秘封先導鉄   作:”蒼龍”

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こんな時間に投稿して申し訳ありませんが、第56話目更新です。
今回はファイト回では無い為早めに投稿出来ました。
そして今回のお話……自分が書いていた中でも随一にギスギスなふいんき(何故か変換出来ない)かも知れません……(汗)

では、本編へどうぞ。


第56話「カオスブレイカー回収指令」

忍者達がカードハンター達を捕縛してから1時間後、忍者ら5名はカードハンター、及び奪われていたカードを地霊殿支部に引き渡し、報告の為にさとりが居る執務室に来ていた。

 

「……以上が報告だ。

カードハンター捕縛任務はこれで完了で良いか?」

 

「ええ、ご報告ありがとうございます。

彼らは少数で行動し、こちらが用意した捕縛チームの目を盗んではカードの奪取を行なっていた方々でした。

昨今の状況を垣間見て強化されつつある普及協会所属ファイターによる巡回もありますので、これで少しはカードハンター被害が減ると思われます。

皆さん、ご尽力に感謝します」

 

さとりは忍者の報告を聞き終えた後、それぞれの目を見ながら礼を言い頭を下げ、忍者達を労う。

それに忍者、不破は表情を変えず、パルスィは恥ずかしいのかそっぽを向き、雛とメディスンは笑みを浮かべていた。

すると忍者は咳払いをし、他に任務が無いかの確認を取り始める。

 

「ゴホン、でだ古明地支部長、他に任務が無いわけじゃあないだろ?

次の任務、あるよな?」

 

「はい、しかも早急に片付けて欲しい物が1件」

 

「ええ〜また任務〜⁉︎

今日は疲れたよ〜」

 

忍者の問いにさとりは笑みを浮かべていた表情を消し、瞳を閉じながら次の任務、しかも早急に解決するべき案件があると呟き、メディスンはそれにゲンナリして文句と面倒くさいと言う事を思わせる表情を浮かべる。

だが忍者や不破、更に日常的にさとりに世話になっていたパルスィはさとりから笑みが消えた事にこれは何か重要な案件ではと思い、パルスィの方はメディスンを宥め、忍者はその先を促そうとする。

 

「……古明地、俺も馬鹿じゃねぇから分かる、何か重要案件が回って来たんだろ?

ならさっさと通達してくれ、その任務を遂行してやる」

 

「まあ待って下さい、これは私から直接では無く普及協会本部から回された最重要事項なんですよ。

なので、此処は一度これを運んで来た方にご説明頂きましょう。

さて、では来て下さい」

 

忍者に促されたさとりは片手を少し上げて慌てないようにと言うニュアンスで言葉を発し、またこれが普及協会本部から回って来た物と言いそれの説明を回して来た人物にさせるべく入室する様にと忍者達の背後にある入室用のドアに向け声を上げる。

そしてそれを待っていたと言わんばかりの丁度良いタイミングでドアが開き、その人物…………普及協会本部所属であり、ブロントさん達の元仲間であったブライトが入室する。

 

「あ、あぁ〜、アンタ‼︎」

 

「…………フン、ブロントさん達の元お仲間で、チーム崩壊の原因の一つのアンタが普及協会本部所属なんてね、能力が高くて妬ましいわね」

 

「……お久し振りですね……」

 

「…………」

 

ブライトを見た途端メディスン、パルスィ、雛が明らかな嫌悪感を剥き出しにした表情を見せ、忍者と不破は表情一つ変えず黙って見ている中、ブライトは女性陣のそれを無視し、さとりの横に立ち口を開き始めた。

 

「……互いに知らない顔では無いので自己紹介は省こう。

さて、俺は普及協会本部よりとある最重要案件を此処、地霊殿支部に運んで来た。

それの説明を行うのでしっかり聞いて欲しい」

 

「ええ〜、なんでアンタみたいな奴の話を聞かなきゃいけないのよ!」

 

「言っておくがコレは俺からの進言では無い、この件に関しては普及協会会長たる八雲藍殿直々の通達で、全支部に俺の様な普及協会本部所属の者を寄越し早急に対応する様にとの指令を受けている。

