秘封先導鉄   作:”蒼龍”

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注意、この先を閲覧するにあたり以下の点をご了承下さい。

・蓮メリが辿り着いた先は我々の知る場所と名は一緒なのに違う部分が多い。
・『DA☆SAKU☆SYA!、オレの指摘だぞ!尋問だ!YEAH!〇〇はどこだ!(ATM風)』
・『〇〇⁉︎〇〇なのか⁉︎何故〇〇がここに?自力で出演を?(不審者兄ちゃん風)』
・『幻想郷のカードとは、スペルカードの事だったのではないのか?答えてみろ、駄作者!(蟹風)』

では、どうぞ。


あ、それから物語の基本視点は蓮メリの両方です。


第1章「幻想入り」
第4話「現の幻想へ……」


一体どれ程の時が流れたのか、どれだけ落ちたのだろうか?

私は生きているのか、死んでいるのか?

彼女は無事なのか、私の側に居るのか?

そんな事を考えながら、メリーは目覚めた。

目覚めて早々、身体をガバッと起こし、周りを見て蓮子が近くに居るかを確認する。

すると当の蓮子はメリーの横4m程で気絶しているのが分かった。

 

「っ、蓮子!

蓮子しっかりして、起きて蓮子‼︎」

 

メリーは直ぐに駆け寄り蓮子を揺すり、起こそうと声を掛ける。

すると蓮子は目を覚まし、メリーに視線を合わせ始める。

 

「うう……メリー?

此処は…………?」

 

「………分からない。

境界を抜けた先何だと思うけど…………」

 

身体を起こした蓮子はメリーと一緒に周りを確認する。

二人が改めて周りを確認すると其処は深い森の中で、しかし木々の隙間から朝日が覗き込んでいる。

時刻は朝日がある事を加味して9時から10時前後だと二人は憶測を立てた。

しかし、幾ら時刻を予測しようとも現状自分達が何処に居て、何処に行けば良いのかが分からなければどうしようもなかった。

 

「ねぇ蓮子、これからどうしよう?」

 

「………とりあえず森を抜ける道を探すわよ。

そして元いた場所に帰る境界を見つけて私達をこんな場所に落っことしたアイツをぶっ飛ばす‼︎

それが今考え得る私達が取るべき行動よ」

 

「………そうね、とりあえずアイツをぶっ飛ばすには大いに賛成よ蓮子!」

 

蓮子とメリーは今やるべき事を決め、こんな場所に落としたシャドウをグーパンでぶっ飛ばす事もついでに決めて二人は森を抜けるべく歩き出した。

すると森を歩く事30分、二人は獣道を見つける。

しかもこの獣道はなだらかで、明らかに人が踏み固めた物だと分かる。

この事から二人はこの獣道を辿れば人がいる場所に着くと分かりホッとし始める。

 

「よ、良かった〜。

この道を歩いて行けば人が居る=助かるわ〜」

 

「ええ。

それに………少しお腹が空いてきたわ。

このまま森を抜けられる見通しが立たなかったらちょっと危なかったわ」

 

二人は本来道とは呼べぬ獣道を辿って行きながら朝食にもありつけるかも知れないと希望を持ち、そのまま早歩きで森を抜けようとする。

そして……………二人は獣道抜け、開けた場所に出る。

しかし開けたと言ってもまだ森の中ではある。

が、二人は目の前に見覚えある物を見つける。

そう、博麗神社に続く石段である。

 

「…………あれ?

私達、確かに境界の中に落ちたよね?

なのに何でこの石段が目の前に⁉︎」

 

「…………えっと、こっちの参道を降れば神社に来る道に戻れて、上がれば神社…………アイツが居るかも知れないから一旦登りましょうか?」

「…………そうね、行こう」

 

二人は石段を降るか登るかを短く話して、登る方にして今シャドウが居るかを確かめ、居たらぶっ飛ばすとして一段、また一段と石段を登り出す。

すると二人は気付く、石段を登る度に不思議な感覚が強くなり出していると。

しかもその感覚は不快な物では無く、寧ろ心地良く二人のシャドウに対する怒りを和らげる物だった。

更に、ある程度登ると鳥居の先、境内から絃楽器の音が聞こえ出し、その音色もまた心を安らぐ心地良い物である。

不思議とそれらに釣られて二人は遂に鳥居の前まで来て、絃楽器を弾く者の正体を見る。

絃楽器を弾いていたのは、白い服に胸元に赤の紐リボン、更に赤いスカートと頭の大きな赤いリボンが特徴の金髪ボブヘアーの少女だった。

すると少女は二人が石段を登り切った直後に丁度一曲終えたらしく一息吐いていた。

すると二人は少女に対していつの間にか拍手をしていた。

 

