秘封先導鉄   作:”蒼龍”

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熱中症に頭をやられたりなどがありましたが第44話更新です。
最後に更新したのが12日前と大幅に遅れてしまい申し訳ありませんでした。
猛省しております。
遅れた分クオリティは……上がってませんがご容赦下さい。
では、本編をどうぞ。


第44話「対峙」

内藤達は妖夢、妹紅の活躍により漸く洗脳から脱し、正気と肉体の自由を取り戻し、二人と合流する。

 

「いやぁ、洗脳ファイトは大変でしたね………て言うか、マジですみませんでした!」

 

「うはwwwwww俺達男性陣超カッコワルスwwwwwwwww足手纏いメンゴwwwwwwww」

 

「ああ全くだよ。

もう2度と洗脳状態のあんたらとは戦わないわ!」

 

「あ、あははは………」

 

ミスト、内藤はネタや草にまみれながらも妖夢達に土下座し、洗脳されてヴァンガードファイトをし、二人を負かそうとした事を悪びれた。

それらを聞いて妹紅は2度と二人がまた洗脳されようとファイトはしないと心に誓い、妖夢は苦笑しながらミスト達を許し、頭を上げさせる。

 

『あらあら、貴方達負けた上に正気に戻ってしまったのね。

ファイトの結果次第ではそうなる様にはしたとは言え、案外呆気ない上に二人だけしか足止めして無いのね』

 

「!

永琳さん……!」

 

「永琳あんた……!」

 

其処に八意永琳が再び妖夢、内藤達に通信し、話し始める。

無論妖夢達は警戒し、その一言一言を注意しながら耳を傾け、今この場所から離れて蓮子達の居る場所へ行く算段を立てようとする。

 

「(兎も角、今は此処を脱して蓮子さん達と合流する算段を立てないと………)永琳さん、何故今更通信を入れて来たのですか?」

 

「それは勿論、貴女達に伝える事2つあったからよ。

しかもどちらも私には良い事、貴女達には悪い事よ」

 

「………何だ、それは?」

 

「先ず1つ、宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンは補足完了したわ。

後は私の下に誘導してまた捕らえるだけ。

因みに救出にきた霧雨魔理沙達も一緒に捕まって貰うわ」

 

『⁉︎』

 

その永琳の口から蓮子達の居場所を特定し、誘導し再び捕らえると言う言葉が出て、妹紅や妖夢達は驚き目を見開く。

そして尚更蓮子達と合流しなければならない、また理由も分からず蓮子達を捕らえさせる訳にはいかないと考え動き出そうとする。

 

「そしてもう1つ、貴女達、もうその区間からは出られないわよ♪」

 

『えっ!?』

 

更に永琳は妖夢達に牢屋の区間から出られない事を告げ、それに妖夢達が驚くと同時に区間同士を繋げる通路の壁が勢い良く閉じ、妖夢達の居る場所を隔離空間にしてしまう。

 

「な、閉じ込められた⁉︎」

 

「………分厚過ぎて焼き切るにも時間が掛かり過ぎる。

やられたわね、私達はこれで蓮子達と合流出来なくなったわ…」

 

「うはwwwwwwwwwwwwwwマジでメンゴwwwwwwwwwwwwww俺様達が操られたばっかりにwwwwwwwww」

 

妖夢達は壁に近付き叩いたり触ったりして厚さを測ったりするが、妹紅の炎でも焼き切って進むには壁が分厚過ぎ、また妖夢の刀などでも斬る事は叶わない為、完全に手も足も出ずに隔離された形となってしまう。

 

「くっ、蓮子さん達と合流しないといけないのに……!」

 

「くそ、このままじゃあ俺、全くの役立たずみたいに話が終わるじゃないか………‼︎

せめて洗脳されて元に戻して貰った恩を返さないとならないのに……ッ‼︎」

 

「ちっ、蓮子、メリー、魔理沙達、無事でいてくれよ……!」

 

「……………」

 

妖夢達はそれぞれの思いを吐露しつつ壁を叩いたりし、へたり込んだり天井を見つめながらその場を動けずにそのまま待機する。

そして、蓮子達と合流出来ず、何も出来ない事への歯痒さを噛み締めながら彼女達の無事を祈るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、ブロントさんや魔理沙達に先導された蓮子とメリーは地下区画を行ったり来たりしながら出口を探し、防衛体勢に入ったモブイナバ達を蹴散らしながら何とか足を進める。

