秘封先導鉄   作:”蒼龍”

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何か書いてる途中からネタ塗れになった気がしますが気の所為だと信じて第38話更新です。
そして一言、ファイターズルールは守りましょう、リアルファイトや友情ブレイクを避けたいなら(目撃談)
では、どうぞ。


第38話「潜入、永遠亭!」

ブロントさん達が紅魔館を出て2時間、迷いの竹林の中を見回りしている妖怪兎の視界に一人の人間の青年が映り、その者を囲み警戒していた。

 

「待て、お前は何者だ!」

 

「ヴァンガード普及協会本部の職員だ、八意永琳に用がある、通して貰いたい」

 

兎達が警戒する中、青年はヴァンガード普及協会本部職員証を見せ、その場を通り過ぎ永遠亭に居る八意永琳の下へ行こうと言い、それを聞いて兎達はひそひそ声で話し合うが直ぐにその場で1番偉そうな兎が判断を下し青年に話し掛ける。

 

「分かった、八意様に会わせよう」

 

「話が早くて助かる」

 

どうやら直ぐに八意永琳に青年を会わせてくれるらしく、周りを囲んでいた兎達は道を開け、青年を先に通らせていた。

しかし此処は迷いの竹林、青年でさえ正確なマッピングが出来ておらず勘や朧げな記憶頼りに進むしか出来ない為か、道案内役に周りを囲んでいた妖怪兎の1体を指名し、その者に案内させた結果直ぐに永遠亭へと到着し、青年は中に入ると真っ先に診察室に向かい、其処には今日の診察を終えたばかりの八意永琳その人が居た。

 

「あら、貴方は………確か、ブライト………と言ったかしら?」

 

「久し振りだな、八意永琳。

直に会うのは数年振りだな」

 

青年………ブライトが八意永琳と対面し、近くにあった丸椅子に座り彼女を見据える。

しかもその瞳には警戒色が隠れずに表れている。

 

「あらあら、そんなに警戒色を強めてどうしたのかしら?

何か私にあるのかしら?」

 

「………藤原妹紅と複数名が行方不明になった件を追ってる、会う人間全員に警戒するのは当然だと思うが?」

 

「藤原妹紅が?」

 

ブライトは永琳に妹紅が行方不明になった事を告げ、それを聞いた永琳は驚いた様子を見せる。

だが此処でブライトは必要以上に情報を出さない為に何時行方不明になったかは言及を避けていた。

無論そうした事にも理由があったりする。

 

「そう、彼女が………姫様も少し寂しくなると思うわ」

 

「だからこちらの方としては人手が欲しいし、藤原やその他の者が何故行方不明になったか原因の解明がしたいんだ。

俺としても、迷いの竹林の案内人が消えるのは痛い」

 

更にブライトは永琳に対し妹紅や他数名が行方不明になったか原因が分からないというニュアンスの言葉を発し、更に永遠亭までの道程を知る妹紅が居なくなった事を気にしてる風に話し、遠回しに永琳にも協力しろと言っており、其処から永琳の反応を伺っている。

 

「……つまり私にも協力しろと?」

 

「出来ないならそれで」

 

「いえ、大丈夫よ。

ある程度は協力出来るわ」

 

それを聞いた永琳は当然ながら協力はすると答え、ブライトは言質を取ったかの様な表情を浮かべ、永琳に協力すると言った以上は絶対にそうしろと言った雰囲気を醸し出していた。

 

「……はぁ、それで?

どれ程協力すれば良いのかしら?」

 

「『因幡てゐ』、『鈴仙・優曇華院・イナバ』を含めた兎達を借りたい。

それも大人数でだ」

 

「大人数は無理よ。

こっちは少し前に大きな『ネズミ』に入られて大変な事になったのだから」

 

するとブライトは兎達を大人数借りたいと申し出るものも、永琳はそれを永遠亭に侵入者が居た事を話し、大人数の部分を蹴る。

それを聞きブライトは何があったのかと言う表情を浮かべ、永琳にそれを問い質す。

 

「永遠亭に侵入者が入ったのか?

