秘封先導鉄   作:”蒼龍”

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第50話、更新いたしました。
今回は告知通りメリー達以外のキャラに焦点が当たるお話です。
第1回目はサブタイにある様にあの子となっています。
では、本編へどうぞ。



幕間「日常(?)編」
第50話「チルノ、悩む」


とある日の人里、其処で小さな大会が開催され里の大人から子供、人間から妖怪、更に妖精など種族や年齢を問わずファイター達が集まっていた。

その中には蓮子とメリーが初クエスト直後にファイトをしたチルノ達『バカルテット』も参加しており、チルノは今1回戦で人里などで師範と呼ばれ慕われている(チルノも慕ってる)『不破刃』とファイトをしている。

 

「行くぞ、『士官候補生 アンドレイ』のブースト、『天鱗水将 タイダルボアー・ドラゴン』で『バッドエンド・ドラッガー』にアタック‼︎「完全ガードだぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎』

ちぃ、トリプルドライブ………クリティカルゲット‼︎

全部『タイダル・アサルト』にプラス‼︎

アタック‼︎「インターセプトだぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

パワー-5000してスタンド、ブーストを入れてアタック‼︎「流影陣‼︎」

あうぅ………ターンエンド!」

 

しかし、状況は芳しく無くチルノは既にダメージ5、更に手札も残り6枚で次の不破の攻撃をとても防げる状態では無かった。

何故なら、バッドエンド・ドラッガーはブレイクライドユニット内でも一度発動すれば対処のしようが無い勝つか負けるかの二択を究極的に詰め込んだユニットなので、手札が10枚あろうが一気に消し飛ばしたり、突破して来るのだ。

 

「ぬぅぅぅぅぅぅぅん‼︎

ブレイクライド、『魔王 ダッドリー・エンペラー』‼︎

バッドエンド・ドラッガーのスキルでヴァンガードにパワー+10000と、リアガードがアタックした時パワー+10000とアタック終了後山札の下に戻るスキルを付与‼︎

では、参る!!

『ジャガーノート・マキシマム』で単独アタック、SB(ソウルブラスト)(1)でこのユニットのパワー+5000、更にブレイクライドでヴァンガードに付与されたスキルを合わせて単独パワーは26000‼︎「うぐ、ガード、インターセプト‼︎」

ジャガーノートはこのアタック後山札に戻り、更にシャッフル!

次、『ハイスピード・ブラッキー』で単独アタック、此方もジャガーノートと同じスキルを使用し、ブレイクライドのスキルと合わせて単独パワー24000‼︎「完全ガード‼︎」

はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎

ダッドリー・エンペラーで『嵐を超える者 サヴァス』にアタック‼︎

更にアタック時にLB4(リミットブレイク)を発動‼︎

CB(カウンターブラスト)(2)を払い、更に手札2枚をソウルへ送り山札から〈スパイクブラザーズ〉のユニットを2体コール‼︎

再び参れ、ジャガーノート・マキシマム‼︎「ふ、防げない……ノーガード‼︎」

ツインドライブ………クリティカルゲット‼︎

パワーは左のジャガーノート、クリティカルはヴァンガードに付与だぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

そうしてチルノは不破の攻撃を防ぎ切れず、クリティカルトリガー入りのアタックを受けてダメージが6枚となり敗北する。

その時のチルノの表情は正にそんなバカなといわんばかりに固まっていた………。

 

 

 

 

 

 

「………ってな事があってさー」

 

それから数時間後、時刻は既に18時になり辺りは暗くなりだしている中でチルノ、大妖精、ルーミア、リグル、ミスティアはとある人物の住まいに上がり込み、今日の大会での出来事を話していた。

因みに大会の優勝者は結局不破となり、バカルテットは全員入賞すら出来ず敗退していた。

 

「いや〜、やっぱり師範は強かったのだ〜(×∀×)」

 

「私達は師範には当たらなかったんだけどね〜」

 

「妹紅さんに当たって……ねぇ」

 

「………………」

 

その人物はチルノ達の言葉を聞いて若干呆れた表情を浮かべ、更に溜め息を吐き特にチルノの方に視線を向け、じっと彼女の方を見ていた。

すると、応援に回り大会には出ていないが全ての試合を見ていた大妖精がその人物に対しチルノ達へのフォローを話し始める。

 

「あ、あの、皆凄く頑張ってて師範や妹紅さんに健闘したんです。

だから、あの、その」

 

「大丈夫よ大妖精、貴女の言い分もちゃんと分かってるから。

………でもね、だからと言って甘やかすのは私のスタンスじゃないのも分かるわよね?