「えっ⁉︎

あ、参拝客の方ですか?」

 

「あ、別にそんなんじゃなかったんだけど………ちょっとこの場所に用があって来たら貴女が一曲弾いてたからつい聴いちゃって。

で、良い曲を聴かせて貰ったからね」

 

「うん、だから拍手したって訳」

 

「は、はぁ………(この人達の服装…………もしかして、『外の世界』から来たのかな?)」

 

少女は戸惑いながらも蓮子達の話を聞き参拝客では無いが此処に用がある事、服装から『此処』とは違う場所から来た人間だと理解し、話を聞く為に近付き、挨拶を始める。

 

「えっと、初めまして。

私は『冴月麟』って言います(ペコッ)」

「麟さんね。

私は宇佐見蓮子、才色兼備、文武両道、超絶コワモテな美少女よ!

気軽に蓮子ちゃんでも呼び捨てでも良いよ〜」

 

「あ、ごめんなさいおバカ蓮子が調子に乗ってしまって。「ちょっ、メリーさん⁉︎Σ(゚д゚lll)」

私はマエリベリー・ハーン、気軽にメリーって呼んで下さい」

 

「えっと、蓮子さんにメリーさんですね。

それで、一体どんな要件でこの神社へ?」

 

絃楽器を弾いていた少女、麟は一時蓮子の自己紹介に戸惑いながらも、二人が何故博麗神社に用があるのか聞こうとし、蓮子達も今までの経緯を(シャドウの事は終始ぶっ飛ばしたいムカつく男とした)話し始め、麟は其処から二人が矢張り『此所』とは違う所から来た人間、『外来人』だと確信する。

すると蓮子達から腹の虫が鳴り、二人がお腹が空いていると分かると麟は一旦母屋に二人を入れ、ご飯を振舞いそれを食べ終えた後話を続けた。

 

「やっぱり、貴女方は『外来人』だったんですね」

 

『外来人?』

 

「はい、外来人と言うのは此所………結界により隔たれた世界『幻想郷』………妖怪と人間が微妙なバランスの下で共存する世界の外の世界から人達の総称で、皆それぞれの理由で幻想郷の中に入り込む、『幻想入り』をするのですが、貴女方の場合はそのぶっ飛ばしたいムカつく奴の所為で幻想郷の中に送られてしまったのでしょう………少し考え難いパターンですが、貴女方が嘘を言う人には見えないのでそれが事実なのでしょう」

 

麟は外来人が何なのか、幻想郷の事、外来人の事を簡素に説明し、二人は何と無くそうとは思ってはいたが、博麗神社があったのでもしかしたら違うかもしれないと淡い期待を抱いていたが見事な崩れ去り、改めて自分達が異世界に迷い込んだと理解してしまった。

そして尚更シャドウをぶっ飛ばしたいと思い、二人はプルプルと怒りに打ち震えていた。

 

「と、兎に角本来なら早急に貴女方を外の世界に送り返さないとならないんですが………実は、今幻想郷ではその役割を担う『博麗の巫女』が不在で、送り返そうにもそれが出来ない状態なんです………申し訳ないのですが、巫女が決まるその時まで幻想郷で過ごして貰います………」

 

「な、何ですとー!!?」

 

「あ、ああ………試験が、進級が………」

 

更に二人は麟から絶望的な宣言をされ、いつ帰れるかも分からぬ身となってしまい項垂れてしまう。

しかも休み過ぎれば進級出来ず留年してしまい、最悪退学処分を受けてしまう為、花の女子大生生活を棒に振ってしまう事が確定したのも当然となり、二人の絶望感はピークに達して普通の人間なら暫くは再起不能になっていたであろう。

しかし、其処は幾つもの怪異やメリーの夢の世界を潜り抜けて来た秘封倶楽部、こんな事では再起不能にはならず、寧ろシャドウへの怒りが余計に燃え上がりながら復活していた。

