そしてまた複数話完結です。
今回で(蓮子達は知らないけど)『シャドウ』の所持するデッキの2つ目が判明します。
では、本編へどうぞ。
月明かりが雲から漏れ出した夜道にて月から数えて二度目の再会を果たした魔理沙と『シャドウ』。
だが魔理沙としては、蓮子とメリーに何らかの目的を持って接触して火種を撒き散らす今の『シャドウ』に対して良い印象は全く無く、寧ろ抱きたくない嫌な感情すら湧きかねなくなっていた、
しかし『シャドウ』は何故目の前に魔理沙が立っているのか、しかも彼女が活動する時間外且つ普段寄らなそうな場所に居たのか理解出来ずにいた。
「………何故こんな時間にこんな場所に居る?」
「とある奴に発破かけられてな、変な事言われる前に行動させて貰っただけさ
でなきゃこっちがもたないからな」
「(………成る程、宇佐見蓮子達は綿月姉妹と一緒に居た。
となれば、稀神サグメが魔理沙の側に居て必然か。
ちっ………魔理沙の性格上、絶縁してから探しに来る事はまず無いと考えていたが、キッカケがあれば来るか……見通しが甘かったか。
それとあの女、余計な事を……)」
魔理沙は『シャドウ』の問いに軽口で、しかし表情自体は崩さずに答え『シャドウ』を見る。
それに対して『シャドウ』は魔理沙の側にサグメが居た事を看破し、余計な真似をしてくれたと思い、舌打ちをしていた。
「………でだ、単刀直入に言うぜ。
お前、蓮子とメリーに何する気なんだよ?
蓮子の方はレミリアやオリオンがなんか力があるって言ってたから大方『PSYクオリア』何だろうな。
だがメリーは何だ?
『PSYクオリア』とはまた違う、ユニットを実体化させる力があるそうじゃないか!
一体何が目的なんだよお前、それに蓮子とメリーは何で『霊夢』や『アイツ』に似てるんだよ!
全部洗いざらい此処で答えろよ!」
「…………」
魔理沙は今自分が思う事を全てを目の前の絶縁を叩き付けた青年にぶつけ始め、これでもかと言わんばかりに問い詰める。 しかし『シャドウ』はそんな魔理沙の問いを涼しい顔で流し、、何も言おうともせずそのまま立ち去ろうとしていた。
だが、魔理沙はそんな『シャドウ』の動きを完全に予測しており、先回りして『シャドウ』が逃げ出さぬ様に道を塞いでいた。
「待てよ、話は終わってないぞ。
私の言った事を答えるまで絶対此処から退かないからな……‼︎」
魔理沙は強い口調と決意を固めた瞳で『シャドウ』を睨み付け、未だ自分の顔しっかりと見ぬ青年の足を止めさせ自然と視線を集中させる。
そんな魔理沙を見る『シャドウ』だったが、少しだけ瞳を閉じて考えるそぶりを見せ、そして何かを決めたかの様に瞳を開き、魔理沙をジッと見つめ返し、自身が考えた事を口にし出す。
「………あくまで立ち去らせないつもりか。
ならば、ファイトで俺に勝ってみせろ。
そうすればお前に全てを話す」
『シャドウ』は魔理沙に対しヴァンガードで勝てば全てを話すと言い放ち、懐から蓮子に使った『
「(白いデッキケース……いや、それよりも……)『俺』……かよ。
お前に『俺』なんて一人称、似合わなかったのにな………もう昔のお前じゃないのかよ…。
〈ロイヤルパラディン〉を使って、『ブラスター・ブレード』とヴァンガードが大好きで、曲がった事が嫌いで、私や……『霊夢』とのんびりと過ごして、お茶飲んで三人で縁の下で横になってたりしたあの頃のお前は…」
「最早過ぎ去った話だ、昔の俺は『ブラスター・ブレード』と決別する事で消え去った、もうこの世の何処にも居ない。
今霧雨魔理沙の目の前にいる人間は……過去の俺とは全く別人と言って良い」
「……そうかよ……だったら………私が、この場で勝って、ついでにぶっ飛ばしてお前の目ぇ覚まさせてやるよ‼︎」
白いデッキケースに目が行きそうになるが、それよりも昔と比較してガラリと変わってしまった幼馴染に言葉を投げ掛けたが、返って来た言葉は魔理沙が期待した言葉とは程遠い、過去を捨て去った事をはっきりと示す物だった。
その言葉と同時に雲が完全に切れ、より強い月明かりが二人を照らし出し、其処から見える青年の表情は魔理沙が知る物ではない険しく鋭い目をしていた。
それらが全て魔理沙に深々と突き刺さるが、普通の魔法使いの少女はそれらにギリギリ耐えて涙を堪え、それと同時に勝って一発殴り目を覚まさせると言い、攻撃的な表情でファイカからデッキを取り出す。
互いにファイトが成立した中で『シャドウ』は近場の二つの切り株が丁度良くファイトテーブルと同じ大きさであり、其処に両者は移動し、ファイカのファイトテーブル機能を起動しデジタルテーブルマットを形成、其処にFVとデッキを置き手札を用意する。
「(あいつは『
そしてクランも恐らく〈リンクジョーカー〉………けど、どんなのが相手だろうと、私の『
魔理沙は手札を交換しながら『シャドウ』のデッキとクランを考察し、しかし最終的には『
対して『シャドウ』は涼しい顔で手札を淡々と交換し、ジャンケンをして『シャドウ』が勝ち先攻を獲得してから両者はFVに手を掛けていた。
「行くぜ………スタンドアップ・ヴァンガード‼︎」
「スタンドアップ・THE・ヴァンガード!」
両者はFVをスタンドアップさせ、イメージを広げてファイトを開始する。
魔理沙がイメージした場所は何処か今自分らが居る場所と雰囲気が良く似た月明かりが大地を照らす平原だった。
魔理沙はそんな場所に降り立ち周りを見渡すと其処に『シャドウ』も降り立ち両者睨み合いを暫く効かせ……魔理沙が先にFVに憑依する。
「『伏竜の
「相も変わらず〈なるかみ〉か…」
「そう言うお前は〈ロイヤルパラディン〉を捨てて〈リンクジョーカー〉なんだろ?