特にチルノ、私と同じく〈アクアフォース〉を使い、更に直接私から指導を受けているなら尚更……」

 

「うっ………わ、分かってるわよ、『レティ』」

 

その人物……冬に真価を発揮する冬に纏わる妖怪『レティ・ホワイトロック』は大妖精のフォローを踏まえた上で口を開き、それぞれに対して苦言を呈し始め、全員正座をしてそれを聞き始める。

 

「格上相手に負ける、ええ、こればかりは実力を付けなければ勝てないのは当たり前、格上なのだから。

しかし、格上以外………実力が拮抗してる身内、更には格下の子に油断して負けるのは頂けないわ」

 

『うっ……』

 

「ルーミア、貴女はこの中で今の所戦績は1番良いし本来ならこの調子で頑張りなさいと言いたいけど、周りの戦績向上にあまり繋がってないのはチームとしてどうかと思うわ、リグル達と一緒に戦略とかを立てなさい。「はいなのだ〜…」

次にリグル、〈メガコロニー〉の深みを今の所活かし切ろうとしてるのは分かるけど、終盤に手札枯渇したり焦る癖を直す事を努力なさい、そしたら今よりも勝てるわ。「はい…」

次にミスティア、〈バミューダ(トライアングル)』のバウンスを活かせる時とそうでない時が戦績を見る限り見られるわね。

デッキを見直したり相手に合わせたりしてどんな風にファイトをセッティングするか考えるのよ。「分かった〜…」

そしてチルノ、〈アクアフォース〉の頂点に立つ『クランマスター』として言うわ。

今の貴女は〈アクアフォース〉を扱い切れていると言えばそうでは無いわ。

ただユニットを並べてアタックしたり、『タイダル・アサルト』等のスキルに振り回されたり、デッキ構築は目先のパワーとかに目を向けがちよ。

もう少しアタック回数を重ねられるユニットに比重を置きなさい「うっ……」」

 

レティはそれぞれに鋭いながらもアドバイスを加えて行き、特にチルノに対しては同じクランを使い、更にそのクランの頂点である称号『クランマスター』として苦言とアドバイスを飛ばし、更にデッキ構築の見直しを行わせようとする。

それに対しチルノは面白くない為反論を言う。

 

「で、でも今の所マジで負けてるのは師範達に対してだし、寺子屋の皆には大体勝ててるし、何よりあたいは最強だから何の問題は」

 

「大体は、でしょう。

貴女、相手をダメージ5枚まで追い詰めておいて油断してノーガード宣言したらクリティカル貰って負けたり、何より最近はマエリベリー・ハーンに負けて以来黒星が目に見えて増えたわ。

そのマエリベリーもファイカの記録を見れば、デッキは正に触りたての初心者の構築だったわね。

貴女、最強を名乗ってるのに初心者に負けて悔しくないのかしら?」

 

「ぐぬぬ…………」

 

「………兎に角、貴女には特別プログラムを組む必要があるわ。

デッキを見直したらまたいらっしゃい」

 

そうしてレティはチルノに対してデッキの見直しを要求し、また見直しを終えた後にまたこのレティの住まいに来る様に指示され、特別プログラムなる物を受けさせる様であった。

それを聞いたチルノ達は素直に外へと出てそれぞれの住処などに戻ろうとしていた。

 

「いやぁ、ボロクソに言われちゃったね〜」

 

「レティさん、ヴァンガードで妥協は許さず、しかし的確に短所を言って補わせる指導者として優秀な方だからね。

そして私達のお姉さん役だし、ホントお世話になりっぱなしだよね〜」

 

「だね。

さて、改善点はそれぞれにある訳だし、皆でそれを改善してレティさんを脅かしてみようか!」

 

ルーミア、ミスティア、リグルはレティの的確な言葉に自分の欠点を理解し、改善点を直すべく早歩きとなって道を歩いていた。

それに対し、チルノはと言えば。

 

「………」

 

「チ、チルノちゃん。

あのね、レティさんはああ言ってたけどチルノちゃんは其処まで〈アクアフォース〉を活かし切れてないと思わないよ?

たまたま最近調子が悪いだけだから気にしないでよ、ね?」

 

レティに言われた事を気にしていたのか他の三人よりも歩くスピードが遅く、地面に視線を向けていた。

それを見かねた大妖精がフォローを入れる。

するとチルノは大妖精の言葉に反応し、顔を上げ笑顔を見せる。

 

「ふ、ふはははは!

