今回ファイト回では無く会話回となっています。
なのでちょっとした気分で見て頂ければ幸いです。
では、本編へどうぞ。
メリーと永琳のファイト終了後、気絶したメリーは病室に運ばれ、蓮子が付き切りとなりそれ以外の者達……潜入した魔理沙達や最後辺りに来たレミリア達と輝夜、レミリアに付いて来て妖夢の安否確認をしに来た幽々子、更に地下で閉じ込められていた妹紅達も合流し、妹紅と輝夜は出会い頭に殴り合いになったがいつもの事とスルーされ、殴り合いが終わって直ぐに永琳への聞き取りが行われた。
「さあ永琳、話しなさい。
何故この様な事態が起き、また貴女が起こしたか。
隠し立てすれば、相応の罰があると思え」
「はっ…………では先ず、今回の騒動の経緯、及び何故私がそれを起こしたかを話すわ」
永琳は非常に落ち着いた様子で蓮子とメリー、更に妖夢や妹紅達の行方不明から始まった今回の騒動を話し始め、更にファイト中にメリーに語った事も全て話し、それを聞いた魔理沙やブロントさん、更にレミリア達はメリーの力が『八雲紫』と同じ力である事を知り、メリーが紫に余りに似過ぎている事を再認識させられ、更にメリーがファイト中に豹変し、メリーの『力』が再び人に向けられた事に衝撃を受けていた。
「………八雲紫と同じ力?
いえ、メリーがあのスキマ妖怪に似ている?
更に豹変しただと⁉︎
………この私がメリーの方に何かないか、起きないかの確認と予測を怠るとは………‼︎」
「………魔理沙、貴女はメリーが紫に似てるって気付いてたの?」
「……様子で分かっちまうよな。
ああ、蓮子が白玉楼に行く時に秘封倶楽部の活動説明をした時に、メリーの眼で境界を見るって言われた時点でな」
「やっぱりあの時にね……」
レミリアが自身のミスに怒り心頭の中、アリスが魔理沙に質問を投げ掛け、その答えを聞くとアリス自身もやっぱりと言い、更にブロントさん、麟、咲夜もアリスの言葉を分かっており、彼らも魔理沙程鋭く勘付いてた訳ではないが、薄々とメリーが紫と似ていると感じていたのだ。
「……でも、それって根本的な理由を話してませんよね?
永琳さん、話して下さい。
何でこんな事をしたのかって理由とメリーさん達を狙うに至った理由、貴女がまだ語っていない事を全て。
俺達にはその権利がある筈です……」
「そうね………言いなさい永琳、まだ貴女が口にしていない事を。
例えばそう、何故メリーの力が八雲紫と同じだと気付いたのか。
いえ、何故八雲紫の持っていた力を知っているのか」
「それと、『12枚のカード』とやらもな」
しかし、それでも何故永琳がこんな事態を引き起こした根本的な理由や疑問点、更にレミリアが口にした『12枚のカード』と言う物を聞き出して核心に迫ろうとしていた。
それらの事に永琳は口を閉ざす事無く話し始める。
「………何故私が八雲紫とマエリベリー・ハーンの力が全く同じ物だと知っていたか、ね。
そんなの、理由は簡単よ。
私が八雲紫に一時的に協力したからよ」
「何?」
「…………」
永琳は八雲紫とメリーが同じ力を持つ理由を、自分が八雲紫に協力していたからだと話す。
それに反応したレミリア達は輝夜が更に話を進める様に目で促し、輝夜は頷き更に問い詰める。
「スキマ妖怪に協力?
何を協力していたの?」
「………姫様が安全に、何も憂う事の無い未来を創る、その為に私は、彼女の提示した計画に………しかしそれは幻想に過ぎ無かったと私は気付かされた………だから私は途中で協力を取り止めはしたけど、その後に八雲紫と『博麗霊夢』は同時期に…」
すると永琳は話しながらも所々話し辛い内容なのか口籠もり、しかしそれでも何とか話せる部分を口にし、八雲紫が何やら良からぬ事を計画し永琳はそれに付いて行けず離れた事を察した。
更に彼女は、話を続ける。
「そして……私がマエリベリー・ハーンや宇佐見蓮子を狙ったのも八雲紫と同じ力をマエリベリーが持っていたから……彼女の力の危険性は十全に理解していたから…危険な芽は摘むに限る………だからこそ私は排除を考えた。
彼女が八雲紫の計画に必要であった『12枚のカード』に到達する前に」
「12枚のカード………それは一体?」
輝夜が永琳の口から次々と出る言葉を頭に入れる中、漸く『12枚のカード』という単語を聞きそれを問う。
すると永琳は深呼吸をし、話し出す。
「『12枚のカード』とは、私達が持つヴァンガードのカードと違い初めは白紙の状態。
でも、覚醒させる事で我々のカードと同じ状態になり、また、たった1枚だけでも恐ろしい力を有し、12枚揃えば……この世の理を変える程の力を発揮する。
そして、それらのカードは八雲紫とマエリベリー・ハーンの持つ力で契約と覚醒を遂げる………名は、『ディペンドカード』。
八雲紫曰く、クレイのユニットと契約を交わす為のカード」
「ディペンドカード………クレイのユニットと、契約………」
「………成る程、あんたはメリーがそのディペンドカードを入手しない様にする為に、メリーの力が完全な物になる前に排除を考えたと?