さあお前の1軍デッキを見せてみろよ!
『
魔理沙はリンチュウに憑依し雷を纏う左腕で指差しながら声を張り上げる。
すると『シャドウ』は一度瞳を閉じながら魔理沙に向けて言葉を紡ぎ出した。
「1軍か………俺は別に『
「何!」
「だが、お前達がこれを1軍と呼ぶのであれば好きに呼ぶが良い。
………さて、お喋りは終わりだ。
良く見ておけ、このデッキを………俺のもう一つの姿を!」
魔理沙は『
しかし、それを他所に『シャドウ』はFVに憑依を始め、更にその瞳に『PSYクオリア』の輝きが宿り、魔理沙を見下ろす様に見つめる。
そして、『シャドウ』がユニット憑依する瞬間周囲が一瞬眩く、また何処か暖かく、心地良い光に包まれ魔理沙は目を逸らしてしまうと同時に、これまでの〈リンクジョーカー〉の様な虚無感や悪意を感じず、寧ろ生命に満ち溢れた気配と光を感じ取り困惑し始める。
「うっ、この光と気配は…………⁉︎」
それから直ぐに光が収まり、『シャドウ』が居た場所に目をやる魔理沙の視界に、謎の生命体が存在した。
身体は純白で繭の中から生まれたばかりの様に瞳を閉じ、しかし先程の暖かな光に包まれた存在。
リアル視点でカード情報を読み取るも、確かにクラン自体は〈リンクジョーカー〉ではあるが、イラストには『
「これがこのデッキのFV……『ネオンメサイア』!」
「ネオン……メサイア?
『メサイア』って、よりによって侵略者が救世主を名乗り上げるのか………いや、待てよ?
メサイア……メサイア………『ハーモニクス・メサイア』……?」
魔理沙は『シャドウ』が出したネオンメサイアに〈リンクジョーカー〉が救世主を語る事に皮肉ろうとしたが、ふと記憶の隅に何かが引っ掛かり慎重に思い出し始める。
すると魔理沙の脳裏に、かつての『
すると、2体のメサイアには驚く程の共通点……純白の身体に暖かな光、種族の〈メサイア〉と言った共通点が見つかり、頭の中が混乱し始める。
「2体のメサイアに共通点を見出したか。
当然だな、このネオンメサイアは、ハーモニクス・メサイアが変化したユニットなのだからな……ライド、『アスリープ・メサイア』!」
「ハーモニクスが……変化?
……(いや、確かに気になる事とかは多いけど、今はファイトに……)ライド、『突撃の
リンチュウのブースト、サイケイでアタック!『
ネオンメサイア:P5000、C1
アスリープ・メサイア:P8000:C1
『シャドウ』:布陣
R アスリープ・メサイア R
R ネオンメサイア R
伏竜の
突撃の
魔理沙:布陣
R サイケイ R
R リンチュウ R
「ドロー、ライド、『アローザル・メサイア』!
コール、『落日の刀身 ダスクブレード』、『ダークメタル・カメレオン』!」
アローザル・メサイア:P9000、C1
落日の刀身 ダスクブレード:P9000、C1
ダークメタル・カメレオン:P7000、C1
『シャドウ』:手札:3枚
布陣
ダスクブレード アローザル・メサイア R
ダークメタル・カメレオン ネオンメサイア R
『シャドウ』は手札を使い早々と展開。
此処で魔理沙は漸く〈メサイア〉の見慣れた〈サイバロイド〉や〈サイバービースト〉の種族を持つ〈リンクジョーカー〉を目にするが、これもまた今までの〈リンクジョーカー〉とは違う異質な気配を感じ、更に此処でサグメが言っていたクレイの一生命に転生した〈リンクジョーカー〉の話を思い出し、これがそれだと確信する。
「これがクレイの生命に転生した〈リンクジョーカー〉……私が、私達が知る連中とは異なる存在……」
「呆けてる場合か?
