今回は第⑨話と違い、チルノのファイトは省略されません。
そしてチルノの対戦相手は誰かもお楽しみに。
では、本編へどうぞ。
追記:秘封先導鉄のUAの総数が気付けば2000を突破してました。
閲覧してくれている皆様、本当にありがとうございますm(_ _)m
チルノ達チームストームファイターは通信用クリスタルに魔力を込め、誰かを呼び出しているレティに連れられ、無縁塚へと到着する。
チルノ以外は特別プログラム前にチルノにデッキを改造する様に要求した為、誰かとファイトをするのだろうと考え、チルノはレティから〈アクアフォース〉に関する事を学び、また現状の〈アクアフォース〉使いで誰が試験管的な立場にあるかも聞いていた為誰が相手になるかは予想が出来ており、ファイト前に気合を入れる事が出来ていた。
「………さて、呼び出しをしてるからあちらは直ぐに来るとは思うけど……心配は要らなかったわね」
そうして無縁塚と三途の川の間の地点まで辿り着き、其処には先客が居た。
その人物の内、チルノは片方の………赤髪の少女に心当たりがあり、また予想通りの人物だった。
その人物は死神であり、普段はサボマイスターと呼ばれ、何時も上司に叱られては正座してと情けない部分が多々ある。
が、ヴァンガードファイトになると上位ファイターとしての実力を見せ、更にはレティが唯一とある〈アクアフォース〉のユニットを使用許可を出す人物で、〈アクアフォース〉のユニットを使う為の試験における試験官としての役割を頼み承諾した者、『小野塚小町』である。
そしてその隣に居るのはその小町の上司であり、幻想郷担当の閻魔『四季映姫・ヤマザナドゥ』である。
「お久し振りですね、クランマスターレティ」
「本来なら貴女がその座に就く筈だったのだけどね。
兎も角久し振り、私の要請に応えて小町を借りさせてくれてありがとうね」
レティと映姫は互いに挨拶と握手を交わし、互いの部下や教え子を見やりこれから始まる特別プログラムに各々の考えを持って見守ろうと言う姿勢が見てとれた。
そしてリグル達も小町の事は知っていた為、チルノが勝てるかどうか心配し始めていた。
何故なら小町も妹紅や不破と同レベル、且つ〈アクアフォース〉の扱いは間違い無くチルノを超えている為である。
「チ、チルノちゃん……」
「……大丈夫、皆で考えたこのデッキなら勝てる、絶対!」
大妖精の呟きに対してチルノはガッツポーズを見せ、小町の前に立つ。
すると小町は…………持ち前の楽観的かつ怠惰な姿勢を崩さず欠伸をしながらチルノにフレンドリーに話しかけ始めていた。
「ふあぁ〜……あ、チルノかい。
こんにちはだね〜」
「こら小町‼︎
これからレティの要望で始まる特別プログラムファイトの前に何ですかその態度は!」
そんな小町に映姫は叱り始め、小町の態度を改めようとしていた。
が……小町は自発的に態度を改め、チルノを見やりだしていた。
その瞳、雰囲気は正に、強敵が来るのを待っていた不完全燃焼の戦士のようであった。
それを見た瞬間チルノは一瞬身構え、小町の雰囲気に呑まれない様にしていた。
「……コホン、ではこれよりレティの要請により特別プログラムファイトを執り行います。
これはチルノ、貴女の今の実力を見る為の物。
お互いに油断せず、躊躇わず、全力を尽くしてファイトをして下さい。
もしそれが出来ないならば小町、チルノ、貴女達は〈アクアフォース〉のデッキを置いて行きなさい。
幸いヴァンガードには多種多様なデッキがあります。
何も〈アクアフォース〉で最強を目指さなくとも良いのです………自分に会う合うデッキを時間を掛けて見つけ、上を目指しなさい」
すると映姫は小町の様子を見て咳払いをし、特別プログラムファイトの目的を口にする。
また、レティから特別プログラムを聞いていたが、大妖精達は何が目的なのかははっきりとは分からずにいたが、映姫が口にした事によりこれが実力診断の様な物だと分かり、もしチルノが負ければ〈アクアフォース〉のデッキ、特に1年前に出会いチルノと共に成長したサヴァスデッキを手放されてしまう事を知り、チルノの側で常に見守り、サヴァスデッキにどんな想いを込め、また共に歩んで来たかを知る大妖精や共に切磋琢磨して来たルーミア達はオロオロしたり、固唾を呑んだりとそれぞれチルノを心配していた。
「分かってますよ映姫様。
私はこう見えてやると決めた事は真面目にやる質なんですよ…………ふふ、私の〈アクアフォース〉にそっちの〈アクアフォース〉が何処まで付いて来られるか、楽しみだよ…スタンドアップ・ヴァンガード!」
「……やっぱり、負けたらサヴァス達と離れ離れにされちゃうか………付いて来れるか?