 

「ぬ、ぬっふっふ……………あの低身長キザ男め‼︎

次に会った時がアンタの最後よ‼︎

その微妙に良い(具体的には中の上以下)顔をボコボコにしてやるんだからな覚悟してなさいよぬははははははははは‼︎」

 

「ああ蓮子が微妙に壊れた…………でも、それには大賛成よ。

あの顔を徐々に絶望に染め上げて私達にこんな事をした事を後悔させてあげるわ……う、ふふ、うふふふふ…………」

 

「(わ、わ………二人共かなりキレていらっしゃいます…………)」

 

二人の怒りに少し引き、その怒りを向けられている『ぶっ飛ばしたいムカつく男』に対してやや同情し、見つけてもなるべく穏便に済ませようと心掛けた。

それから数分後、二人が落ち着くのを見計らって咳払いし、改めて幻想郷で過ごして行く為に必要な知識など教え始める。

 

「コホン、では改めて言いますが、今現在幻想郷には博麗の巫女が不在の為私や守矢の巫女などが一同に博麗の巫女の代理をしています。

ですが、私達には外来人を外の世界に送り返す手段が無いので博麗の巫女が決まるその時まで幻想郷で過ごして貰います」

 

「分かったわ」

 

「ええ」

 

「それから、この幻想郷では揉め事などを解決するのにある物を使っているのですが、貴女方にも人喰い妖怪などに襲われた時に撃退出来る様にそれを手にして貰います」

 

蓮子とメリーは人喰い妖怪の話を聞いた途端ギョッとし、夢の中で似た様な怪物に襲われた経験から身を強張らせるが、幻想郷ではそれらを撃退する手段があると聞き、安全を確保するために何が何でも手に入れようと思い、それが何なのか聞き始める。

 

「な、成る程………で、冴月さん「麟で良いですよ」じゃあ麟、そのある物って、何なの?」

 

「はい、そのある物とは…………『カードファイト‼︎ヴァンガード』のデッキです!」

 

『……………………はい?』

 

二人は麟から必要な物がヴァンガードのデッキと聞き、ポカーンとなり、いまいち頭が理解しようとしないでいた。

しかし、麟の表情は至極真面目な物で、とても嘘や冗談を言っているとは思えず、何とか情報を飲み込む為に話を続ける。

 

「えっと………麟さん?

何故カードゲームのデッキが必要なんですか?」

 

「はい、この幻想郷ではカードファイトで物事の是非を決める『カードファイトルール』が施行されていて、ヴァンガードの勝敗により殆どの事が決まる様になっています。

なので、何をするにもヴァンガードのデッキを作る事が必要で、それが自分の身を守る第一歩にもなるんです。

あ、勿論身を守る、揉め事解決とは関係無くヴァンガードの大会に参加して幻想郷で名を馳せるトップファイターになるなんて事も、幻想郷に居る間目標にしても良いんですよ?」

 

「な、成る程、ヴァンガードか……………あのムカつく男からヴァンガードを教わったのは悔しいけど正しかった訳か………分かったわ、ヴァンガードのデッキを手に入れる為に頑張るわ」

 

蓮子とメリーは皮肉にもシャドウから学んだヴァンガードがこの幻想郷で生きていくのに必要不可欠なツールであり、最優先でデッキを手にする事が1番だと教えられた。

二人は一旦頭を冷やし、ヴァンガードのデッキを手に入れる為にどうすれば良いのか麟に聞こうと互いにアイコンタクトをして決める。

 

「では、先ずはカードショップに行きましょう。

此処から近く、また品揃えが良い店は『香霖堂』と言う店がありますので其処に行きましょう」

 

「OK、じゃあ行きま『カタッ』…………おりょ?」

 

「えっ?

蓮子のポシェットから…………まさか………『ガサゴソ』…………」

 

麟がカードショップに行く事を促し、早速行動しようとした瞬間蓮子が少し勢い良く動き、且つポシェットが少し開いていた所為からとある物が落ち、それを見たメリーは自分のポシェットの中を探ると蓮子の落としたある物と同じ物が出て来る。

しかもそれは自分達が持っている筈も無く、またこれから手にする筈だった物で、そんな物を二人のポシェットに仕込む事が出来たのはあの時自分らを境界の中に押し込んだ一人の青年………シャドウしか居なかった。

そして、そのとある物の正体とは…………蓮子達が最優先で手に入れるべき物、ヴァンガードのデッキとそれを収めるデッキケーキだった。

 

「あ、あら?