………勝手な理屈を………!」
永琳の口から12枚のカード、ディペンドカードの事を聞き出したレミリアと魔理沙達は勝手な理屈からメリーと蓮子の排除を考えた彼女に憤慨するも、咲夜やブロントさん達が間に入り揉め事を起こさない様にしていた。
また、それらを聞いた幽々子は何か思い詰めた表情を一瞬浮かべ、直ぐに普段通りの表情に戻り口元を扇子で隠すも、魔理沙と内藤はそれを見逃していなかった。
が、今は情報を得る事が最優先である為、意識を永琳に戻す。
「うむ、永琳がメリーと蓮子を排除しようとした理由はこるである程度分かった感。
つまりは八雲紫と同じヤバイダークパワーっぽいのを持つメリーが更にヤバイディペンドカードを得るのを危惧して今回の騒動を起こし、力を発揮仕切れないメリーをトリガーでもある蓮子と一緒に排除……こんな経緯があったと言う意見。
駄菓子菓子、これは俺の意見なんだがメリーをそもももディペンドカードに近付けず、また力を使わせなければよろしいのではないかと「無駄よ」………おいィ?
何いきなり意見否定してるわけ?」
「無駄よ、私とファイト中に豹変した事を忘れたのかしら?
確かにあの時は宇佐見蓮子の身にも危害を及ぼすと言う力が発揮されるトリガーを踏み抜いていたわ。
けど、それでもあの豹変は可笑しいわよ。
まるで、ファイトをしている人物が『マエリベリー・ハーンでは無く八雲紫を相手していた』様になるなんて、ね……。
はっきり言うわ、マエリベリー・ハーンはただの外来人じゃない、八雲紫と間違い無く何らかの関わりがあり、また、彼女の意識が力を発揮する度に八雲紫のそれと同調し、力を発揮しなくとも時間で徐々に同調すると考えるわ。
そして、自ずとディペンドカードに引き寄せられて………」
「……はぁ?
永琳、あんた何を言って………」
最後にブロントさんが話を要約し、メリーに力を発揮させずディペンドカードに近付けなければ良いと言おうとしたが永琳はそれを無駄と断じ、メリーが豹変した際に感じた事…………『メリーがまるで八雲紫の様になり、八雲紫そのものを相手しているかの様な感覚に陥った』と言うニュアンスの発言をし、更にはあのファイト後にそれらの経緯と自身が調べ上げた事を纏めて計算をし、メリーが紫と深い関わりがあり、また力を発揮しなくとも徐々に豹変した時と同じ状態になって行き、ディペンドカードに引き寄せられると口にする。
それを魔理沙や他の者達は首を振って否定しようとするが、永琳は更に口を開く。
「……これは私の計算よ。
まだピースが足りないから核心には至らない、けど彼女がこれから陥る事態は予測出来るわ。
貴女達に聞くわ、マエリベリー・ハーンは一度力を発揮した以降は力を発揮する事無く過ごしていたわね?