 

「『抹消者(イレイザー) テンペストボルト・ドラゴン』でアタックだ‼︎」

 

「『閃火の聖騎士 サムイル』でハイスラァ‼︎」

 

「『聖樹竜 ジングルフラワー・ドラゴン』でヴァンガードにアタックです!」

 

「『大魔神 ソウルレス・デマゴーグ』でアタック!」

 

「『勝機の(プリヴェール・)宝石騎士(ジュエルナイト) イーヴァン』と『宝石騎士(ジュエルナイト) そーどみー》』で双闘(レギオン)アタック!」

 

「『時空竜 クロノスコマンド・ドラゴン』でヴァンガードにアタック‼︎

回せ、歯車!

流れよ、時流!

全てを飲み込み、時空の彼方に消し飛ばせ!

タイム・リワインド‼︎」

 

「行くわよ、『光源の探索者(シーカー) アルフレッド・エクシヴ』と『ブラスター・ブレード・探索者(シーカー)』で双闘(レギオン)アタック‼︎

2つの閃光の剣よ、敵を斬り裂け!

デュアル・シャイン・ブレード‼︎」

『プギャピッ⁉︎』

 

無論ヴァンガードファイトで蹴散らしているだけだが、アンティで互いに動くなと言う条件の下でファイトしている為、負ければその場で動けず捕まえもせず、または逃げ出せもせずに相手に為すがままにされる為かなり効果的な方法である。

 

「ちっ、それにしても出口は一体何処なんだよ⁉︎」

 

「わからにぃが今は足を止めるなと言う意見!

止まったら捕まり汚い牢屋で不味いメシを食うハメぬなるのは明白に明らか‼︎」

 

「……………」

 

「メリー、どうかしましたか?」

 

そんな中、メリーは何か気になる事があるのか走りながら考え込み、麟がそれが気になり話を掛け何を考えているのかを聞く。

 

「あ、別に大した事じゃないわ………ただ、八意永琳………あの人が何故、私達を捕まえたりしたのかなって」

 

「あー確かに気になるわねそれ。

で、メリーの考えは?

私の場合は『明らかに私達二人が目的で妖夢達はオマケだった』位までは分かるけど、目的自体はちょっとね〜」

 

すると其処に蓮子も走りながら参加し、自らの考えをメリーに言い彼女の考えている事を聞こうとする。

それに対しメリーは言わない理由も無い為話しだす。

 

「ええ……先ず、蓮子の言う通り私も八意永琳の目的は私達と言う点では概ね同じ。

で、肝心の目的なんだけど、私は最初は『私の持つ力を狙っている』と思ったんだけど、それは違うかな〜って」

 

「その理由は?」

 

「ええ、先ず私達を捕らえた時に立ち会って、その時に見た八意永琳の目。

今にしてみればあれは私達を利用する人の目じゃなかった……寧ろ、私達を完全に敵視しているみたいな………そんな目だった」

 

「言われてみれば………」

 

メリーに言われた蓮子も永琳が向けてきた目を思い出し、それが正にメリーの言う通り敵意を秘めた冷たい目であり、何かをすれば容赦無く潰して来ると言う所まで悟り、背筋に氷柱を入れられた様な悪寒が走り、嫌な汗が頬を伝う。

 

「それに…………八意永琳が、短絡的な目的の為に動くとは思えないの………あの人の頭脳は幻想郷でも随一、ならその頭の中でとんでもない計算が成されてると思う」

 

「あー確かに、あいつは月の頭脳って二つ名がある位だし、私らの及びつかない計算があるんだろうなぁ」

 

更にメリーが永琳の頭脳を指摘し、魔理沙達もそれに頷き永琳が蓮子達を捕らえた理由がとてつも無い計算の末に導き出された答えだとし、苦笑が自然と浮かぶ。

 

「………ねぇ、メ「見つけたぞー‼︎」あ、また見つかった!?」

 

すると蓮子達は再びモブイナバ達に見つかり、ファイトに入り突破を図る。

だが、その直前に蓮子は素朴な疑問をメリーに聞こうとしたがそれが聞けず頭の隅に追いやろうとする………が、何故かそれは頭の隅に追いやる所かどんどん膨れ上がり、蓮子の思考をそちらへ向けてしまう。

 

「(………メリー、『何であんな憶測が立てられた』んだろう?