汚忍LSは地霊殿支部、ひいては地底所か現在の幻想郷に於ける最高戦力の一つ、話を聞かないと言う選択肢は無いと考えてた方が良い」

 

そのブライトにメディスンが不満を漏らし、話を聞く気がまるで無かったがブライトはそれを一蹴、更に八雲藍会長の名も出し話を聞かないと言う選択を無くして何が何でも話を進める気であった。

そんな様子や一言一言に注視していた忍者は顎に手を当て考え、何か途轍も無い案件が回って来たとしてその先を早く話す様に無言で促す。

それを察知しブライトも話を再び進め出す。

 

「……八雲藍殿から送られた指令、それは『星輝兵(スターベイダー) カオスブレイカー・ドラゴン』のオリジナルカード……〈リンクジョーカー〉出現の際に現れた最初の1枚、それの回収だ」

 

「何、カオスブレイカーだと!」

 

「その指令、確かな物か?」

 

「詳細はこちらの資料に記載されてる。

それぞれしっかりと目を通して欲しい」

 

ブライトの口からカオスブレイカー・ドラゴンのオリジナルカードの回収と言う言葉が出た瞬間、忍者や不破も驚き表情が崩れ、女性陣も目を見開いたり驚いたりなど様々な反応を見せる。

何故なら、幻想郷の住人……特に、〈リンクジョーカー〉や‘‘Я(リバース)’’との交戦経験があるファイターならばカオスブレイカーが何を幻想郷に齎したか知っているからだ。

 

「……っ‼︎」

 

「はっ、パ、パルスィ⁉︎

だ、大丈夫⁉︎」

 

「だ、大丈夫…………大丈夫……少し、昔の事を思い出しただけだから……」

 

「……」

 

その時パルスィの脳裏に数年前の光景…………自分の友人達が、知人達が、そして果ては自分自身が‘‘Я(リバース)’’して行き、〈リンクジョーカー〉の尖兵と成り果てた挙句忍者や周りの者達を次々に襲い掛かる光景…………特にパルスィはカオスブレイカー・ドラゴンを所持していたファイターと交戦して敗北しており、その時の事が完全なトラウマと化しており、今でも〈リンクジョーカー〉等とファイトする際にその時の事が頭に浮かび、少し青ざめてしまう程であった。

忍者はそんなパルスィの状態を見てブライトにさっさと要件を話してこの話を終われと無言の圧力を掛けながら資料を確認し、ブライトもパルスィの状態を知ってる為早々と話を切り上げるべく話を進める。

 

「……資料に書いてある通りカオスブレイカーのオリジナルカードは、今まで見つからず終いだったが、普及協会本部の情報部が調査を続けた結果、所有者の発見へと至った。

この情報は信憑性が高い事から、八雲藍会長殿は侵略の力を失ったとは言え、万一の場合……かつての『反転異変』級の事態に備え、また発生前に防ぐべく全支部の動ける所属ファイターに回収指令を下した。

そしてその所有者は…………資料に書かれてる通り、かつて〈リンクジョーカー〉の器にされ、カオスブレイカーのみならず‘‘Ω(オメガ)’’ グレンディオスまで使用させられ一時意識を失い続けた『鬼人正邪』、彼女だ」

 

「はぁ、鬼人正邪⁈

あいつ、あんなに痛い目に遭わされてるのにまだカオスブレイカーを持ってるの⁉︎」

 

そしてメディスン達も改めて資料に目を向け、一言一句一行字を間違えずに読んで行き、其処でブライトの口からも出た名前……天邪鬼にして〈リンクジョーカー〉達が引き起こした最大級の異変、『反転異変』の被害者であり加害者でもある妖怪『鬼人正邪』の名が其処にあった。

 

「おいおいマジかよ、あの天邪鬼何でンなもん持ってやがるんだよ……」

 

「理由は不明だが、推測になるが彼女は『反転異変』以前から『強者と弱者の立場を逆転させる』と言う思想を抱いていた。

恐らく彼女はほぼ危険性が消えたが、そのユニットパワーが圧倒的であるカオスブレイカーを利用し、現体制に対して反逆を起こそうとしていると考えられる。

八雲藍会長殿はその可能性も視野に入れてカオスブレイカーのオリジナルカード回収指令を下したのだ。

して、汚忍LSに問う、この指令を受けカオスブレイカーの回収任務を遂行するか?