………そう、やはりね。
にも関わらず、彼女は一度しか発揮していない力をまるで今まで使っていたかの様に振るっていたわ。
そして、八雲紫の様な振る舞いや言動を………この事から、彼女の力は発揮されずとも彼女を侵食し、また、八雲紫の意識と同調して行くと見たわ………簡単に言えば、八雲紫が彼女に干渉し、第2の八雲紫を作ろうとしているのでしょうね、一度は頓挫した計画を実現して為に。
結論を言うならば、いずれ彼女は自身の自我を失い、八雲紫の様に」
「デタラメを言うな‼︎「魔理沙、待て‼︎『ガバッ‼︎』
そんな事を言って自分のやった事を正当化なんか「魔理沙落ち着いて‼︎
頭を冷やして‼︎」うぐっ……………」
魔理沙は永琳の言動を聞き堪忍袋の尾が切れ、彼女に掴み掛かろうとするも周りに押さえ付けられ、落ち着く様に促される。
そんな中永琳は、もう一度口を開き自身の予測を話す。
「出鱈目なんかでは無いわ。
私は敗者、勝者の要求に応え、また勝者の不利益にならない情報を開示するしか出来ないわ。
……もう一度だけ言うわ、マエリベリー・ハーンは力を発揮されずとも自我を徐々に失って行くわ。
そして最後には八雲紫と同調する……………これを止めたいのなら彼女を殺めるか、それが嫌ならば悪い事は言わないわ。
今直ぐ彼女から〈ギアクロニクル〉のデッキに取り上げ、幻想郷から出して元の世界に戻しなさい。
恐らく、あのデッキが触媒となり侵食を更に深めているわ。
何故なら、八雲紫も〈ギアクロニクル〉のデッキを持っていたのだから」
『………………』
そして、永琳は敗者の権利である勝者に対して有益な情報を淡々と開示し、後は口を閉ざしこれ以上の有益な情報は無いと意思掲示をする。
そして魔理沙達は、メリーの今の状態が自分らの考えた事よりもずっと深刻であり、また何もしなくともメリーの自我が失われると言う永琳の計算………恐らく九割九分当たっているこの計算に言葉を失いつつあった………。
その頃のとある病室。
ベッドの上で眠るメリーに付きっ切りの蓮子はそんな会話が行われているとは知らずただただメリーの身を案じ、手を掴みながら目を覚ますのを待っていた。
「…………メリー………」
蓮子はメリーがファイト中に見せたあの異様な雰囲気等から何かが起きたと察しており、またそれが自らが見た悪夢に直結するのだとも直感で理解し、このままメリーが居なくってしまうのでは無いかとも思い、手を握っているのである。
「メリーのあの異様な雰囲気とか……もしあの悪夢が実現してしまうなら………イヤだよ。
私、メリーと離れ離れになるなんて考えたくないよ………もっと一緒に色々な場所に行って、何時もみたいに私がバカやってメリーがそれをあしらって、でもずっと仲良しな。
魔理沙達とも楽しく語り合ったりとか、ヴァンガードをやったりとか、そんな日常が失くなるなんて、イヤだよ……「う、うぅ………蓮子……?」っ、メリー⁉︎
良かった、目を覚ましたのね………あぁ、良かった…………」
蓮子が不安を口にし、自身とメリーによる他愛の無い日常が失くなる事に対し涙が流れそうになる中メリーが目を覚まし、蓮子と視線を合わせる。
するとメリーが目を覚まし、更に何時ものメリーであると確認出来た為か蓮子は堪えていた涙が流れ出し、しかしメリーの手を強く握っていて、メリーも同様に手を握り返していた。
「……此処は…?」
「永遠亭の中の病室よ………メリー、貴女ファイトが終わった直後に倒れたんだよ……?」
「…………そう、なのね………」
メリーがこの場所を聞いて来たのを蓮子は返すと、メリーは納得したかの様に呟き、しかし直ぐに横を向き蓮子に顔を見せない様にして震え始めていた。
それが気になった蓮子は親友に問い掛ける。
「メリー?
どうしたの…?」
「蓮子…………私、怖い………」
「怖い?」
するとメリーは突然怖いと言い出した為、蓮子は困惑し彼女に聞き返す。
それをメリーは震えながら自身の今考えている事を吐露し始める。
「私………ファイト中に変な声が……幽々子さんとのファイトでも聞こえた声が頭の中に響いて………聞きたくない声なのに最後まで聞こえて………それから記憶が曖昧だけど、私、変な風に話して、永琳………さんに、必要以上の敵意とかを持ち出して、それで…………『私が私で無くなる』みたいな事になって…………ファイト前にだって、私、知らない筈の事を当たり前の様に口にして、ずっと前から知っているみたいに話して………私、自分が自分で無くなって行くみたいで……………幻想郷に来る前に見た怖い夢………蓮子と離れ離れになる夢が実際に起きるみたいに感じて………怖い…グス………怖いよ蓮子……………」
「……メリー……」
メリーは蓮子に涙を見せない様に啜り泣き、しかし自分が自分で無くなると言う恐怖心を、更に今までずっと隠していた、蓮子が見たのと良く似た悪夢を口にし、蓮子に助けを求めるかの様に手を握り、その手から震えが伝わり蓮子も強く握り、それらを聞いて思った事を口にする。