ふふん、何を勘違いしてるのさ!
付いて行くんじゃない、超えるのよ!
スタンドアップ・ヴァンガード‼︎」
チルノは映姫の言う事を予測していた事を呟き、小町の挑発的な言葉に応えて超えると宣言しながらFVをスタンドアップさせる。
チルノと小町、二人は共にクレイの中で同じ場所をイメージし、其処に霊体として降り立ちユニットに憑依する。
その場所とは、クレイの『大地』では無く『海』、それも深海の中にある崩れた海底神殿前であった。
「『士官候補生 アンドレイ』!」
「『蒼嵐候補生 マリオス』!」
チルノがライドしたユニットはアンドレイ、
対して小町のライドしたFVはマリオス、そのターン中通算3回目以降のアタックのブーストを行い、それがヒットすればデッキの上から5枚を見てとある名を含んだユニットを1枚手札に加えられるスキルを持っている。
そして、マリオスがFVであると言う事はどんな軸のデッキかそのユニットを知っていれば露見するのである。
「やっぱりマリオス………となると、あのデッキは」
「うん、『蒼嵐竜 メイルストローム』や『蒼嵐覇竜 グローリー・メイルストローム』、『蒼嵐業竜 メイルストローム ‘‘
あのユニット達のスキルの厄介さは言わずもがなだけど、それ以外にも『蒼嵐』の名称も持つからチルノの
リグル、ミスティアが小町のデッキを分析し、油断ならないデッキだと解説をし、ルーミアや大妖精は言葉を発さずジッとチルノを見つめ、ファイトの行方を見守っていた。
そしてそれは、特別プログラムを組んだレティもである。
「じゃあ、私の先攻だね。
ドロー。
『蒼嵐戦姫 クリスタ・エリザベス』にライド!
マリオスはヴァンガードの後ろへ移動し、ターンエンド」
蒼嵐候補生 マリオス:P5000、C1
蒼嵐戦姫 クリスタ・エリザベス:P7000、C1
「あたいのターン!
『ケルピーライダー ニッキー』にライド!
アンドレイはヴァンガードの後ろへ移動して、このままアタック!
ドライブチェック……ノートリガー」
士官候補生 アンドレイ:P5000、C1
ケルピーライダー ニッキー:P7000、C1
ニッキーVSクリスタ・エリザベス:7000+5000VS7000=ヒット
ドライブチェック『
ダメージチェック『蒼嵐水将 スピロス』
チルノはデッキの構築を変えたのもあり、先ずは様子見を兼ねてヴァンガードのみでアタックを仕掛ける。
無論これは相手に出方を伺う為に物であり、油断などでは無い事は誰もが知ってる為、ツッコミは入れない。
「私のターン、ドロー。
うーん、手札が芳しく無いねぇ……取り敢えずライド、『蒼嵐水将 スピロス』!
更にコール、『蒼嵐水将 ヘルメス』、『蒼嵐兵 ラスカル・スイーパー』!!」
蒼嵐水将 スピロス:P9000、C1
蒼嵐水将 ヘルメス:P7000、C1
蒼嵐兵 ラスカル・スイーパー:P9000、C1
小町:手札:3
布陣
ラスカル スピロス ヘルメス
R マリオス R
「って、それの何処が芳しく無いの⁉︎
めっちゃ展開してるじゃん‼︎」
「芳しく無いものは芳しく無いのさ。
さて、アタックフェイズに移行しますかねぇ」
手札が芳しく無いと言いつつ順当にライドし、ユニットを展開する小町に対しミスティアがツッコミを入れるが、小町はこれをそよ風に吹かれているが如き表情で受け流し、そのままアタックフェイズに入ろうとしていたが、対してチルノは小町の言葉とライド、及び展開されたユニットを見て考え始めていた。
「(ライドしたのはスピロス、展開したのはラスカル・スイーパーとヘルメス?)「ヘルメスでアタック、スキルでパワー+3000「…ガード、『
(ヘルメスはケイ互換、特定名称のヴァンガードが居ればアタック時にパワーパンプするけどそれは無視。
問題はスピロスとラスカル・スイーパーだ)」
ヘルメスVSニッキー:7000+3000VS7000+5000=ガード成功
チルノは最初のヘルメスのアタックを防ぎ、その後も何故スピロスとラスカル・スイーパーのライド、コール順を逆にしたかを考え、ラスカルとスピロスの役割をアタックフェイズの中で考え出す。