一個人の事情などがあれば参加しなくても良い、俺が潰した選択肢は話を聞かないと言う物だけだ」

 

汚い忍者もオリジナルカードの所有者がまさかの正邪であった事に呆れたと言う表情や仕草をし、ブライトも若干呆れ顔をしながら推測を立て、彼女が何かを企む、それも現体制に対しての反逆とし八雲藍もこの可能性があるが故に回収指令を下したとまで言い切っていた。

そして本題である回収指令を聞き入れ、カオスブレイカーのオリジナルカード回収任務を遂行するか否かを問い質す。

すると忍者は溜息を吐きながらブライトやさとりを見て明らかに二人が『受けてくれ』と言う雰囲気を出している事も察知していた。

よって出る応えは明白であった。

 

「はぁ、お前ら二人が受けろって雰囲気出してるのに気付かないアホじゃねえっての。

良いだろう、受けてやる。

俺もカオスブレイカーのオリジナルカードなんて目に見えて爆弾な奴を放って置くなんて将来的に非効率になる物は放って置けねえしな」

 

「では汚忍LSも引き受けるで良いな。

任務開始時刻は今より5時間後、地上での合流地点にて他支部より来た者達と合流してからとする。

それまでは各々準備は怠らない様に「但しだ」……」

 

汚い忍者の言葉を聞きブライトは任務開始時刻と場所を淡々と話し、それまでに準備を万全にと言おうとした瞬間汚い忍者が口を挟み、ドアに向かって歩いていた所をブライトに向かって振り返り、そして…………殺意に似た威圧感を放ちながらブライトに言を飛ばす。

 

「てめぇもこの任務に参加して、俺らと一緒に行動するなら最大限利用し尽くしてやる。

だがな…………俺はお前を許さねえ。

ブロント達のチーム崩壊の原因、その一つがてめぇにあるんだからな…………」

 

「……ふん……」

 

「べぇ〜!」

 

汚い忍者はブライトに対し許さないと公言し、パルスィも振り向きざまに敵意ある言葉を出し、メディスンに至っては子供の容姿らしく舌を出して嫌味を隠さずに退出して行った。

また温厚な性格の雛も怒りの表情を向けたまま執務室から去り、不破は何も言わないながらも忍者みたく任務では私情を挟まず遂行するが、許す気は無いと言う雰囲気を出しながら退出。

そして部屋にはさとりとブライト……宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンに対しての盟約を交わした二人だけとなった。

 

「……物凄い嫌われ振りですね」

 

「当然だ、チームDRAK…………騎士ブロントや霧雨魔理沙達のチームを崩壊させたんだ。

他でも無いチームメンバーだった俺がな。

それで恨まれ憎まれ嫌われるのは当然の事だ、今更謝罪をした所で赦される訳が無い。

ならば言い訳する気も無ければ、目的の為に止まる気も無い」

 

「……本当、貴方は『不器用(・・・)』な頑固者ですね。

私みたいな者で無ければその真意を掴む事も出来ない、本当に頑固ですよ」

 

さとりは皮肉る様にブライトに話し掛け、ブライトも自論を出し自らの目的に向けて足を進めるのみと、他人を一歩踏み込んだ部分に寄せ付けようとはしない考えを示す。

それをさとりは自らの能力で心を読みながらブライトの考えの奥深くまで触れ、頑固者と言い何処か含みを持たせてた笑みを浮かべるのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから5時間後、地上での合流地点……人里の外れにてブライトと地霊殿支部より汚忍LSは代表の汚い忍者と不破(女性陣はブライトと行動を共にするのが不可として待機)が参加し先に到着し、其処で他の支部からの者達が到着するのを待っていた所、永遠亭支部より鈴仙・優曇華院・イナバと八意永琳が、人里支部より妖怪寺であり多くの入信者が居る『命蓮寺』より『聖白蓮』と『寅丸星』が、そして………紅魔館支部からはレミリアと咲夜が、更にヴァンガードファイト連盟の締結により同盟となった月からは何と綿月依姫が普及協会本部所属ファイターと共に現れる。

 