「メリー…………私ね、私もね、メリーと同じ様な夢を見たんだ……メリーと私が離れ離れになっちゃう夢を。
だから私ね、「そんなの起きてたまるか!」って感じに我武者羅に突っ走ってたんだ、今の今まで」
「………」
蓮子はメリーに自身のみた悪夢の事を話し、今まで我武者羅にやって来た事を告げる。
それを聞いたメリーは蓮子の方に向き返り、涙を流して悲しい表情になっている自身の今の顔を見せる。
無論それは蓮子も同じで、しかし悲しいながらも笑顔を見せてメリーを落ち着かせようとしていたのが見て取れ、メリーはそれにより震えが少しずつ鎮まって行った。
「…ねぇメリー。
私ね、ファイト中に可笑しくなった時にヤバイって思ったんだ。
あの悪夢が実現しちゃうんじゃないかって。
だから、そんな事させない様に私はメリーに抱き付いて、離すもんかって感じに強く抱き締めたのよ。
そしたら、今に至るんだ」
「蓮子……」
「だからね、もしもメリーが今後もあんな風になるって言うなら、私は何度だって、何時だってメリーを離さない。
メリーから離れない、絶対に何時ものメリーに戻すから。
絶対に何があってもこの手は離さないし、メリーを………絶対に独りにしないから……」
「れん……こ…………ぐす…………うあぁぁぁぁ……………‼︎」
蓮子はメリーに自らの不安を吐き出し、それを実現させぬ様に豹変していたあの場面で抱き付いていたと話す。
そして、メリーにあの様な事が起きても必ず連れ戻す、必ず離さないと誓いながらメリーを見つめる。
その言葉を聞き、蓮子の表情を見て再び涙が溢れ出し、蓮子に抱き付いて泣き、蓮子もメリーを抱き締めて一緒に泣き、二人は共に大粒の涙を流し、絶対に離れたくないと言う意思を示すのであった。
「ねぇ、蓮子……約束して?」
「なに、メリー?」
それから数十分後、泣き疲れるまで泣いた二人は肩を寄せ合いベッドに腰を掛けており、そんな中でメリーが口を開き蓮子もそれを聞き始めようとする。
するとメリーは右手の小指を出し、指切りをしようと言う行動を示し、それに合わせて蓮子も右手の小指を出し指と指を絡ませる。
「もし、もしね、また私が可笑しくなったら……その時は、『私』をどんな事をしてでも、手遅れになる前に連れ戻してね?
お願いよ、私の………最高の相棒で、秘封倶楽部の部長、そして私の掛け替えの無い大親友の蓮子………」
「勿論よ、約束する。
私の最高の相棒で秘封倶楽部の副部長、そして私の掛け替えの無い大親友のメリー………」
二人は互いにメリーが可笑しくなったら止める様に約束し合う為に指切りを交わし、それを聞き交わし終えて、互いに漸く安堵の笑みを浮かべて肩を寄せ合い二人きりの時間を過ごす。
そして二人は心の中で何があろうと離れない、互いの手を離さないと誓っていたのであった。
それから数時間後、蓮子達は妹紅の先導により永遠亭を後に迷いの竹林の外に出ていた。
それを輝夜が見送りに来ており、全員が竹林の外に出た所で輝夜が口を開く。
「それじゃあ皆、今回は永琳が迷惑を、いえ、騒動を起こして申し訳無かったわ。
まだ永琳の口から出ていない事を私から聞き出すから、何か情報を聞き出せたら提供するわ」
「ああ、そうしてくれ」
輝夜は全員に謝罪をして永琳が意図的に語らなかった部分、自身が八雲紫と協力関係にあったが離れたの部分などの詳細を聞き出す事を誓って竹林の中へと戻って行った。
そして、永琳の話を聞きメリーの身に起きている事を話す事を話すか否かを決め、多数決で二人を保護している魔理沙に一任する事となり魔理沙は気まずくなりながら二人に声を掛ける。
「あ、あのな蓮子、メリー。
実は…………メリーの身に起きてる事は「私が」……?」
「私が、メリーが可笑しくなったらどんな手段を使ってでも連れ戻すし、この手は絶対に離さない。
だから魔理沙、皆。
次何かあったら皆の力も借りるからそのつもりでいてよ?」
しかし、魔理沙が話そうとした所で蓮子が満面の笑みを浮かべながらメリーの左手を握る右手にほんのりと力を込め、また魔理沙達にいきなり力を借りる宣言をして魔理沙の言葉を遮った。
そして、それを聞いた魔理沙はと言えば……。
「………そっか、分かったよ。
次何かあったら、今度は私らも力をちゃんと貸すよ。
だから安心しなよ、蓮子、メリー」
結局メリーの身に何が起きてるかは話さない事にし、代わりにメリーがまた豹変する様であれば力を貸すと約束し、全員も魔理沙に一任していた為それで納得し帰路に立った。
現在の時刻は20:45、月の光が皆を、蓮子とメリーの歩む道を優しく照らし出し暗い闇を晴らすのであった。
此処までの閲覧ありがとうございました。
今回で永遠亭編は終了です。
色々と物語が進んだり、伏線がまた出たりとありますが伏線は回収して行きます。
さて、次回からは蓮子とメリー以外のキャラにも焦点を当てた話を投稿して行く予定です。
誰にスポットライトが当たるかはお楽しみに。
次回もよろしくお願いします。
キャラ設定を見たいですか?
-
見たい
-
見たくない
-
次を早く投稿して