貴女達はもうデッキを持っていたんですか?」

 

「……違う、私達はまだ昨日ヴァンガードを知ったばかりで、ムカつくアイツからティーチングファイトを受けただけでまだデッキは……」

 

「………境界に落とされたあの瞬間に仕込んだ?

でもどうして…………そんな事をするメリットも何も………」

 

「……………失礼ですが、そのデッキを貸して下さい」

 

蓮子とメリーの態度を見た麟は持っていたデッキが彼女達の物では無く『ムカつくアイツ』が仕込んだ物だと察し、更にそんな事を態々したのだから何かあるかもしれないと考えてデッキを二人から受け取り、何か細工されていないかを魔法、目視の両方で確かめる。

先ずは魔法で検査するが異常な点、変な何かが仕込まれてる様子は無く、次に目視の為にケースからデッキを取り出して1枚1枚確認する。

すると、麟は二人の持っていたデッキがかなり異常(何か細工の意味では無く珍しいと言う意味で)だと分かり驚く(蓮子達は麟が目の前で魔法陣を展開した事を驚いている)。

先ず蓮子の持っていたデッキは〈ロイヤルパラディン〉……但し、これだけだと別段珍しく無いがその中身の1枚、その1枚は幻想郷の中でもかなりのレアリティで、持っている者は数が少ない上に品揃えが良いカードショップでも先ずお目に掛かる事の無い伝説のカードの1枚…………ヴァンガードの歴史の始まりを齎したカード、『ブラスター・ブレード』が入っていたのだ。

更にブラスター・ブレードのみならず、その派生ユニットやブラスター・ブレードに関わりがあるユニットで固められた物なのだ。

しかもそのデッキ構築は何処と無く、彼女や彼女の友人の知り合いの物と良く似ている………偶然には出来過ぎたデッキだった。

更にメリーの方はデッキその物が珍しい…………否、麟も全く見た事の無いクランで構築された未知のデッキなのだ。

これには麟も驚きを隠せず唖然とし、返す分は問題無いが怪しさ満点なのに変わり無く、麟の中で蓮子達を幻想入りさせた『ムカつくアイツ』と言う人物の謎が益々深まったのだ。

 

「………麟、もしかしてこれ何かあったの?」

 

「えっ?

い、いえ、何も無かったわ。

使う分は全く問題無いですよ、うん」

 

『?』

 

麟は二人にデッキを返し、少々オドオドとした態度で何でもないと言う………が、これには二人も何かあると思い気に留め、店に着いた後に聞いてみる事にして今は店に向かう事を優先する。

 

「あの〜麟?

カードショップに行くんじゃ」

 

「あ、そうでした!

では、お二人にはデッキ作りから改めてヴァンガードを学んで貰う事に目的を変更して行きましょう!」

 

「ええ、分かったわ」

 

こうして蓮子とメリーは麟に連れられカードショップ香霖堂へと向かい、改めてヴァンガードを学びに行く。

しかし二人の頭の中で引っ掛かる事があった。

何故シャドウは自分達を幻想入りさせたか、何故シャドウはヴァンガードの事を教えたか、何故シャドウは自分達のポシェットにヴァンガードのデッキを忍ばせたのか?

これらの答えを知る為にも今は、幻想郷で生きる選択をするのであった。

お互いが、お互いに教えていないあの悪夢を実現させない為に………、




第4話の閲覧ありがとうございました。
さて、蓮子が持っていたデッキと麟の知り合い………一体どんな関係があるのか?
また、メリーが持つ未知のクランのデッキとは?
そして、何で『ムカつくアイツ』がそんなデッキを所持し、二人の持ち物に仕込んだのか?
それらが分かる時は…………大分先です。
それなら『冴月麟』について。
彼女は本来『東方紅魔郷』に登場する予定だったと言われるキャラで、二次創作界隈では清純派の麟ちゃんにコ麟ブ麟などのキャラ付がなされてますが、本作では清純派寄りです。
コ麟ブ麟は流石に表現が無理&ボケが多過ぎてツッコミ寄りのメリーの胃のストレスがマッハなので、其処の所はどうか許して下さい。

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