そんな報告は聞いていないが……一体何時入った?」

 

「一週間前によ。

貴方、私が知らない内に普及協会本部職員になったのに聞いてないの?

私は既にその件は管理者達の耳に入れたのだけど」

 

「藤原妹紅達の捜索の方に集中していて報告を聞いていなかったんだ。

里の子供達が『妹紅お姉ちゃんが帰って来ない、どうしよう‼︎』と泣き付いて来てな、急いで探してやらないと不味いと感じて必ず藤原は見つけると約束したんだ。

それと上白沢慧音も『子供達の為に妹紅捜索に協力してくれ‼︎』と一週間前に頼みこんで来てな」

 

「相変わらず子供が好きなのね、貴方」

 

ブライトは本部からの報告を聞いていないのと、子供達の為に動いている事をそっぽを向きながら気不味い表情で言い、それを永琳は茶化しながら子供好きを指摘する。

それを聞きブライトは子供好きに関して何も言及しなかった。

 

「……兎も角、そちらの事情も把握した。

なら少人数でも良いから『鈴仙・優曇華院・イナバ』を含めた兎達を借りたい」

 

「どうしてもうどんげは外さないのね………分かったわ、私も子供達を泣かせるのが好きな鬼畜生では無いから借りて良いわよ」

 

そうして漸く交渉が成立し、ブライトは永遠亭から人手を借りる事が可能となり、それを聞くと丸椅子から立ち上がりドアの前に移動しようとする。

 

「すまないな、礼を言う」

 

「良いわよ、困った時はお互い様よ」

 

それから礼を言いブライトはドアノブに手を掛け、開けようとする………その瞬間何かを思い出した様な仕草をし、永琳は何かと気になりブライトの様子を伺う。

 

「………あー、八意永琳、一つ質問良いか?

永遠亭に侵入者が現れたのは何時だったか?」

 

「……貴方若年性健忘症でも患ったのかしら?

一週間前によ」

 

「藤原妹紅以下数名が居なくなり、俺が子供達に藤原を見つけると約束したと言った時期は?」

 

「自分の言った内容も忘れるとか………貴方疲れ過ぎよ。

一週間前と言ってたわ」

 

「そうだな、それじゃあもう一つ質問だ」

 

ブライトは何故か先程聞いた内容や言った内容を永琳に質問し、頭の横を指数本で叩きながら永琳に表情が見えない様に、しかし明らかに阿呆面をしてる様に感じる雰囲気をしており、永琳は呆れながら質問を返す。

するとブライトはもう一つ質問と言って永琳の方へと振り向く………最大限の敵意を永琳に対して向けながら。

そして、核心を口から紡ぎ出す。

 

「藤原妹紅、魂魄妖夢、内藤、ミスト・レックス、そして宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンは何処に捕らえている?」

 

「……………あら、余りにも阿呆みたいな雰囲気を出してたから気付いていないと思ったわ」

 

その核心を聞いた永琳は動揺もせず、また怒りを向けるでも無くただただニッコリと笑い、見た目が19〜20代程の整った容姿の微笑みを敵意を剥き出し、明らかに永琳に怒りを向けるブライトに向けていた。

対してブライトはドアノブに手を掛けていた手で鍵を閉め、両手をフリーにして八意永琳と向き合っていた。

 

「ふふふ、たった今気付いたにしてはかなりの敵意の向けようね。

何時から気付いていたのかしら?」

 

「一週間前、子供達から藤原を見つけてくれと言われ調査を開始するのと、宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンのファイカのログイン状態が藤原達のと一緒に途切れてからだ。

藤原の奴の事だ、大方『蓬莱山輝夜』を外に出せと言うクエストを立てて宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンが受けたのだろう。

そして………貴様の狙いは宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーン、違うか!」

 

「あらあら、あの二人を私に気付かれない様にマークしていて、しかも最初から私が今回の行方不明の主犯でアレコレして揉み消したクエスト内容の答えや足取りの解答とかに辿り着いたの?