大ちゃんったら心配無用だよ!

何てったってあたいは天才にして最強!

ちょっとやそっとの敗北やレティの小言や説教なんかじゃへこたれないさ!

じゃあ大ちゃんに皆、今日はもう此処でお別れだね。

また明日〜!」

 

「あ、チルノちゃん………」

 

チルノは全員に何時もの明るく、何も考えてない様な笑顔を見せてそれぞれの帰路の途中にある分かれ道に着いた時に早々と自分の住処に戻って行き、四人はそんなチルノの後ろ姿を見送っていた。

しかし………。

 

「…………バーカ、無理してるのバレバレだっての」

 

「チルノ、大丈夫かなぁ〜?」

 

「うーん…………」

 

「チルノちゃん……」

 

しかし、四人にはチルノが無理に明るく振る舞っていた事が見て取れ、その後ろ姿が見えなくなった時には見送っていた際の笑顔は無く、チルノと言う一人の友人を心配する表情となっていた。

中でも大妖精はチルノが放って置けず、四人の中で直ぐ様チルノの後を追い掛けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………」

 

ルーミアや大妖精達と別れた後、チルノは後ろを振り返らずに走り、自分の住処の霧の湖の一角、チルノにとっては思い出深い場所まで来て其処で一旦立ち止まり、息を整えてから腰を下ろし、懐からデッキを取り出し、自らのフェイバリットであり分身の『嵐を超える者 サヴァス』を抜き出していた。

「………はぁ、サヴァス。

あんた、負けっぱなしのあたいを見てどう思う?

幻滅した?

それとも励ます?

……答えられるわけないよね、カードなんだし。

………はぁ、レティをがっかりさせっぱなしだなぁ。

何が最強なんだか……」

 

チルノは物言わぬサヴァスに問い掛けるが当然の事ながら応えなど返って来なく、それならチルノはレティを失望させてると呟き、自分が最強であると言う考えがブレ始め、溜め息が出るばかりであった。

 

「……そう言えば、あたいが〈アクアフォース〉を使い始めたのは此処であんたを拾ったからだったよね、サヴァス…」

 

すると不意にチルノは、この思い出深き場所で何があったのかを思い出し、サヴァスを見やりながらその時の事を振り返り出す。

そう、自分がサヴァスを拾い、ヴァンガードを本格的に楽しみ、そして本当の最強を目指し始めた日を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは1年前、大妖精やルーミア達と鬼ごっこをする事となり、ルーミアから逃げていた時の事。

チルノはルーミアから上手く逃げ、彼女を巻いて余裕を持って悠々と歩いていた。

 

「なっはっは〜!

ルーミア、鬼ごっこの逃げる役で負けナシのあたいになんざ100万年早いわよ!

さーて、後はルーミアが来るまでゆっくりと逃げてよ〜と♪

♪♪〜♪〜」

 

チルノは余裕を見せながら鼻歌を歌いながら、しかし足元や周りを見る事を忘れずに歩きルーミアの接近にいつでも反応出来る様にしていた。

しかし、だからであろう。

足元を見ていたが故に鬼ごっこをしている中でカードの1枚すら見逃さなかったのは。

 

「♪〜……うん?

これ…………ヴァンガードのカード?

………もしかして誰かが捨てた奴?

どんなカードにだって価値はあるのに、バカな事をする奴も居るんだね〜……って、これはレティの使ってるクランと同じ奴じゃん!

しかもこれ……最近流行りだした……超越(ストライド)、だっけ?

兎も角、それに関連したスキル持ってるみたいなのに………仕方無い、あたいが拾って使ってやるわよ。

んでもって捨てた奴を見返してやろうじゃん!」

 

そう言ってチルノは拾い上げたカードを見つめて懐に仕舞い、鬼ごっこを終えた後に(チルノは逃げ切った)レティの家に住まいに直ぐ様向かい、拾ったカードを見せに行きデッキ構築を手伝って貰おうと考えていた。

そんなこんなでチルノはレティの家の玄関を叩き、中に入れて貰い話を始める。

 

「それで、私に何の用なの?

今は夏だから余り外に出たくないし、煩わしいのは嫌なのだけど?」

 

「まあまあレティ、そう言わないでこれ見てよ!

じゃん、〈アクアフォース〉のカードを鬼ごっこ中に拾ったよ!」

 

「あら、拾った?