だって私とメリーが聞いた話は………)」

 

そして、その疑問に矛盾点が発生していないかを頭の中、牢屋内で話した事全てを思い出して答え合わせを始める………。

 

『チクショー‼︎

此処を開けろ〜‼︎』

 

『ちっ、永琳の奴なんで……!』

 

『私達、永琳さんを怒らせる様な事をしたかなぁ……?』

 

『あの、私達を捕まえて閉じ込めた人は一体……?』

 

『ああ、『八意永琳』、この永遠亭に居る医者で私達のクエストの目的の輝夜の従者だよ。

だが、何故こんな………』

 

 

 

 

 

 

「(そう、妹紅や妖夢は『八意永琳が超絶的な頭脳を持つ』とか『幻想郷で1番賢い』とかは全然(・・)言ってなかった。

捕まった日も、次の日も、次の日も………一週間一度も。

なのにメリーは何で知っていたの?

人里で聞いた?

なら私も聞いている筈、ずっと一緒に居たんだから。

ならどうして?

私にも教えても差し支えない他愛のない情報だったのに……。

…………何だろう、この変な感じ………誰かに相談すべきなのかな………?)』

 

その疑問には全くの矛盾点が無く、また蓮子の疑問を更に大きくする。

何故メリーが八意永琳の情報を知り得たか?

何故メリーは自分に伝えなかったか?

これらは蓮子の思考を完全に絡め取り、また蓮子の中に何とも言えない予感を植え付ける。

何かが起きるかも知れない、そんな予感を………。

「あ、階段がある!

上に行く為の出入り口だ!」

 

「どうする?

上は絶対に此処よりも手厚い歓迎が待っているわよ?」

 

「だが今は前に進むしかにぃ!

前に進まずネガっては事態は解決しないんですわ、お?

ならばこのまま蓮子達を守りながら進むのは必至だと言う意見!」

 

「だな、此処で待って囲まれるよりも正面突破の方が脱出出来る確率は高いし、何より今囲まれるのは拙い!

何の為に妖夢や妹紅は脱出の時間を稼いだって話になる!」

 

「なら、このまま行きますよ!」

 

「はい!」

 

すると蓮子、魔理沙達の前に上に続く階段を発見し、少し止まり話してから上に昇り始める。

すると案の定モブイナバ達の歓迎を受けるが、これも難なく突破し奥へ行こうとする………すると、またモブイナバの妨害を受け、今度は囲まれてしまい進路変更をせざるを得なくなり、更にその奥へ行くとまた囲まれてを繰り返し、それが5回以上も続いた。

 

「ちっ、マジで兎達多いなおい!」

 

「………何だろう、なんか誘導されてるみたいな……」

 

「いえ、されてるわね。

現に………」

 

そして、それらの進路変更をされた結果蓮子達は謎の空間に出てしまう。

其処は部屋の中でありながら夜の光景が広がっており、また月が輝く不思議な場所と化していた。

更に、蓮子達の目の前には八意永琳と、一人の妖怪兎の少女……しかも、学生服の様なブレザーとミニスカートが特徴が其処に居た。

 

「ようこそ、私の用意した特別ルームへ。

貴女達二人に改めて自己紹介するわ。

私の名は『八意永琳』、この永遠亭で医者をしている者よ。

こっちは私の弟子の『鈴仙・優曇華院・イナバ』、短い間になるけどよろしくね」

 

「やっぱ誘導されてたか………‼︎」

 

永琳が自身の名と鈴仙の名を紹介した後、そのままブロントさん達の目の前まで歩き始め魔理沙達が蓮子達を庇う為に前に出て、二人を近付けない様にする。

すると、永琳はクスクスと笑い出し蓮子達の方を見やる。

 

「あらあら、随分魔理沙達に好かれているわねぇ………危険因子の癖に、ねぇ………」

 

「危険因子………?

蓮子達の何処が危険因子なんだよ!

二人はただの普通の女の子だぜ、言い掛かりはよせよ!」

 

「普通ね………片やユニットを実体化させかねない力を持ち、片やPSYクオリアを持つ者、何処をどう見たら普通なのかしら?