ふふ………私、貴方みたいな勘の鋭い餓鬼は好きよ、割と」

 

ブライトの何時から気付いてたかや紅魔館並の施設とパチュリー並の頭脳が無ければ元に戻せなくなっていた一週間前のクエスト情報や、ある場所から、しかも永遠亭が関わっているとは思えない場所から足取りが消えた蓮子達が何処へ行き、更に行方不明事件の目的にすら気付いている事に椅子に座りながら拍手を送り、ずっと微笑みの表情を永琳は、逆に不気味としか言い様の無い程崩さずに怒りの表情を向けるブライトと対峙していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オーイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ、オーォ、おいィィィィィィィィィ‼︎」

 

一方その頃魔理沙達はブロントさんの働きにより異常な程快調に地面を掘り進め、もう既に迷いの竹林直下の地面に突入しており後は永遠亭の下まで掘り進めるだけであった。

 

「おー、流石はブロントさんだぜ!

いや〜やっぱりナイトはこんな荒仕事も卒無く熟せる位Pスキルが高いな。

すごいな〜、憧れちゃうな〜」

 

「ゼェ、ゼェ、それほどでも………ない……」

 

「しかも謙虚にもそれほどでもないと言った!

やっぱりナイトじゃないとダメか〜」

 

「はいはいブロントさん後少しですよ、頑張れ❤︎頑張れ❤︎」

 

「………………^^;」

 

そんな穴掘り作業を息絶え絶えで行う謙虚なナイトに対して謙虚なサポシ舎弟と瀟洒なメイドはテンプレ褒めを行いナイトの手を止めさせず、更に其処についげきの狡猾な悪魔♀が何故かやる気がMAXになる応援をして快進撃を続けさせていた(尚三人に悪意は無い模様)。

そんな光景を目の前で繰り広げられていたナイトの謙虚なリアフレ♀はどんな反応をすれば良いのか分からず苦笑しながら足を進めていた。

 

「オーラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオォォォォォォォラァァァァァァァァ!!!!!(ヤケクソ)

ズェ…………ズェ…………こ、此処が丁度永遠亭の直下である事は決定していたんだが?

もう………ゴールしても良いよn「後ちょっとだ、頑張れブロントさん!」……………hai……………ちくしょう覚えてろよ………」

 

そして永遠亭直下に来たにも関わらず少しも休ませずにブロントさんに上を掘る様に魔理沙が応援しながら要求し(無論悪気はry)、ブロントさんは想像を絶する悲しみに包まれながらも上を掘る作業に入り、それから暫くして漸くブロントさん達は永遠亭……………と思われる、ブロントさん達が見た事も無い空間に床をくり抜きながら入り込んだ。

 

「………何なんでしょう、この場所?

永遠亭にこんな場所ってありましたっけ?

あ、ブロントさんこれ強壮剤です」

 

「う、うむ……………ふう、いあ、俺もてるよとファイトやゲームする為に稀によく永遠亭に来てはいたんだがこんな場所は無かったと記憶しているんだが?

となれば最近になって増築された空間英語で言うとNew Spaceだろうな(名推理)」

 

ブロントさんは小悪魔から渡された強壮剤を飲んだ後に自分の記憶の中にある永遠亭のマップと今居る空間を照らし合わせて位置は永遠亭の物置部屋と同じで通路や床の作りが永遠亭と全く一緒だが、どの部屋や通路にもこんな構造はしていない為新しく作られた場所だと判断する。

それを聞いた魔理沙達は消えた蓮子達に加え自分達の知らない全く新しく作られた場所と明らかに怪しさ満点なシチュエーションであった。

 

「では、此処に蓮子やメリー達は此処に………」

 

「その可能性が高いわね。

さあ行くわよ、見回りに見つからない様に気を付けましょう」

 

「ああ、そうだ「ウーサウサウサウサ!」‼︎」

 

そしていざ蓮子達を探す為に行動しようとした所魔理沙達の背後から声が響き、全員がそちらを向くと其処には永遠亭のモブイナバ4体と、永遠亭でう詐欺師や悪戯者として悪名高く、しかし何処か憎めない妖怪兎『因幡てゐ』が居た。

 

「な、お前はう詐欺師!」

 

「う詐欺師じゃない、因幡てゐだ!