「ラスカル・スイーパーでアタック。「ノーガード、ダメージはノートリガー(ラスカル・スイーパーは『メイルストローム』がヴァンガードに居ればパワーパンプと1回目のアタックを終えたら後ろのリアガードと前後の交代をする、対してスピロスはコストが掛かって条件がメンド臭くなったタイダルみたいなユニット。
これの布陣と手札が芳しく無いって言葉の意味は……)」
次、マリオスのブーストを入れてスピロスでアタック。「……ノーガード」
ドライブチェック……出たのは『蒼嵐戦姫 ドリア』、ドロートリガーだよ。
パワーはアタック出来るユニットが居ないから省略してドロー………。
更にマリオスのスキルでデッキの上から5枚を見るよ………ふふ、『蒼嵐竜 メイルストローム』手札に加えてシャッフル、ターンエンドだよ」
ラスカル・スイーパーVSニッキー:9000VS7000=ヒット
ダメージチェック『海域の守り手 プラトン』
スピロスVSニッキー:9000+5000VS7000=ヒット
ドライブチェック『蒼嵐戦姫 ドリア』『引』
小町:手札:3→4
ダメージチェック『
小町:最終手札:6
チルノ:手札:5、ダメージ:2
チルノはこのターンでダメージが2枚になり、更に対する小町は手札が6枚で次のターンは間違い無くデッキの主軸である『蒼嵐竜 メイルストローム』にライドする事が確定しており、一見すればチルノの方がアドバンテージの差で序盤から押されている。
しかし、チルノの中では小町がドロートリガーでカードを引いたり、マリオスでメイルストロームを引いた瞬間の表情も加味してある考えが浮かび上がり始め、もしこれが当たっているならば自分の引き次第では今後のターン展開を覆す事が出来ると思い、且つその方が面白いと考えると同時右手に力が入り始めていた。
「スタンド&ドロー!
『マグナム・アサルト』にライド!
一気に行く、『タイダル・アサルト』、『
マグナム・アサルト:P9000、C1
タイダル・アサルト:P9000、C1
チルノ:手札:2
布陣
カリスタ マグナム タイダル
R アンドレイ オルティア
「ってチルノ〜⁉︎
何いきなり序盤から展開してるわけ⁉︎
手札が、手札が2枚しか無いし内1枚は最初のドライブチェックで引いたスタシアでしょ⁉︎
次のターンガード仕切れなくなるよ‼︎」
するとチルノは自らの考えが正しいかどうかを確かめるべくユニットを展開するが、展開したリアガードは何と3体。
ライド分の消費を合わせれば手札を4枚も使っているのだ。
これを見れば当然ツッコミが入り、リグルがその役となる。
ミスティアやルーミア、大妖精も何も言わないがリグルと同じ考えを持っておりあたふたしていた。
何故ならチームストームファイターの面々はチルノが使っている為〈アクアフォース〉の特性は熟知しており、手札を序盤から使ってしまうと返しのターンで連撃によるしっぺ返しを受けると散々身に染みているのだ。
当然使用者のチルノがこれを知らない訳が無く、リグル達の考えや言いたい事は理解していたが、今後の展開の為にも此処は自らの予測が正しいかを確かめるのを敢えて優先したのである。
これらを見て小町は一瞬スッと目を細め、映姫とレティはチルノの考えを見抜き、動向を見守る。
「先ずはマグナムでヴァンガードにアタック!「うーん、ノーガードだね」
ドライブチェック、よっしゃドロートリガー‼︎
パワーはタイダルにプラス‼︎」
マグナム・アサルトVSスピロス:9000+5000VS9000=ヒット
ドライブチェック『
タイダル・アサルト:P9000+5000=14000
チルノ:手札:2→3
ダメージチェック『蒼嵐業竜 メイルストローム ‘‘
チルノはドロートリガーを引き当て、タイダルのパワーを引き上げる。
そして、予測が正しいかの賭けに入る準備が整ったチルノはそれを実行に移した。
「さて、先ずはタイダル・アサルトで………ラスカルをアタックかな‼︎
勿論ブースト付きで‼︎「っ、ドリアと『蒼嵐兵 ミサイル・トルーパー』でガード!」
次はカリスタでラスカルアタック‼︎「また………仕方無い、『蒼嵐戦姫 エレクトラ』で完全ガード、コストはさっき引いたメイルストローム!」
……答え合わせ完了だね!」
チルノは答え合わせと言う言葉を発しながら笑顔を見せ、小町はしてやられたと言った感じにチルノを見ていた。
一方大妖精達は何が何だか分からずに頭に疑問符を浮かべていた。
「えっ、えっ?