「……おいおい、三つの支部からは支部長が、更に月からも最高レベルのファイターが来るなんざ聞いてねぇぞ」

 

「それだけ事は大きい、それだけだ。

しかし、月のみならず不参加だと予測した紅魔館支部からも来るとはな」

 

「フン、我々も貴様が居ると知っていれば参加しなかったわ。

だがこうして顔を合わせたのだ、我が盟友を貶めた罪、我が支部所属ファイターにちょっかいを掛けるその蛮行、それら全ての罪、今この場で贖わせても良いぞ……?」

 

そしてレミリアとブライトが鉢合わせた瞬間レミリアの方が殺気を出し、咲夜も合わせてブライトに対し殺気を向けナイフと懐中時計を取り出し一触即発の状況となってしまう。

しかし、それを聖が手を叩きながら割って入りその場を諌めようとする。

 

「はい、貴女達今この場で争いの火種を生むのは止めなさい。

今我々がこの場に集まったのは他でも無い、カオスブレイカーの回収と言う一つの目的の為である筈。

ならばこそ、此処で足並みを揃えられない様になる事は控えなさい!

どうしても個人の事情、しがらみを解消したいと言うならばこの任務が終わってからになさい!」

 

「レミリア・スカーレット、私も今回聖白蓮に同意よ。

私も貴女達に、宇佐見蓮子達にしでかした事を考えればこんな事を言う筋合いは無いわ。

けど、それらを無視する程に〈リンクジョーカー〉、カオスブレイカーのオリジナルカードの抱えるあらゆる可能性、危険性をが大きい事は分かる筈よ」

 

「…………フン、命拾いをしたな、この場は。

それと八意永琳、貴様からもまだ聞き出せてない情報は間違い無く存在する。

それを話すまで、此奴程で無いにしろそれらを水に流す事は無いと知れ」

 

聖、永琳の言葉によりレミリアと咲夜はブライトに対しての殺気を収め、一触即発の事態は取り敢えずは収まる。

しかし、ギスギスと棘の様な雰囲気や空気は消えたとは言えず痼りを残したままである事に変わり無かった。

事の経緯を知る鈴仙や、永遠亭での騒動を聞いた依姫は溜息を吐き、寅丸や他の普及協会本部所属ファイターに至ってはオドオドしながら様子を見ており団結が取れない状態であった。

 

「(……ブライトの野郎、レミリア達との間でも問題を起こしてやがったか。

だが紅魔館と永遠亭の間でも何かあったらしいな。

俺らが地上での活動が少なくなった間に、頭上ではかなり複雑な状況になってた様だな……。

さて、これが任務に如何なる影響を及ぼすのか……)」

 

その間汚い忍者は集まった者達の状況を頭の中で簡潔に纏め、任務遂行への影響も計算しながら自分が如何なる行動を取れば効率的か考え始める。

時刻は午後18:45、日が沈み星が輝き始め出すこの時に様々な関係がある人物達が一堂に会するのであった。

ただ一つの目的を、普及協会より下された指令を遂行する為に。

 

「してブライト殿、対象、所有者、それらの所在を確認を含め改めて説明を」

 

「ああ。

対象は『星輝兵(スターベイダー) カオスブレイカー・ドラゴン』のオリジナルカード、所有者は『鬼人正邪』、そして正邪の居る場所は…………あの逆さ城、『輝針城』だ」

 

そうして聖は改めて情報確認をし、ブライトもそれに応え資料の情報を言い、それらを確認しあった。

目指す場所は『輝針城』、かつて正邪が活動拠点とした場所であり、恐らくは誰もがもう其処には当人は近寄ったり潜伏はしないだろうと逆に盲点となっていた場所である。




此処までの閲覧ありがとうございました。
次回からは再びファイト回になる(予定)の為、投稿が遅れるかも知れませんが気長にお待ち下さい。
そして、連続物なので書き切りますが、書き切った後は今回みたいなふいんき(何故かry)の話を今後作るか未定です。
ギスギスな関係が上手く書けない上、読者の皆様が気持ち良く見れるとは思えないので……(←なら書くなと小一時間ry)

次回もよろしくお願いします、よろしければ感想、指摘をお願い致します。

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