ふーん、〈アクアフォース〉のクランマスターとしてカードを捨てた奴には是非お話をしたいものだけど、今はカードの方を見ましょうか。

………『嵐を超える者 サヴァス』、ストライダーユニット、Gユニットが超越(ストライド)した際にスキルを発揮するタイプのユニットね。

新規ユーザー向けに配布されつつあるカードなのだけどね………それでチルノ、貴女はこれを私に見せに来ただけじゃないでしょう?

大方このカードを軸にデッキを組みたいのでしょう?

良いわ、カードを拾ってくれたお礼にサービスしてあげるわよ」

 

「よっしゃ!」

 

チルノはレティにカードを見せた事でそのカード、サヴァスを中心に動くデッキをレクチャーを受けながら組み、更に〈アクアフォース〉のユニット自体を余り持ってなかった為サービスとしてかなりの種類を紹介され、其処から一般向けに販売されている〈アクアフォース〉のトライアルデッキ二つ分を合わせた物と全く同じ内容のデッキを組み上げ、それを手にしたチルノはご満悦と言った表情を浮かべていた。

 

「ぬふふふ〜、お金足りないからストレージの余りを香霖堂の霖之助から借りて組み上げた余り物デッキじゃない、私だけのデッキが遂に手に入った……!

もうこれでルーミア達にも負けないぞ!」

 

「はいはい、嬉しそうで何よりよ。

それより、早速だけど私とテストファイトをしてみない?

無論テストファイトだから手加減してあげるし、貴女とデッキの相性を確かめてみたいのよ」

 

「えっ、テストファイトもしてくれるの⁉︎

ありがとレティ!

じゃあ早速ファイトを始めようよ‼︎」

 

更にレティがテストファイトを提案し、それを聞いたチルノは更に明るくなり早速ファイト準備をし、FVと手札(交換済み)を用意していた。

レティもそんなチルノを見て和み、そのまま準備をしてテストファイトを開始する。

すると此処で、レティにとって予想外な事が起きる。

それは、手加減しているとは言え自分が〈アクアフォース〉のデッキを握りたてのチルノにあっさり負け、更にチルノ自身もデッキとの相性が異常なまでに良過ぎたのである。

 

「よっし、あたいってば初めて使うデッキの初ファイトでも勝てるなんてやっぱり最強ね!」

 

「……(この私があっさり負けるとはね………もしかしたらチルノは、このデッキと出会うべくして出会ったのかもしれないわね。

言うなれば運命。

でなければ此処までの相性の良さは発揮しない………ならば、私のやるべき事は一つ、チルノの中に眠る才能を埋もれさせない様にする事………)」

 

レティはチルノとサヴァスデッキが出会った事、相性の良さを運命と称しこの才能を開花させる為に導いてみよう、否、導くと決めてチルノの専属コーチになろうと考え、チルノをジッと見ていた。

チルノはそれに気付き首を傾げ、頭に?を3つ浮かべていた。

その後、レティから自分の専属コーチになる事を告げられチルノは大はしゃぎし、更に其処から大妖精、ルーミア、リグル、ミスティアとレティからヴァンガードを教わっているライバル兼友人が増えて行き、ミスティアが加入してから数日後にはチームを結成し、名前も『チームストームファイター』とし、幻想郷の公式、非公式大会に名乗りを上げたのだ。

 

「(レティにあたいはこのデッキを使いこなせば強くなれるって言われた……なら、どこまでも強くなろうじゃん!

そしていつかレティに本気を出させて、本気のレティに勝って、トップファイター達にも勝って、本当の最強に……!)」

 

そうして、大きな目標を決めたチルノは日々ファイトを重ねて行き、徐々にではあるが幻想郷のトップファイター達を狙い撃ち出来る実力を身に付けて行き、一歩一歩前へ踏み出して行ったのだ。

そう、マエリベリー・ハーンと言う未知のクラン〈ギアクロニクル〉を使う彼女に敗北し、其処から調子が狂うまでは……。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして現在、それらを思い出している中で敗戦を重ねる自身に不甲斐無さを感じたチルノは溜め息を更に吐き、サヴァスのカードを哀愁漂う目で見ていた。

 

「………はぁ、あたいってば……カッコ悪い………「はぁ、はぁ、チルノちゃん…」…大ちゃん…」

 

そんな意気消沈しているチルノの後ろに息を切らせた大妖精が立ち、更にその後ろからルーミア、リグル、ミスティアといつものメンバーが走って来ており、全員その様子からチルノが走り去った後に追い掛けて来ていた事が見てとれていた。