アローザルでアタック、ドライブチェック『超弦理論の愛し子』『引』ドロートリガーゲット、パワーはダスクブレードに与えドロー!
ダークメタルのブースト、ダスクブレードでアタック!「ダメージチェック『蠱毒
ターンエンド」
「はん、お前が新カードで来るなら私も新カード見せてやる、ライド、『覇軍の
更に『両刀の
覇軍の
両刀の
電離の
魔理沙:手札:3枚
布陣
コエンチャク ズイタン R
カプーニス リンチュウ R
魔理沙は新しい〈リンクジョーカー〉に驚きはしたが、結局は同じユニットと割り切り新カードには新カードで対抗すると啖呵を切り、新カードであるコエンチャクとカプーニスをコールしてアタック体勢に入る。
「カプーニスのブースト、コエンチャクでアタック!「超弦理論の落とし子でガード」
だったらズイタン、リンチュウのブーストを入れてアタック!『神槍の
クリティカルトリガー、効果は全てズイタンに付与!
更にリンチュウのスキル、『
ネオンメサイアを退却し、更にコエンチャクのスキル発動!
相手のリアガードが私のカード効果で退却した時、私は『全てのファイターは自分のリアガードを選び退却する』をしても良い!
勿論私はこのスキルを使い、カプーニスを退却する!「ダークメタルは相手の対象を取るスキルを受け付けない『
カプーニスのスキル発動、私のカード効果でリアガードサークルから退却したらデッキの上3枚を見て『
私が加えるのは『
その後カプーニスは山札の上に戻してシャッフル!
最後にズイタンのスキル、
魔理沙:手札:5枚
魔理沙は『
その為ターン終了時には手札は初期と同じく5枚になってた上に完全ガードまで手札に加えた為防御手段の確保すらしていた。
「ファイトにはその人間の全てが表れる。
『
「………ホント、お前それが口癖だったよな」
それを『シャドウ』は己の持論である『ファイトにはその人間の全てが表れる』を口にし、ファイトから分析した魔理沙のファイトスタイルや、今の心理状況を話し出す。
それらは魔理沙の中でズバリと正解し、数多くの疑念を目の前のファイトに集中し、勝利する事で全てを解き明かそうとする自分の心境を見透かされてしまっていた。
「………ファイトに集中するのは良いが、頭の隅に余計な考えがあっては勝てるものも勝てないぞ、特に今の俺にはな」
「んだと‼︎」
しかも疑念を持ったままでは勝てないとすら言われ、魔理沙は頭にやや血が上り『シャドウ』に対し若干キレ始める。
しかし『シャドウ』はドローをしてそんな魔理沙など御構い無しと言わんばかりにスルーし、手札に手を掛けていた。
「疑念があって全力を出せない様ならば、俺はこのまま勝ちそのままこの場から去ろう。
だが、もしお前が全力を出し俺に届く様ならば………試させて貰うぞ、霧雨魔理沙!
信じし未来の為に羽ばたけ、我が運命の翼!
ライド、『オルターエゴ・メサイア』‼︎」
オルターエゴ・メサイア:P11000、C1
そして魔理沙に全力を出させ、それを試すと宣言した『シャドウ』はグレード3にライドする。
そのユニットは、クレイに現存する竜や巨大な悪魔達よりも更に大きく、更に『ハーモニクス・メサイア』の様にクレイと地球を表す球体を双肩に浮かばせ、2つの星の未来を背負う事をを示す救世主の名を冠し、また別人格の名も持つ純白の身体を持つ者……『オルターエゴ・メサイア』、それまでのメサイアとは比べ物にならない輝きを纏うユニットである。
「……私を試すだって……?
蓮子達に散々ちょっかい出して私達の前にいきなり現れて陰でコソコソしてるのに上から目線だと………上等じゃないか、試させてやるよ………お前の敗北って結果でな‼︎」
しかし、『シャドウ』の一言が遂に魔理沙をキレさせ、怒りのボルテージで疑念などすっかり頭から離れ、今目の前に居るこの青年を全力で打ち倒す事しか頭に浮かばなくなった。
それを見た『シャドウ』は不敵な笑みを一瞬浮かべ、直ぐに仏頂面に戻りファイトを進めようとする。
そしてこのファイトは、例え雨風が阻もうとも最後まで続けられるだろう。
それだけの意地が、今の魔理沙にはあるのだから。
いよいよ始まった魔理沙VS『シャドウ』。
保護者対スt………ゲフンゲフンの戦い、果たして勝利は何方に……。
次回もよろしくお願いします。
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