貴女達の普通の定義は『武器を常時構えてしかも制御不能な不安定な状態で歩き回る』とでも言うの?」

 

「何を……‼︎」

 

永琳が蓮子とメリーを危険因子と呼び、薄ら笑うと魔理沙が反論をするが、永琳はそれを否定するかの様に普通の定義を魔理沙達どんな風に捉えているか問い、魔理沙はブロントさん達は睨みを利かせて更なる反論をしようとする。

すると、メリーが魔理沙達の前に立ち永琳を見据えて話しだす。

 

「八意永琳………教えて下さい。

何で私や蓮子を捕らえたんですか?

私と蓮子が危険因子って何ですか?

貴女の目的は何ですか?」

 

その問いに対し永琳は少し考え、その後話し始める。

 

「ふむ、良いわ、教えてあげるわ。

私の目的、それは今も昔も変わらず姫様…………『蓬莱山輝夜』の身の安全を確保する事。

貴女達が危険因子と言うのは近い将来、姫様の身に害を齎す存在だからよ………いえ、姫様だけじゃない。

この幻想郷に厄災を齎す、間違い無く、確実に。

だからこそ私は貴女達を捕らえたわ………お分かり?」

 

「そんな………私やメリーは輝夜って人や幻想郷に害は齎さないわ!

それに、そんな大それた事なんか絶対しないわ!」

 

「いえ、間違い無くやるわ。

それが自覚があれ、無自覚であれね……」

 

「何でそう言い切れて」

 

「私の計算や推察などが弾き出した解答よ。

だからこそ、貴女達は捕らえる。

今、此処で…」

 

蓮子とメリーの言葉を永琳は自らの計算や推察に基づき切り捨て、再び二人を捕らえようとする。

それを阻止すべく魔理沙達は再び蓮子とメリーの前に出て阻もうとする。

 

「………なら、私とファイトをして、八意永琳。

私が勝ったら、私と蓮子、それに妖夢達を捕らえるのを止めて。

貴女が勝ったら、好きにして良いわ」

 

その時、メリーは永琳にアンティファイトを持ち掛け、条件は自分らや妖夢達を捕らえるのを止めさせる、つまり自由の身にすると言う条件だった。

その代わりに負けた場合のアンティも指定し、ファイカからデッキを取り出してファイトに臨もうとする。

対して永琳は、また考え始めるが自分が負ける可能性が低い為、受けても何ら問題は無く、またそれが幻想郷のルールである為受ける事とする。

 

「ふむ、良いわ。

その条件で呑むわ」

 

「な、メリー待ってよ!

その条件でファイトをして勝てるn「待ちなさい宇佐見蓮子、貴女の相手は私よ。

他の奴は手を出さないでね、特にブロントさんと魔理沙」っ‼︎」

 

すると、蓮子がそれに苦言を言おうとした所で鈴仙が動き、蓮子にファイトを仕掛けて来る。

しかもご丁寧に魔理沙やブロントさん達の感覚を狂わせるべく、蓮子とメリー以外に自らが持つ『狂気の瞳』を使い視線を合わせ、魔理沙達の片膝を突かせてしまう。

 

「げっ、しまった………‼︎」

 

「ム牛ン」

 

「か、感覚が………⁉︎」

 

「鈴仙、貴女本気ね………‼︎」

 

「み、皆どうしたの⁉︎

大丈夫⁉︎」

 

蓮子は何が起きたか分からないが、突如自分とメリー以外が片膝を突いた事を心配し駆け寄る。

すると鈴仙が口を開く。

 

「心配は無用よ。

ただ感覚を狂わせただけだから。

さあ、これで邪魔な連中は動けないわ、存分にヴァンガードファイトをしましょう……!」

 

「くっ、やるっきゃないって訳か……‼︎」

 

蓮子は鈴仙とファイトをするしか無いと悟り、デッキを取り出して構える。

そしてメリーの方も永琳に向けてデッキを構え、ファイカのファイトテーブル機能を使いファイトの準備をする。

自分らの自由とブロントさん達の感覚を元に戻す為に………。




はい、次回は流れ的に蓮子VS鈴仙となります。
また、ほんのちょっとですが姫様も出る………かも?

次回もよろしくお願いします。

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