いや〜そんな事より、まさか地面を直下掘りしてこの最近作り終えて利用し始めた地下空間に侵入してくる奴が居るなんて思わなかったよ!(あ、危ねぇ〜⁉︎

もし今見つけてなかったらお師匠様のお仕置きを食らうトコだった………‼︎)」

 

魔理沙がてゐをう詐欺師と呼び、全員が臨戦態勢を取り敢えずとる中、てゐは此処で魔理沙達を見つけた事をかなりの幸運だと思い、見つけてなかった場合の自身の身をイメージして内心青ざめており、絶対に魔理沙達を捕まえる事に躍起になってたりする。

 

「くっ、潜入ミッションがいきなり失敗するとは……!」

 

「でもこれで蓮子達が此処に居るのは確実になったわ。

取り敢えず予定を少々変更してこいつらをファイトで負かせて縛り上げてミッションを再開するわよ!」

 

魔理沙や咲夜達ははてゐの反応から蓮子達が居ると判断し、デッキを取り出して目の前の障害を取り除こうとし、それを見た妖怪兎達は不敵な笑みを浮かべてデッキを同じく取り出していた。

 

「ほうほうやっぱりあの人間達を助けに来た訳か。

なら此処を通す訳には行かないから本気出して止めちゃおうか………この『シングアビス』デッキでね!」

 

「やっと私の『ドントレヌーベル(コンローFV)』が火を噴く……」

 

「『シンバスカイザーローレル(コマンダーローレルガン積み)』の力、見せてやる」

 

「私の『ネコライザー(ネコ執事ガン積み)』も忘れて貰っちゃ困るよ」

 

「何か制限化されそうな『宝石サンク』が通りますよ〜^^」

 

「………はぁ⁉︎

お前らファイターズルールを守ってないデッキを使うのかよ⁉︎」

 

魔理沙はやる気満々な妖怪兎達のデッキを聞き目を丸くしながら驚愕する。

そう、てゐを含めた妖怪兎達3体のデッキはファイトを公正化する為、また異常な程の使用率で大会を埋め尽くすカードやデッキに制限を設ける『ファイターズルール』と呼ばれる、ヴァンガード普及協会が公式に定めた制限ルールを完全に逸脱したデッキなのだ。

しかも1体のモブイナバが使うデッキも制限化されるのではと噂のデッキであり、通常のデッキとは一線を画していた

無論このファイターズルールは公式大会で適用される物の為、非公式大会や個人ファイトに於いては守らなくても良い物だが、ファイター達は暗黙の了解でこれらを非公式大会などでも律儀に守っていたのでファイターズルールは守る物が幻想郷では当たり前になっていた。

 

「公式大会でも無いのにファイターズルールを守るなんて良い子ちゃんだよね〜。

でも私らは警備任務中、勝って侵入者を捕らえる為なら手段は選ばないのが常識」

 

「くっ、ぐう正論………‼︎」

 

しかし警備任務中の妖怪兎達にはそんな物は関係無い、手段を選ばないと言われた為反論出来ずそのまま論破される。

そして妖怪兎達は魔理沙達をそれぞれ誰が相手をするか選び、それぞれ分かれて魔理沙達に襲い掛かる。

 

「ちぃ!

全員臨戦態勢‼︎

絶対に勝つぞ‼︎」

 

『はい‼︎/おう‼︎/ええ‼︎/了解です‼︎』

 

そして魔理沙、麟、ブロントさん、咲夜、小悪魔は襲い掛かるてゐ達を迎撃するべくファイト態勢に入る。

果たして、このデッキ群を相手に魔理沙達は勝利を収める事が出来るのであろうか、それはまだ誰にも分からない…………。

 

 




ファイターズルールに関しては少し話で取り上げましたが、これらは他のTCGで言う制限カード、構築禁止を指定するルールです。
これが設けられた理由は勿論大会で異常なまでに使用されたからです。(シングアビスは許さない)
やっぱりTCGはルールを守って楽しくするものですよね(結論)。

次回もよろしくお願いします。

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