の事を思い出し、汚い忍者がクリスタルを取り出しきっちりと時間通りに連絡を行おうとした。

しかしクリスタルに魔力を込め、連絡を行おうとしてもクリスタルから出て来る映像は砂嵐状態で、外のブライトとは一切連絡が取れない状態だった。

 

「これは……!」

 

「…………成る程、輝針城と外の魔力の流れが分断されてるな。

結界技術の応用だろうがこれじゃ内部間の通信ならまだしも、外との連絡は全く出来ないな。

……ま、俺らは孤立無援状態になった訳だ」

 

汚い忍者は自分達が置かれた状況、更に輝針城に魔力分断の結界が張られていると看破しながら何処か面白くなって来た、と言う表情を浮かべながら奥へと進み始める。

咲夜達もそれに続き歩を進め出す。

そうして少し進んだ辺りで汚い忍者が立ち止まり物陰に隠れ、咲夜達も合わせて隠れて陰から先を覗いてみると、警備用の魔導機械がこれでもかと言う程の数が巡回し、今まで以上の厳重な警備が敷かれていた。

これにより、鬼人正邪とカオスブレイカーのオリジナルカードはこの奥だと三人は確信する。

しかし、厳重過ぎる警備の為咲夜が時間停止して警備用の魔導機械を排除しようにも咲夜に負担が掛かり手詰まりとなってしまう。

 

「ちっ、この先に目標があるのは間違いねえが…………十六夜一人に任せれば先に進めても効率が悪くなるだけだ。

ちっとばっか手札が足りなかったか……」

 

「……何とか警備の穴を見つけて其処から強行突破、これが一番の手ね」

 

「では、じっくりと観察して穴を見つけましょうか……」

 

そうして三人は警備の穴を見つけようと物陰に留まり、息を潜めながら観察し始める。

しかし1分、2分と待っても警備に穴は開かずただ無駄に時間が過ぎて行く。

汚い忍者は最終手段として自分を囮にして他の二人を奥へと行かせようかと考え始め、足に力を込め始めた……その瞬間。

 

『カラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラ‼︎』

 

『⁈』

 

鳴子の様な音が輝針城内に響き渡り、それと同時に魔導機械が3体を残して他全てが汚い忍者達が先程まで歩いていた通路へと駆け出し、そのまま奥へと消えてしまう。

 

「な、何が起きて……」

 

「……まさか、スカーレット達が中に突入して来たのか?

しかし何故『そのままで良いから聞け』!」

 

輝針城内のその様子から汚い忍者はレミリア達が輝針城内に突入して来たと予測したが理由が不明瞭だと言おうとした所で、ブライトからの通信が入り三人はクリスタルを取り出し話を聞き始める。

 

『我々が囮になる、お前達は目標へ行け、以上』

 

「……はぁ?

いや、突然過ぎて反応に困るんだが…………」

 

どうやらブライト達が囮になる様だが、突然の通信内容から三人は少々困惑していた。

そう、それはこの場だけでなく正面から堂々と突入して来たブライト達も。

 

 

 

「……さて、汚い忍者達への通信は終わった。

後は派手に暴れ回るぞ」

 

「ふん、まさか貴様がこの様な策を持ち出すとは思わなんだ。

だが…………まあ、嫌いでないぞ、こう言う物は」

 

ブライトが指示を出すと、レミリアが少しにやけながら周りを見やる。

すると其処には既に突入した彼女らだけでなく、魔導機械が幾つか倒れてはまた補充されて四方八方を取り囲んでいた。

 

「それで、やる事は?」

 

「まあ単純でしょう、周りの魔導機械を先程みたくファイトで倒し、そして彼らが負けた瞬間に機能停止するのでそれを繰り返しながら正面突破でしょう。

この戦力ならさして問題は無いでしょう」

 

「その様で。

では、行きましょう!」

 

永琳、聖がこれからやる事を改めて確認し、正面突破が全く問題ない戦力であるとも確認した瞬間依姫が掛け声を上げ、正面の魔導機械に全員が突っ込みファイトを開始する。

それぞれが実力を発揮し、次々と魔導機械を倒して行く。

 

「『夜を統べる月神 ツクヨミ』でアタック‼︎」

 

「シークメイト!

正しき志、それは不変不屈の剣となる!

鋼闘機(メタルボーグ) シンバスター』と『鋼闘機(メタルボーグ) ウルバスター』を双闘(レギオン)し、アタック‼︎」

 

「シークメイト、青き炎よ、絆の力で激しく燃え上がれ!