チルノちゃん何を……?」
「しかも今の、タイダルでヴァンガードにアタックしてからラスカルをアタック、その後カリスタでアタックすれば良かった筈なのに……「答え合わせをしてあげるわ」あ、レティさん!」
そんな大妖精達の疑問に答えるべく、映姫の近くに居たレティが大妖精達の側にやってきて説明を丁寧に始める。
チルノが何を思って先程のターンの行動をしたのかを。
「先ずリグル、確かに貴女の言った通りの行動が本来なら正しいわ。
相手のガードを削りつつダメージを与えられるからね。
でもチルノは敢えてそうしなかった。
理由は小町の手札を予測して後のターンを有利に働かせる為よ」
「えっ?
て言うと?」
「先ずチルノが予測した手札はこうよ、エレクトラ、マリオスで引いたメイルストローム、グレード3、ドリア、ドロートリガーで引いた連撃には一切関与しないカード、恐らくガード札。
そしてグレード3よ。
チルノは小町の言葉、表情から手札がグレード3に偏っていると考えた上で、ラスカル・スイーパーさえ退却させられれば後続など来ない上に戦術を崩せて、退却させられなくとも過剰にガードしてくれると思ってやったのよ。
全く、これが違っていたならあの子はどうする気だったのかしらね」
レティはチルノが考えていた事を説明した上で呆れた、しかし何処か楽しそうな笑みを浮かべていた。
が、これに対し大妖精達はチルノのやったプレイングが悪手にしか考えられない上でもっと別のプレイングがあったのではと考えそれを口にする。
「……でも、ならチルノちゃんはやっぱりリグルちゃんが言った通りの展開やもっと別のプレイングをするべきだったんじゃないんですか?」
「例えば手札消費を抑えて展開とか」
「そうね、チルノのやったのは結果論、小町の引きが良くてブラフだったら唯の悪手。
でも、それでもあの子は自分の予測を信じて突き進んだ……ふふ、あの子は本当に楽しませてくれるわ、色んな意味で。
それとミスティア、貴女の言う手もありだけど下手したらメイルストロームの
メイルストロームを相手取る時は気を付けなさい」
レティは大妖精やミスティアの言う事を聞き、その上で応えたりアドバイスをしたりなどして指導者としてしっかりと対応をする。
それを聞いて大妖精達は頷き、再びチルノと小町の方を見始める。
そんな中、レティは思う所があったのかチルノを見ながら心の中で呟き出す。
「(……妖精とは頭が単純に出来ている。
だからこそ楽しいか否かで物事を考え、日常を過ごす。
慧音には悪いけど、あの子は勉強が嫌いで楽しくないからこそ授業内容を覚えようとせず、成績も悪いわ。
でもヴァンガードは、あの子の中でヴァンガードは自分も他の者も楽しめる物となっているからこそ幾らでも突き詰めるし、頭も働くわ。
そして、だからこそさっきみたいなプレイングも………本当、貴女は私を惹き付けるわチルノ。
……その調子で頑張りなさい、私の1番の教え子……)」
レティは嬉しそうに、しかし一切表情には出さずにチルノをジッと見つめてファイトを見守り、それに対しチルノは少しだけレティの方を見て、ファイトをずっと見られている=期待されていると脳内変換し、また自分を見守ってくれている大妖精達チームの全員の方も見て頷いて自分は大丈夫、サヴァスデッキとは別れないと言う意思を見せて再び小町の方を見た。
「成る程ねぇ……お師匠、いや、先導者かな?
兎も角、マスターレティの期待に応え、心配してくれてるチームの皆の為に、か。
うんうん、中々良い事だね〜。
まぁ………特別プログラムでは余り関係ないね〜。
さて、油断や慢心、気を取られるなんて真似は止しなよ。
でなきゃ………早々に終わるよ?」
「…!」
すると小町はファイトをする際に見せた目付きや雰囲気を再び見せ、明らかにチルノを本気で倒す気でいるのが見え見えだった。
そんな気配を感じたチルノは先程の様に身構え、手札に指を掛けていた。
「さぁ、さっきの強気のプレイングに応じて私もしっかりと受け応えてやろうじゃないか……ドロー!
激しき潮の流れよ、蒼き風を纏いて嵐となれ!
ライド、『蒼嵐竜 メイルストローム』‼︎」
蒼嵐竜 メイルストローム:P11000、C1
「来た……蒼嵐竜 メイルストローム!」
そして小町はチルノの前にデッキの主軸ユニットであり、〈アクアフォース〉のエースカードの1枚、メイルストロームを見せる。
チルノはそれに対しより一層身構え、しかしその表情は彼女らしくこの重要なファイトを楽しんでいると表裏の無い笑顔を見せていた。
そうして特別プログラムファイトは、中盤へと突入して行く………。
本編の閲覧ありがとうございました。
チルノVS小町、〈アクアフォース〉VS〈アクアフォース〉、完全な物ではありませんがミラーマッチと相成りました。
何方の連撃がファイトを制するのか……その答えは次回へと続きます。
次回もよろしくお願いします。
よろしければ、感想等もお願いします。
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