 

「大ちゃん、皆、なんで」

 

「なんでって、ぜぇ、ぜぇ、あの時チルノは明らかに無理してたでしょうが」

 

「私達はチルノの友達で、チームなんだから……ふぅ〜」

 

「心配するのは、当たり前なのだ〜♪

……ゲホッ、ゲホッ、走り過ぎて息が(×∀×)」

 

「皆、チルノちゃんが心配だったから追い掛けて来たんだよ、だからね……一人で抱え込まないで、皆で一緒に悩んで、皆で一緒に満足出来る様にしようよ。

だって皆、チルノちゃんの仲間で、友達で、チームだからね…」

 

チルノは一人一人の言葉を聞き、皆が自分を心配し追い掛けて来た事、レティに厳しく言われて落ち込んでいた事を察していた事に驚き、また嬉しく思い目尻が熱くなりそうになっていたが、其処をグッと堪えて先程の別れ際に見せた作り笑いでは無い本当の笑顔を見せ、何時もの調子に戻り始める。

 

「……皆、ありがと!」

 

「良いって良いって〜♪」

 

「じゃ、早速チルノの家に行ってレティさんに言われたデッキ構築の変更をしようか。

私達も手伝うよ」

 

「わは〜♪」

 

「良かった、チルノちゃんが何時もの調子に戻って……あ、私も手伝うね」

 

そうしてチルノ達は、チルノの家へと行き全員で知恵を絞りながらデッキを改良して行き、更にテストファイトをしてまた改良を加えての繰り返しをして行き、それが夜通し続けられた上に日を跨ぎ、気付けば3日もデッキ改良へと費やし、しかし充実した時間を過ごしつつ着実に改良は進んで行った………。

 

 

 

 

 

 

チルノがレティからデッキ改良を求められてから4日目、遂にチルノが納得の行く改良が完了した為、いよいよレティの家に向かい特別プログラムを受けに行く。

するとレティは家の外に出てチルノ達が来るのを待っていて、その姿を確認すると無言でこちらへ来る様にチルノ達を促していた。

それに従い、チルノ達は緊張感を持ちながらレティの前に立ち、チルノが一歩前へ出る。

 

「来たわね。

早速だけれどチルノ、しっかりとデッキを見直したか確認させて貰うわ。

見せなさい」

 

「オ、オッケー!

はい、皆と一緒に考えたあたいの改良したデッキだよ!」

 

チルノはレティにデッキを渡し、全員で考え抜いた物だとしっかりと言い、レティも全員を見て成る程と言った表情を少し浮かべた後、直ぐ様チルノのデッキを1枚1枚丁寧に見やる。

するとそのデッキは、確かに『タイダル・アサルト』などのユニットが入っているのは変わらないが採用枚数自体が変わってたり、そもそもチルノが使わなかったカードが採用されていたりなどちゃんと考え抜き、またパワー一辺倒では無く〈アクアフォース〉の特性を活かし切ろうとする趣旨がしっかりと見えており、前のデッキと大分違った構築となっている。

それを確認したレティはデッキを一つの束に戻し、チルノに返して感想を述べ始める。

 

「ふむ……そうね、先ず超越(ストライド)を前提に動くデッキであるからサヴァスや『ケルピーライダー ニッキー』は当然入るとして、残りはタイダルのみならず、動き出す時にはしっかりと動き出せる様に仕上がってる……しかも目先のパワー重視を完全に抜かしつつね。

良いわ、特に言うべき点は無い。

早速特別プログラムを受けに行くわよ、付いて来なさい」

 

「よっし‼︎」

 

「先ずは第一関門突破、後はチルノが特別プログラムをこなすだけ……!」

 

「頑張って、チルノちゃん…!」

 

チルノ達はレティからOKを貰った事で安堵し、早速特別プログラムを受けるべく場所を移動する。

大妖精達が付いて行く中でチルノは心の中で闘志を燃やし、特別プログラムを突破するのに集中を始めていた。

そして、チルノ達はレティの案内により特別プログラムを受ける場所………何処で受けるかはチルノ達は知らされておらず、付いて行くしかなかったが方角などからして察し、『無縁塚』へと足を運ぶのであった。

 

 




次回、チルノがファイトをします。
しかもがっつり………(←自らハードルを上げてくスタイル)
誰とファイトをし、どうなるかはお楽しみに。

次回もよろしくお願いします。

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