『青き炎の解放者(リベレイター) パーシヴァル』と『誓いの解放者(リベレイター) アグロヴァル』を双闘(レギオン)し、アタック‼︎」

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉ‼︎

『バッドエンド・ドラッガー』でアタック‼︎」

 

先ずは永琳、聖、寅丸、不破が先陣を切り次々と魔導機械を打ち倒して行く、が、魔導機械が出て来るのが止まらず再び取り囲まれる。

 

「『サンクチュアリガード・ドラゴン』でアタック‼︎」

 

「ふっ、『ブラスター・ダーク ‘‘Diablo(ディアブロ)’’』でアタック!」

 

次に依姫とレミリアが魔導機械を倒し道を開く。

するとまた魔導機械が道を阻む様に出て来るが。

 

「時間は余り掛けられんのでな、さっさと倒す……『威圧する(ドーンティング・)根絶者(デリーター) ヲクシズ』でアタック‼︎」

 

それをブライトが『根絶者(デリーター)』デッキで速攻をし道を切り開く。

そして今度は道がちゃんと開けており、全員はそのまま奥へと走り……この一連の行動を繰り返していた。

 

 

 

 

場所を戻し汚い忍者達は物陰に留まり続け、残り三体となった魔導機械を見て作戦を決めていた。

 

「……んじゃ、俺が囮になってあいつらを倒す。

そしてお前らはその間に奥へ行く、良いな?」

 

「それで良いわ、あんたも直ぐに追い付きなさいよ?」

 

「ふん、誰に物を言ってやがる」

 

その作戦会議にて、汚い忍者が提案した自らが殿となり魔導機械を押さえ、その隙に咲夜と鈴仙が奥へ行く事となり、鈴仙は少し笑みを浮かべながら汚い忍者に皮肉混じりで追い付けと言うが、別に汚い忍者の事を過小評価している訳では無く寧ろ実力を信用しているからこそ軽口を言い合ってるだけである。

 

「さて、軽口は此処までにしといてさっさとやりますか」

 

「その前に汚い忍者、貴方に話があるわ、とても重要な話がね……」

そんな会話を終え汚い忍者は早速行動に移ろうとした所で咲夜が何かを言い始め汚い忍者は最初は早く話終われと思いながら聞いていたが、それを聞く内に表情が変わって行き、最後には口が釣り上がり側から見ても先程までとは逆のハイテンションになろうとしている所であった。

そして…………汚い忍者はセンサーに誤作動を与える煙玉を炊き、高笑いを上げながら魔導機械一体を蹴り飛ばし、魔導機械のタゲ取りをしていた。

 

「はははは…………クハハハハ、ひゃーっはっはっはっは‼︎

そうかそうか、アイツが武者修行から戻って来やがったか‼︎

ならさっさとこの任務を終わらせてアイツの所に行かなきゃな、俺の方が強い事を証明する為にもな‼︎

首を長くして待ってやがれよぉ、ブロントォ〜!!!!!」

 

そう、咲夜から自らの最大の宿敵にして最強のライバルであった人物の帰還を聞かされ、今までややローテーションだった汚い忍者の中のスイッチが入り、彼の中にある闘志が激しく燃え上がり手が付けられなくなってしまっていた。

その間に予定通り咲夜と鈴仙はこっそりと煙に紛れながら奥へと抜けていた。

 

「良いの?

アイツ今気分がハイになり過ぎてやり過ぎた上で私達が此処まで来てるってバレるわよ?」

 

「うーん、もう少し大人しめに行動するかなとは思っていたのだけれど……予想外だったわ。

でも、あの様子なら負けないわ。

何せ、ブロントさんの最大のライバルに火が付いてしまったからね」

 

「……ま、後はなる様にって事ね」

 

咲夜は汚い忍者があそこまでハイテンションになるとは思わず、微妙にやらかしたと思いつつも走り、鈴仙もなる様になると割り切って後から続く。

そしてその背後ではハイテンションとなった汚い忍者が大きな声でライド、コール、ストライド・ジェネレーションと叫び自分が如何にライバルを求めて燻っていたか、如何に再び燃え滾っているのかを示しているのであった。




此処までの閲覧ありがとうございました。
今回ひじりんや星のデッキを紹介します。
ひじりんのデッキは〈ディメンジョンポリス〉、クランコンセプトは『兎に角ヴァンガード強化』でヴァンガードに中々派手なスキルが備わってます。
そして星は内藤と同じ〈ゴールドパラディン〉ですが内藤のと比べるとやや違う『解放者(リベレイター)』と言う名称デッキとなっています。

次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。

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